2006年度地理B追試験[第1問]解説

2006年度地理B追試験[第1問]

本試験と同様に、地理の基礎的事項に関する総合的な設問になっている。問1から問5までは地理Aと共通。かなり雰囲気が今までの地理Bの問題とは違っているような印象だね。

問1 [講評] 新課程の一部の教科書ではすでに図法のジャンルは削除されているのだが、この図1をみてちょっとおどろいた。正距方位図法が示されているではないか。問題としてはどうなんだろうね。あまり本試に登場してくるような適切な問題とは思えないけどね。

[解法] 「東京」の位置は当然として、ここでは「サンフランシスコ」の位置を知っていることが求められている。ただ、センターでもしばしば登場する都市なので、当たり前のように知っておいてほしいところではあるが。東京は中心点。サンフランシスコは米国の太平洋岸の都市であるので、本図においては東京からみて右上の方向にあたる。東京からみて、北極の方向が北であるので、サンフランシスコは北東である。

[学習対策] 上でも述べたように図法ジャンル自体が新課程においては削除されているため、今後図法においてはこれを超える複雑な問題は問われないと思う。もし、再びこのような図(つまり正距方位図法っていうやつね)が示された場合、方位は中心点を基準として、上が北、右が東、下が南、左が西であることぐらいは知っておいてもいいと思う。

問2 [講評] これまたサンフランシスコがネタとなっている問題。つまり、サンフランシスコの位置を知らないと、問1と問2、連続して手も足も出ない状態となってしまうわけだ。こういった「連問」形式は実はセンターでは非常に珍しい!っていうか地理Bになって始めてじゃないかな。その一点だけとってみても、この問題が例外的な存在であることがわかる。

問題そのものは、地球の大きさをどこまで意識できるかという問題。地球一周の長さが40000kmであることは常識として押さえておこう。

[解法] 地球の大円の一周の長さは40000kmである。図1は、地球全体を示した図であるので、端から端まで(つまり直径ってことね)の長さが40000kmに当たる。よって東京から外周円までの長さ(つまり半径)は20000kmとなり、さらにサンフランシスコまでの長さはその半分よりやや短いぐらいのように見えるので、その実際の距離は8000km程度であると考えていいだろう。

[学習対策] 正距方位図法において距離を求める場合には、中心点から該当する都市までの直線距離を元に概算するといい。もちろんポイントになるのは「地球一周の長さ=正距方位図法の直径=40000km」である。

問3 [講評] 時差計算の問題。これも今までの地理Bでは出題されていない。地理Aでは何度も出題されているネタであるだけに、問1・問2同様に地理A的傾向を引きずった問題であるといえるだろう。

[解法] 例えば、ロンドンと東京の時差が9時間であるっていうのはみんなも知っているんじゃないかな。日本は東経135度に位置する国である。地球は24時間かけて360度回転している星なので、1時間で15度に相当する。ロンドン(イギリス)と東京(日本)の経度差は135度なので、135を15で割って9。ロンドンと東京の時差は9時間となるわけだ。

このように時差計算においては経度が重要なファクターとなる。図を参照してみよう。ロンドン(イギリス)からみて東京は9本目の点線のところに位置しているので、図における点線の間隔は、経度15度分であることがわかる。これをヒントとしてロンドンとニューヨークの経度差を探る。ニューヨークは米国大西洋岸の都市。おおよそ点線5本文なので、ニューヨークは西経75度。よって時差は、75÷15=5で、5時間となる。

[学習対策] 地理Bっぽくないネタなんだよね。とりあえず「経度15度=1時間」っていうことだけは知っておいてもいいんじゃない?

問4 [講評] これまたちょっと珍しい問題。っていうか手抜きじゃないの?(笑)

[解法] 「自然堤防」と「後背湿地」はいずれも氾濫原(河川中下流にみられる低平な地形)にみられる微地形である。自然堤防は、河川沿いにみられる微高地のことで、洪水時などに河川から吐き出された土砂が流れに沿って堆積したものである。わずかな高地ではあるが、このような低地の範囲においては自然堤防のような地形が重要となる。周囲より(ちょっとだけどね)盛り上がっているため、このような土地に家屋を建てると洪水時に浸水しにくい。しばしば河川の流れに沿って家屋が列状に並ぶ光景がみられるが、これらは防災を目的として自然堤防の上に家屋が設けられたパターンなのである。

一方、自然堤防の背後の低湿地には家屋はつくりにくい。洪水の被害が大きい氾濫原において、低地に家を建てるとは自殺行為である。ちょっとした洪水であっても、すぐに浸水してしまうだろう。このことから「後背湿地」には集落は成立しにくいと考え、2が正解となる。

[学習対策] シンプルな問題ではあるが、それだけに確固とした知識が必要。要点を整理しておこう。

「古くから集落が立地しゃすいところ」とは、「水」がキーワードとなる。水を得にくい高燥な地形においては、水を得やすいところに集落は自然発生する。この例として扇状地における「扇端」がある。扇状地は緩い斜面からなる地形であるが、この斜面の部分は「扇央」とよばれ、目の粗い土砂が堆積しているため、水はけがよく、水は得にくいので、集落は成立しにくい。一方、扇状地の末端である「扇端」は、この部分で土砂の堆積が終わり、低湿な地形に接する部分であるため、水が得やすく、古い時代から自然発生的に集落の立地がみられた。

それに対し、水を得やすい地域においては、こういった土地では水害の危険性が大きいこともあり、やや高燥な場所へと集落が自然発生する。この例が、氾濫原における「自然堤防」である。周囲よりやや盛り上がっているため浸水の被害を防ぎやすく、このため家屋が立地しやすい。逆にその背後に広がる低地すなわち「後背湿地」は洪水に弱いため、古い時代にはそういった土地には家屋は建てられにくかった。

問5 [講評] 驚きの地理用語問題!しかもかなりマイナーな言葉だぞ!

[解法] 答えは4の「ワジ」なんですけど、この言葉はセンター至上初めて登場したワードだぞ!かなり驚いた。

[学習対策] どうなんだろうね。こうした一問一答形式の問題って出題率も低いし、とくにノーマークでいいんじゃないかな。とくに今回のように過去に出題例のない言葉が出されると、対策のしようがない。諦めましょう。

だから最低限のこととして、今回登場した中で誤り選択肢となっている他の3つの地理用語だけは整理しておいた方がいいかもしれない。

カナートは、イランにみられる地下水路。今まで「地下水路」という言葉はしばしば登場してきたものの「カナート」という言葉自体が出題されたのは初めて。イランにおいては、山麓の地下水を遠方の集落や農地へと導くための地下水路が多く作られている。これがカナートとよばれるものであるが、その建設や補修、管理には多額の費用と労働力が必要となっている。

ゲルは、モンゴルにおける移動式の住居。動物の皮などで作られたテントであり、遊牧生活には欠かせないもの。

サヘルは、サハラ砂漠南縁に沿う草原地帯のことで、現在植生の喪失が著しい(砂漠化)。継続的な降水量の減少に加え、過放牧や過耕作などの人為的な要因によって、砂漠化が助長されている。

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