2007年度地理B本試験[第6問]解説

2007年度地理B本試験[第6問]問1

 

2007年度地理B本試験[第6問]問1

 

[講評]今年は「カナさん」だったかぁ。読めないなぁ(笑)。ま、それはさておき昨年の北海道函館市に続き今年は青森県八戸市。北国2連発ですよ、これも読めなかったなぁ。

問題の難易度としては地理Aとの共通問題ということでさほど高いものではない(あ、地理Aが簡単って意味じゃないよ。思考問題中心の地理Bと知識問題中心の地理Aという傾向がはっきりしている中で、両者の最大公約数的なものとして無難な問題が問われる傾向が強いのだ)。ただし、簡単な問題と難しい問題との違いがはっきりしているので、意外と全問正解は望めないんじゃないかな。

問1はこのうち簡単な方。だって過去問そのまんまじゃない?(笑)

 

[解法]最初にすでにオープンとなっている弘前のグラフに注目し、この地域の気候の特徴について考えてみよう。夏の気温は結構高いよね。東北地方っていうのは、太平洋岸は寒流ややませの影響で夏でも気温が上がらないのだけれども、それ以外の地域はその影響もなく、普通に高温になったりする。また一般に夏の降水量が多くなる日本の中では珍しく、冬の降水量も多い。これはもちろん雪の影響によるものだろう。雪といえば日本海沿岸地域であり、この弘前は日本海に面しているわけではないが、それでもこれぐらいの降雪量はあるのだろう。

この弘前と同じようなグラフがウ。これを近隣の青森と考えていいだろう。弘前も青森も場所的にほとんど変わらないのだから、気温や降水量だって同じになるよね。やはり弘前同様に日本海に面していないのだが、「高温の夏、多雪の冬」という日本海側沿岸地域の特徴が明確に現れている。

アとイについては、夏の気温の高低や季節的な降水パターンに極端な差はないものの、冬の気温に決定的な違いがある。1月にマイナス5℃近くまで平均気温が下がるアと、そこまでの気温低下はみられないイ。冬の気温を比べてみて、十和田と八戸どちらが寒いと思う?内陸部であり気温の季節的変化が大きく、さらに図1から見る限り、標高も高そうなのでその分だけ気温も低下するだろう。アを十和田と判定して間違いないと思われる。

 

[関連問題]05B本第5問問1参照。本問との類似性がとくに大きい問題。太平洋岸の釜石は、寒流とやませの影響によって夏季の平均気温が低く、そのため気温年較差が小さくなる。日本海側の横手では冬季の降水量が多いのだが、この間は晴天日数が少なく、日照時間も少なくなる。

 

これ以外にも日本海側の降雪をテーマとした問題は多い。

04B本第5問問4参照。日本海側に位置する新庄市の降水量は冬季に多い。積雪である。

00B追第2問問6参照。「北陸地方では、日本海の海水温が比較的高く、寒気が日本海を渡る距離も長いので、降雪量が多い」とある。

04B追第1問問6参照。アが日本海側を流れる神通川の流量を示したグラフ。雪が多いため冬季でも流量が比較的多い(ちなみに本州は温帯に属するため原則として河川は凍結しない。冬だから川は凍ってしまうんだから、流量は少ないはずだ、とは考えないで下さい。それはロシアとかカナダのような寒冷な国の事情)。さらに融雪期である4月に一気に増水している点も興味深いね。この点はロシアやカナダの河川と共通している部分。

05A追第1問問5参照。冬季の日本上空の雲の様子。大陸から乾いた風が吹き出して、日本海上空で雲を結び、とくに日本の日本海側に大量の雪を降らせる様子を目でとらえよう。

 

同様に冷害をテーマとした問題も多いので、しっかりまとめておこう。北海道から東北地方にかけての太平洋岸は、寒流である千島海流やそこから吹き込む冷涼な風である「やませ」の影響によって夏季の気温が上がりにくい。そのため、米など農作物の生育が妨げられてしまうことがある。本問においても、イの八戸の気温に注目すると夏の気温が低く、標高が高く気温が平地に比べて低いはずの十和田とほとんど変わらないレベル。

07B本第1問問5選択肢④参照。本年度は冷害の問題が多い。冷害は「夏」である。

07B本第6問問4参照。本年度はもう一つ冷害ネタがある。東北地方で稲の作物不良が生じやすいのは太平洋岸。冷害の影響である。

02B本第5問問1参照。北海道東部の釧路は太平洋岸に沿う都市。寒流などの影響により、夏季の気温はあまり上がらない。

05B本第4問問2参照。低緯度で、しかも寒流の影響のない東南アジアで冷害が生じるだろうか。

96本第2問問5選択肢④参照。冷害は、日本海側ではなく太平洋側。

95追第1問問4参照。北海道・東北地方は冷害の危険性が大きく、時に米の生産量が大きく落ち込む。

 

[今後の学習]どんな気候グラフ問題でもそうなんだけど、結局最大のポイントは「暑いか、寒いか」なんだよね。暑ければ低緯度で、寒ければ高緯度なんていう「当たり前」のことを基準にして考えていくのが基本。ただし本問のように、ほぼ同緯度の3点におけるグラフ判定の場合にはそういった気温差が生じにくいのでちょっと難しくなるんだよね。

だからこそ大切になるのは気温年較差なんだと思う。いわゆる大陸性気候と海洋性気候の差異。「暖まりやすく冷めやすい」内陸部では気温年較差も大きくなり、「暖まりにくく冷めにくい」沿岸部では季節による気温の差が大きい。

図1中の4地点ならば、内陸部の十和田が最も気温年較差が大きいだろうし、海に面した八戸や青森で小さくなると考えられる。これにプラスして、やませや千島海流の影響によって夏季の気温が上がらない太平洋岸、季節風の影響によって冬季の降水がとくに大きくなる日本海に面した地域というような特殊要素を加えて考えていく。

 

2007年度地理B本試験[第6問]問2

 

[講評]新課程になって地形図問題の重要度が上がったような気がする。でもそれは難度が上がったというわけではなく、平易な問題だからこそ確実に得点することが必要で、これを落とすようなことがあったら全体としてのダメージは大きいぞ、ということ。

しかし簡単とはいえ、やはりそこは地形図問題。時間がかかるのは仕方がない。とくに今回は解答が④と⑦だから、①から選択肢を読み始めたならば、必然的に全部の選択肢を熟読しないといけないので、かなり時間がかかることは仕方ない。問題の出来不出来よりも、時間をいかに節約してスムーズに解けるかどうかが勝敗を分けるポイントになるのだ。

 

[解法]港湾を含む市街地の新旧対照図。各選択肢も極めてオーソドックス。

①「護岸」がキーワード。「馬淵川」の流れ(水域はグレーで表現される)の両サイドを見てほしい。長い線の片側に点々が付されている。これは「垂直の壁」を現す地図記号であり、具体的にはコンクリートなどで人為的に河川の流れが固定されたものと考えてほしい。「護岸」されている様子を読み取る。

さらに「河川敷にゴルフ場」を検討。「ゴルフ場」の文字の左側に沿って連なる細長いケバケバ線からなるものは「盛り土」である。中央部に道路が通り、その外側に向かって無数の短い線が出ているが、これらは「土の崖」を示している。「崖」というのは極端なので、「土の斜面」ぐらいをイメージするといい。

河川の脇にこのような一連の盛り土が見られる場合、これは何を表していると思う?もちろん「土手」であり「堤防」だよね。みんなの家の近くにもあるよね。こういった土手が散歩コースなんかになっている人は多いんじゃないかな?

さぁ、馬淵川について具体的に想像しよう。河川の流れは護岸され固定されている。しかし土手(堤防)の間の河川敷の部分は比較的余裕を持って広く作られており、そこはゴルフ場として利用されている。ゴルフ場の地図記号なんてもんはないけれど、しっかり文字で「ゴルフ場」と書かれているから問題ないよね。正文。

 

②「砂浜海岸」を探そう。「衛生センター」付近から北の海岸線は砂浜海岸である。分かるだろうか。海との境界はなめらかな線であり、その内側に点々が打たれている。

ちなみに砂浜海岸の反対語は「岩石海岸」。海との境界は凹凸のあるゴツゴツした線によって示されており、その内側に点(というか短い線みたいな感じかな?)が描かれている。いわゆる磯浜である。海岸線は原則として、砂浜海岸、岩石海岸、そして護岸された(人工的な)海岸のいずれかであり、これらの区別は常に意識しておくこと。正文。

 

③これは鉄道を見るしかない。「魚市場」という建物(細長く、中が斜線となっている)付近を探す。確かに無くなっているね。正文。

 

④まず「左岸」という言葉に注意。上流から下流側を見て、左手が左岸、右手が右岸。新井田川の左岸なので「幕平」という辺りを見ればいいだろう。71年の図では、この付近にみられる土地利用記号は「田」で、実際には水田を表していると考えていい。これに対し、01年では「田」の土地利用記号はほとんど消えて、全体的に住宅地となっているようだ。小さな四角は建物を表し、その様子からこれらは住宅であると思われる。「畑」の土地利用記号はみられない。誤文。

 

⑤これも土地利用記号が重要。「畑」の土地利用記号を探そう。Vの字に似た記号。実はこれは厳密には「畑・牧草地」なんだけれど、日本みたいな多雨な国って牧場って少ないから、実際には「畑」であると思ってしまっていい。たしかに「白銀台」など新しく住宅がつくられた場所があるね。正文。

 

⑥八戸港の「整備が進んだ」ことについては問題ないでしょう。今まで海だったところに新たに土地が造成されており、「垂直の壁」で囲まれていることから、コンクリートの人工物であり、埋立て地であることがわかる。さあ問題は「灯台」だ。それっぽいものを探したらいいと思うよ。沖合いに見られる直線状のものはおそらく「防波堤」であり、この先端に「中に点が打たれた歯車」のような地図記号がいくつも見られる。これが灯台なんじゃないかな。っていうか実際そうなんだけどね。えっ、灯台なんてマイナーな地図記号知るわけないって?そんなんまで覚えないといけないなんて無理だって?大丈夫。関連問題の項でも触れているけれど、灯台って実は去年の地形図問題でも取り上げられているのだ。だからそこで勉強しておけば本問も十分に対応できたっていうこと。逆にいえば、過去問研究を怠っている者は本問についてはお手上げだったっていうことだよ。これは重要な教訓だよね。

 

⑦選択肢①~⑥で解答(つまり誤文)が一つだけだったので、これが誤文であることをあらかじめ予想しつつ文章を読むことになると思う。というわけで、ポートアイランドに注目しよう。対岸と橋で結ばれているが、道路が走っているのは分かる(ちなみに道路の中央に線が走っているのは「中央分離帯」。とくに特殊な記号でもないので意識する必要はない)。しかし鉄道はどうだろうか。そんなものは見られないね。やっぱり誤文だ。

以上、解答は④と⑦になる。土地利用記号が重要である点は例年と傾向が変わらない。しかし鉄道もポイントになっているんだよね。どんな鉄道オタクがこの問題を作ったんやろ(笑)。

 

[関連問題]それぞれの選択肢に元ネタがある。この出題者はかなり過去問を研究してるよ。

選択肢①について。

99B追第3問問4選択肢4参照。河川が「護岸」されている様子を読み取ろう。「大栗川」は、1923年には流路が固定されていなかったが、1995年には両岸に「垂直の壁」がみられ、これはコンクリートなどで護岸されたことを示す。

選択肢②について。

02B本第5問問2選択肢⑥参照。「砂浜海岸」が開発されている。古い地形図なので砂浜海岸の表記は現在のものとは異なっているが。

選択肢③について。

03B本第4問問3選択肢②参照。「鉄道」が廃止されている。

06A本第3問問1選択肢②参照。「鉄道」は延長されているか否か。

06A本第3問問1選択肢④参照。「路面電車」の廃止。

鉄道に関する選択肢は比較的多いので、鉄道を地形図で読み取る練習はしておこう。出題者が鉄道オタクなのかな(笑)。

選択肢④について。

河川の「左岸」や「右岸」、さらに土地利用記号がポイントとなる問題は多いので省略。

選択肢⑤について。

同じく、土地利用記号がポイントとなっているので省略。

選択肢⑥について。

06B本第2問問3選択肢①参照。「灯台」が登場している。(土地利用記号の出題は多いが)地図記号はさほど問われないものだが、このように過去問に登場しているものはチェックしておいた方がいいだろう。

これ以外に知っておくといいマイナーな地図記号は「発電所・変電所」「墓地」などがある。いずれも97B追第4問問3参照。

選択肢⑦について。

鉄道の有無を問うている点において選択肢③と共通している。

 

[今後の学習]過去問が良く研究され、その内容が十分に生かされた良問である。内容も過去問のレベルを超えない平易なもの。得点源になる。

地形図問題に苦手意識を持つ者は、あえて地形図問題を無視する(飛ばしてしまえ!)という手もあるのだが、新課程になってからの地形図問題難易度低下という傾向を考えるに、それではあまりにもったいないような気もしてくる。「地形図問題は簡単だ」と暗示をかけて(?)むしろ正面から真っ正直に立ち向かった方がベターかもしれない。案ずるよりも生むが易し。意外と簡単に解けるかもしれないよ。ただし過去問の研究は絶対的に必要だからね。簡単になったということと、準備が要らないということは、決して同義ではない。

 

2007年度地理B本試験[第6問]問3

 

[講評]これ、去年に元ネタがあるんだよな~。昨年の問題内容から今年の出題を予想するのは、我々センター研究家にとって醍醐味なんだけれど、こんな風に当たるとうれしいよね。でも予想が当たるのとそれが解けるのとでは別問題。分かってても結構難しかったりするぞ!

 

[解法]昔の地形図っていうのが難しいんだよね。田や斜面の記号も現在とは違っているもんなぁ。

だから消去法で考えるのではなく、ピンポイントで正解を得なければいけない。答えは③。これはおそらくラグーンでしょ。ラグーンとは潟湖とも呼ばれるもので、大規模なものなら北海道のサロマ湖が有名なので参照してみるといい。もともと浅い海だったのに、沖合いに土砂が堆積するうちに、外海から切り離され、内陸部に取り残されてしまった水域。海岸線に対し並行の湖沼となる傾向がある。

本図においても「八太郎沼」の左に沿う等高線の麓まで浅い海だったはずなのだが、土砂がどんどん堆積してしまい、八太郎沼とその北側の同様の湖沼だけ残して、陸化されてしまったのだろう。

 

他の選択肢については考慮する必要はないが、一応参考までに解説を。ちょっと微妙な感じもするんだけどね。

 

選択肢①参照。Aのように「河川の流れに沿い」「湾曲した低地」となっている地形は「旧河道」である可能性が高い。図4を見る限り、馬淵川が比較的直線に近い流路を流れているが、かつては、3ヵ所あるAの部分を結ぶように、大きく蛇行して流れていたんじゃないかな。

 

選択肢②参照。昔の河口はもっと北寄りだったはず。「馬淵川」の「川」の字のある付近がそのまま河口だったのではないだろうか。しかしそこから沿岸に土砂が堆積し、次第に河口が南東方向に移動してしまった。この細長く堆積した土砂の部分を「砂州」という。

 

選択肢④参照。等高線に注目。Dの部分はCの沼がある低地より10mほど高いところに位置する平坦な地形。海岸段丘の段丘面とみていいのではないか。ちなみに等高線がある斜面の部分を段丘崖という。階段状の地形になっていることを図から読み取ってほしい。

 

[関連問題]選択肢②の元ネタはこれ。06B本第2問問1参照。選択肢③に「ラグーン」とある。こういった外れ選択肢に「次はこれを出題するぞ」っていうメッセージが隠されているのだ。

03B追第5問問4参照。「加茂湖」はラグーンである。

 

選択肢①参照。旧河道に関するもの。

94本第2問問5参照。図2にははっきりと旧河道が描かれているのだが、わかるかな。かつて河川が蛇行して流れていたことを想像しよう。

02B追第5問問3選択肢②参照。ほぼ直線状に流れる本流に脇に「三日月湖」がある。かつて河川はこの位置を通過し、蛇行していた。ここからやがて水がなくなり、完全に陸地化するとそれは「旧河道」とよばれる。

00B本第3問問1参照。36年の図からでも、河道変遷の様子が読み取れる。いまだに水がある部分が「三日月湖」であり、水がなくなってしまったが低地となっている部分が「旧河道」。それが97年にはさらに河川が直線化されることによって、新たな三日月湖や旧河道が形成されている。

 

選択肢②参照。砂州に関するもの。

03B追第5問問3選択肢4参照。陸地から伸びている細長い土砂の堆積地形が「砂州」。なおこれが対岸の島とつながっていれば(これはどうだろう?よく見ると微妙につながっていないかな)「陸繋砂州」となる。

03B追第5問問4参照。「加茂湖」はかつては海につながっている入り江(内湾)だった。

 

選択肢④参照。段丘に関するもの。

03B追第5問問3参照。選択肢①は正文なのだが、図中には何段もの海岸段丘がみられる。最高所の段丘面は「二重平」、その次が「榊原」、低所の段丘面が「菖蒲平」「弾野」。なお、高所の段丘面ほど形成年次が古いため、二重平が最も古い時代に作られたもので、菖蒲平らなどが新しいもの。

04B本第5問問5問6参照。河岸段丘を含む地形図。問6の断面図を見れば、河川の流れに並行して階段状の地形となっていることが分かる。

97B追第4問問3問4問5参照。図2のa・c・dにはそれぞれ河岸段丘が形成されている。aのXの部分、cの「小井平」の部分、dの中央部の茶畑がみられる部分はいずれも段丘面。

04B追第5問問6参照。選択肢②が河岸段丘。河川の流れに並行して「貝沢」や「264」段丘面がみられる。

 

[今後の学習]同じ地形図問題でも問2に比べて本問の方が難易度が高い。要するにラグーンを知っているかどうかなんだと思う。

 

[補足説明]実はセンター受験者用に解説の内容をあえて簡単に削っています。上では「ラグーン」と説明しているけれど、そしてもちろんラグーンと捕らえていいんだけれど、これを「海跡湖」ととらえる考え方もあって、もしかしたらそのように説明するセンター解説書などもあるかもしれない。

海跡湖というのは、かつて浅海だったところが隆起した際に、海底の凹地が水を蓄えたまま内陸部に取り残されることによって形成されたもの。茨城県の霞ヶ浦などがこれに該当する。

ただし、センターで海跡湖という名称は登場していないし、君たちもとくに意識する必要はないだろう。

 

2007年度地理B本試験[第6問]問4

 

[講評]「冷害」の問題だぁ。今回やたら冷害に関する問題が問われているんだよね。ちょっと偏っている気がするんだが。

 

[解法]基本は「冷害」。そして「グラデーションの法則」。

冷害とは何か。夏に十分に気温が上がらないことを冷害といい、農作物の成長に大きな被害を与える。冷害なんて言葉から「冬」を連想する人がいるかもしれないが、「夏」の季語(?)だから勘違いしないように。よく考えてみたら当然なんだよ。冬なんかどんなに寒くても構わない。うちにこもって外出しなければいいんだから。やっぱり夏がヤバイんだよ。農業ができなくなるっていうのは決定的にヤバイ。食べるもんがなくなってしまう!

というわけで、冷害被害の可能性が大きいのは青森県でも太平洋側の地域。図5においては、クの地域でこそ冷害の被害が大きく、収穫量も平年に比べ「低」かったはずだ。

クが決定したので、ここからはカとキを考える。ここで登場するのは「グラデーションの法則」。「低」から「高」へ飛躍して変化することは少ないと思う。「低」から「中」そして「高」へとグラデーションのように変化することが当たり前だと思う。さあ、このグラデーションの法則から考えてみて、「カ=中、キ=高」と考えるのが自然か、それとも「カ=高、キ=中」だろうか。

よく見てみると、キとクが隣接している箇所って一つしかないんだよね。クとカについては数多く見られるのに対し。これから推測するに、クとカが類似し、クとキはかなり離れているんだと思う。このことから「カ=中、キ=高」と判定しました。これでつじつまの合わないことはないと思う。

 

[関連問題]冷害に関する問題、最近多いよね。とくに今年はやたら出題されているぞ。

07B本第1問問5選択肢④参照。冷害は「夏」である。

07B本第6問問1参照。太平洋岸の八戸の夏季の気温は低い。

02B本第5問問1参照。太平洋岸の釧路の夏季の気温は低い。

05B本第4問問2参照。低緯度で、しかも寒流の影響のない東南アジアで冷害が生じるだろうか。

96本第2問問5選択肢④参照。冷害は、日本海側ではなく太平洋側。

95追第1問問4参照。北海道・東北地方は冷害の危険性が大きく、時に米の生産量が大きく落ち込む。

 

さらにグラデーションの法則について。このように階級区分図を取り上げた問題で、それぞれの階級の高低を判定させるパターンの問題ってすごく珍しい。これについては、06B本第4問問607B本第5問問2を参照して、「高」→「中」→「低」と段階的に変化する様子を読み取る。

 

[今後の学習]とにかく「冷害」と「グラデーションの法則」の問題なんだよ。冷害については近年とくに取り上げられる頻度が多いので、過去問さえ研究しておけば十分に対応可能だった。そうでなくても、冷害っていうのは中学地理の学習内容なんだよ(むしろ高校地理では取り上げられないんだよね)。中学レベルの学習を徹底しておけば、冷害なんて簡単に解けたわけだ。

さらにグラデーションの法則については、テクニックというか思考力の問題だ。「地理は社会科だから暗記科目だ」なんて決め付けていると、柔軟な思考が妨げられ、こういった問題が不得手となってしまう。常にオープンな思考回路を持ち、あたかもナゾナゾを楽しむか如くに問題に当たれたらいいんだと思う。

とにもかくにも、「過去問研究」「中学地理の徹底」「思考力」という3種の神器が重要視されるセンター地理Bの典型的な問題というわけでした。

 

2007年度地理B本試験[第6問]問5

 

[講評]カナさんも無理しよんなぁ。いきなり「銚子」とか「釧路」とか言われても分かるわけないやんけ(涙)。魚種に関する知識も重要だけれども、それ以前に日本地理の大まかな知識がないと手も足も出ない問題となっている。日本地理すなわち中学地理の学習がここでも必須事項となっている。

 

[解法]2つのポイントがある。「寒海魚と暖海魚の判定」そして「釧路、八戸、銚子の位置」である。この2つを確実に知っている生徒っておそらく少ないと思うよ。君たちも知らなかったでしょ?

 

ではまず前者の話から。一般的に魚介類は寒海のものと暖海のものに分けられる。寒海の代表的なものに「タラ」と「ニシン」がある。タラは漢字で「鱈(魚へんに雪)」なのでいかにも寒いイメージだよね。ニシンは「鰊」と書くので漢字だけでは寒いのとは関係ないけど。

タラとニシンの共通項として卵が重要だっていうのあるから、まとめて覚えてしまえばいい。タラはタラコだし、ニシンはカズノコでしょ。とにかく「タラ・ニシン=寒い海で獲れる」だけはしっかり押さえておいてほしい。

さらに暖海魚について。これについては「カツオ」と「マグロ」が重要。本来、海中のプランクトンが少ない暖かい海域には魚って少ないんだけど、カツオとマグロは例外。これらは回遊魚といって、極めて広い範囲を泳ぎながら成長する魚。海流に沿って太平洋を回遊していて、例えば「日本海流に乗って東南アジアから日本近海へと北上→太平洋中緯度海域をアジアから北米に向かって横断→カリフォルニア海流に乗って北米大陸を南下→赤道のやや北側を西から東へ横断」なんていうルートを考えてみるといい。たしかにマグロに関してはインドネシアや台湾なんかでも漁獲が比較的多く、わが国へとさかんに輸出されているのだ。

以上のことから考えて、カツオが多いサが暖かい海域に面する漁港、タラの多いシが寒冷な海域に面する漁港である。

 

さらに2つめのポイント。それぞれの漁港を有する都市が果たして日本のどこにあるか?それがわからなければ、そもそも答えようがない。「八戸」の位置は図に示されている。東北地方の太平洋岸だ。「釧路」はどこだろう?これは北海道東部のやはり太平洋岸。かつてセンター試験で取り上げられたことがあるので、過去問研究さえしておけば分かったはず。問題は「銚子」なんだよなぁ。これはセンター初出。ただし中学の教科書には記載されている都市(漁港)なので、そちらで勉強しておけばこの都市についての知識もカバーできたと思う。千葉県の利根川河口に位置する都市で、やはり太平洋に面する。

 

以上のことから考えてみよう。表1中で、注目するべきは最もキャラが立っている2つの魚種「タラ」と「カツオ」以外はありえない!

タラが圧倒的に多いのはシ。最も寒い海域に接する港湾であると考えていい。釧路に該当。

カツオが水揚げされるのはほぼサのみに限定される。これが暖かい海域に接する銚子であろう。

 

さらに参考までに。ヒマだったら読んでね。

「イカ」については原則として寒い海域。ただし実は日本では日本海でのイカ漁がとてもさかんだったりする。「寒い」というか、「どちらかといえば寒い」ぐらいのもんなんでしょう。北海道の釧路、青森県の八戸で漁獲が多いことには納得。

「イワシ」は大量の魚群を組む魚であり、とくに海水中のプランクトンが豊富な水域に生息する。例えば、寒流にイワシが多いのは有名な話だよね。ペルー海流のアンチョビ(カタクチイワシの一種)とか。

そう考えると、寒流である千島海流に面する釧路や八戸でこそイワシの水揚げが多く、暖流に近い銚子では少ない。しかし、表を見る限りそうなってはいないよね。むしろ銚子でこそイワシの値は大きい。実は、銚子には非常に有利な点があるのだ。それが「潮目」に近いということ。潮目とは、寒流と暖流とがぶつかり、海水の動きが複雑になっている海域のこと。銚子沖には寒流の千島海流と暖流の日本海流のぶつかる潮目が存在している。2つの大きなパワーが交わることで、極端にいえば「渦巻き」のようなエネルギーが生じるのだ。海底に積もっている死がいなどの有機養分が、猛烈な勢いで海表面に持ち上げられ、プランクトンの豊富な海域ができる。イワシ類が大量に群れを成し生息する海域が形成されるのだ。

「サケ・マス」については主に北海道と考えておいたらいいと思うんだけどね。でも青森の八戸でも結構獲れてるんだなぁ。まぁとりあえず寒い海域全般ということで。

 

[関連問題]魚種が問われた問題

02B本第5問問4参照。今回の問題と大きな類似性を感じる。日本の都市名が問われ、さらにそこに水揚げされる魚種が取り上げられている。釧路はここでも登場。焼津が勝敗を分けるポイントかな。

06B本第2問問5参照。思考問題であり、知識は必要ないんだけどね。ただし「イカ」が登場しているのが興味深いな。

97A本第2問問5参照。「その地域の自然環境と強く結び付いた食材を用いている食習慣の事例として適当でないもの」を特定する問題で「日本の沖縄地方では、惣菜の具に昆布を多用する」が解答となっている。分かるかな?沖縄はたしかに料理に昆布をたくさん使い、人口当たりの昆布消費量は日本有数である。しかし昆布は寒い地域で採れるものであって、沖縄の産物ではない。沖縄の人々は北海道などで採られた昆布をわざわざ輸送して、食卓に並べているのだ。何でなんだろうね。おもしろい食文化だと思うよ。

 

海流について。

03B本第5問問1参照。日本海流(黒潮)の流れが問われている。

06B本第5問問2参照。寒流の流れる位置。

05B本第1問問3参照。寒流の流れる位置。

03B追第1問問3参照。海流と水産業の関係を考える際には非常に重要な問題である。選択肢③参照。「寒流」は存在しないとある。寒流がみられるのは、低中緯度の大陸西岸(例;ペルー海流)と中高緯度の大陸東岸(例;千島海流)。よって、低中緯度の大陸東岸か中高緯度の大陸西岸を探せばいい。選択肢④参照。「寒流」とある。寒流の流れている海域を探す。なお「湧昇流」とは海底から海表面の方向へ向かう縦方向の海水の動きで、寒流や潮目にはこういった流れが存在する。これがあることによって海底の有機養分(有機塩類)が海表面へと持ち上げられるのだ。選択肢⑤参照。「潮目」とは暖流と寒流が会合するところ。太平洋北西部(日本付近)と大西洋北西部(カナダ東岸)に大きな潮目が形成されている。とくに日本については、寒流(千島海流)が北海道から東北地方にかけての太平洋岸を南下し、暖流(日本海流)が九州から関東地方の太平洋岸を流れることを考え、両者が千葉県沖でぶつかることを想像する。

 

[今後の学習]2つのポイントをいかに克服するか。かなり難しいことだよなぁ。

魚種については過去問でもしばしば取り上げられているし、さらに地理というか一般常識の範囲でもあるし、ぜひとも知っておいてほしい。上でも述べたように、典型的な寒海魚が「タラ」と「ニシン」、同じく典型的な暖海魚が「カツオ」と「マグロ」。

さらに追加するならば、寒い海を好むものとして「イカ」「カニ」「コンブ」「サケ」「マス」があるのでこれらもぜひとも知っておこう。暖かい海のものには「アジ」や「サバ」がある。

問題は日本の都市名なんだよな。「釧路」については過去問で出題例があるので、これは過去問研究で十分にカバーできる。それに対し、初出の「銚子」はどう対応しようか。なかなか難しい問題だ。やっぱり中学の勉強をしっかりしておくしかないんだよ。中学重視で行こうぜ!

 

そしてもう一つ僕の個人的な見解を伝えておく。過去に日本の漁港を取り上げた問題が複数回出題されていることから分かるように、これは意外に重要な話題だと思って間違いないだろう。ただし水産物の水揚げ高というネタはちょっと飽きた気もする。どうだろう、次は「養殖」に注目してみたら?統計を参照して、「カキ」や「ノリ」そして「ウナギ」などの生産量が多い県を整理しておくのは有効な手だと思うよ。

 

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