2014年度地理A追試験解説

2014年度地理A追試験                                    

 

<第1問 自然環境>

 

問1 スカンジナビア半島の南部を通る緯線は北緯60度.北緯60度一周は20000kmである。A・Bの経度差は90度(マス目一つ分の経度差は30度である。これはロンドンが経度0度、日本が東経135度であることを考えれば、求めることができる)。20000を4で割って、正解は5000km。なお、本来曲線である北緯60度の緯線に沿っているので、A—Bもやはり曲線である。問題が「およその距離」を求めるもので、直線距離を求めるものではないことにも注意してみよう。

 

問2 「現在のプレート境界」とは新期造山帯のこと。ウのヒマラヤ山脈が該当。他は古期造山帯。

 

問3 これ、難しいな、「有機物に富む肥沃な土壌」って黒土のことで、チェルノーゼムとプレーリー土が一般的なんだけど、ややマイナーなものにパンパ土がある。で、今回はそのパンパ土が問われている。アルゼンチンからウルグアイの草原に広がる土壌であり、Lが正解。

 

問4 カは降水量。赤道低圧帯でとくに高く、中緯度高圧帯で低い。キは蒸発量。気温におおよそ比例している。残ったクが気温年較差。こちらは緯度に比例。低緯度地域は気温年較差が小さく、高緯度地域では大きい。

 

問5 小麦が正解。ヨーロッパにおける小麦の栽培北限はバルト海の南部。

 

問6 年降水量のような、ある地点で観測できるデータを表すものは等値線図。流線図は貿易(輸出先と輸入先が示される)や人口移動(移動の方向がわかる)など。

 

問7 Pについて。標高550mより高いところを着色してみよう。PからXの方向を眺めると、標高550mを超える高所がそびえ立ち、Pが北西向きの斜面に位置していることがわかる。Pに降った雨水は北西方向へと流れ落ちる。

Rについて。やはり550mより高いところを着色してみよう。RからXを眺めると、550mより高い山稜が切り立ち、Rは北東向きの斜面に位置している。Rに降った雨水は北東側に向かって流れ落ちる。

Sについて。450mより高いところを塗ってみよう。SからXを眺めると、この450mを超える高所が障害となる。Sは南東向きの斜面に位置し、雨水も南東に向かって流下する。

Qが正解。「水垣内山」の山頂を着色し、さらにその周囲の標高650mより高いところも塗ってみよう。Qは水垣内山の南西側の斜面に位置し、個々に降った雨水はそのまま南西方向つまりXへ向かって流れ落ちる。

 

問8 地理A特有の問題であるが。④が誤り。光ケーブルは陸上もしくは海中(太平洋や大西洋を横断する巨大なケーブルもある)に敷設されている。

 

 

<第2問 貿易・人口移動・交通など>

 

問1 オーストラリアは石炭、ドイツは自動車、ブラジルは鉄鉱石、ベトナムは衣類。①がベトナム、②がドイツ、③がブラジル、④がオーストラリア。

 

問2 北東部が誤り。国境を直接越えてくるので、アメリカ合衆国においてメキシコからの移住者が多いのは南西部。

 

問3 かつての宗主国と植民地の関係、言語の共通性などを考える。Aにはイギリスが含まれ、インド。インドは旧イギリス領であり、また英語使用者が多い。Cはフランス。近接する国が多く、とくにベルギーの公用語の一つにフランス語がある。なお、韓国の旧宗主国は日本であり、高齢者には日本語を不自由なく話す人々も多いが、これらは日本への留学生が多いこととはとくに関係ないかも。

 

問4 労働力が必要とされる工業なので、労働集約型工業の自動車工業。ブラジルは旧ポルトガル領であり、公用語もポルトガル語。

 

問5 旅客?ってことは人口には比例しそうだね。さらに単位は「百万人キロ」だから、人数だけでなく距離も重要な要素であり、国の面積にも比例すると思う。面積の小さなルクセンブルクは⑤でいいと思うよ。ベルギーも比較的小さな国だし、④が該当すると思っていいでしょう。

一方、他の3つの国はいずれも人口が多い国なのだが、ポイントはイギリス。離れ小島であり、(フランスとの間に海底トンネルはあるが)原則として他の国と鉄道は通じていない。国際輸送量が極端に小さな③がイギリスでしょう。

さらに①と②だが、これははっきり言ってわかりにくい。だからもう一度基本に戻って人口と面積で考える。フランスは人口6500万人、面積55万平方キロ。スペインは4500万人、45万平方キロ。ベタに考えてしまっていいと思う。①がフランス、②がスペイン。

 

問6 ③が誤り。モンゴルを含めユーラシア大陸東部は当時、ソ連の存在により航空路として使用しにくかった。ヨーロッパ行きの航空機はアメリカ合衆国アラスカ州のアンカレジを中継地としていた。

 

問7 距離がヒントにはなると思うんだな。最も近い二がマレーシアのクアラルンプールでしょう。次いで近い、さらに便数も多い(日本人が最も多く訪れる外国はアメリカ合衆国である)ナがハワイのホノルル。

さらに遠距離ではあるが、やはり便数の多いネがロサンゼルス。つながりが薄いヨーロッパのフランクフルトがヌ。

 

 

<第3問 東南アジア地誌>

 

問1 シンガポールを当てる問題なので簡単かな.赤道直下なので気温年較差が小さい①が正解。他の3地点は北半球であり、明らかな季節差がある。降水量は考慮しなくていいが、シンガポールは年間を通して一定の降水量がみられる。

 

問2 これ、ちょっと難しいですね。地理A特有の問題。

Mは津波。ジャワ島の南には海溝が走り、海底地震が発生した。アが該当。

Kはサイクロン。三角州の低地であり、サイクロンの被害。イが該当。

残ったLが火山となる。ウが該当。

 

問3 カンボジアな地理Bで問われる国ではないが、地理Aではアンコールワットが登場したことがある。ヒンドゥー・仏教寺院で、世界遺産ではあるが、荒廃が激しく危険リストに掲載されている。③が正解。「国際河川」はメコン川。

①はシンガポール、②はタイ、④はブルネイ。タイの天然ゴムやブルネイの天然ガスに注目。

 

問4 いいですね。やみくもに牛を聖なる動物とみなさないように。あくまで食用にはしないだけで、農耕用(使役用)には重要視されていた。乳は貴重な動物性タンパク源となり、排泄物は燃料となる。「使える」動物なのだ。③が誤り。

 

問5 宗教のベタな問題。フィリピンで割合の高い②がカトリック。ベトナムの①が仏教。マレーシアで過半数を占めるマレー系住民が信仰するのがイスラム教で、④が正解。

 

問6 難しい。おそらく①だと思う。かつてタイの関する問題で「農村の過疎化」というキーワードが登場し、誤りであった。東南アジアはそもそもの農村人口が大きく、第1次産業就業人口割合も高いので、過疎化や廃村といった状況にはまだなってないんじゃないかな。

 

問7 これも普通に難しい。地理Aってこういうパターンがあるから厄介やねんな。とりあえず、②が誤文でしょう。シンガポールはたしか自家用車の交通規制をしていたはず。ナンバープレートが基数、偶数で使用できる曜日が限定される。これにより過剰な自動車交通を緩和する。公共交通機関を使用する人の方が多いと思うよ。

さらに⑥も違うね、東南アジアは高温多雨の自然環境で、米の栽培が中心であり、小麦は栽培されない。

 

 

<第4問 人口・生活環境など>

 

問1 出生から死亡をマイナスすれば人口(自然)増加率が出る。原則として、死亡率の差は出生率ほど大きくないので(グラフの目盛りをみればわかるでしょ?死亡率の方はマックスが20だけど、出生率の方は50になっている)、基本的には出生率だけみたらいい。最も出生率が高いウのグループがアフリカなどの後発発展途上国となる。ウがB。

アとイについてはいずれも出生が低いことがポイント。ただし興味深いのはアで、これは「出生率<死亡率」となっており、つまり人口が自然減少している。このような場所は世界全体を見回しても、社会・経済不安が人口の減少につながった東ヨーロッパ地域のみ(日本にしても、人口が減少しているとはいえ、20万人程度であり、全体の割合からみればわずか。「人口は変化していない」と解釈するのが正しい)。アがCとなる。

 

問2 「世界最大のダム」は長江に建設されたサンシャダム。Rがク。灌漑が原因となる湖面縮小はアラル海。Pがキ。カ・Qは消去法。

 

問3 写真がないけど、強引に当ててやろう。おそらく①でしょう。写真ではっきりとわかるスラムって、先進国じゃなくて発展途上国に違いないよ。おそらく高層ビル群の横にバラックのような掘建て小屋が並んでいるんだろうな。

 

問4 「緑の革命」はアフリカでは行われない。緑の革命はアジアやラテンアメリカで行われた農業の近代化で、自給作物(穀物)の増産が目的。アフリカではそのようなことはない。

 

問5 これ、全然わからない!何なんだろう、一体?とりあえず『非政府組織』なので、①の「警察」は違っていそうだな。また④についても違うんじゃないかな。下線部は引かれていないものの、実は「津波」っていう部分がちょっと気になる。モルディブで本当に問題なっているのは津波より海面上昇であり、それは防波堤によって防げるものなのか。島全体を堤防で囲むようなことをしないといけない。サンゴ礁の島だけに環境破壊も怖いし、そこまで大規模な土木工事は行われていないんじゃないか。④も誤りでしょう。

 

 第5問は地理Bと共通。