2006年度地理B本試験[第1問]解説

2006年度センター地理B本試験[第1問]

 

問1

[講評]決して難しくはないと思うんだが、計算しないとあかんからややこしいよね~。しょっぱなの問題は手ごわいぞ、の法則は今年もまた当てはまっているわけだ。

 

[解法]「地球上の距離が最長のもの」なので赤道上の線を挙げればいいわけだ。地球は球体なんだから当たり前。だからまず線に関してはウを選択する。おっと、ウが赤道上の線であるのは大丈夫だよね?アフリカ大陸において赤道は「腹筋」の部分を通るのです。

ではおよその距離を求めてみよう。ウの東端と左端の経度間隔は20°である。これは下に「経線・緯線は10°間隔」と書かれているので、これから測定できる。赤道上における地球一周の長さは約40000kmである。これは知っているよね?そもそもこれを知らなければ計算すらできないわけだが。地球一周すなわち360°で約40000kmなのだから、20°分なら、20/360、つまり18分の1の長さとなる。40000を18で除して解はおよそ2222、よって近似値は2200となる。

 

[関連問題]00B本第2問問1参照。非常によく似ている。ポイントは「赤道がどこを通過しているか」「経度差を判定し、赤道一周40000kmを手がかりとして求める」ことにある。

97B本第5問問1参照。こちらは縦のライン。ある経線における緯度間隔がポイント。ゆえにこちらの方が難易度は高い。ただしこれも地球の大円一周40000kmということを手がかりとして解くことは共通している。

なお、地球の大円に沿ったライン以外の距離を求めよという問題は出題されていない。例えば北緯60°の緯線上における2地点間の距離を求めよといったタイプのもの。あくまで「地球一周40000km」を基本とした解いていけばいい。

 

[今後の学習]参考までにアやイの距離も求めてみよう。赤道一周は約40000km、北緯30°一周は(20000√3)すなわち約34000km、北緯45°一周は(20000√2)すなわち約28000km、北緯60°一周は約20000km。これらは計算によって求められるが(ピタゴラスの定理の応用)とくに説明はしません。自分で考えよう。

イは北緯20°(緯線・経線は10°間隔で描かれている)に沿っている。北緯20°一周はおおよそ36000kmと考えてみよう。この18分の1なので、約2000kmとなる。

アは北緯40°に沿っている。北緯40°一周はおおよそ25000kmと考えてみたらいいだろう。この18分の1で、アは約1400kmとなる。

ちなみに、この距離はあくまで緯線に沿ったものであり、実際の最短距離とは異なっていることは理解できるだろうか。例えば、アの西端(北緯40°・東経20°)と東端(北緯40°・東経40°)の最短距離は緯線に平行するものではなく、やや上方に弓なりの曲線となる。地球が球体であることを考えれば理解できることだろう。98B本第3問問5を参照してもいいだろう。ここではaの曲線が大圏航路(大圏コース)なのだが、東京・サンフランシスコ間の最短距離である。

 

問2 

[講評]新課程になって地理A的な部分が強調されることとなったが、これなどはその典型的なものだろう。家屋や生活などに関する問題。しかしさほど特殊な問題という印象もない。オーソドックスだと思うよ。

 

[解法]A国南部つまりサハラ砂漠のような乾燥地域でみられる家屋の特徴を問うている。

まず速攻で外れるものがある。それが選択肢②。ゴムの木(つまり天然ゴム)は熱帯の高温多雨な自然環境を好むもの。このような乾燥地域で栽培できるだろうか。除去せよ。

ただしここからは難しい。選択肢が3つ残されているが、これが消しにくいんだよなぁ~。だからここからは、間違った部分を見つけて、それで誤文を除いていくやり方ではなく、正しいものをそのまま正しいとして解答にするってやりかたしかない。というわけで、いきなりですが正解は①。こういった乾燥地域における住居の特徴は「窓が小さい」ことで、これは絶対的なこと。「家の窓は小さく」に直接反応して、①を選べばいい。文にもあるように、強い日差しや砂を防ぐはたらきがある他、風が入りにくいため涼しさを保てるというメリットもある。こういった地域においては風は「熱風」であり、風通しのいいことはむしろ暑さを助長するものである。

選択肢③と④についてはさほど検討する必要はないが、とりあえずポイントを。

③では「レンガ」という言葉が重要。こういった乾燥地域では、きちんと焼かれた「レンガ」ではなく、天日で干しただけの「日干しレンガ」が建築材料としてはメジャー。日干しレンガは湿気や豪雨に弱いのだが、乾燥地域ではその心配もない(ただし振動には弱いので、イランやパキスタンなど地震が多い国でこの建材を用いて家屋を造ると被害が拡大するとのこと)。また「雨水をためる」とあるが、水に弱い日干しレンガで雨水を溜めたら溶けてしまうよね?っていうかそもそも雨自体ほとんど降らない地域でもある。

④については意味がわからない。何だろう?太陽光発電だろうか。まぁたしかにこういったところで屋根に太陽光発電装置をつけたらかなりの電力が得られるとは思うけれど、別に写真にそんなんはないよね?

ちなみにA国はアルジェリア。しかし国名が特定できなくてもこの問題は解けたでしょう。A国南部が乾燥地域であることさえわかれば十分に解答可能であるし、サハラ砂漠は誰でも知っている(よね?)。

 

[関連問題]直接的な関連問題は00A本第3問問7。「アトラス山脈を越えて見られるオアシス集落」とあるのだから、これはまさにサハラ砂漠のような乾燥地域に関する内容を問うていることがわかる。誤文指摘問題だが「暑さを避け、風通しを良くするために、家屋の窓は大きく作られている」が正解(つまり誤文)。

また99A本第1問問1も重要。写真Aで乾燥地域における住居が示されているのだが、これに対し「日干しレンガを積み重ねて、屋根や壁を造っている家」との説明がある。写真の下の方にみられる窓も確かに小さい。

窓についての記述はないが、05B本第3問問4選択肢④に乾燥地域における「日干しレンガ」による家屋の説明がある。

天然ゴムの栽培条件については、00B追第5問3で問われる。「ゴム園」は熱帯の降水量が多い地域。スペインのような温帯でやや少雨の地域において栽培されうるものではない。

また、直接的に関連があるわけではないので、アルジェリアに関する問題は省略するが、余裕があれば自分で探してみよう。

 

[今後の学習]新課程の代表的な問題ととらえられる。今後はこういった家屋など生活に関する知識も問われるものと考えていいだろう。とはいえ決して難しい事柄が出題されているわけではなく、基礎的なことさえ押さえておけば十分。

地理Aで出題率が高いこのジャンルに関する問題といえば、本問のような乾燥地域の住居と、東南アジアなど高温湿潤地域の住居。キーワードは「風通し」。湿度が低い地域では日陰に入ってしまえばそれだけで涼しくなるので風を取り込む必要がない。むしろ風が熱風である場合が多く、風が入りにくいようなつくりが適している。一方、多湿な地域では衛生面も考え、できるだけ風通しのいい家にする。窓や戸を大きく開けたつくり。この最も分かりやすい問題が05A本第2問問4であるので参照してほしい。高温湿潤な気候環境において、高床式の家屋となっている点にも注目しよう。

またこれ以外で重要なのはシベリアにおける高床式住居。永久凍土が溶けて傾くのを防ぐために、生活熱が地面に伝わらないような形となっているのだ。05A本第1問問4参照。

 

問3 

[講評]おっと、これは異色な問題!対蹠点なんていうものが問われたのはセンター初でしょう。とはいえ親切に「地球の中心をはさんだ正反対の地点」なんて注釈が加えられているし、さほど混乱はなかったはず。

 

[解法]K点はフランスなんだが、国にこだわることはなく、ヨーロッパの反対側と考えればいいだろう。もちろん南半球であるので、①や②は消える。④のマダガスカルはアフリカ大陸南東部に浮かぶ島だが、そもそもヨーロッパとアフリカは距離的に大きく離れているわけでないし、ましてや地球の反対側ではない。正解は④のニュージーランド。ニュージーランドの鼻先を180°の経線が通過しているのだが、経度0°がイギリスを通過することを考えれば、まさにここがヨーロッパの反対側とみていいだろう。

なおニュージーランドは主な国の中で最も早く「明日になる国」である。コンピュータの2000年問題っていうのがあったのを知らないかな?下二桁が「99」から「00」になることによって誤作動を起こし、世界中が混乱に陥るのではないかと懸念された事態。実際には何事もなかった(その裏には多くのコンピュータ技師たちの大きな努力があったのだろうが、それは我々の知るには及ばないことである)のだが、この時に世界中が注目した国がまさにニュージーランド。主な国の中で最も早く2000年になり、もし2000年問題が起こるならばそれはまずニュージーランドで発生するはずだ。

このようにニュージーランドはヨーロッパの正反対であり、「日出ずる国」日本よりも早く太陽が昇る国なのである。その特殊性を知っておいてもいいだろう。

 

[関連問題]対蹠点に関する問題は初出。対蹠点というわけではないが、経度の差が話題とされている問題として05B本第3問問1がある。どうかな?いや、さほど類似性はないか。

 

[今後の学習]どうかな、これからも対蹠点なんかが出題されるのかな。僕はむしろ君たちに注意してほしいのは時差に関する問題なんだよね。実はこれも今までにほとんど(少なくとも地理Bでは)出題されていなかったネタ。しかし今回こんな風に対蹠点なんていうレアなネタが取り上げられたわけだから、もしかしたら時差ネタも来るかなって予感がする。

ここで参考にしておいてほしいのが、04A本第2問問5。日本が正午の時に(イスラム教の最大の聖地メッカのある)サウジアラビアの時刻は何時かっていう問題。日本とイギリスの時差が9時間だから、まぁサウジと比べれば日本の方が6時間ぐらい進んでるかなっていう問題だけど、ちょっと珍しいし、意外に難しかったりするよね。今後はこういった問題が地理Bでも出題される可能性は十分にあると思う。

というわけで、君たちには普段から時差というものを意識して暮らしてほしい。ヨーロッパのサッカーはだいたい日本では真夜中にテレビ中継されているし、米国の野球は午前中。これだけのことを意識するだけでもずいぶん違うと思うんだが。

例えば、日本とイギリスの時差は9時間。東に位置する方が早く太陽が昇るのだから、日本の方が9時間早いということになる。日本が正午ならばイギリスは午前3時。さらにイギリスとニュージーランドの時差は、地球の反対側なのだから、12時間。ニュージーランドが12時間早い。ということは、日本とニュージーランドの時差は3時間で、ニュージーランドの方が早いということになる。日本で正午ならば、ニュージーランドは午後3時。どうかな?これだけでも知っておいたらいいんじゃないかな?時差に関するセンスはずいぶんと養えると思うよ。

ちなみに、日本と12時間の時差があるのはリオデジャネイロなどブラジル東部。非常におもしろいと思うんだが、かつて日本からブラジルへと多くの者が移民していった。そういえばイギリスもニュージーランドを植民地支配していたっけ。地球の裏側、つまり最も遠いところにこそ、本国から人々は移動するわけだ。地球の反対側なら気候条件などに共通点が多いから、適応しやすいんだろうね。

 

問4

[講評]土地の高低に関する問題。本年は第2問問2や第3問問2で断面図問題が登場しており、とくに第3問問2の方は大陸の断面を問うものとなっている。このように土地(とくに大陸)の高低が複数の問題においてテーマとされている点が非常に興味深いと思う。

とくに大陸断面図は過去に何回か出題されているとしても、本問のようにピンポイントで高所を問う問題パターンというのは初めてで、まさに新傾向として注目すべき部分だと思う。土地の高低には敏感になれ!

さらに僕が興味深く思ったのは、アトラス山脈という比較的マイナーな山脈が出題されている点。普通、アフリカ大陸で高山っていったらキリマンジャロを出題するでしょ?最低でも東アフリカ大地溝帯に沿った地形。こっとの方が全然キャラが濃いし、実際キリマンジャロは出題の頻度も高い。それなのにあえてアトラス山脈を出してきたのはどうなのかなぁ。ちょっと特殊な事例とも思うが。

 

[解法]全体的に台地状の地形となっているアフリカ大陸であるが、土地の起伏差は小さくない。とくに北西部には新期造山帯(アルプス・ヒマラヤ造山帯)に属するアトラス山脈が急峻な山地地形をなし、標高は数千メートルに達する。このことからQを正解とする。

それ以外の地点について。Pはボルガ川下流域で低地となっている。とくに河口付近は三角州ともなっている。またこの川が流れ込むカスピ海は巨大な凹地で、湖面標高は海水面より低いのだ。

Rはナイル川下流部、Sはニジェール川中流部で、いずれも河川沿いの低地。

 

[関連問題]04B本第3問問2参照。B地域はアトラス山脈の北麓。北部アフリカの典型的な気候(つまり砂漠気候のような乾燥した気候)ではなく、やや湿潤な気候がみられる。

00B追第5問問4参照。アトラス山脈周辺の様子が問われている。標高が高い山脈であり、低地付近では乾燥の度合が高いかもしれないが、中腹には「森林」も広がり、とくに山頂付近には「雪」もみられる。ただしもちろんこの南側はサハラ砂漠という乾燥地域であり「油ヤシ」が生育できるわけがない。

00A本第3問問7参照。こちらは名前だけだが「アトラス山脈」が登場。むしろその南側の乾燥地域が主題。

03A本第1問問2選択肢①参照。Eルートでは砂漠地帯の後に高山に達する。しかし文章のように火山がある山脈ではない。アトラス山脈は褶曲山脈であり、火山性の山脈ではない。アルプスヒマラヤ造山帯にはこのような山脈が多い。

94本第6問問1参照。ア地域はアトラス山脈。

ボルガ川は03B本第1問問7に名前だけ登場。これから登場回数が増えてくるかなぁ。

ナイル川は世界最長の河川なので出題頻度も高い。とくに02B追第3問問1を参照するといい。位置が重要。

ニジェール川は05B本第1問問4で登場。変わった流れ方をする河川であるので、流路や位置を必ず知っておく。

なお、ナイル川とニジェール川が外来河川(乾燥地域を流れる河川)として重要、ボルガ川は内陸河川(海につながっていない河川)として重要。

 

[今後の学習]

非常に解釈が難しい問題で、やはり標高の高い地域は全て覚えておかないといけないのだろうか、と真剣に考えてしまう。本年はとくに第3問問2でもヒマラヤ山脈とチベット高原の位置がポイントとなっているわけで、それなりの対策が必要なのかもしれない。とりあえず04B本第1問図1を使ってみようか。「新期造山帯=標高が高い」と簡単に考えてしまって、この図を見る。環太平洋造山帯に沿う地域、アルプスヒマラヤ造山帯に沿う地域、それぞれの標高が高いことを目でとらえよう。たしかにアフリカ大陸北西部は新期造山帯であり、標高は高いと考えて自然。今回出題されたことも妥当なことだろう。

同様に考え、例えばニュージーランドやシベリア東部太平洋岸なども新期造山帯で標高が高いことを知っておくと使えるかもしれない。今後出題されるとしたらこの辺りか。

また別の考え方もあって、本問についてはP=ボルガ川、R=ナイル川、S=ニジェール川で、いずれも過去問で登場例がある重要な河川ばかり。主な河川についてはその位置を知っておけということか。それでも本問は解くことができたと思う。

 

問5

[講評]これは結構めずらしいパターンだと思う。普通ならこういった問題の場合は、地図を伴ってそれぞれの位置がその地図で示されるという形式が多かったんだが、これはそうなってはいない。国名やその国がどこにあるのかという知識が必要となってくる。まぁ、とはいえ別にマイナーな国名が問われているわけでもなく、さほど困難には感じないが。しかし今後(新課程)はこういったパターンの問題が増えてくるのだろうか。ちょっとやっかいだ。

問題の内容そのものは地中海性気候の地域を問うものであるが、「地中海性気候=地中海式農業」なのだから、地中海式農業が行われている地域と読み変えていい。つまり気候の問題ではなく農業の問題なのだ。そう考えた方がわかりやすい人もいるんじゃない?

 

[解法]「夏季乾燥し、冬季は降水量が多くなる」というのは地中海性気候。この気候がみられる地域には明らかな共通性があって「緯度35°付近の一帯、大陸西岸」が主であるということ。緯度35°付近というのは、高日季(夏のこと。この言い方を知っておくといい)になると中緯度高圧帯に覆われ、下降気流が卓越するために雲が生じにくい大気の状態となる。北半球ならば北緯35°付近一帯は7月を中心とした時期に北上してくる中緯度高圧帯によって支配され、南半球ならば同じように南緯35°付近一帯は1月を中心とした時期に南下している中緯度高圧帯の影響下に入る。

このためこの緯度帯では少雨気候となるのだが、しかし大陸東岸には適用されない。緯度35°付近の大陸東岸は、北半球も南半球も沿岸を暖流が流れ、これが湿潤な空気をもたらすために逆に雨の多い気候となるのだ。日本を考えてみるといい。夏になると小笠原気団に覆われる日本であるが、この小笠原気団こそ北上してきた中緯度高圧帯なのだ。しかし北西太平洋地域は暖流である日本海流の流れが顕著で、水蒸気も豊富に大気中に供給され、この時期の降水量は決して少なくない。逆にいえば、同じ緯度帯であっても大陸西岸であるヨーロッパ南部などでは、暖流の影響がないため降水量が少ない気候となってしまう。

この「緯度35°&大陸西岸」という必要十分条件に沿って、夏季乾燥型の気候すなわち地中海性気候の現れる地域を限定していこう。

まず南ヨーロッパ・北アフリカ・西アジアなど地中海沿岸地域。イタリアが代表的な例。さらに北半球ではもう一地域、アメリカ合衆国の大西洋岸。カリフォルニア州など。

南半球ではおおまかに3つの地域を知っておこう。アフリカ大陸南西岸ケープタウン(南アフリカ共和国)、チリ中央部の首都サンチアゴ付近、オーストラリア南部のアデレード・パース付近。

これらを確実に知っておくことが本問を解くポイントとなる。

またこのような地中海性気候が見られる地域ではブドウの栽培を伴うことが一般的。夏季に不足する飲料水をブドウの果汁で補うのだ。

 

[関連問題]05B追第3問問1参照。地中海沿岸の都市ジブラルタルの気候グラフ。

05A本第1問問3参照。地中海性気候のみられるリスボンの気候。ただしここでは夏季乾燥という特徴が問われているわけではない。

04B本第1問問4参照。アフリカ大陸南西端のケープタウンは夏季乾燥型の気候。つまり高温の時に少雨となる右肩下がりのハイサーグラフ。

03B本第1問問5参照。地中海方面では「冬には降水量が多いが、夏には乾燥する」。

01B追第1問問2参照。同じ緯度35°であっても、東岸の東京は降水量が多く(とくに台風などの影響がある夏季に多い)、西岸のサンフランシスコは少ない(とくに夏季に少雨)。

03A第1問問1参照。アフリカ最北端のaでは1月の降水量が多く7月が少ない。最南端のlでは1月の降水量が少なく7月が多い。

03A第1問問4参照。クのケープタウンではブドウの栽培も。

02B本第5問問1参照。ローマの気候グラフ。

02B追第3問問2参照。イズミルは地中海性気候。タシケントも同じく夏季乾燥型の気候であるが、こちらは乾燥気候。

00B追第5問問1参照。「緯度35°、大陸西岸」に近いマドリードでは夏季少雨気候がみられる。

99B追第4問問2参照。パースは地中海性気候がみられる都市である。「緯度35°、大陸西岸」の条件を充たす。ただしこの問題では夏季に乾燥することはとくに問われていないが。

97B追第5問問5参照。地中海沿岸地域で典型的にみられる気候パターンを問う。もちろん夏季乾燥型の選択肢②を選べばいい。

99A追第3問問5選択肢④参照。これは微妙かな?イタリア半島の乾季は「中緯度高圧帯」によってもたらされるものであり、偏西風帯に覆われれば湿潤になるのだ。

98A本第2問問3参照。ケープタウンには「ヨーロッパ風の農園」がみられるのだが、ここにはブドウが栽培されている。夏季(南半球なので1月を中心とした時季)に中緯度高圧帯に覆われ少雨となる気候を利用している。地中深くまで根を張る植物であるブドウは、こういった地域での栽培に適しているのだ。

96追第1問問1参照。④がナポリを表す。夏季少雨型の気候グラフである。

96追第2問問1参照。A地点のグラフが③である。少雨となる夏季に河川は渇水期となる。

96本第7問問3参照。トルコの輸出品目に「果実」があるが、これはブドウのことである。

95追第4問問3参照。これこそまさに「緯度35°大陸西岸=中緯度高圧帯が夏に移動=地中海性気候=ブドウの栽培」というセオリーの典型的な問題。非常に重要。Zは米国太平洋岸カリフォルニア州の都市(ロサンゼルスだろうか)、Yはチリ中部に位置する首都サンチアゴ。その位置も目で覚えておくこと。ちょっと変わっているのはXで、これはアデレードという都市。一見すると大陸の東岸に位置するように見えるが、大陸を貫く山脈であるグレートディバイディング山脈が大陸の東端を走り、アデレードはその西側に位置するためむしろ「西岸」と考えるべきなのだ。山脈にさえぎられ、暖流である東オーストラリア海流の影響を受けない。99B追第4問で示されたパースと同じく、このアデレードという都市も地中海性気候がみられるところであると必ず知っておこう。ブドウの生産はさほど多くはないが。

94追第3問問1参照。オリーブの栽培地域と地中海性気候。

93本第1問問1参照。地中海沿岸地域は1月に寒帯前線の支配下となり、湿潤。アフリカ南端やオーストラリア南端は7月に寒帯前線の支配下となり、湿潤。

93本第1問問3参照。アはサンフランシスコ。米国太平洋岸カリフォルニア州の都市。

93追第2問問3参照。ケープタウンでのブドウ栽培。

93追第5問問2参照。チリ中部(首都サンチアゴ付近)における夏季乾燥型の気候パターン。

92本第1問問5参照。「緯度30度付近に位置する西岸のある都市」なので地中海性気候のものを挙げる。

92本第5問問2選択肢②参照。アフリカ大陸の南北端にCs気候がみられることが問われる。Csとはケッペンの気候区分で地中海性気候を表す。なおケッペンの気候区分は96年以降センター試験では取り上げられていない。

91本第1問問6参照。仮想大陸というものだが、「緯度35°、大陸西岸」に該当するfが地中海性気候。

91本第2問問7参照。南極を除く全ての大陸にみられるが、面積割合は最も小さいアが地中海性気候。

91本第5問問5参照。②にCsが含まれている。大陸西岸のカリフォルニア州。

90追第1問問7参照。Cのグラフがロサンゼルス。カリフォルニア州南部の都市で地中海性気候がみられる。

 

[今後の学習]夏季乾燥型の気候すなわち地球改正気候が現れる場所は頻出なので必ず知っておこう。これがなぜ重要なのかといえば、2つの理由がり、一つは地域が理論的に限定されていること、もう一つは果樹栽培といった農業と大きく結びついていること。

「緯度35°、大陸西岸」という特殊性は必ず意識しておかねばいけない。南極を除く全ての大陸にみられるが、地域は限定されているためこの気候がみられる範囲は狭い。この特殊性ゆえに出題対象となりやすい。

夏季乾燥する気候であるためこの時季の飲料確保のために果樹の栽培を伴うことが必須で、特に一般的にみられる果樹はブドウである。ブドウは地中深くまで根を下ろす特徴があり、いわば「天然のポンプ」である。冬季の雨水が地下深くに浸透したならそれを体内に蓄え、水分豊かな実をつける。このように果樹栽培を中心とした農業形態をホイットルセー農業区分で地中海式農業というが、降水量が少ない(しかし冬の降水は豊富)な地域において必須なものなのだ。

他の気候区分については具体的にどの地域でみられるかはノーチェックでいいけれど、地中海性気候だけは必ず知っておいてくださいね。