2005年度地理B本試験[第4問]解説

2005年地理B本試験[第4問]

 

環境に関する大問って珍しいんじゃないかな。かつて99B本第1問が環境だったけれども、それは現代社会的(っていうより読解を中心とした現代文?)な傾向が強く、異色とも感じたものだ。本年度のこの大問も若干そういった傾向はある。環境をネタとしてガチガチの地理の問題を作るっていうのはしんどいことなんだと思うよ。

問1は酸性雨、問2は自然災害、問3は農業、問4はオゾン層の破壊、問5は人口増加、問6は都市、問7は社会問題。ま、決して環境ネタばかりではないんやけど(笑)。

難易度としては、問4がちょっとあいまいで悩むんだが、それ以外は問題ないでしょう。全問正解を狙ってください。

 

問1 

[講評]例年第4問問1は簡単だというジンクスがあるが、今回もまあそれに沿うものにはなっていたと思うよ。酸性雨ネタも決してマイナーなものではないし、文章の中にヒントが多く隠されているので、そういった点でも難易度は低かったと思う。

 

[解法]ア「石炭に大きく依存する」から石炭産出世界第1位の中国を想像する。Bが該当。ちなみに「近隣諸国にも降下」については、上空の偏西風の影響によって日本へと大気汚染物質がもたらされることを考える。

イ「国境をはさんだ湖水域周辺」から北米五大湖周辺地域を考える。もちろんカナダと米国の国境である。Cが該当。

消去法によりウがAとなる。「19世紀後半に酸性雨」が報告されるということは古い時代から工業が発達していたということ。「歴史的な建造物」にしてもヨーロッパにふさわしい。

 

[関連問題]過去に登場したのもこの3つの地域。

97B追第5問問6参照。酸性雨の被害について。

97B追第5問問7参照。ヨーロッパ以外の地域で酸性雨が見られる場所として北米五大湖周辺が問われている。

99B本第1問問4参照。ヨーロッパにおける酸性雨の状況。

99B本第1問問5参照。酸性雨と関連する事柄。

99B本第1問問6選択肢③参照。これらは酸性雨の原因物質。

00B追第3問問4参照。中国。ここでは亜硫酸ガス=大気汚染がキーワードとなっているが、同時に酸性雨の原因ともなるものである。

 

[今後の学習]環境問題というのは非常に出題例の多いジャンルで、さらにこの酸性雨という事項はメジャーなものなので、もっと出題されてもいいように思うのだが。ちょっと古い問題だが96追第5問問2を参照してもらいたい。硫黄酸化物(二酸化硫黄)、窒素酸化物(二酸化窒素)ともに酸性雨の原因物質であるが、前者は主に石炭を使用する工場から排出され、後者は自動車の排気ガスに含まれるという特徴がある。規制しやすいのは前者。工場に脱硫装置を備えさせればいい。逆に後者は規制しにくい。自動車の数は無数であるし(それどころか増加している)、外国車については日本の法律では対処しにくい。よって、硫黄酸化物濃度については順調にその値は減っているわけだが(エが該当)、窒素酸化物に関してはそうならない(イが該当)。こういったことを頭に入れておこうか。

 

問2

[評価]地理用語を問う問題。内容は中学レベルだがかえって難しかったかもしれない。要注意。正解率は高かったけれども、「冷害」の意味を正しく理解していた人は少なかったんじゃないかな。

 

[解法]それぞれの選択肢について考えていこう。

①冷害・・・夏に気温が上がらないために農作物の生育状況などに大きな被害が出ること。日本では北日本の太平洋岸などでしばしば見舞われる災害。冷害の原因の大きなものとして寒流の存在が挙げられるのだが、まさにわが国の場合は北太平洋から南下してくる千島海流(そしてその上から吹き込むやませという冷風)の影響が大きい。図1中Pにおいては、寒流が流れているわけでもなく、水温は平均して高めだろう。そもそもさほど季節変化の大きな地域でもないので、「夏の災害」である冷害が生じるとは考えにくい。

②火山災害・・・火山は原則として新期造山帯に沿うものと考えておけばいいだろう(ただし例外多し。関連問題の項参照)。Pに含まれるフィリピン諸島やインドネシアの島々は、環太平洋造山帯やアルプスヒマラヤ造山帯の活動によって生じたものであり、火山も多く分布するとみて間違いないだろう。

③森林火災・・・東南アジア(というか熱帯)は森林の豊かな地域であり、ゆえに森林火災の可能性も高いところと見て間違いないだろう。自然発火の可能性もあるし、焼畑のために森林に火入れしたらそれが広範囲に延焼してしまうこともあるかもしれない。

④地震災害・・・②と重なる。新期造山帯やプレートの境界、そして火山付近では地震の可能性がある。

 

[関連問題]災害に関する問題は比較的多い。それら全てを挙げるのは無理なので、ここでは各選択肢にとくに密接に関係するものだけ挙げてみよう。

①冷害については、1993年の米の不作(君たちは覚えているか。日本はタイ米の緊急輸入に踏み切ったじゃないか)がセンターで取り上げられたことがある。95追第1問問4参照。図3においてX地方においてとくに被害が大きかった様子がうかがえる。この地方が冷害の影響を最も受けやすいということだ。千島海流に面し、さらにそこから冷涼な風やませが吹き込んでくる、東北地方(とくに太平洋岸)ではないか。当時、宮城県のササニシキという種類の米が大打撃を受けたそうだが、その様子がこのグラフから明瞭に読み取れる。東北地方が不作で生産が落ち込んだ分、日本全体の米の生産量も減ったため、他の地方においては相対的に数字が上がっている。もちろん割合が高まっただけで、実際の収量がこれほどはっきりと増加したわけではない。

②火山分布について直接的に出題されているものは、00A追第2問問1図1。環太平洋造山帯に多く分布するが、これ以外にも(イタリア、アフリカのキリマンジャロなど)存在。また火山そのものについては、今回の第1問問7はじめ非常に出題率が高いので注意しておくこと(とくに出題率が高いのは「南アジアに火山は存在しない」というセオリー。過去問で出題例を各自探してみよう)。

③森林に関する問題は非常に多いが、今回のように森林火災が取り上げられたことはない。

④地震の発生地域については、03B追第1問問1で直接問われている。地震は「新期造山帯」「プレートの境界」「火山」などさまざまなところで起きるので、逆に地震が起きないところをはっきりと認識しておく方が重要だろう。大平原(大平原の多くは安定陸塊から成っており、数億年前から安定した地盤となっている)や古期造山帯(造山運動が生じたのは数億年前で、現在は地殻変動もない。また古期造山帯に分布する火山はないので、火山が原因となる地震も発生しない)。

 

[今後の学習]「冷害」。普段何気なく口にしている言葉だが、その正しい意味を君は認識していたかな。「冬の寒さ」ではなく「夏の涼しさ」なのだよ。そういった基本的な事項をしっかり習得していなければ、この問題についても思わぬところで落とし穴にはまったはずだ。もちろん冷害なんていう言葉は中学(あるいは小学校)レベル。センター試験には高校の知識ではなく中学までの知識が問われるという大原則がここでも証明されている。

また、とくに時事問題というわけではないが、皮肉にも昨年末のスマトラ沖地震がこの問題と直接かかわる事例となってしまっている点も興味深い。もちろん時事ネタとして知らなくても「新期造山帯=地震が多い」ととらえておけばこの問題に手を焼くことはないが、それでも多少なりとも社会の動きに関心を持つことによってこうした問題の正解率は上がるということなのだ。

そういった観点から言えば、②や③の選択肢にも実際の例があって、②については1980年代のピナツボ火山の大噴火。フィリピンの火山だが、今世紀最大級の爆発によりその火山灰が成層圏に達し、地球への太陽の日射量がさえぎられるほどの規模の大きさであった。③については、スマトラ島の森林火災がある。1997年にこの地域は干ばつ(降水量が極端に少ない)に見舞われ、小さな山火事がきわめて広範囲に燃え広がってしまい、その噴煙は周辺一帯を覆い尽くしてしまった。ところでなぜ僕がこの事例については細かい年号まで覚えているかといえば、あの「ジョホールバルの歓喜」の時期とこの森林火災が重なっていたから。マレー半島南端ジョホールバル一帯も黒煙で覆われ、日本からのサポーターを乗せた飛行機が到着できるかどうかわからないって騒いでた記憶があるんだが。そんな風に航空機の運行にすら影響を及ぼすほど、ひどい火事だったらしいよ。

 

問3 

[評価]一風変わった問題。文のニュアンスで解くとキツイ。統計や過去問研究などによって確固とした思考の拠り所を作っておかないと正解はおぼつかないぞ!

 

[解法]①「世界最大の穀物輸出国」について。統計を思い出してみよう。穀物といえば代表的なものとして米、小麦、トウモロコシがある。他にも大麦やライ麦、こうりゃんなどもあるが、この3つはそれぞれ世界全体の生産量が6億トンを超え、他を圧しているため、原則としてこの3種類について考えれば十分だろう。

まず米について。輸出1位はタイであり、決して米国は1位ではない。しかし米そのものの輸出量は少量であり、さほど考慮しなくていいだろう。

小麦について。米国は世界最大の輸出国である。わが国は小麦を米国・カナダ・オーストラリアから主に輸入しており、その中でも米国が最大の輸入先であることからも、想像できるだろう。

トウモロコシについて。これは小麦を上回るほどの圧倒的シェアを米国が占めている。輸出1位だけでなく、生産1位、日本の輸入先1位ということについても統計で確認しておく。

以上のことより、そもそも輸出額が小さい米を除き他の2つの主要穀物の最大輸出国である米国が「世界最大の穀物輸出国」とみて間違いないだろう。ゆえにこの選択肢は正解。後半の「世界の穀物価格に大きな影響を及ぼしている」という部分は具体性がない記述であるのでとくに考慮しない。

②エチオピアという単独の国について考えるより、「エチオピア=アフリカの発展途上国」ととらえ、こういった国々で一般的にどんなことが見られるのか考えてみよう。まず「気象災害などによって食料不足や飢餓に直面」については、たしかにアフリカの最貧国においてはこのような状況もあるかもしれない。

ただし「緑の革命」「食料輸出国」についてはどうだろう。「緑の革命」とは一般的にアジア地域でなされた農業改革のことで、穀物を中心とした自給作物の生産量がこれにより急増した。しかしアフリカでこれがなされたか。少なくとも過去のセンター試験では「緑の革命=アジア」というとらえ方をしていたはず。

さらに「食料輸出国」について。アフリカの一般的傾向として「商品作物の輸出、自給作物の輸入」という図式が存在する。例えばコートジボアールなどが代表例だろう。統計を確認すればわかるのだが、主な輸出品にカカオがあり、輸入品の一つに穀物がある。これはどういうことだろうか。つまり、そもそも農業がこの国の主要産業であることには間違いないのだが、そこでは彼らの腹を満たすような食糧は栽培されておらず、プランテーションにおいて海外へと輸出することを目的とした商品作物の栽培が優先されているのである。いわゆるモノカルチャーというものだが、生産不振や国際市場の不安定によって商品作物から得られる利益が低くなり、結果として穀物の輸入が減り食料不足の事態に陥ることが多々ある。

さあ、このことからどう考える?アフリカの一般的なパターンとして(商品作物はともかくとして)食料の輸出などさかんに行っている国が存在しているだろうか。エチオピアはそんな「貧しい」アフリカの典型的な(そう、最もアフリカ的な)国なのである。

③これもサウジアラビアという固有の国というより、西アジア産油国一般の状況と考えた方がベターだろう(だってサウジについて君たちは具体的なイメージを持っているかい?)。まず「石油資源の枯渇」についてだが、たしかに数十年後にはそういった事態もありうるのかもしれない。ここは保留。

ただし後半部分がおおいにクエスチョン。よく読んでみてね、君たちの国語能力が問われているから。「伝統的な農業が復活し、羊などの肉食からトウモロコシや野菜中心の食生活に変わった」とある。つまりこういうことなのだよ、わかるかな。「伝統的=トウモロコシ&野菜」「伝統的でない(近代的)=羊」。さあ、ここで矛盾を指摘できるかな。すでにピンと来ている人もいるとは思うけれども、ここはなかなかおもしろい(注目に値する)ところなので徹底的に行きましょう(なぜか、俄然張り切るスズキ・笑)。

まず彼らにとって「トウモロコシ」が伝統的なものかどうか。いや、そんなことはありえない。だってトウモロコシは新大陸原産やで。アンデス山中で栽培されていたものが、15世紀以降の大航海時代になって初めて旧大陸(ユーラシアなどのことね)に紹介されたものやん。西アジアの伝統的な作物ではないっしょ?

さらに「野菜」。これ自体は伝統的な存在かもしれない。でもちょっと突っ込んで考えてみよう。その前の部分に「伝統的な農業」とある。さあ、この西アジアの乾燥地域で伝統的に行われていた農業形態って何だ?それって「遊牧」じゃないかな(注)。ま、遊牧は正確には「牧業」であって厳密には農業ではないけれど、広い意味の農業っていうことで勘弁してね(笑)。遊牧っていうのは家畜を連れて、不定期に広い範囲をさまよいさすらうものだよね。まさか野菜なんか植えないでしょ?だって野菜を植えたところで、それが収穫されることには彼らは他の場所で移ってしまっているんだから。まさか他の遊牧している集団のために野菜を植えるなんてお人好しなことはしないよね。実際、現在でもモンゴル人なんかは野菜の摂取量が極端に少ないわけだけれども、これも彼らが「草原の人」として遊牧生活によってその生活文化を作り上げてきた背景を考えてみれば納得できること(ちなみに彼らのビタミン源は家畜の生乳っていうのも有名な話だよね)。

(注)まあ、この辺りはごまかしてるんですが(苦笑)、乾燥地域の伝統的な農業形態としてはオアシス農業っていうのもあるよね。外来河川や地下水などを灌漑して行う農業形態。ただしそれはやっぱり水を得られる一部分で行われていることであろうし、全体的な乾燥気候の中で、決して野菜の栽培がさかんだっていうことは考えにくいと思うんだよね~。どうかな。ちょっと断言できなくてすいません(謝)。

④これは経済原則の問題。世界は資本主義の方向に向かっていて、このベクトルの向きは絶対的。たしかに中国は現在でも「社会主義」を掲げている国ではあるけれど、それでもすでに生産活動の大部分は民間企業や外国企業などの資本主義的な手段によって行われている。かつては国営企業が100%であったけれど、近年は郷鎮(ごうちん)企業という私営企業が増加しているのもよく知られている。

農業についても同じで、かつては人民公社による生産が中心で、これはノルマが設定され、集団農場において農業が行われていたが、80年代以降は生産責任制が導入され、市場で自由に農産物を売ることが認められ、現在では人民公社はすでに解体されている。本問についても「集団農場=人民公社」と考えれば、そのように時代が逆行するわけはない。

 

[関連問題]さまざまな要素が含まれている問題であるので、非常に関連問題が多い。とくに特徴的と思われるもののみ挙げてみる。

選択肢①について。

04A本第3問問7参照。世界の総輸出量における米国の割合は高い。

01B追第4問問1参照。北アメリカは穀物輸出地域である。

00B追第3問問6参照。米国は小麦生産世界第3位であるが、輸出は第1位。

選択肢②について。

04B本第1問問1参照。緑の革命について。アジアでとくに穀物生産量が増加したのだが、これが緑の革命という農業改革によるものであることを知っておく。アフリカではこのような動きはない。

04B追第2問問4参照。アフリカの主要国が挙げられているが、いずれも食料を輸出している国はない。農産物ではあるが、商品作物が主で、自給作物ではない。

02B追第4問問3参照。緑の革命に直接関係する問題。これ以外にも緑の革命ネタは多いので注意しよう。ポイントは「アジアで自給作物の生産が増加した」である。

選択肢③について。

サウジアラビアに関する出題は近年とくに多いが、本問はサウジアラビアそのものよりも、主にトウモロコシに関する出題であると解釈する。98A本第2問問6参照。新大陸原産の作物の代表例としてトウモロコシを知っておく。01B本第3問問6参照。トウモロコシが旧大陸(ユーラシア・アフリカ)の伝統的な作物のわけがない、という本問と出題パターンが共通している。

選択肢④について。

中国特有の問題というより、「国営→民営」という流れを意識した問題ととらえる方がいいだろう。

04A追第2問問2参照。現代社会において(しかも米国のような資本主義国で)国営企業が重要な役割を果たすことはありえない。

っていうか、今回同じネタの問題が他にあるんだよね。ちょっとビックリ。05B本第2問問3参照。「市場経済への転換により、国営企業の民営化が進んでいる」とあるが、これは世界的な流れ。

 

[今後の学習]こういう文章正誤問題を苦手にしている人は多いと思う。それは「あいまい」さに迷ってしまうから。僕も、文系的なアバウトな考え方より、理系的なカッチリした考えを好むタイプなもので、なかなか難儀に思うことがあるよ。でもそういった人は、だからこそ、より厳密に考えてみよう。たとえば、選択肢①や②については統計(「穀物の輸出」「アフリカ諸国の輸出品目」など)に基づいて考えることが重要。選択肢③については、自然地理つまり科学的な思考を優先する(トウモロコシという農産物に関する特徴)こと。選択肢④については、経済に関するセオリー(国営企業を生産活動の中心とする社会主義から、民営企業を中心とする資本主義への移行は、現代社会において絶対的な公式である)に基づいている。もちろん、いずれもセンター過去問の分析が重要であることはいうまでもない。

 

問4 

[講評]これ何気に難しくないっすか?それこそ「あいまい」な問題なんだよ。いかにも現代社会的な。でも意外と正解率は高かったなぁ。結構みんなはこういった問題を苦にしないのかな。逆にここで失点をした人については、それはそれで仕方ないっしょ。現代社会的でなく地理的な思考ができていることの証明でもあるのだから。

 

[解法]もちろん基本的にはその場で問題を読んで解くだけの「その場」問題。選択肢に沿って分析していこう。

①これはとくに問題ないでしょう。その通り。

②例えばオーストラリア。1979年の段階では「350」の等値線が大陸中央を通過しているが、1995年にはそれが「300」となっている。この大陸上空におけるオゾン総量は減少していることが明らか。

というわけで①と②については否定のしようもない。答えは③か④に絞られるのだが、ここからはちょっと難しいか。

③「紫外線」がポイント。上空のオゾン層は太陽から放出される紫外線を防ぐ作用がある。この紫外線が地表に達すれば、人体にさまざまな悪影響があることはよく知られている。よってこの選択肢は正解だろう。例えば、僕が問題を作るとすれば「紫外線」を「赤外線」に変えたりして、間違い選択肢を作るだろう。赤外線と紫外線の混用はセンター試験では未出だが、模試ではしばしば使われるパターンであるし、注意しておこう。

となるともう間違いはこれしかなくなってしまうのだ。さあ、どこが違うのだろう?

④オゾン層は太陽から照射される有害な紫外線が地上に届くのを防ぐ作用がある。このオゾン層が破壊されることによって、紫外線が直接我々に降り注ぎ、人体に悪影響を与える。

このオゾン層破壊の要因は、この選択肢にあるように「フロンガス」であって、もちろんその排出量規制はすでに行われている。しかしよく文章を読んでもらいたい。重要なことは「排出」を防ぐことであって、「使用」そのものではないはずだ。使用したとしてもそれが空中に拡散しないように回収し、その後に処分してしまえばいいのではないか。そもそもフロンガスは冷蔵庫の冷媒や精密部品の洗浄などに用いられる現代において非常に重要性の高い化学物質である。それを「全面的に禁じ」ることはどうしても無理がある。それに、そのフロンガスの主な発生国は工業化が進み人口も多い北半球の先進国のはずである。南半球の国だけに責任をかぶせるのは、さすがにフェアではないよね。オゾン層の破壊による紫外線量の増加の被害を大きく受けるのは南半球の国であるけれど、その原因については地球全体で責任を負っていくべき課題である。

 

[関連問題]フロンガスに関する問題は99B本第1問問6選択肢①。でもここでは「目標年限を設けて全廃させることを既に国際会議において決定している」とあるんだよな~。現段階ではまだ決まっていないってことか!?

同じく97A追第3問問6選択肢①には、「原因となるフロンガスの使用を禁止する国際決議がなされている」とあったりして。ん?こりゃどういうことだ?フロンガス規制をめぐる状況については、最新の情報にアップデートしておかないといけないな(涙)。また今度調べて来ます! 

南極周辺に関する問題としては04B本第1問問6がある。本文と内容的に大きく重なる部分はないが、それでも南極ネタが2年連続で出題されたことに驚愕する!来年も出るんだろうか。いや、もうネタ切れだろ!?

 

[今後の学習]問題そのものの形式にも注目したい。本問は、「誤文」指摘でありながらその誤文があいまいで、他の選択肢が確実に正文であることから解答を導く「消去法」スタイルだといえる。こういう問題もちょっと珍しいと思うのだが、解答しにくいことは確か。センター過去問を解く際に、やはりこういったスタイルの問題は(多くはないが)いくつか存在するので、注意深く対応してほしい。そうやって実践的な「解答力」を鍛えることしかこういった問題群に対応することはできない。

 

問5 

[講評]おっとなぜかいきなり人口の問題。「現代社会の特徴と課題」っていう枠組みとしてはちょっと強引じゃない?(笑)問題形式としては基本的には「その場」問題の要素が強い。時間はかかるかもしれないが、落ち着いてグラフと選択肢の文を読むことが大事なのだ。

 

[解法]①まずはインド。「1950年代以降、死亡率の低下が継続してみられた」とある。これをグラフで確かめると、まさにそうなっているようだ(20‰が10‰へ)。ただしここからが疑問。「医療サービスの普及」とあるが、インドのような低所得国においてそのような福祉重視の政策が取られているだろうか。また「日本を上回る高齢化」とあるがこれもおおいに疑問。インドで、総人口に占める高齢者の割合が高いだろうか。このグラフを見てもあきらかなように総人口は高い水準で増加し続けている。一般的にこういった国で老年人口割合が高くなるものだろうか、それも日本より?たしかにインドにおいても出生率はやや低下しており、かつてに比べれば老年人口割合が高まり、幼年人口割合が低下しているのかもしれない。しかし、日本のような先進国と比べれば「高齢化が進行」というほどのことはないだろう。

②さらにインド。とにかく怪しい一文は「外国からの大規模な人口流入があった」である。人口緯度の原則は「低所得国から高所得国へ」。経済レベルの低いところから高いところへとベクトルの方向が向くのであって、それが資本主義社会の経済原則というもの。その考え方からすると、1人当たりGNIの低い低所得国であるインドに大量の外国人が流入してくるかというと大きな疑問。むしろ外国への出稼ぎが多いのではないか。それにいくら国際交流が活発になったからといって、まさか数億人単位で外国から人口が移動してくるわけはないよね?

ちなみに、この文では「出生率が継続して低下しているにもかかわらず、総人口が増加を続けた」とあるが、これはおかしいことでも何でもない。人口が増加するか否かを決定するものは「出生率」だけでなく「出生率と死亡率のバランス」であるのだ。たしかに出生率が低下すれば人口も増えないものと思われる。ただし近年のインドにおいては死亡率も急激に低下しているのだから、「出生率マイナス死亡率」で表される自然増加率もほぼ一定であり、人口増加が続いていることについては何もおかしくない。

③ここからスウェーデン。「死亡率が低い水準で推移したこと」についてはグラフをみれば一目瞭然。「医療制度や高齢者福祉制度が充実した」とあり、これについてはさすがに詳しいスウェーデンの国内事情はわからないので(笑)、ま、イメージとしてそんなもんじゃない?「スウェーデン=高福祉」で間違いないでしょ?

④グラフ参照。たしかに出生率について、コブというかふくらみがあり、一時的に増加していることがわかる。なるほど、「出産を奨励する政策」が行われていたのかもしれない。しかしそれが「女性の社会進出を抑制する」ものだったのだろうか。男女同権がうたわれる現代社会において、時代と逆行するような差別的な政策が、しかもスウェーデンという福祉の充実した先進国で行われたと考えられるか。いや、そんなことはあり得ない。経済的な援助(出産と育児のために長期休暇をとったとしても賃金と雇用が保障される、のような)を充実させることによって、女性が仕事をしながらでも、子供を生みやすい社会を実現させているのだろう。

 

[関連問題]図3のようなグラフは過去に出題例がたくさんあるので見慣れておくことが大事。

98B追第2問問1図1参照。時代を追うごとに、Ⅰ(出生率も死亡率も高い)からⅡ(まず出生率が低下)、Ⅲ(続いて死亡率も低下)、最後にⅣ(出生率も死亡率も低い)へと移行していく様子が模式的に表されている。

00B本第4問問1図1参照。イギリスとフランスについて、出生率と死亡率の変化の様子が表され、この図から自然増加率の推移を読み取ることがポイントとなっている。

00B追第3問問2参照。中国について。この表が今回のものと一番似ているようだ。

さらに問題そのものの関連問題も挙げてみよう。

02B本第4問問2参照。インドの福祉をめぐる状況について説明されている。

02A本第2問問7参照。「スウェーデンは、老年人口割合が世界有数の高さに達しているが、国民生活は手厚い公的社会保障制度に支えられている」とあり、まさにその通り。

 

[今後の学習]いきなり人口に関する問題が登場してきて戸惑うんだけどね(笑)。ま、問題そのものは簡単だし、間違えた人もほとんどいなかったみたい。

せっかくなんでちょっと注目してほしいポイントが。死亡率なんだが、2000年現在、インドとスウェーデンの値はほぼ10‰(パーミルと読む。千分率のことね)で同じか、ちょっとインドの方が低いかな。つまり人口当たりの死者の数はインドの方が少ないぐらいというわけだ。これって意外?いや、納得だよね。死んでいる年齢層が違うわけだ。老年人口割合が高いスウェーデンでは、老人が主に死ぬことによってこの高率となっている。一方、インドは衛生環境などがまだ整備されていないこともあり、どうしても(かつてよりは低下したとはいえ)乳幼児の死亡率は高いのだが、老年人口割合が低いこともあり、実は老人の死者は(インドの人口規模にしては)少ない。死ぬ年齢層が異なっていることは、この図からだけでは読み取れないが、これはぜひとも想像してほしいことである。

 

問6 

[講評]そして今度は一転して都市を問う問題。近年はこういった感じの問題がたしかに増えて来てはいるのだが、でもそんなに難しくはないよね?たしかに、フランクフルトなんていうところが問われたなんてビックリなんだが、でも東京やニューヨークはおなじみだし、苦手意識さえ持たなければ何とかなるよね。

 

[解法]まず真っ先にわかるのがRのニューヨーク。何といっても「同時多発テロ」がキーワードになっているね。さらにQに注目すれば「首都」という言葉が。Sにはそのような表現がないのだから、わが国の首都東京がQに該当する可能性は高いだろう。さらに読み進めていくと、「湾の奥」(これは東京湾の奥という意味だろう)、「低地から台地にかけて市街地が広がっている」(臨海部の低地とやや内陸部の台地か。千葉県や埼玉県の辺りは標高20~30メートルほどの台地(洪積台地という地形)になっている)、「歴史的な都市」(江戸城を中心として幕府が栄えた)、「政治・経済・文化の中心」(まさに日本の中心)など、妥当な語句が並ぶ。「都心部の再開発」にしても具体的なものはとくに浮かばないが、先進国の大都市で一般的に行われているものであり、とくに不自然な箇所ではないだろう。

 

[関連問題]都市名に関する知識、しかもフランクフルトなどどいうマイナーが都市が問われたことでかなりビックリしたかもしれないが、さほど突拍子もない問題というわけでもない。以下に本問と関連していそうな問題を挙げつつ解説してみるので、君たちはこれらを参考にしながら「本問が出題された必然性」というものについて思いをめぐらせてほしい。

04B本第4問問1参照。本文と直接的に関連していそうなものがこれ。都市3つを特定するという問題で、とくにニューヨークが登場していることに注目。「同じネタ(この場合はニューヨーク)が2年続けて出る」の典型的な例。

04B追第3問問1参照。3つの国(イギリス、スイス、スペイン)の首都について問われている。本問の場合は首都は東京だけであるが、主な国については首都を知っておくべきなのか。

04B追第3問問5参照。ニューヨークの名前はここでも登場。ただしとくにニューヨークについての知識が問われているわけではないが。

03A本第3問問5参照。ドイツに関する問題。ここではベルリンがドイツの首都であることを知っておかないと解けない。ただし図で、他のドイツの主要都市は示されているのに、フランクフルトが表されていない点がどうにも引っかかる。重要な都市ではないのか?

97A本第1問問1参照。このルートの終点はフランスのストラスブールという都市なのだが、欧州議会があることで名高い。フランクフルトも欧州銀行があるのだが、このように国際的に重要度の高い都市というのは出題の対象となりやすいようだ。

 

[今後の学習]都市名を問う問題はいくつかあり、難易度は様々である。というか、誰でもできる易問と、マニアックな知識が要求される難問とに二分化されているような印象を受ける。

だから実は対策としては簡単で、易問については(本問に代表されるように)文章をていねいに読んでいって、自分の知っている知識(本問の場合は「首都」と「同時多発テロ」)だけで解いてしまえばいい。中途半端な知識は自分の首を絞めるだけ。フランクフルトなんて知らない方がスムーズに解ける。

難問ならばもっと簡単で、そんな問題は捨てたらいい(笑)。どうせ誰もできないよ。いや、できる奴もいるかもしれないけれど、それってかなり無駄に勉強してきて、メチャメチャ偶然にその無駄知識が使える問題が出題されたっていうことに過ぎないんだから、どうってことないよね。

とくに理系のみんなだったら二次試験では使わない地理のためにそんなめんどくさい勉強をすることはない。二次試験にもつながる科目の勉強にこそ力を入れるべきなのです(当然)。

それからこの問題のさらに注目するべき点として「同時多発テロ」っていう時事ネタの登場がある。センター地理にはそもそもたいした時事ネタは出題されないけれど、もし出題されるとしても、この同時多発テロみたいな誰でも知っていることが、3年ほどたってから取り上げられる程度。だから今さら神経質になることはない。浪人時代に社会から隔離されて(笑)情報に乏しい生活を送っているからといって、別にそれを引け目に感じることはないってことだよ。

ちなみに過去に出題された時事ネタとしては、ルワンダの内戦によって多数の難民が生じたこと、湾岸戦争が起こったこと、スペースワールドが製鉄所の跡地に建設されたこと、阪神大震災の地盤液状化など。さほど対策の必要があるとも思わないでしょ?。

それでも不安だという人のために、対策を紹介しよう。やっぱりこういった問題は、どうしたらいいか迷うものね。地図帳を見て、やみくもに都市名を頭に入れていくなんて最も効率の悪い勉強であるし、もちろんそんなダサい勉強法は君たちには勧められない。スマートに勉強しないと!

で、本問についてはフランクフルトは消去法で考えればいいわけで、結局東京とニューヨークがポイントとなるわけだ。東京のような極めてメジャーな日本の都市については中学校の知識でカバーするとして(中学の勉強を通じて、東京の位置を確認しておけば、それが「湾の奥」に位置することがわかるはず)、問題はニューヨークか。ただしこれも簡単な話で、ニューヨークはもともとセンター試験によく出る地名で、とくに前年度に思いっ切り登場しているのだから、これを徹底マークしておくことは十分に可能だっただろう。

というわけで、以下に本年度に登場した都市名を特徴と共に挙げておくので、各自チェックし、余裕があるものは地図で確認しておくといい。

マナウス・・・アマゾン盆地中央部。アマゾン川流域の河港都市として栄え、かつては天然ゴム交易で、現在は機械工業などが発達している。

ボストン・・・米国北東部ニューイングランド地方の中心都市。米国で最も古くから工業が発達しており、当時は綿工業が中心だった。現在は大学など研究施設があることから、ハイテク産業も立地している。

ロッテルダム・・・ライン川河口付近の都市。三角州を掘り込んで人口港ユーロポートが建設された。ヨーロッパ随一の貿易量を誇ると同時に、石油化学コンビナートも建設されブラスティックの生産もさかん。

ポハン・・・韓国南東部の工業都市。臨海型製鉄所が建設されている。

ウルサン・・・韓国南東部の工業都市。巨大な企業集団を形成する財閥の影響が強く、造船業や自動車工業などがさかん。

ペキン・・・中国の首都。しかし人口はシャンハイには及ばない。やや内陸部に位置し、また黄河にも面しないため港湾を有さない。天安門広場などが有名。

ランチョウ・・・中国内陸部の都市。黄河に面する。さらに内陸部から敷設されているパイプラインの終点で、石油精製工業なども見られる。

ホンコン・・・イギリスが開発した港湾で、その植民地であったが、97年に中国に返還された。社会主義国中国でありながら、特別行政区として資本主義経済を維持し、これゆえに中国は一国二制度とよばれる。中国本土に隣接する都市はシェンチェンで、ここは経済特区のうちでもとくに発展しているところである。

ユンナン・・・中国の西北部の省。温暖で比較的降水量も多い。米作がさかん。

ナンシャー諸島・・・南シナ海。海底油田があり、沿岸国(中国・フィリピン・ベトナムなど)の間で領有権が争われる。

 

問7 

[講評]これもずいぶん強引な問題設定やな(笑)。「ユーラシアのいくつかの国」だって。いいやん、「世界の国」で(さらに笑)。問題そのものはイージーです。選択肢①のネタのみをしっかり否定すればいい。地理Bではほとんど出題されない選択肢②のネタとか、やや微妙で現代社会的な内容となっている選択肢④なんていうのは、読まない方がいいくらい。読んでも混乱するだけやし、ここは①でバッチリ決めましょう

 

[解法]さっきの問5とも若干重なるような。中国のような経済レベルの低い国(1人当たりGNIの低い国)については、外国からの出稼ぎ労働力が流入することは理論的にいってあり得ない!たとえば、ブラジル(1人当たりGNI約4000$/人)からの労働者は、日本(同じく35000$/人)へは高賃金が期待できるので出稼ぎにやってくるが、中国(同じく1000$/人)に来れば自分の国より給料が下がることになる。中国沿岸部はたしかに出稼ぎ労働者の多い地域であるが、その出身地は中国より経済レベルの高い外国ではなく、さらに経済レベルが低い中国内陸部である。

 

[関連問題]選択肢①について。

00B追第3問問2参照。中国が一人っ子政策を適用し、出生率の低下および総人口における低年齢層割合の低下が生じていることが取り上げられている。

02B本第4問問6選択肢①参照。中国の躍進を支える労働力は外国人ではなく、内陸からの出稼ぎ者だ。

98B本第3問問5選択肢①参照。同じ漢民族の移動なので、民族的対立は生じない。

選択肢②について。

99A追第3問問1参照。かつて社会主義で経済レベルの低い旧東ドイツ地域から、工業の発達した旧西ドイツへの労働者の流入が取り上げられている。

02A本第2問問7選択肢④参照。東西ドイツ合併に関するネタ。

03A本第3問問5参照。これも東西ドイツ合併ネタ。

選択肢③について。

97B本第2問問6参照。マレーシアのブミプトラ政策はしばしば話題とされるが、その代表例はこれ。

選択肢④について。

00B本第5問問7参照。あえてこの問題を関連問題として挙げてみた。どうかな?理解できるかな?人々がお金を自由に使うことができるようになると、そこに必ず貧富の差は生まれる。ヒマラヤの奥地は今までお金というものが存在しなかったので皆が平等だったが、お金が地域に入り込むことによって次第に格差が生まれてきている。ロシアは、社会主義だったソ連時代には自由がなかったので国民が平等だったが(たしかに一部の特権階級は金持ちだったかもしれないが、それはまた特殊な話)、自由となった今では富める者はさらに富み、貧しい者はさらに貧しくなる。「自由経済」とは「金持ちになる自由、貧乏になる自由」でもあるのだ。資本主義社会は弱者切捨てのシステムでもあることを知っておこう。「自由経済=貧富の格差拡大」というセオリー。

 

[今後の学習]

この問題って何だか苦し紛れに作られたような印象があるなあ(笑)。過去問から社会・経済的な問題(っていうか人口に関する問題)を寄せ集めてきてそのまま問題にしたような。ホント、毎回言っていることだけれども、センター過去問を何度も解いて、問題内容を覚えて、それを実際にテスト解く時に応用してほしいわけだよ。出題者の側もそれを意図していることが明白だし。

鈴木たつじん公式サイト

センター試験・地理Bの学習のために、いろいろなアドバイスをしていきます。

検索

モバイルサイト