2015年度地理B本試験[第5問]問5 解説

問5 [インプレッション] 二酸化硫黄っていうか硫黄酸化物。地理という理論科目を選択している諸君ならば、酸性雨についてはより科学的な理解をしておいて欲しいところ。石炭に含まれる硫黄分が酸化し、空中に放出される。それが上空で雲(つまり水)と化合して、硫酸となる。酸性雨とは硫酸の雨なのだ。もちろん濃度は薄いので、直接浴びても問題ないが、土壌や湖沼に貯えられることによって、酸性度が上昇し、樹木の立ち枯れや水質汚染の被害が生じる。

[解法]これ、おもしろいグラフやな。日本に注目して欲しい。日本は早い段階から工場の排煙に対し「脱硫」をしているので、現在、硫黄酸化物の排出は極めて少ない値にとどまっている。日本は環境基準の厳しい国であると同時に、高い技術力により環境汚染を未然に防いでいるのだ。
逆に硫黄酸化物と垂れ流し、その値が急上昇している国が中国。石炭の消費量が圧倒的に多い国としても知られているね。偏西風によって中国の発した硫黄酸化物が日本上空まで達し、酸性雨の原因ともなっている。
②は逆に大きく減少している。とはいえ、現在でもその排出量は決して少ないとはいえない。例えば、GNIとエネルギー消費量が比例することを考えよう。世界最大のGNIを有するアメリカ合衆国はその分だけエネルギー消費も大きく、石炭もその例外ではない。よって硫黄酸化物の排出も激しい国なのだ。②がアメリカ合衆国。
ここまでの判定はできたかな。決して難しくないけれど、とりあえず国の規模と石炭の使用量との関係は意識してほしいかな。そうなると③と④の判定がおもしろい。2005年現在の数値を比べてみよう(センター地理のグラフ問題においては、現在の数値に注目するのが大原則!)。③が大きく、④が小さい。なるほど、人口が多くGNIも大きいイギリスが③、人口が少なくGNIも小さいオーストラリアが④と一瞬思ってしまうのだが、いや、ちょっと待てよ、過去のデータも参照してみよう。1950年の段階で④は③に比べ圧倒的に大きな数値になっているではないか!これ以前のデータはないけれど、④が古くからの石炭消費国であり、③はより新しい国であることが想像できる。産業革命発祥の地として100年以上前から富み栄えていたが、近年製造業が衰退傾向にあるイギリスを④と考えるのが妥当なんじゃないだろうか。③はオーストラリアになるのだが、こちらは独立年次も遅く、工業化も遅れた。石炭の世界最大の輸出国であるなど資源は豊富であり、発電は石炭火力によるものが主であり、この国が意外に硫黄酸化物排出量が比較的多いことには納得なんじゃないかな。ちなみに、オーストラリアは乾燥国であり、土壌はアルカリ性。そのため酸性雨が降るぐらいが土壌が中和されて丁度良かったりする。もともと酸性土壌であった冷帯の北ヨーロッパや北アメリカ五大湖周辺地域とは条件が異なるのだ。

[アフターアクション]
とりあえず「硫黄酸化物=石炭」と考え、統計をそのまんま覚えてしまうのがいいんじゃないかな。石炭消費1位中国2位アメリカ合衆国。なので、二酸化炭素排出量1位中国、2位アメリカ合衆国であり、硫黄酸化物排出量1位中国、2位アメリカ合衆国となる。GNI上位2カ国は、環境に優しくない上位2カ国ともいえるのだ。それにしても、日本の硫黄酸化物排出量の少なさ。これ、スゴくない?

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