2015年度地理B本試験[第5問]問2 解説

問2 [インプレッション] これ、今回の一番の難問じゃないかなと思っている。問1もかなりキツかったけれど、こちらはさらに手強い。そもそも中部アフリカと南部アフリカの決定的な違いとは?とりあえず、「経済成長に伴って、出生率は低下する」というセオリーだけは頭に入れておいて、問題に取り組んでみよう。

 

[解法] まず、アから。出生率は高い値をキープしている。死亡率はやや高めだが、これは考慮しなくていい。むしろ考えるべきは、出生率から死亡率をマイナスした人口増加率(自然増加率)であり、これは3地域中最も高い値となっている(つまり、死亡率はたしかに高いのだが、出生率のように飛び抜けて高いわけではない、ということ)。なるほど、人口が4倍近くに増加した(396という数値からそれが判定できる)極めて人口増加率の高い地域、中部アフリカがアに該当する。コンゴ民主などを含み、3地域中で最も経済レベルが低いとも思われ、そのことから出生率の高さ、人口増加率の高さを想像するのもいい。北部アフリカには産油国、南部アフリカには大陸最大の工業国南アフリカ共和国があるなど、経済レベルはそれなりに高いはずだ。

さて、ここから。イとウの判定、これが難しい(涙)。そもそも、グラフ上の出生率と死亡率がほとんど同じなのだから、判定しようがない。でもそれではダメなので、やはりじっくり考えてみよう。イとウに関しては出生率も死亡率も似た値になっている。しかし、それでも絶対的な違いはあるわけで、出生率は(少しではあるけれど)一貫してイがウを上回っている。さらに、出生率から死亡率を引いた人口の自然増加率についても、イがどの年次においてもウよりも高い値となっている。ここまで決定的なデータがあるのだから、これを使って判定してもいいと思う。北部アフリカは(310)、南部アフリカは(293)が人口増加指数。たしかにキワどい違いではあるだけど、「北部アフリカ>南部アフリカ」であることは間違いない。イとウについてもやっぱりキワどい違いしかないのだが(その点、アは他と全然違ってわかりやすかった)、それでも「イ>ウ」は確実なのだ。50年間の人口増加率がやや高いイが北部アフリカ、低いウが南部アフリカと僕は考えた。これが正解はわからないけれど、データを読むと、こうとしか考えられないのだ。自信はないけど、解答用紙の③にマークします。

 

[アフターアクション] 1人当たりGNIと出生率を照らし合わせるのは基本だけれども、そうなると、1人当たりGNIに差がない(と思われる)北部アフリカと南部アフリカの判定ができないのだ(涙)。でも、やっぱり解法に示したように、ここはそういったイメージではなく、厳密に数字(310とか293ね)にのっとって考えていくしかないんだろうね。この問題、難しいわ。

 

[後日譚] あとからこの解説見直してみたら、やっぱちょっとダメだね(苦笑)。この問題ってそのまんま、数字だけで解く問題なんじゃないかな。地域ごとのキャラクターなんか無視して。

A地区で人口が100から310になった。B地区では100から396に、C地区では100から293にそれぞれ増加した。それぞれの地域の元々の人口が違うから実数としては比較的ないけれど、人口増加「割合」として考えるならば、B>A>Cとなる。

これを大前提として、図2を参照。大陸や国別の人口増加については、原則として自然増加だけを考慮したらいい(国境を越えての人口移動すなわち社会移動は、自然増加に比べれば問題にならないぐらい少ない)。自然増加は出生と死亡の差。よって、図2からア~ウの動きから予想される自然増加率の高低を比較してみる。このように年ごとの変化を示した図においては、とりあえず最新のデータに注目する癖をつけておこう。2005~2010年の数値を参照し、首相率と死亡率との開きが最も大きいのがア、最も狭いのがウ。よって自然増加率(=人口増加率)は、ア>イ>ウとなる。一応過去をさかのぼってみても、この順番は変わらない。よって、Aがイ、Bがア、Cがウとなり、正解は③。

このように、機械的に、数学的に解く問題だったなわ。地域とか関係ないわ!