2014年度地理B追試験[第1問]解説

たつじんオリジナル解説[2014年地理B追試験]           

 

解答数は36個だが、2つの解答を求める問題が一つあるため、問題数は35問。また第2問については冒頭にリード文が設けられており、近年では珍しい形である。

 

第1問 世界の自然環境

第1問が自然環境に関する大問であるのはいつものパターン。ただし、問1で植生が大きくフューチャーされていたり、何らかの形の気候グラフが問われていない点が目新しい。

 

問1 [インプレッション]冒頭で植生の問題!形式も含め、目新しい。土壌についても言及されており、どちらで考えてもいいと思う。

 

[解法]植生と土壌と両方のヒントが示されているので、じっくり考えてみよう。ヒントが多い問題だからこそ、直感で解いてはいけない。

最も気になるのはツンドラ(ツンドラ土)。ツンドラというのは、通常は雪氷に覆われ、短い夏の間だけ地表面に地衣や蘚苔が繁茂する荒地のことで、北極海や南極海沿岸などに典型的にみられる。まずエが外れる。エの北端のノルウェー南部は偏西風や暖流(北大西洋海流)の影響によって緯度に比して温暖であり、決してツンドラではない。温帯に含まれ、都市も立地している。

さらにポイントは熱帯林とラトソル。これは赤道に近い低緯度地域にみられる植生と土壌である。これによりアが外れる。アの南端はメキシコ中部であるが、この地域には乾燥気候が広がる(例えばメキシコシティなど、降水量が少ないことが特徴の都市である)。中緯度高圧帯の影響によって少雨となることも考慮しよう。

そして最後のポイントとして亜寒帯針葉樹林(タイガ)とポドゾルがある。これは冷帯の植生と土壌。針葉樹は冷涼な地域にみられ、とくにシベリアやカナダには樹種が単純な(例えばモミだけ、あるいはトウヒだけ、といったように)森林が広がり、タイガと呼ばれている。冷帯は蒸発量が少なく、水分が地下に浸透する際に色素を溶脱し、灰白色の土壌が形成される。これがポドゾル。冷帯の特徴として冬季の極端な低温がある。冬季の平均気温が極めて低く、湖沼や河川、海岸などの凍結がみられるのが冷帯。海洋からの影響が強い地域(海洋性気候)ではこのような事象は生じず、冷帯気候となる絶対的な条件として大陸の影響が強い(大陸性気候)ことが上げられる。南極を除けば(南極は寒帯気候であり、冷帯より寒冷。そもそも植生がみられず、土壌も大陸氷河の下に隠れている)、高緯度地域に陸地がほとんど存在しない南半球においては冷帯気候も分布せず、タイガやポドゾルもみられない。このことからウが消える。

残ったイが正解!消去法かよ、疲れた(笑)。

 

[アフターアクション]これ、難しいわ。消去法で徹底的に考えた。君たちは最低限「南半球に冷帯は存在しない」だけは知っておいて、冷帯が存在しないのだから、冷帯の土壌であるポドゾルも存在しないのだ。

 

 

問2 [インプレッション]河川流量を問う問題は定番ネタであるものの、本問はちょっと雰囲気が異なる。問1に続いて難問ですよ!

 

[解法]Aを当てないといけない。例えばBはすごく簡単。Bのような寒冷地域を流れている河川は春(初夏)の融雪・融氷期に一気に増水する。冬季は凍結しているため、流量は最小。④がBになるのは簡単に判定できる。

さて、それに対してAはどうなんだろうか。難しい問題だからこそ、深読みはせず(そんなにセンター試験はひねくれたテストではないよ)素直に考えよう。Aはアアマゾン川だろうか、熱帯雨林の広がる低地を流域に収めている。赤道直下のエリアであり、年間を通じ降水量は多いだろう。高温の地域であるので、融雪や融氷、凍結といった要素は考慮する必要がなく、降水量と流量をそのまま対応させればいい.年間を通じて渇水期がなく、流量も比較的安定している②が正解となる。

CやDはいずれも乾燥地域を流れる外来河川であり、とくに降水量が少ない時期には流量が激減する。モンスーンの影響によって夏季に降水量が多い地域を流れるCが③、南半球の初夏に融雪によって流量がやや増加するDが①となる。

 

[アフターアクション]Bが④であることをしっかり覚えておいて!こっちのネタの方が使えるはず。

 

 

問3 [インプレッション]うわー、これ、おもしろいわ。ちょっと厄介だけど、解答可能と思う。消去法で考える方がベターかな。

 

[解法]熱帯低気圧の発生のための最大の条件、それは海水温。一般に海水温が27度以上の海域においてのみ熱帯低気圧は発生する。ただし、転向力が働かない赤道直下においては生じないことも知っておくといいかも。とはいえ、本問の場合は赤道直下のエリアはないので、この条件は無視していいね。

海水温にこだわるならば、2つの海域において妥当でないことがわかる。南アメリカ大陸の太平洋岸、アフリカ大陸の大西洋岸はそれぞれ寒流が流れており(寒流とは高緯度方向から低緯度方向へと冷たい海水を運ぶ流れ)海水温は低い。熱帯低気圧の発生海域としてKとLは不適であり、残った2つが正解となる。

 

[アフターアクション]海流の流れは第4問でも登場している。同じネタが出題されることは珍しくないものの、元々の出題率がとくに高いわけでもない海流ネタが連発されたことにはちょっと驚き。それだけ大事だってことでもあるんだけどね。

 

 

問4 [インプレッション]大地形の問題。このように大地形が文章の形で出題されるときは難問になるパターンが多いのだが、本問はどうだろう?細かいことは聞かれないものの、確実な知識は必要となる。

 

[解法]①;地溝について。アフリカ地溝帯はプレートの広がる境界である。誤文。同じ「溝」であっても、地溝は広がる境界、海溝は狭まる境界。

②;アンデス山脈は新期造山帯。古生代に造山運動を受けたのは古期造山帯であり、該当しない。誤文。もちろん「古生代から現在まで」数億年間にわたり継続して活発な造山運動を受けているような地域は存在しない。

④;ヨーロッパの火山は、イタリアなど地中海沿岸とアイスランド(大西洋中央海嶺)。東ヨーロッパ平原にはみられない.誤文。

正解は消去法で③。楯状地の説明であるが、とくに知らなくていい。

 

[アフターアクション]「楯状地」なんていうマイナーなものが解答になっているというめずらしいパターン。でもこれについて特別な知識はいらないと思う。とりあえず安定陸塊(6億年以上前につくられた地形)であることだけ知っておけばいい。本問にしても消去法で解くべき問題。

 

 

問5 [インプレッション]見慣れない図が登場。不穏な空気だが?はてさてどんな問題なのだろう。

 

[解法]ちょっと読み取りにくい図だな。海面の高さっていうのは、現在と比較してっていう意味だよね。つまり15000年前は現在より100mほど海面が低かったということで、海水が少なかった時代ってことだね。氷河期で大陸氷河が発達していたことが理解できればいい。

で、氷河期の地球を想像して欲しいんだけど、いわゆる「グレートジャーニー」が生じた。モンゴロイド(黄色人種)のユーラシア大陸からアメリカ大陸への移動がみられたのだが、これは現在のベーリング海峡が陸化していたために、徒歩によって行われたのだ。このことを考えるに、1万5千年間(つまり氷河期)の世界において、現在の浅海底は陸化し、人々が歩くことによって移動や交流をしていたという歴史がある。「現在大陸だなになっている範囲」はむしろほとんどが陸地だったんじゃないか。

 

[アフターアクション] いや、これ、難しいや。たしかにちょこちょこ氷河期に陸地がつながっていたっていうネタは登場しているんだが、それにしても解答は困難。氷河期という時代について、もっと授業で取り上げていこうかな。ここが盲点になっている気がする。

 

 

問6 [インプレッション]マングローブの問題か。環境破壊ネタなら一般常識で解けるかな。

 

[解法]あ、簡単じゃないですか。エビの養殖池の拡大だよね。実際、ベトナムやインドネシアからのエビの輸入は増加しているわけで、その多くはマングローブ林の破壊の上に成り立っている。図は関係なかったね。

 

[アフターアクション]マングローブの問題は結構よく出てくる。熱帯の干潟にみられる植生で、河口付近の汽水域にしばしばみられる。満潮時は樹木の頭まで海水につかり、干潮時には根までが海面上に現れる。泥地で豊富な生態系を有しているが、近年はエビの養殖池の開発などにより失われるものも多い。

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