2011年度地理B本試験[第6問]解説

第6問 ユカさんでしたか~、佐賀県でしたか。全然予想が外れたっ。ちなみにボクの予想は、福井県でナミさんでした。ナミさんはともかくとして、地域調査で主題となる地域って雪国が多いんだよね。九州とは意外だな。

 

問1 [ファースト・インプレッション] 地形図問題。でもちょっと形式が変わっている。いずれも特徴ある地形が抜粋されていて、逆にわかりやすいと思う。解きやすいんじゃないかな、

 

[解法] A;「旧河道」というやつですね。蛇行していた河川の流路が短絡化されて、かつての流路が湖沼として、周囲に取り残される(三日月湖)。やがてそこからも水も無くなって、湾曲した凹地となる。これを地形図から読み取るのはなかなかしんどいのだが、Aに関しては、それがはっきりと示されているね。大きく、電球みたいな形になっているでしょ。これが旧河道。正文。

B;長さを図る問題って昨年も出題されている。しかもその選択肢が解答になった。これもそうでしょ。8センチはないんじゃないかな。4センチっていうとこでしょ。長さを図るスケールのようなものは受験会場に持ち込んだらいけないし、例えば鉛筆に1センチごとの刻みを入れておくという行為も禁じられている。だから体のどこかで長さを図れるような工夫をしておくべきなんだけど、ボクなら例えば鉛筆を削ってその全長を8センチにしておく。別に刻みを入れているわけじゃなく、使っていたらこの長さになってしまった(笑)って主張したらいいんだから、これならクレームはつかないでしょ。このぐらいの準備はしておこうよ。本図は2万5千分の1地形図。4センチなので、これは1km。これが誤文。正解は2。

C;これ、昔の地形図問題でも取り上げられた図。でもその時は、Cの図では「田」となっている海沿いの低地が、まだ「荒地」だったんだよね。干拓地っていうのはもともと海だったのだから、土壌が塩分を含んでいてこれを抜かないと農地として利用できない。20年の間に塩抜きが効果を上げて、ようやく水田として利用できるようになったっていうことだよね。大変な話。

それはともかく問題文の検討をしよう。まず「干拓」地であることを読み取る。図の右端は海なわけだが、陸地と接する部分に「破線・点々」のエリアがあるよね。これ、「干潟」。すごく重要な海底地形なので絶対に知っておくこと。通常時(満潮時)には海だが、干潮時には海面上となり、海岸線は破線まで後退する。潮干狩りとかをイメージすればいいと思うけど、そんな泥が広がっている沿岸。それが干潟。しっかりとらえよう。

で、干潟がみられる地域においてはしばしば干拓が行われている。Cの図の範囲も、そもそもは陸地は全く無く、ほぼ全て干潟だったはず。まず、1つ目の堤防が築かれて(「大福」の集落が沿っているのは堤防の跡だろう)、「七搦」や「(文字不明)区」などが新たに陸地となった。さらに「3.6」の三角点が示されている堤防がつくられて、その内側が排水され陸地となった。そして現在最も新しい堤防が建設され、海岸沿いに広い農地が造成されている。そもそも干拓地なので、標高は海水面より低いことが普通なのだが、とくにCにおいては「0

」の標高点も見受けられる。また「0m」の等高線があるが、これが示されているということは、このどちらかは0mより標高は高いものの、その反対側は0mより低いということになる。おそらく、「0m」の等高線より東側の部分が0m未満の海面下の土地と見ていいだろう。正文。

4;多くの小さな河川(水路)が見られる。周辺が水田となっているので、農業用とみていいだろう。正文。

 

[最重要リンク] Cの地形図が出題された例を挙げよう。1990年度地理追試第4問問1。図は、Cの地形図とほぼ同じだが、より西側の範囲も含まれている。選択肢1の「福田」というのは、その西側の集落で、大福の集落と同様に、北から南へと一列に並んでいる(列村)。また土地利用が若干異なっていて、Cでは「0」の独立標高点がある一帯が「田」となっているが、時期が古いので「荒地」となっている。「西海湾」というのは図の東部一帯の海域。

 

集落は居住の場であるとともに、経済活動の場でもある。土木技術の未発達の時代には、水が得やすく災害の危険が少ない場所に集落が形成された。農業や技術が発展し、人口が増加するにつれて、用水路・ため池が建設され、集落の立地範囲が拡大した。さらに、湖沼・海面の干拓や、台地上の水の乏しい地域の開発が行われた。

 

下線部に関して、次の地形図(省略。詳細は上記)について述べた次の文1~4のうちから、誤っているものを一つ選べ。

 

1 福田の集落は、かつての堤防に沿って立地していると考えられる。

2 この干拓地は、干潟を利用して開発された。

3 小堀の東側の干拓地は、耕地として利用されていない。

4 福田の集落から西海湾までの干拓地は、同じ時期に形成された。

5 この干拓地では、農業用水の確保と同時に、排水が非常に重要である。

 

正解は4。Cの図に福田は描かれていないものの、この図の範囲だけでも何段階に分けて干拓が進められた様子がうかがえる。堤防が何列にも重層的につくられている。

1;堤防として土が盛られた部分に、集落が立地する。大福の集落もこのパターン。

2;干潟が干拓されて、陸地となっている。

3;現在は田となっているが、上でも説明しているように当時は荒地で農業には利用されていなかった。

5;0mの等高線や0mの独立標高点から、海面と同じかそれより低い土地であることがわかる。いざ堤防を越えて海水が入ってきてしまったら、それを排水するのは非常に困難。

 

[ここが新しい!] 形式的な新しさはある。ただむしろこの形式によって問題そのものが解き易くなっているので、ここでは注意する必要はないだろう。それよりやっぱり「長さ」の測定だろうね。8センチを計れる準備をしておかないといけない。

 

[今後の学習] 「水」に注目しておこうか。水に絡んだ地形が出題されるのは最も一般的なもの。

最初にB。右上に蛇行している河川の一部が描かれている。青く塗ってみよう。そしてその河川の周囲に「堤防」が築かれている様子を確認。「土のガケ」の記号が組み合わされたもので、毛虫がうじゃうじゃしてるみたい(笑)。「盛り土」となっている。立体視しましょう。

さらに「上惣」のすぐ左手にも水域がある。これは「ため池」と思われる。等高線がちょっと引っ込んで、谷のような形になった部分に水が蓄えられている。ため池の南端に沿って堤防が築かれていることも確認。

Dについても同様にひたすら河川・水路を青で塗っていく。

さらにC。東部の海域は全部青で塗っちゃってください。破線・点々の「干潟」ももちろん海なんで、ここも塗りましょう。それから陸地の方に河川(というか水路というべきか。ま、同じだけどね)もあるんだけどわかるかな。実は結構たくさん橋があるんだよね。堤防の内側に沿って水路が走っている。おそらく排水用じゃないかな。

そしてラストはA。左下の河川はチェック。河川にそって「ー・ー・ー・−」があるけれど、これは行政界の一種で町村境界を示す。これより北と南で町村が異なっている。そして集落を囲む形で、大きく湾曲した水路がみられる。両岸が「護岸」されている部分もかなりあるので、これにもしっかり注目しよう。護岸は垂直の壁で、直線とその片側の点々で表される。さらに縦横無尽に水路がみられるが分かるだろうか。かつて蛇行していた河川が直線化され、流路が三日月湖となった。やがて三日月湖もほとんどが陸化し、現在は水田として利用されている部分も一部は水路として残されている。佐賀平野は低湿な地形と用水に恵まれた水郷として知られているが、その様子がよく伺える。

このように、地形図を観察する第一歩は「水」である場合が多い。普段から青いペンを持って、地形図問題に取り組もうよ。

 

 

問2 [ファースト・インプレッション] 市街地の地形図判定。さほど出題例が多いわけではなないが、出題されるポイントは似ているので、過去問を研究した人ならば簡単に解けるだろう。

 

[解法] 正解は3。センターの地形図問題って地図記号は出題されないのだが、寺院だけは別。「卍」の記号で表され、これぐらいは知っておいてほしい。寺院は今も昔と同じ場所に存在している。

本問で気になったものの1つが「水」。選択肢3の「濠」とか選択肢4の「水路」とかってあるけど、具体的にどれかわかる?本当の地形図はカラー印刷なので、水の部分が青で塗られているからわかりやすいんだわ。それに対し、センター試験って白黒印刷だからね。青色は自然と薄いグレーで表されることになる。これがわかりにくいんだわ(涙)。

とにかく普段から水の部分を見つけたら青で塗っておくクセを付けましょう。「城壁を囲む濠」ってわかる?水の部分の周囲が「垂直の壁」の記号(直線で、片側に沿って連続した点が描かれている)で縁取られている。さらに「東側の水路」ってどこだろう?「八田」という文字の右端に沿って、薄いグレーの部分がある。これが水路なんだがわかるかな。橋も描かれている。ここから同じ色が連続した部分をどんどん青で塗ってみよう、切れているように見えてる部分もあるけど、これは道路の下を通っているということだろう。「大井樋」付近で、太い水路がなくなり、細いものになっているけど、これもわかるかな。別にわかる必要はないけれど、太い水路、細い水路、縦横に水田地帯を走っているわけだ。なお、この細い水路についても、線そのものが青で描かれており、カラー印刷の地形図ならば容易に読み取れるのだ。白黒だと、道路だか等高線だから河川(水路)だか全然わからないでしょ(涙)。

「直線的な形態」の水路は、八田からちょっと北に上って、左に垂直に折れ曲がっているもののことを言っているんでしょう。「末次」の方向にまっすぐに向かっている。

さらに気になったものが「バイパス」。バイパス道路っていう言い方があって、「避けて通る」っていう意味。ある道路があって、それが市街地を通過しているとどうしても混雑して渋滞するよね。その市街地に用事がある人ならば仕方ないけれど、でも単に北から南へ(東から西でも何でもいいんですが)市街地を通り抜けたい人ならば、その渋滞て迷惑以外の何ものでもない。できることならそんな市街地通りたくないよね。だからそのメインの道路のそばにもう一つ道路を作って、市街地を通らないルートを人々に提供しようっていうわけ。田舎の何もないところを通過するので、通行もスムーズ。時間の節約になるばかりでなく、ストレスもたまらないし、エコでもあるんじゃない?こんなバイパス道路を地形図で判定しましょう。

1966年の図では、北方に東西を横断する形で国道が走っている。国道はグレーに着色されている。これが佐賀市内における重要な幹線道路になっているのがうかがえる。しかし、この道路の欠点は渋滞だろうね。図の東から西へと抜ける自動車は、佐賀の市街地で混雑に巻き込まれてしまう。佐賀に用事がないとしても、時間的なロスは避けられない。

そこで登場するのがバイパス道路。1998年の図を見てみよう。もう一本、国道が南側に敷設されているね。「袋」や「本庄」の集落を通過し、「末広一丁目」付近で旧来の国道につながっている。これがバイパスである。佐賀の市街地を避けて通っていることを目で捉えよう。この図ではよくわからないけれど、この新しい国道、図から外れたちょっと東の方で、古い方の国道に合流しているはず。この様子は図1の20万分の1の地図を参照したら確かめられるね。東からやってきた自動車が、途中からこのバイパスに入り、佐賀市街地を避けて南側の住宅密度が低いエリアを通り抜け、そして再び最初の道路に合流し、そのまま西へと走り去る。これ、アリでしょ?バイパスをしっかり認識しましょう。選択肢2は正文。市街地を避けて通っているのがバイパスの定義。

選択肢1については問題ないでしょう。

 

[最重要リンク] 圧倒的に「バイパス」ですよ。バイパスが再度取り上げられる可能性は高いので、絶対に準備しておくこと。2005年度地理B追試第2問問4選択肢2参照。バイパス道路の描かれ方を本問と比較しておいてほしい。市街地を避け、周辺の家屋密度が疎である部分を通過している。これによって市街地の渋滞を避け、スムーズな通行が可能となっている。なお、ここででバイパス道路が濃い色で塗られているが、これも国道の意味(有料道路という意味ではないので注意。別にバイパスが国道である必要はないので、濃い色になっていること自体は無視していい。

 

[ここが新しい!]

市街地の新旧の比較はよく出題されるネタであるし、1の土地利用記号の読み取り、2のバイパス、3の寺院(地図記号はほとんど出題されないが寺院は例外)などもありがちなものばかり。選択肢4がちょっと判別しにくいけど、無理じゃないよね。とくに新鮮味は感じません。地形図問題では高低差を意識した問題が本来なら出題されやすいんだが、佐賀の市街地は平坦な地形だからそれも問いにくいかぁ。

 

[今後の学習] 地図記号についてはどうでもいいと思う。ほとんど出題されるものではないし、今回の寺院が特殊な例外なだけ。寺院はもう覚えたよね。大丈夫です。

で、やっぱり気になるのが水の部分の読解。海や河川、湖沼だけでなく、今回のような濠や用水路もある。とくに細い河川や小さな用水路については単に線で描かれていることもあるので、その判定が慣れないと厳しい。普段の問題から、水の部分を青く塗って、ビジュアル的に理解することに努めましょう。

そしてもちろんバイパス。

 

 

問3 [ファースト・インプレッション] よくある問題。でも、よくある問題だからこそ、意外と出題パターンは多い。注意しないとね。

 

[解法] おいおい、いくら何でも2が違うでしょ。「空中写真」はその瞬間を切り取ったものであり、人々が移動している様子がわかるわけはない。

他の選択肢はオッケイでしょ。

 

[最重量リンク] 時間がテーマになっている。1999年度地理B追試第3問問3参照。

 

一般に、火山噴火の前後の2万5千分の1地形図を比較して分かることについて述べた文として適当でないものを、次の1~4のうちから一つ選べ。

 

1 地点ごとの標高の変化を読み取ることで、変形した火山体の様子がおよそ分かる。

2 山頂付近における岩石の露出状況や等高線の変化を読み取ることで、火山噴火の起こったところが分かる。

3 植生の変化を読み取ることで、大量の降灰の及んだ範囲がおよそ分かる。

4 火砕流の地図記号が広がる範囲の変化を読みとることで、火砕流の流下速度が分かる。

 

これは4が誤り(正解)です。「速度」が分かるためには、距離だけでなく「時間」も分からないといけない。火砕流の地図記号でそれが生じた範囲の距離は分かるかもしれないが、地形図からでは時間は不明である。

 

本問との整合性として「時間」を挙げることができる。空中写真や地形図という「ある瞬間を切り取った」ものにおいて(そういえば、25000分の1地形図は空中写真から作成されるので、写真と図の違いはあるけれど、両者は本質的に同じものです)、時間の要素は分かりようのないデータである。

 

[ここが新しい!] とくに新しさは感じないんですが、ちょっと気になったのは問題文。「土地利用に関する地域調査」ってあるじゃない?これ、選択肢1から4まで、全然土地利用とは関係なくない?問題文が結構いい加減やなって感じで(笑)そこが新鮮でした。

 

[今後の学習] こうした「考えるだけの問題」をしっかり得点できるかどうかってスゴく重要。高得点を取る者はこういった問題を確実にゲットしてくるからね。焦ってはいけない。センター試験は時間の足りない科目が多いかもしれないが、地理に限ってはそんなことはない。36問で60分あるのだ。ゆっくりゆっくり解く。ゆっくり解けば解くほど正解率が上がって、高得点となる。ゆっくり解く勇気が最も大切なのです。思考問題を落とすな。

 

 

問4 [ファースト・インプレッション] 去年の追試の問題にちょっと似てるな。この形式がこれからのセンター試験のスタンダードになるんだろうか。そうなると、模試でもこのパターンで作らんとあかんのか。ちょっとめんどくさいな(苦笑)。

 

[解法] こうした問題は、図は後回しにして、まずは文章をしっかり読み込むところから始めるべき。アは「市街地中心部」なので、それなりに地価は高そうだ。しかも「江戸時代から続く」とあるので、狭く込み入った街区を想像したらいいかもしれない。イは「企業のオフィス」とある。これも高地価の市街地かもしれないが、こちらはアとは違って、高層ビルが並ぶようなエリアを想像したらいいかもしれない。オフィス街っていうイメージ。ウは「郊外」とある。郊外型の大型ショッピングセンターを考えていいだろう。そういったショッピングセンターは往々にして交通の便が良い幹線道路に沿ってつくられたりしているのだが、たしかに「バイパス沿い」にそういう施設は多い。想像しやすいんじゃないかな。

これだけの先入観(?)を作ってから図4を見てみよう。Fでまず目立つのは「駐車場」。1階建てで敷地面積が広く、地価も安いことが想像できる。ウに該当。

Gはかなり込み入った感じ。一軒一軒の家屋もそう広くはない。これがアに該当するのだろう。なお、「空き店舗」が多いようだが、古くからの駅前商店街はいわゆる「シャッター通り」になってしまっているのだろう。郊外の大型店に客を取られ、こうした商店街の多くは衰退している。

Hは8階建てや10階建てなど高層ビルが立ち並ぶ。これがイと思われる。「金融業」が多いが、これは銀行だろうか。中心業務地区(CBD)を想像してもいい。

以上より、正解は4。良い問題ですね。

 

[最重要リンク] 2010年度地理B追試第2問問5は同じようなネタを、写真で扱った問題。こちらでは、3つの選択肢が「郊外のニュータウン」、「幹線道路沿いの大型店」、「市街地中心部の古い街並」。大きな道路に沿って大型店舗が並ぶ郊外の風景、古い戸建て住宅が並ぶ市街地の風景など。

 

[ここが新しい!] 形式的な新しさもあるけれど、ちょっと注目したいのがいわゆるシャッター通り。郊外の大型店に客足を奪われることによって、かつての商店街が活気を失い、閉鎖に追い込まれる店舗も多い。2009年度地理B本試第4問問6のシの写真でその様子が示されているので見ておこう。この説明文としては「売り上げの減少が著しい商店街であり、主に地方中小都市にみられる」とある。こうした状況は、もちろんキミたちもよく知っているとは思うけれど、センター地理でも最近クローズアップされてきていることを覚えておこう。

 

[今後の学習] これも一種の地形図問題といえるわけだよね。地形図問題の鉄則として「文章7割、地形図3割」というものがある。地形図問題というと真っ先に地形図を見て、ある程度理解してから文章の選択肢を検討するっていう人がいるけれど、それは逆。先に文章を読んで、十分に解釈してから、「満を持して」地形図を眺める。地形図自体が複雑なものであっても、問題そのもの(つまりそれを説明する文章の方)はシンプルなことが多い。また、先に文章をしっかり読んで、ポイントを捉えてからでないと、地形図のどこを見ていいのか迷ってしまうので、いたずらに時間を消耗してしまう。本問もその典型。「解法」でも手順を説明しているけれど、先にア~ウの選択肢を読んで、ポイントをしっかり確認してから図を見る。「市街地」と「郊外」っていう反対語が含まれていたり、「商業」と「業務」っていう対比的なワードが用いられていたり、「江戸時代」と「オフィス」なんていう言葉からもイメージを膨らますことができる。地形図問題は焦らずに、文章をゆっくり読解してから、取りかかるのです。

 

 

問5 [ファースト・インプレッション] ありがちな問題だなと思って取り組んだ。いや、仰天した!これ、まっとうな解き方じゃ正解にたどり着かないぞ。この2011年度地理B本試って、全体的に「ひと工夫」されている問題が多いと思う。料理で言えば、ひと手間かけておいしい料理に仕上がっている。推理小説でいえば、見事はトリックが一つ隠されていて、それに気付けば犯人が分かる。そんな隠し味というか、仕掛けが満載なのが、今回の試験であり、その特徴が最もよく現れているのがこの第6問問5なのだ。何の変哲もない問題に見えるが、その内側にはすごいトリックが隠されている。キミは名探偵になりえるか!?

 

[解法] 結論からいっちゃいますよ。これ、図の問題じゃないね。いや、最終的には図も使うんですが、でも図を最優先で考えると解けない。最初に「数字」に徹底的にこだわって考えると、スムーズに行く。でも、この数字で考えるっていうクセはそう簡単に付くもんじゃない。本当に修練が必要だよ。日々の鍛錬。

この問題、数字に気をつけろ。数字ってどれだ?そう、「総収穫量」ですよ。Jが「123600トン」、Kが「44200トン」、Lが「73900トン」、Jが圧倒的に大きいじゃない?そしてKが小さい。これに注目しないとこの問題は解けないぞ。

Lの判定は簡単。「ないものを探す」ことが大切。図1を見てくれたらすごくわかりやすいんだけど(図1は海が南側にあるので、佐賀県南部の沿岸部っていうことがわかるよね)、平野の部分は水田が主になっている。この低地においてLは全く分布していないのだ。これを樹木である「ミカン」と思っていいんじゃないかな。そういわれてみれば、山がちの地形の多い市町村において生産が集中している。とくに南端の市町村で円が大きく描かれているが、気候的にも暖かいんだろうね。Lがミカンで決定です。

で、ここからが難しい。南部の低地に水田が多いので、単純にKを「水稲」としたくなってしまう。Jを「大麦」として。でもちょっと待てよ。ここで最初に注目しておいた手がかりが重要なヒントとなるわけだ。総収穫量、Jの方が圧倒的に多いじゃないか!?米より大麦の方が生産が多いなんていうことがあるか?

大麦は米に比べて重いからトン数にしたらそうなるんだ、って考える人もいるかもしれない。でも、大麦も米も同じ穀物の仲間だよ。一つ一つの重さがそんなに違うとは思わない。っていうか、重さって同じようなもんでしょ、米にしたって、小麦にしたって、トウモロコシにしたって、もちろん大麦にしたって。だからJで「123600」、Kで「44200」となっているのは、純粋に収穫量が違っていると考えるしかない。佐賀県において米と大麦はどちらが収穫量が多い?日本において米と大麦はどちらが収穫量が多い?世界全体において米と大麦はどちらが収穫量が多い?もちろん、米だろう。米は世界全体で6億トンの生産があり、同じく6億トンの生産がある小麦やトウモロコシと並んで、3大穀物と言われている。大麦は少なくとも3大穀物と言われないのだから、生産量は米などにはかなわないはず。

さぁ、どう思う?日本にしたって、佐賀県にしたって、大麦の方が生産が多いわけはないのだ。そう、これだけを決め手にしていい。Jが水稲、Kが大麦となる。正解は3!

この問題はすごいぞ。これが解けた人はマジ鋭いと思う。ガッチリとした図が与えられている問題で、隅っこの数字に注目できる人間は少数に過ぎない。理路整然に解くってこのことだと思う。まさにすぐれたミステリー小説のようだ。

 

[最重要リンク] この問題しかありえない。20001年度地理B本試第5問問4。これも数字の問題なんですよ。各グラフの縦軸の数字に注目。もっとも生産量が多い3が、日本で最もメジャーな果実であるミカン、次いで多い2がリンゴ。1なんかめちゃくちゃ少ないでしょ。これは、実そのものも小さいし、我々もそんなにたくさん食べることのないサクランボなのです。数字に注目するクセは常日頃から付けておくこと。

 

[ここが新しい!] 大麦が出題されたことが新しい。せっかくなので統計を確認しておこう。

米の生産が世界全体で「65959」万トンであるのに対し、大麦は「13343」万トン。やっぱり生産は少ないね。大麦の生産上位国は、ロシアやカナダのような冷涼な国、あるいはスペインやトルコのようなやや乾燥した国。米に比べれば、厳しい自然環境にも適応できるという特徴がある。

日本でみると、米は「1089」万トンが生産されている(*)。これは世界全体の1.7%。日本の人口1、25億人が世界全体の人口70億人に占める割合も、だいたいそんなもん。これに対し大麦は「21」万トン。これも世界全体の1.6%ぐらいだから、意外と日本て大麦付くっているんだなぁって思う。米の生産上位の都道府県は、1位・新潟県、2位・北海道、3位・秋田県、4位・福島県、5位・山形県。東北地方の日本海側の県が目立つ。これに対し大麦は、1位・佐賀県、2位・栃木県、3位・福岡県、4位・福井県、5位・岡山県。九州地方が目立つ。佐賀県は大麦の日本最大の生産県だったのですね。もちろん、それでも米の方が生産は多いわけですが。大麦は、温暖な地域では米の「裏作」として栽培されることがある(二毛作)。米の収穫が終わった秋に種を播き、冬を越え、5月ぐらいに刈り取る。そして新たに稲が植えられる。九州で栽培が多いのは、これが理由。

(*)これはもみがらが付いた重量。もみを取った玄米の状態なら870万トン。

 

[今後の学習] 日本における大麦について。上でも説明しているように九州での生産が多いが、これは米の裏作作物として二毛作されているから。しかし、最大の生産量を持つ佐賀県でもあっても、米の生産量には及ばないのだから、やはりマイナーな作物と思っていいだろう。世界的にみても、大麦の生産の方が小麦の生産より多いのはスペインぐらい。大麦の世界最大の生産国であるロシアにしてもやっぱり小麦の方が多く作られている。

さらに、こちらが本当に大切なポイントだが、やはり統計問題を考える場合に、いつでも「実数」に最初に注目するクセを付けておくこと。例えば本年の問題でも第5問問1などはその典型的な問題になっているね。増加率(割合)に注目すると間違い、人口(実数)を考えるべき。実数の重要性を体感せよ。

 

 

問6 [ファースト・インプレッション] 変な問題。ハングル文字とか漢字とかあるから、カ~クの説明文て国を特定する際には不要じゃない?ってことは、むしろこの説明文は、図7のグラフを判定する時に必要になるわけか。なるほど。本当に手間のかけられた丁寧な問題です。

 

[解法] カはフィリピン。かつてアメリカ合衆国に植民地支配されていたこともあり、英語が公用語の一つとなっている。「登録者数が減少」とある。減少だけだとQRで迷う。保留。

キは中国。漢字の国ですね。「近年の成長」と「多くの人々が来日」から、数値の急激な上昇のみられるPに該当。

 クは韓国・朝鮮(*)。ハングル文字はもうお馴染みだよね。「数世代にわたって」なので昔から人数の多いQが該当。最近ちょっと減少しているね。

残ったRがフィリピン。たしかにはっきりと「減少」している。正解は5。

(*)日本と北朝鮮は国交がないので、外国人登録のような公式の手続きの場合には単に「朝鮮」となる。

 

[最重要リンク] 地理A的な問題だと思う。たしかに地理Aとの共通問題でもあるのだが。ただ、とにもかくにも地理Bの問題として本問が出題されていることは間違いはない。そうなると、地理B初登場のネタがあって、それがフィリピンに関する事例なのだ。日本には(日系人を除いて)短銃労働を目的に外国人が入国することは制限されている。何らかの資格を持った者だけが入国でき、とくに就業となると特殊な専門的な技能が必要となる。その法律の網の目を巧みにすり抜けて来た国が、「出稼ぎ国家」フィリピンなのだ。フィリピンの女性はフィリピンで1年間学校に通うと、踊りや歌のできる「芸能人」という資格を得ることができる。芸能人ならば立派な専門労働者である。エンターテインメント(興行)ビザが発行され、日本の空港を通過してくるのだ。もちろん芸能人というのは学校に行って受け取るような資格ではないし、実際には水商売のお店(センター試験では「サービス業」や「飲食業」となっていますが・笑)で夜のお姉さんとして働いているわけで、管理や治安の面において問題がある。どうなんだろうね。カの選択肢にある「入国審査の厳格化によって~減少した」というのも事実なんだろうけれど、現時点では日本国内のフィリピン人は、韓国・朝鮮人、中国人、ブラジル人に次いで4位の勢力を誇っているし、やっぱり「フィリピン人の出稼ぎ=興行資格による女性の入国」で考えておいていいと思うよ。

 

[ここが新しい!] フィリピン人のネタが地理Bで出たのは初めて。でもこれは覚えなくてもいいんじゃないかな。たしかに最近は入国審査が厳しくなって、フィリピン人の入国は減少しているっていうデータもある。さすがに水商売のお姉さんがたを「芸能人」ってみなすのは問題あるよね。

 

[今後の学習] ちょっとヤバいなって思って。今まで日本の登録外国人数においては、韓国・朝鮮人が1位で、中国人が2位だった。でもこれは近年の中国人留学生の増加とか、在日韓国・朝鮮人の帰化などによって変化している。現在の順位は、1位中国、2位韓国・朝鮮、3位・ブラジル、4位フィリピン、5位ペルー、6位アメリカ合衆国、7位タイ。しかし、ペルーがアメリカ合衆国の上に来るデータなんてそうそうないぞ。近年の日本において最も顕著に変化した統計指標がこれなんじゃないか。

大阪に住んでいると、在日韓国・朝鮮人の人たちが多いんで、全く気付かなかったんだが、いつの間にか中国人が逆転してたんだなぁ。ボクの実家の近くにはオートバイ工場がある町があるんですが、そこってたしかにプラジル人の家族だらけだもの。日本はこうして変わっていくんだなって実感。

 

以上です!みなさん、ご清聴、ありがとうございました☆

 

 

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