たつじんオリジナル解説[2017年度地理B本試験第1問]

たつじんオリジナル解説[2017年度地理B本試験]          

 

<難易度について>

★☆☆・・・簡単。確実に得点せよ。

★★☆・・・やや難しい。高得点を取るにはこれらの問題をクリア。

★★★・・・難問もしくは悪問。できたらラッキー。

 

 

たつじんオリジナル解説[2017年度地理B本試験]第1問      

 

例年通り、自然地理に関する問題。問1の大地形は「定番」の海底地形で、知識が問われる。問3の気候もよくあるパターンで、ケッペンの気候区分が直接問われるわけではないが、とりあえず地中海性気候の場所だけは知っておけっていうもの。個人的に大好きな問題は問2。海流が問われている。

ただ、問4は解答不能の悪問であり、問5はむしろ自然地理以外が問われた珍しい問題、問6も今までにみたことないパターン(現代文的なニュアンスがあるな)。全体的にちょっと変わった大問となっているのです。

 

問1[ファーストインプレッション]センター地理における「大地形」ジャンルは、陸上の地形より海底の地形の方が重要。つまり山脈や平野よりも、海溝や海嶺、大陸棚の方が大切っていうこと。本問はその典型。マイナーなものまで出題されるぞ。

 

[解法]海底地形の問題。海底地形には以下のものがある。

 

大陸だな

大陸に接する深度の浅い部分。深度200メートルまでの浅海。

大洋底

海洋の大半を占める深海。深度は4000〜6000メートルほど。

大陸斜面

大陸だなと大洋底を結ぶ海中の巨大な斜面。

海嶺

海底を縦断する巨大な海底山脈。海底からの比高は数千メートルにも達する。プレートの広がる境界で溶岩が流出。

海溝

海底を走る溝状の地形で、深度は6000〜10000メートル。海洋プレートが大陸プレートの下にもぐりこむ、狭まる境界であり、これに沿って火山島が分布する。

 

とくに大切なものが海嶺と海溝で、(本問のように)詳しい場所や名前も登場するので、地図帳で確認しておいて損はない。海嶺については、「大西洋中央海嶺」、「中央インド洋海嶺」、「東太平洋海嶺」をチェック。海溝については、太平洋北部から西部の「アリューシャン海溝」「千島カムチャッカ海溝」「日本海溝」「伊豆小笠原海溝」「マリアナ海溝」「フィリピン海溝」、太平洋南部でニュージーランドの北にある「ケルマデック海溝」「トンガ海溝」、太平洋東部の「中央アメリカ海溝」「ペルー海溝」「チリ海溝」、さらにインド洋でインドネシアの島々の南岸に沿う「スンダ海溝」が重要で、全て出題例がある。カリブ海にも「プエルトリコ海溝」などがあるが、こちらはマイナーかな。

さて、図中のBに目を移そう。日本の南方海上で、ここには伊豆小笠原海溝が南北に走っており、これに沿って火山島や溶岩が成員の島々もみられる(伊豆諸島や小笠原諸島)。①〜④を参照し、明らかに海溝がみられるのは③だけである。これが正解。伊豆小笠原海溝は、海洋プレート同士(フィリピン会プレートと太平洋プレート)の境界で、海溝としては例外的なものなのだが、とくに成因にはこだわらなくていいね。とにかく、「ここに海溝がある」という点が重要なのだ。なお、③には海溝とは逆に高くなっている地形もあるが、これについてはあまり考える必要はないだろう。海嶺みたいなものなんだろうけれど、フィリピン海プレートの中央部でもあるし、成因はよくわからない。無視しましょう。

他については判定の必要はないが、参考までに。まずAについて。大西洋の中央には海嶺が走っており、例えばアイスランド島は海嶺の上に形成された火山島。中央が盛り上がっている④がこれに該当。

さらにCについて、オーストラリア北部には大陸だなが広がる。アラフラ海というのだが、地図帳で確認すると、たしかにこの海域は薄い青で塗られていて、浅いことがわかるね。水深200メートルまでの浅海で①が正解。ほとんど陸地みたいでしょ?氷河期には海面より上となっていた部分なのだ。

残ったDはとくに特徴のない海底で、大洋底と考えていい。消去法で②が該当するが、水深は6000メートルに近い。

 

[難易度]③については中央の海嶺のような地形に騙されるかも知れないけれど、海溝が決定的であるので答えは迷わないはず。確実にゲット。★☆☆

 

[参考問題]2015年度地理B追試験第1問問1。マリアナ海溝が登場。海溝の位置は確実に!

 

 

問2[ファーストインプレッション]これ、いい問題ですね。海流がテーマになっている。本問で大きく取り上げられているアラスカ太平洋岸が温暖であるというネタは、最近地理Aでも出題されている。ノルウェー沿岸の不凍港についてはメジャーなネタであるが、今後はこのアラスカについても要チェックだろう。

 

[解法]海流の問題。暖流が流れている範囲、寒流が流れている範囲を理解しよう。北半球では海流が大きく「8の字」を描いていることはわかるかな。よかったら地図帳で、以下の海流について確認してみよう。

 

 

大西洋

太平洋

高緯度・大洋東部の暖流

北大西洋海流

アラスカ海流

高緯度・大洋西部の海流

千島海流(親潮)

ラブラドル海流

中緯度・大洋東部の寒流

カナリア海流

カリフォルニア海流

中緯度・大洋西部の暖流

日本海流(黒潮)

メキシコ湾流

 

暖流というのは低緯度から高緯度に流れる海流で、暖かい海水を冷たい海域へと運ぶ。沿岸に豊富な降水を与え、冬の気温が高くなる。透明度が高く、低緯度を暖流が流れる場合にはサンゴ礁も形成される。

寒流というのは高緯度から低緯度に流れる海流で、冷たい海水を暖かい海域へと運ぶ。沿岸に少雨気候をもたらし、冷涼な夏となる。栄養分豊かな海域を形成し、とくに(大規模な魚群となる)イワシ類が多く生息する。

 

さて問題を解析しよう。「海氷におおわれにくい」っていう意味がわかるかな。要するに、その海域に接する港が「不凍港」になっているということ。もちろん注目はK。ノルウェー沿岸の大西洋北部は、暖流である北大西洋海流が流れ込み、冬の気温が高い。スカンジナビア半島最北端まで不凍港になることはよく知られているだろう。北極圏であり、冬は1か月以上太陽が地平線の下にあるのに、海が凍りつかないということにはビックリ。

ここと同様の場所を探そう。先ほど海流のチェックをしてくれたみんなにはわかるよね。Mのアラスカ太平洋岸に注目。アメリカ合衆国シアトル付近からカナダの沿岸部を北上する暖流がアラスカ海流。本来から冷たい海域へと、お湯が流れ込んでいるようなものなのだ。この海流の影響によって、アラスカ南部の面する海域は温暖な海となり、港湾も不凍となる。Mも海氷とは無縁なのだ。正解は⑤。

なお、Lのオホーツク海は流氷に被われることでよく知られているね。北海道はさほど高緯度でありながら、沿岸は凍りつき、とくにオホーツク海に面する港湾は凍結する。北半球における流氷の南限(つまり、凍ってしまう港湾の南限ということ)が北海道なのだ。まさに冷帯。

さらにJについては、ラブラドル海流が南下している。沿岸のカナダは冷帯となっている。有名な客船タイタニック号の遭難は、ラブラドル海流によって運ばれた流氷と衝突したことが原因となっている。

 

[参考問題]2016年度地理A本試験第1問問4。地理Aの問題で恐縮だが、最近の本試験なので過去問集や大学入試センターのホームページなどから参照できるだろう。アラスカ太平洋岸、チリ南部、ニュージーランドに印がつけられており、これらの共通する気候の特徴を問う問題。正解は「温帯に属し、1年を通して降水がある」である。アラスカ太平洋岸は暖流(アラスカ海流)の影響で、チリ南部は偏西風の影響で、ニュージーランドは暖流(東オーストラリア海流)と暖流の影響で、高緯度でありながら比較的温暖で、さらに降水量が多い気候がみられる。チリ南部やニュージーランドの気候については今までも頻出であったが、アラスカについてはこれが初出じゃないかな?

 

[難易度]これ、いい問題やねんなぁ。今年のベストなんちゃうかな。こういった問題をぜひ解いてください。海流と気候の関係はマストやで!★☆☆

 

[参考問題]2016年度地理A本試験第1問問4。地理Aの問題が手に入る人はぜひ見てください。アラスカの太平洋岸に点があり、どういった気候がみられるかという問題なのですが、正解は「温帯に属し、1年を通して降水がある。」です。「温帯」という言い方がいかにも地理Aっぽいのですが、これを地理B的に変換すると「冬季でも凍結しない」となります(冷帯は「凍結する」です)。アラスカ海流の影響によって、アラスカの太平洋岸では、緯度に比べて温暖で雨の多い気候がみられます。

 

 

問3[ファーストインプレッション]これ、おもしろいな。夏季少雨型の気候(地中海性気候など)を当てろっていう問題はよくあるけれど、これはその逆で他の3つが夏季少雨型の気候で、そうじゃないものを当てろっていう問題になっている。いい問題とは思わないけれど(ストレートに地中海性気候を出題した方がいい)、新傾向ともいえるのかな。

 

[解法]気候グラフの問題。この形式は最近よくみるパターンだね。最近はむしろ一般的な雨温図を見る機会の方が少なくなった。

エは、大陸東岸に位置し、(やや緯度は高いが)日本と同じような気候がみられるとみていいだろう。夏に多雨となり、冬に降水が少ない。Sが正解となる。

アやウは典型的な地中海性気候地域。イも(緯度から考えて)夏に中緯度高圧帯に被われとくに少雨となるが、それ以前の問題として、中央アジアの乾燥地域に位置し、とくに雨が少ないとみられる。

年間の降水量が少ないとみられるRがイに該当。夏の気温が低く、気温年較差も小さいPがウに該当。ウの都市サンフランシスコは、寒流(カリフォルニア海流)の影響によって夏の気温が上がらず、気温年較差も10℃に達しない。

残ったQがアである。

ケッペンの気候区分は原則として出題されないが、地中海性気候は例外。その範囲はぜひとも知っておこう。とくにサンフランシスコは頻出!

 

[難易度]アメリカの東部って夏に雨が少ないような特別な気候ではないよな〜って感じで、感覚的に解いてほしい。っていうか、こういう問題を「なんとなく」解けたらかなりセンター試験に慣れてきたってことだと思うよ。★☆☆

 

[参考問題]2012年度地理A本試験第1問問3。アメリカ合衆国南東部の地点(ニューオーリンズ)が取り上げられ、「夏は高温で乾燥し、冬は温暖で湿潤になる」という説明の正誤を問う。もちろん、誤りですね。アメリカ合衆国で地中海性気候がみられるのは、太平洋岸の地域。

 

 

問4[ファーストインプレッション]この問題、ダメじゃないか???問題として成り立っていないような気がするが。

 

[解法]おかしな問題である。これ、問題として成立していないよ。その理由は後から書くとして、先に答えを片付けてしまおう。

正解(誤り)は③。陸繋島とは、陸地と島が砂州(土砂の堆積地形)によって繋がれたもので、日本では北海道・函館が有名。2006年度地理B本試験の地形図問題で函館が登場しているので、よかったら参照してほしい。ちょっと昔の問題だが、過去問集で手に入れることはできるね。そもそも函館山という「島」があって、北海道の本土とは離れていたのだが、その間に土砂が堆積し(つまり「砂州」がつくられ)、やがて両者は結合した。かつて島だった函館山の部分を「陸繋島」といい、現在函館市街地が乗る低地の部分を「陸繋砂州(トンボロ)」という。このように、はっきりとした「山」となっていることが陸繋島の条件であるので、クは該当しない。これが誤り。

クについては「三角州」とみていいと思う。三角州については決して「三角形」だと思わないように(どうも地理の用語には悪い誤解を与えかねないものが多いのだが、三角州はその典型)。三角州は「かつて海だったところが河川の運ぶ土砂の堆積によって、現在陸地となったもの」という定義。淀川の運ぶ土砂によってかつての海が陸化した大阪平野などはその典型例。クの地形についても、河川の流れに注目してほしい。河川が流れ込み、土砂が河川の流れに沿って堆積し、陸地となっている。変わった形状ではあるが、これを「鳥趾(ちょうし)状三角州」といい、アメリカ合衆国のミシシッピ川河口に形成されている。ニューオーリンズの港が位置している。水深が比較的深く、土砂の目が細かく粘り気のある場合にこういった形状となる。

 

他の選択肢についても検討。実は結構危ない選択肢が多いので、じっくり見ていきますね。

 

まず、カについて。この地形は「沿岸州(えんがんす)」と呼ばれるもの。

浅い海に砂礫が堆積して、陸地となったもの。広い意味での「砂州」の仲間であり、この選択肢は正解。

ただ、あくまで「広い意味」ということ。本来の砂州の意味は、「陸地から突き出した砂礫の堆積物」であり、カのような沿岸州については砂州とはいえない。つまり、解釈によっては、この選択肢も誤りとなってしまうのだ。判定が難しい。

 

②について。そもそも海だったところが、砂州や沿岸州によって外海と切り離され、湖となったものを潟湖(ラグーン)という。北海道北東部のサロマ湖が最も分かりやすいので、よかったら地図帳を見ておいてください。たしかにキの範囲は潟湖といえる。正文。なお、センター試験でも比較的潟湖の出題は多く、2003年度地理B追試験第5問の「加茂湖」や、2009年度地理B本試験第2問問1の「中海」などは潟湖の例。とくにこれらは、外海とつながる細い河川(水路みたいなもの)でのみつながり、ほぼ完全に海とは切り離された湖であるという点において、本問のキの水域や、サロマ湖とはちょっと違っているんだけど、同じものと考えていい。潟湖の中には、秋田県の八郎潟のように(水深が浅いので)干拓されるものもあり、2013年度地理B追試験第6問問2の写真でも石川県における潟湖が干拓された様子が写真にて伺える。

 

さらに④について。「干潟」というのは、あくまで「海」のことで、「干潮時に海面上、満潮時に海面下となる浅海底のこと。2013年度地理B本試験第6問問3の地形図で干潟が示されているので、確認しておくといい。2008年度地理B第6問問3では、(古い地形図ではあるが)そのまま「干潟」の記号が問われている。潮干狩りをするような泥の部分と考えれば、想像しやすいね。で、問題に目を移すと、「旧市街地は干潟の上にある」という文章になっている。要するに、海の中に建物が作られたってことなのだ。これはスゴいよね。干潟が「砂や泥が干潮時に現れる」ことは間違いないので、正文とみていいんだけどね。

 

[補足]

砂州と砂嘴の関係について、補足説明を。教科書や資料集によって、解釈が二つあるのだ。

 

(1)狭義の砂州

砂州について、狭い意味で捉えたもの。「砂嘴」という地形が先にあり、その特殊な例として「砂州」があるというもの。以下の引用参照。

 

(最新地図図表・第一学習社)

砂嘴・・・海岸から嘴(くちばし)状に細長く突き出た砂礫の堆積地形。戸田湾・三保松原・北海道の野付崎・アメリカのコッド岬などにその例がみられる。

砂州・・・砂嘴が成長し、対岸近くまで直線状にのびた地形。ついには湾口をふさぎ潟湖(ラグーン)をもつようになることもある。天橋立(京都)・弓ヶ浜(鳥取)・サロマ湖(北海道)などにその例が見られる。

沿岸州・・・海岸線に沿ってほぼ平行に発達する砂地形。遠浅の海岸では、波によって砂が堆積し、州が形成されることがある、陸地と沿岸州との間に潟湖(ラグーン)がつくられることもある。アメリカの大西洋岸からメキシコ湾岸にかけて、その典型的な例がみられる。

 

「砂嘴>砂州」という関係がはっきりしているのがわかるかな。さらに「砂州」と「沿岸州」は完全仁別の地形という解釈になっている。

 

(2)広義の砂州

砂州をより大きな意味で捉えたもの。まず「砂州」という大きな括りがあり、その中で「砂嘴」、「沿岸州」、「陸繋砂州」などの細かい地形がある。

 

(新詳地理資料・帝国書院)

砂州・・・砂の堆積地形によって海底に堆積した砂礫が水面に表れたものの総称。形によって沿岸州、砂嘴、トンボロなどと呼ばれる。

砂嘴・・・湾口や岬の先端などに堆積した砂礫が、鳥の嘴(くちばし)のように海に突き出した砂州をいう。野付崎、三保半島、コッド岬。

沿岸州・・・遠浅の海岸に多く、海岸にほぼ並行に堆積した砂州をいう。陸と沿岸州との間は潟湖(ラグーン)となることが多い。

陸繋島・・・砂州が発達して、沖合の島が陸続きとなったものをいう。江ノ島、函館、男鹿半島、潮岬、志賀島

トンボロ・・・陸と島をつなぐほどに発達した砂州をいう。中間に潟湖をはさむこともある。陸繋砂州ともいう。

 

こちらは「砂州>砂嘴」となっているのがわかるね。この解釈によると、「砂州>沿岸州」であり、沿岸州も砂州の一種であることがわかる。第1問問4の選択肢①が「正しい」とのは、こちらの解釈による。

 

ただ、個人的には(1)の方の解釈の方が自然なような気もするのだ。(2)にしてしまうと、そもそも砂嘴やら沿岸州なんてどうでもいいってことになってしまう。全部ひっくりめて「砂州」でいいものね。とりあえず、センター試験的には(2)の解釈であったということで納得しておいてください。

 

ちなみに、陸繋島とトンボロ(陸繋砂州)の解釈もなかなかおもしろいので、参考までに。

 

(第一学習社)

陸繋島・・・沖合の島が砂州によって陸続きとなったもの。島をつないだ砂州を陸繋砂州(トンボロ)という。江の島・潮岬・志賀島・函館山などにその例がみられる。

 

(帝国書院)

陸繋島・・・砂州が発達して、沖合の島が陸続きとなったものをいう。江ノ島、函館、男鹿半島、潮岬、志賀島

トンボロ・・・陸と島をつなぐほどに発達した砂州をいう。中間に潟湖をはさむこともある。陸繋砂州ともいう。

 

「陸繋島」の解釈については両方とも同じ。ただ、トンボロについては第一学習社が「島をつないだ」としっかり書かれているのに対し、帝国書院の方は「陸と島をつなぐほど」と述べられている。えっ、つながっていなくていいの?って解釈になってしまうのが微妙なんだわな。(入手できる人は見て欲しいけれど)2003年度地理B追試験第5問問3の「二ツ亀島」はよく見ると、対岸とは陸続きになっていない。陸地から伸びる砂州と、島の間には「干潟」がみえる。干潮時には陸続きになるが、満潮時には切り離される。この砂地形を「陸繋砂州」と言ってしまっては誤りと思うんだが、解釈次第ではそれも正しいことになるのか。よくわかりません。

 

[難易度]これは解答不可能に思う。問題として不適切。正解に達するのは、地理に習熟している者ほど困難である。★★★

 

[参考問題]2009年度地理B本試験第6問問3。砂州(沿岸州)、潟湖、陸繋島、干潟の4種類の地形が問われているが、おそらく君たちが最も勘違いして覚えているのは干潟だと思う。干潟をしっかりイメージすること。

 

 

問5[ファーストインプレッション]自然地理ジャンルの第1問の中の小問としては変わってるね。これって、GNIと人口の問題なんじゃない?面積も考えていいかも。

 

[解法]自然災害に関する問題だけれども。「自然」っていうより、人口や経済といった社会的な部分が重要になるように思う。まず、「発生件数」から。これにはXからZ、大きな違いはない。

「被害額」はZが圧倒的に小さい。災害が発生しても、建物や交通機関などがダメージを受けることが少ないとは?さらに「被災者数」となると、Xが極めて多い。一つの災害で、多くの人々が影響を受けるということ。

このアンバランスはどこから来るのだろうか。Xについては想像しやすいと思う。被災者が多いというか、そもそもの人口規模が大きいので、その分たくさんの人が災害の影響を被るということ。アジアの人口は世界全体の8分の5(60%以上)を占める。被災者数において世界全体の90%をアジアが占めているとしても、納得の数字だろう(逆に人口規模が少ない地域で、90%だったらビックリするよね)。Xがアジア。

この要領で考えるならば、被害額が小さいZについてはそもそも「金目のものがない」と考えてみていいんじゃないかな。都市が未成熟でインフラ設備も整っていない。貧困な農村を災害が襲っても、多くの尊い命が失われる反面、被害額そのものは極小であろう。経済規模つまりGNIが小さいアフリカだからこそ、災害の発生件数に対する被害額が小さくなるとみていい。Zがアフリカ。

Yが南北アメリカだが、発生件数に対する被害額が大きいのは、それだけ都市化が進み、災害によるダメージが与えられた場合の損害が大きいということ。アメリカ合衆国をはじめとする先進国が含まれているからである。

また、被災者数はそれに対して少ないわけで、「被災者1人当たりの被害額」については、X〜Zの中で最も高くなる。1人当たりGNIが高いので、個人個人がそれだけの資産を有しているということだろう。

ちなみにこの期間の最も有名な災害は、サイクロン「カトリーナ」によるニューオーリンズ襲来だろう。そもそも三角州の低地にあったニューオーリンズは浸水により街の一部が失われ、現在でも復興は完全ではない。このニュース(とはいえ10年前だから、時事対策が必要ってわけではないけど)を知っていれば、北アメリカにおける被害額の大きさが想像できたんじゃないだろうか(そういえば、問4でも鳥趾状三角州のニューオーリンズが話題になっていたね。このネタ、次年度は要注意ですぞ)。

 

[難易度]人口に気づけば何とかなったんじゃないかな。被害額については、逆に「先進地域を含む南北アメリカだからこそ、被害額が小さく抑えられたのだ」と勘違いしてしまうと間違ってしまう。難しい問題ではないが、珍しいパターンの問題だけに解法のマニュアルというものはない。自分で一生懸命考えないといけないね。★★☆

 

[参考問題]2011年度地理B本試験第5問問1。人口規模で考える問題なのです。

 

 

問6 [ファーストインプレッション]防災地図(ハザートマップ)を使った問題は珍しい。文章問題で名前が登場することは何回かあったけど、図が直接登場したのは去年の地理A追試験が初めてだったような。新傾向ではあります。ちょっと緊張するね(笑)

 

[解法]防災地図(ハザートマップ)を用いた問題。本来のハザートマップはカラフルに印刷されているから見やすいのだが、この図はモノクロで非常に読み取りにくい。注意しないとね。

火山の噴火に関する地図のようで、まずは「想定噴火地点」を確認。ここに噴火口があるのだろうね。さらに「火山灰」について。なるほど、風向がな南南西なので、風下側の北北東方向に大きく降灰範囲が広がっている。

「火砕流」に関しては(これが実に見にくいのだが)北西方向と、南南西の方向に火砕流(つまり溶岩)が流下するとみられている。先ほどの火山灰の範囲とは真逆だが、地形の影響なのだろう。溶岩は高温を発するものであり、その周囲に「熱風部」が付随している。この範囲に家屋などあれば、高温によって火災の可能性もある。

さらに「土石流」。噴火によって破壊された山岳斜面から土砂が崩れ落ちる。その形状からみて、谷(あるいは河川)に沿って土砂が流れ込み、土石流が発生するようにみえるが。

「国道」も読み取りにくいけれど、図の南部を横断し、さらに、サを通過して西に抜けるものもある。

以上より、①から検討していこう。サは、「火山灰」の範囲からは除外されている。影響は少ないだろう。しかし気になるのは「可能性がある」とされている点。全くないとは言っていないんだよなぁ。さらによく図をみると、「年間に最も多い風向の場合に予想される降灰範囲と厚さ」とある。ということは、たまにはこれと違った風が吹き、それがもしも東風だったならサ方面にも火山灰が降って来る可能性があるってことだよなぁ。判断がつかない。これは保留としましょう。

では、②について。シはまさに土石流の範囲に含まれている。「火山噴火が終わった後」は気になるものの、土石流は簡単には取り除くことができないものであるし、しばらくは「通行ができなくなる可能性」があることは間違いないだろう。正文。

さらに③。スは「火砕流の本体」からは離れているが、「熱風部」の範囲ではある。木造の家屋ならば、火砕流の熱風によって火災が発生する可能性は十分に考えられる。正文。

最後に④。セは火砕流の範囲であると同時に、土石流にも襲われる可能性がある。火口の西側斜面の谷に位置しているのだろう。最も恐ろしい被害が予想される地点だ。「火砕流の被害を受ける可能性」はもちろんある。「土石流の影響によって損壊する可能性」についても、もちろんあるはず。この文章下線部は前半部分が決定的に誤っているとみていい。④が誤文で、正解。

先ほど保留にしておいた①については正文となるだろう。「可能性」はわずかかもしれないが、完全にないとはいえない。

本問については全ての選択肢が「可能性」について言及したものであり、このうち④のみが「可能性がない」という言葉が含まれていた。こうした災害で「絶対に安全」ということはないよね。言葉遊びのような問題ではあるんだけど(文章のニュアンスで解く問題って意味では現代文っぽいよね)、災害にはいついかなる状況でも最大限に注意せよっていうメッセージが訴えかけられている問題とも言えるわけだ。そう考えてみると良問だなぁ。

 

[難易度]解説でも述べたように、①の判定が難しい。最終的には「文章のニュアンス」で解かないといけないのが悩ましい。★★☆

 

[参考問題]2016年度地理A追試験第2問問4。ハザードマップというわけではないが、災害に関して地図(地形図ではなく)が使用された例。こうした地図についても読解する力を養おう。

 

 

 

 

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