2005年度地理B本試験[第5問]解説

2005年地理B本試験[第5問]

 

ここ数年ラストの大問は地域調査と決まっていたのだが、本年に関しては傾向が若干異なる。とはいうものの雰囲気は99年と似たパターンでもあるし、さほど違和感はないかも。問1は冷静に解けばできる。先入観を持つな。問2は極めて特殊な図法に関する問題。来年以降の新課程ではこの当たりも出題されるのか。現時点ではわからないので、本問についても捨て問として無視するしかない。問3や問5は難易度も高くなく、しっかり文を読めば解答可能。問4なんてめちゃめちゃ楽だ~。本年度は地形図問題が重視されなかったとい特徴がある。問6もしっかり時間をかけて図をみれば間違えないと思う。意外な落とし穴が問7で実は正解率が低かった。じっくり考えれば決して難しくないんだけどね。

全問正解はキツイので2問ぐらいのロスで乗り切ってください。

 

問1

[講評]珍しい問題。とはいえ珍しさと難しさは別に関係ないわけで、本問にしても臆せず問題文だけをしっかり読めば簡単に解答できるんだけどね。妙な先入観や偏見はいけません。

 

[解法]素直に読もう。知識は不要。

まずAについては、南北アメリカなどの新大陸が描かれている点が他の地図とは違う。ヨーロッパ人による新大陸の発見以降に作られた比較的新しい時代の地図だろう。よってウが正解。「大航海時代」というのは16世紀ぐらい。

次にB。上に「アジア」、左下に「ヨーロッパ」、右下に「アフリカ」の文字が。もはや方位すらメチャメチャ。南北も東西もあったもんじゃない。この時点で選択肢アは消え(「南北に比べて東西の距離が過大に描かれている」も何も南北も東西もないんじゃ話しにならない)、よってイが正解となる。中世とはヨーロッパがカトリックに支配された時代で、全ての科学は否定され、地動説が唱えられた。別名「暗黒時代」。

よって残ったアがCとなる。

 

[関連問題]似たスタイル(形式、内容ともに)の問題として99B本第5問問1がある。しかしあまり参考にはならないかな。

本問はそれよりも、何の知識もなくて解く「その場」問題の代表例であり、関連問題もその線で挙げた方がいいのかもしれないね。でもそういった問題は結構多いし、すでに05B本第3問問1の方で示しているので、良かったらそちらを参照してください。

 

[今後の学習]この問題ですごくおもしろかったのが「中世」の扱い。日本で中世といえば源氏や平家が台頭してきた平安時代から織田・豊臣・徳川によって日本が統一される戦国(安土桃山)時代までのことであって、いわゆる「混沌の時代」なわけだ。それまでの秩序が破壊され、文明は後退する。

だから決して中世がそれ以前の時代「古代」よりも進んでいたとは言えないのだ。その典型的な例がヨーロッパの中世であり、上でも述べたように「暗黒時代」と呼ばれていたほど。

世界の歴史上、地球が丸いということを知らなかったのは中世のヨーロッパ人だけだとも言われている。古代エジプトの学者が太陽の南中高度の違いから地球の半径を計算して求めたのは有名な話だし、日本でも縄文人は太平洋を渡る航海技術を持っていた(これも地球が丸いことを知らなければ、航海中に方向を見失ってしまう)という説もある。要するに、古代の人々はみんな「地球が丸い」って知っていて「天動説」はごく当たり前の考え方だったわけだよ。それをヨーロッパのカトリック教会は世界征服のために自分を偉く見せようといきなり地動説を唱え、自然科学を否定してしまったのだ。こういうのってどう思う?メチャクチャだよね?でもこういったメチャクチャな思想によって支配されていた時代があって、それがヨーロッパの中世で、暗黒時代と呼ばれていたのも納得ってわけだ。

さあ、ここで地図をもう一回見てみよう。中世の地図なんてBだよ、B!どうやってこれで旅行しろっていうねん(笑)。しかも左の方には魚だか竜だかわからない怪物が描かれていて、つまりこんな奴がいるからみんな遠くに行こうなんて思わずにおとなしくしておけってことだろ?全く意味不明なことするよな、ローマ教会。この中世という時代には、天動説は否定されるだけじゃなく、魔女狩りが行われるわ、農民は農奴と呼ばれ教会と組んだ領主によってこき使われるわ、挙句の果てに医療技術も発達しないからペストなんていう伝染病まで流行する。「文明の曙」はガリレオやレオナルド・ダ・ビンチたちのルネサンスを待たなければならなかった。

こんな風に、我々の頭の中には「ヨーロッパ=先進地域」というイメージがあるかもしれないが、歴史的に見ればそんなことはなくて、たまたま19世紀以降巨大な軍事力によって世界を支配したのがヨーロッパ人だっただけで、決して彼らが聡明な頭脳と科学的な視点を持った人々だというわけでもないのだ。数字のゼロやマイナスという概念を発見したのがインド人だったり、医学や化学などの分野においてはアラビア人が卓越していたり、むしろそういった時代の方が長かった(それがヨーロッパの武力で支配されてしまうのだが)。何故だか日本人が持っている「白人優位主義」という思想を根本から改めなくてはいけない日が近々来るんじゃないかと僕は予想しているのだ(マジか!?)。

 

問2

[講評]捨て問です。

 

[解法]捨て問だから解かなくていいです。

 

[関連問題]まあ、どうでもいいよ(笑)。

 

[今後の学習]来年の新課程からこういった問題も出題されるのかなあ。でもよくわからないや、どうなるか。そんな状態で真剣にこんなジャンルのために勉強するのも時間と労力がもったいないから、あえて無視しましょう。それがいいよ。来年出題されたら、その時また考えます。

 

問3

[講評]見たところちょっと難問。でも調べたところ正解率は高かったのでとくに問題ないのかな。いわゆる「その場」問題です。

 

[解法]主題図とはテーマ図のことだけれども、そういったことを全く知らなくても問題を解くことには何の差しさわりもない。ただ単に文を読むだけなのだ。

あきらかに①がおかしいでしょ?海図ってどんなんか知らなくても、生物の種類や分布を示した地図なんてあると思う?幼稚園の絵本じゃあるまいし。

 

[関連問題]問題全体のニュアンスとしては99B本第5問問5に似てるかなあ。でもこっちの方が断然難しいし、あまり関係ないでしょ。

①について。海図なんか取り上げられたことあったかなあ。船舶が航行する際には必須の地図で、航海用に用いられる地図なんだけれど、ちょっとセンター試験では出たことないんじゃないかな。

②について。鉄道の路線図は01B追第5問問6で登場。とくに言うことはないっス。

③について。人口分布図とはまたあいまいな言い方やなぁ~。具体的にどんな地図のことを言うてんのやろ?一応、01B追第5問問5選択肢1にはあるけどこれはダメな例なんで(笑)。最も参考になりそうなのは、03B追第2問問4図4かな。「人口分布をメッシュマップ」で表したもの。人口の多少が一目でわかるし、それぞれのマス目の面積が等しいので、しかもマス目の面積が1平方キロなので、そのまま単位を「人」から「人/平方キロ」に変えてしまい人口密度の表としても使える。まさに「人口の規模や人口密度などの地域的差異」を示した地図である。

また99B追第2問問2も人口分布図の一種であるが、こちらは円積図を用いたもの。円の面積がそのまま人口規模(この場合ブラジル人だが)を表しているので、感覚的にわかりやすい。ただし人口密度についてはちょっとキツイかな(強引に、円の面積と都道府県の面積から見当を付けることはできなくはないんだろうけれども。。。)。

④について。災害予測図も海図と同じくセンター未出。これが伏線となって来年はこのハザードマップというものが出題されるのだろうか。まあ、名前こそいかついけれど、実際にはそう複雑なものではない。有名なものは地震のハザードマップで、地震が発生した場合、地盤が弱いなどの理由でその被害が大きいと予想されるところほど濃い色で塗られていたり、そういった地図。高潮のハザードマップならば低地を中心に被害地域が示されているだろうし、土砂崩れなどでは山地斜面が重点的に危険地域とされているだろう。

 

[今後の学習]「その場」問題でもあるし、とくに対策はいらないだろう。問題文をしっかり読むこと、これだけ!

 

問4

[講評]えらいイージーな地形図問題やな(笑)。

 

[解法]とくに解説いらないでしょ?見るだけだよ。南西部には何にもないって。

ちなみに④「古代の政庁に由来する地名」っていうのは「国府町」っていうのでしょう。昔の国って感じがしないかな?

 

[関連問題]

もちろん地形図問題は毎回出題されているわけで、数限りなくあるんだが、その中でもとくに簡単な部類に入るんじゃないかな。地形図問題が苦手だった人はラッキーやね(笑)。

 

[今後の学習]

とくに問題ないでしょう。ただしこの問題のレベルが地形図問題のスタンダードだと思ってしまってはいけない。やっぱり地形図問題はもっと歯ごたえのあるものが出題されるのが例年の傾向だよ。しっかり過去問を研究し、歴代センター試験で出題された地形図問題は全部クリアしておいて、いざ難易度が高い問題が出題されたとしてもそれに対処できるようにしておいてください。油断は禁物(とくに地形図問題は)。

おっと、あれっ!?鈴鹿サーキットがあるやん!うわ~これはすごいぞ。いやぁ、ほら、地理の先生って鉄道マニアって多いやん。で、何だかやたらと鉄道に関する問題が多かったりして、正直ウザいなって僕は思っていたわけよ。で、結構私大の問題とかでそういった鉄道ネタが出たりするわけよ。おいおい、自己満足もいい加減にしてくれよ~ってな感じだぜ。で、今回の問題やけど、僕と似たような考えの人がいて、その人が鉄道マニアをあざ笑うかのように、あえて「自動車の聖地」を取り上げてみたってわけだね、しかもさりげなく(笑)。この人ってクルマが好きなんだろうね。これはうまいな~。とはいえ、僕はカーマニアでもないので、そうやなぁ、僕なら自分の趣味を優先(?)させるんやったら、どんな地域の地形図を取り上げるかな。って、そもそもあまりうちから出ないインドア派だから無理か(笑)。

 

問5 

[講評]「その場」問題ではあるんだが、言葉の定義にちょっと迷った人もいたみたい。日本語を大事に考えましょう。

 

[解法]まず「絶対値」と「相対値」の言葉を理解しておかないと解答できない。絶対値とは「実数」のこと。実際に数えればその値が求められる。一方、相対値とは「割合」のこと。実数そのままではなく、何らかの数値で除する(割る)ことによって求められる。人口は前者、人口密度や人口増加率は後者。

このことがわかれば選択肢を絞ることができる。図3は「綿花の生産額」を示した主題図(注)である。これは絶対値か相対値か。言い換えよう。実数か割合か。金額をそのまま数えたら求められる数値である。計算(っていうか割り算)する必要はない。このことから、正解は「絶対値」である①か②に限定される。

さらにこの図3の表現方法について。日本列島が当時の都道府県ごと(北海道などは省略されているが)に区分され、それぞれのエリアごとに円が一つ(もちろんゼロのところもある)ずつ描かれている。この円の面積が綿花の生産額を表しているのは、左上に2万円や60万円などと示されていることからも、明らかだろう。円という「図形」を用いて金額を「表現」しているのだから、ここは「図形表現図」を選択し、ゆえに正解は②となる。

ちなみにドットマップというのは、こういった都道府県のようなエリアに区切ることなく分布を表すことが可能なもので、図中にいくつもの点々が描かれる。言葉で説明するより実際に見てもらった方が理解が早いだろう。関連問題の項で示しておくので参考にされたい。

また、図形表現図もドットマップもそもそも絶対値を表すもので、相対値を示すには適さない。というか、相対値を示すことができる統計地図は限られていて、それは階級区分図のみ。だから選択肢③の「相対値を表すドットマップ」とか選択肢④の「相対値を表す図形表現図」などというものは存在しない。真っ赤な嘘。

 

[関連問題]絶対値を表す主題図と相対値を表す主題図の違いを強調した問題として01B追第5問問5がある。これは「割合は階級区分図で表す」という原則を理解していなければ解けない。

本問の図3のような表現は図形表現図の中でも円積図と呼ばれるもので、これを用いた問題として99B追第2問問2図1があるので比べてみよう。ともに都道府県に区分され、円の面積によって量(人数や金額。つまり絶対的な数値)が表現されている。日本ではないが、00B追第3問問4では中国における亜硫酸ガス排出量が同じく円積図によって表されている。

ドットマップの実例は、02B本第3問問6(アジアの家畜分布)、01B追第3問問6(米国の穀物生産量)など。円積図とは違って、都道府県のような区分が必要ないことがわかるだろうか(01年のものでは一応米国とカナダの国境は書かれているが、これはあくまで目安として描かれているだけで、本来は不要)。いずれも、1つの点が実際のどれくらいの量(頭数や重量)に相当するのか示されていることにも注目。円積図とは異なり、どの位置にどれくらい分布しているかがドットによって具体的に表されるため、「ドットマップは絶対分布を表す」という特徴がある。

(注)主題図というのはテーマ図のことで、一般図とは反対語。一般図は通常の地形図のように事実をそのまま表したもの。主題図はあるテーマだけ取り出して、それを明示したもの。実際の地図の上に何らかの統計表現を重ねたものを統計地図というが、これも主題図の代表的な例の一つである。つまり図形表現図やドットマップも主題図ということ。

 

[今後の学習]「その場」問題であるので、とくに何もすることはないだろう(笑)。ただ「絶対」と「相対」の言葉につまづいた者はいたようなので、普段から日本語を大切にする気持ちだけは持っておこう。別に地理の専門用語というわけでもなく、我々が一般の生活の中で普通に接する言葉たちであるのだから。

 

問6

[講評]何だか目の体操みたいな問題やね(笑)。ネタ自体はシンプルなんだが、問題として解くとなると図がわかりにくいから、解答はしんどいかもしれないね。

 

[解法]わざわざ「大都市近郊地域」なんてていねいに書いてあるんやから、最も増えたものが住宅地であることには間違いないんちゃうかな?農地をつぶして住宅地に変えてしまった。そして商業・業務地域については、さほどの面積はないと思っていいと思う。何てたって郊外なんだから、商業地(ショッピングセンターみたいなもの)はともかくとして、業務地域(ビジネス街)が広がっているとは考えにくい。

以上のことを簡単に頭に入れておきながら、図を参照してみよう。あいまいに眺めるだけだとかえってわかりにくいので、ポイントを絞って具体的に観察していくといい。

1974年の図において、E地域が南から北に向かって中央部に張り出しているのが確認できる。見ようによっては人間の形にも見えなくはないんだが。この部分が、1994年にはほとんど消えてしまって、空白となってしまっている。この部分に代表されるように、この20年間の大まかな傾向として、E地域の縮小が挙げられるだろう。このことからこれを「農地」と考える。

また1994年の図において、右下にF地域が広がっているのがわかるだろうか。これは1974年には空白だったエリア。つまり農地とは逆に、このF地域こそ近年その面積を拡大させているものとなる。これを「住宅地」と考えるのは妥当だろう。

残ったD地域を消去法的に「商業・業務用地」とする。先にも述べているように、面積的にはごく限られたものだろう。またおもしろい傾向として、このD地域は1994年の図の上端中央から右端中央に向かって斜めに走る街道沿いにとくに発達が顕著。郊外型のショッピングセンターが主要幹線道路沿いに立地しやすい(いわゆるロードサイドショップというもの)ことがはっきりとこの図から読み取れる。

 

[関連問題]グラフィックの雰囲気は04B追第3問問6に似ている。問題のネタとしてはカブっていないが。ただセンター試験もビジュアル的に進化している(そして、これからも進化しつづけるんやろなぁ)のだということに妙に感心してしまう。

むしろ内容的には98B追第4問問4問5に近いかな。同じく都心近郊地域の土地利用を題材としている。

都心ではないが、土地利用の変化という点では98B本第4問問4が類似。

 

[今後の学習]時間はかなりかかると思うよ。でも細かく見ていけば絶対にできるはずだから諦めずに粘り強く取り組むこと。とにかく「農地」が減っていることは絶対なわけだし、「住宅地」と「商業・業務用地」を比べれば「住宅地」が広くて「商業・業務用地」なんて部分的にしか存在しないなんてことは容易に想像つくはず。でもこういうことが焦ってしまうと慌ててそれどころじゃなくなってしまうこともあるんだよね~。普段の試験から時間をかけてゆっくり解くクセをつけておいてください。「60分の試験を61分かけて解く」。全問やり終えなくてもいいじゃないか。時間が足りないぐらいでちょうどいい。センター地理は、国語や英語、数学とは違い、スピードを競う試験じゃない。慌てて雑にやるよりも、ていねいに深く思考して解くことがクールだと思う。そういった「余裕」があってこそ、こういった思考問題をスムーズに解くことができるのだ。

 

問7

[講評]その場で文章を読んで解くだけの「その場」問題なわけだけれども、実は非常に正解率が低かった。こうした問題をクリアできるかどうかが、高得点を取るか否かの境目になるわけです。むやみやたらとカタカナ言葉や地名都市名ばかり丸暗記しようとしている君、そんなことをしても無駄というわけだ。

 

[解法]GISとは何だろうか。「地理情報システム」とあるけれども、「情報」「システム」という言葉からコンピュータが想像できればいい。ようするにコンピュータを用いてわかりやすく描いた地図っていうふうに理解しておけばいいんじゃないかな。ただ、それよりも百聞は一見にしかず、親切に問6がそのままGISの実際例なのだから、これを見てどんなものかは理解できるだろう。もちろんこれを参考にして考えていきましょう。

①「地図の重ね合わせ」というのがやや意味がわからないけれど、問6図4で言えば、通常の地形図(道路や家屋などが示されている)の上から土地利用の様子を色によって表し、具体的にどのような場所でどのような土地利用がなされているかが一目でわかる。とくに矛盾のない選択肢だと思われる。

②「歩行者通行量」とある。例えば通行量の多い道路を太い線や赤いラインで表したり、逆を細い線や青いラインで示したりして、ビジュアル的にも整理された地図を作成することはできるだろう。ただしそこから最短距離を計算することは可能なのだろうか。というか、最短距離なんてものは通常の地形図で十分に(つまり物差しで2地点間のみちのりを計測し、それから地形図の縮尺を掛け合わせてあげたらいいよね)測定することができるじゃないか。どうなんだろう?この選択肢はちょっと怪しい。

③これはまさに問6図4のことだろう。例えば1974年の農地面積を計算し(めんどくさいけれど可能ではあるよね)、それを1994年のものと比較して、この地域の都市化の様子などをデータとしてまとめることは可能。これなんかまさにGISの便利な利用方法だよね。

④「標高データ」とあるが、これは地形図に示された等高線や標高を示した数字(三角点、水準点、独立標高点)などのことだろう。これらをデータとしてコンピュータにインプットし、立体図などをコンピュータグラフィックとして図示するのは難しいことではなかろう。

以上より②を正解(誤文)とする。

 

[関連問題]GISが取り上げられた例は少なくない。

まずは99B本第5問リード文参照。「近年、地域に関する情報と地図をコンピュータで結合させて、必要な事象を検索、解析、表示するGIS(地理情報システム)が注目を集めているが、このGISは自治体などでも日常の業務に導入されるようになった。GISを用いると、鳥瞰図なども簡単に作成できる。」とある。ま、とりあえず、コンピュータを使ってよりわかりやすい地図が作られるようになったと解釈しておけばいいかな。

で、同じく99B本第5問問6参照。これなどはまさに本問と形式的には類似している。ただし内容がやや違っていて、05年の問題では「GISによってどのような地図が作りえるか」であるのに対し、この99年の方は「GISによって作成された地図をどのように利用するのか」という点がメインテーマとなっている。両者の内容をともに読み取ることによって、さらにGISに関する理解を深めてほしい。

さらに同じく99B本第5問問7参照。こちらはGISによって作成された鳥瞰図。本問における選択肢④にあるように、標高データを入力することで描かれたのだろう。似たような図は、01B追第5問問4にもあり、これもやはりGISを用いて作成されたものであると考えられる。

 

[今後の学習]たしかに過去問で何回かGISは登場しているのだけれども、しかし本問はそんなGISに関する知識を問うようなものではない。単純に君たちの文章読解力を試しているに過ぎない。何の知識もなく、ただその場で問題文を読むだけで解く、いや、解かなくてはいけない問題となっている。クイズ(知識を問う)ではなく、ナゾナゾ(頭の柔らかさ、発想力を問う)というわけだ。

でも、実はこういった問題こそ正解率が低いわけで、これはどうしたことだろう?っていうか、それがむしろ当たり前なんだよね。君たち受験生は知識問題には強く、思考問題には弱いという傾向がはっきりしている。だからこそ、考えてほしいのだ。他の受験生に差をつけるとすれば、知識問題ではなく、こういった思考問題で着実に加点することが重要となってくる。もう一度言うぞ、センター地理はナゾナゾだ。柔らかい頭で勝負せよ。