2015年度地理B本試験[第1問]問6 解説
問6 [インプレッション] おいおい、ずいぶんベタだな(笑)。今回のセンターって出題者側にあまりやる気が感じられないというか、問題が「普通」すぎる。ひねった問題や野心的な問題が少なすぎる。それはそれで、解きやすいからいいんだけどね。こういう「普通」の問題を確実にゲットしましょう。
[解法] 「火山」の分布はセンターで最も狙われる話題の一つ。環太平洋地域(オーストラリアを除く)、カリブ海、イタリア、アイスランド、ハワイ、キリマンジャロが主な火山地域と火山。また「南アジアに火山がない」ことも極めて重要。安定陸塊のインド半島はもちろんだが、チベット高原やヒマラヤ山脈など高俊な新期造山帯にも(地震は多いだろうが)火山はみられない。
このことから、スが火山。ヨーロッパにはみられないが、環太平洋地域とカリブ海で被害がみられた。南アジアがゼロである点も重要。
さらに「熱帯低気圧」。台風(太平洋北西部)、サイクロン(インド洋)、ハリケーン(北アメリカ)。低緯度の海上(*)で発生し、成長を遂げた後、緯度30度付近の沿岸へと襲い掛かる(日本列島でも西日本が中心で、北日本へ達する台風はほとんどないでしょ?)。低緯度から中緯度までの沿岸部に巨大な円が集中するサが該当。こちらは火山とは異なり、南アジアにもそれなりの被害。ヨーロッパには達する熱帯低気圧は存在しないことも図からわかるね(しかし、カナダとロシアには小さいけれど円が描かれている。これにはビックリだけどね)。
残ったシが「地震・津波」。火山のない南アジア、熱帯低気圧がやってこないヨーロッパにも円がみられる。環太平洋造山帯およびアルプスヒマラヤ造山帯といった新期造山帯のプレート境界に沿って被害が大きいのがわかるね。
(*)ただし赤道直下では発生しない。北緯5度から南緯5度付近は、熱帯低気圧の空白地帯。海水温は高いものの、転向力(地球の自転による力。コリオリ力)が作用しないため、風は渦を巻かない。熱帯低気圧が生じるためには、転向力が必要であり、十分な転向力が得られるのは緯度5度より高緯度側なのだ。
[アフターアクション] これは非常にシンプルな問題でもなり、特別な対策は知識は不要だね。それにしても、日本周辺はカリブ海地域というのは、地震災害や火山災害(もちろん津波も)に加え熱帯低気圧の被害も大きい、地球上で最も天災に見舞われやすい特殊な場所ということがわかるよね。