2015年度地理B本試験[第4問]問5 解説

問5 [インプレッション] メルコスールが初登場。ただし「南米南部共同市場」と問題文に書かれているので、加盟国は予想できる。問題形式が目新しいのでやや混乱するかもしれないが、慎重に取り組めば、決して難しい問題ではないぞ。

[解法] 地誌問題に貿易ジャンルからの出題は付き物なんだが、この形式は初めて。オーソドックスな内容と形式の小問が並ぶ第4問の中では異色。
では、問題を検討していこう。まず問題文から。「それぞれの輸出額が輸出総額に占める割合」というのがちょっとわかりにくい。具体的に考えてみようか。
例えば、日本にとって最大の輸出相手国は中国。他にもアメリカ合衆国や韓国、台湾などとも貿易がさかん。例えば「中国への輸出額が輸出総額に占める割合」ってどんなもんだろうか。特定の国が25%以上を占めているとすれば、それはかなりの高率っていうことにならないだろうか。
そうして考えてみると、この問題の選択肢として日本が登場しているのはちょっと異色。そもそも日本と南アメリカってさほど経済的なつながりがあるわけでもない。せいぜい、ブラジルから鉄鉱石、チリから銅鉱を輸入している程度なんじゃないか。例えばアルゼンチンは農産物の輸出が多いけれど、日本は主にアメリカ合衆国から農産物を輸入しているので、アルゼンチンの主な輸出相手先に日本が入ってくるとは考えにくい。全体として値が低い(ほとんどが5%未満)②が「日本への輸出」とみていいんじゃないか。なるほど、チリがそれなりの高さになっている。上述のようにこれは銅鉱なんだろうね。ブラジルは他の国・地域へも輸出額が大きいので、日本向けの輸出の割合はさほど高くなっていないことも納得。
この要領で考えていったらいいんじゃない?今度は④に注目してみよう。もちろんターゲットはベネズエラ、OPECの加盟国である。南米は全部の国が登場するから、こうしたちょっとマイナーな国も絶対に知っておこう。ベネズエラは南米大陸最大の原油産出&輸出国。その原油の多くはアメリカ合衆国へと輸出されている。位置的に近いから、アジアやヨーロッパより輸出しやすいよね。アメリカ合衆国はもちろん世界最大の原油輸入国でもある。こうした「ベネズエラ→アメリカ合衆国」という切っても切れない関係を考えれば、ベネズエラの値がとくに高くなっている④が「アメリカ合衆国への輸出」と考えていいよkね。
残った①と④。どちらかがヨーロッパ、どちらかがメルコスール。っていうか、最初からこう考えてしまってもいいよね、そもそもメルコスールについては「南部」って言っちゃってるし。実は問題文の1行l目にヒントがある。「相手国との近接性や自由貿易協定の存在」によって貿易による国々の結びつきは異なるんだそうだ。メルコスールというのはよくわからん。おそらく自由貿易でもやってるんじゃないか。加盟国?それもわからないけれど、とりあえず「南米南部」の国々なんだろう。具体的にはアルゼンチンかな。南米南部の国々を中心に自由貿易協定があって、近接する国々の間で貿易がさかんに行われている、と解釈する。全体に値が中レベルの①より、南部に際立って高い国が集まっている(アルゼンチンやウルグアイ)③こそ、メルコスールに相応しいんじゃないか。例えばアルゼンチンの主な輸出品目に小麦があり、これはブラジルに輸出されている(’ブラジルは高温多雨で小麦の栽培に適さないので)。もしアルゼンチンとブラジルがメルコスールだとすれば、アルゼンチンにとって「ブラジルへの輸出額が輸出総額の25%を越える」ことは、なるほど、納得できるよね。以上より、③がメルコスール、①がヨーロッパ。

[アフターアクション] メルコスールは初登場なんだわ。これについては今後はしっかりマークしておいた方がいいかな。加盟国はアルゼンチンやブラジルなど。自由貿易が推進されている。