2010年度地理B本試験[第2問]解説
2010年度地理B本試験[第2問]
最近地域調査系の問題(地形図含む)は第2問に配置されることが多いね。そういう意味では予想通りという感じでしょうか。しかし山形県とは思わなかったな。山形県は、01B本で山形盆地が取り上げられ、06B追で日本海に浮かぶ飛島が取り上げられたのに続いて3回目の登場!これ、かなり多いよね。この偏りは特殊すぎる。
ただ、もしかしたら山形県の登場はある程度予想できたかもしれない。というのも、地域調査の対象県ってほとんどが日本海側の雪国だったりするのだ。とくに新課程以降についてはこの性格がより強まっている。
06B本 北海道函館市
06B追 山形県飛島
07B本 青森県
07B追 富山県
08B本 広島県
08B追 石川県
09B本 鳥取県・島根県
09B追 新潟県・長野県
でもいきなりチエミさんはないなぁ(笑)。こっちの予想はマジむずかしいって!
<2010年度地理B本試験[第2問]問1>
[講評] 写真判定問題ですね。この手の問題はコツさえ覚えてしまえば簡単に解けるのだ。
09年もちょっと雰囲気は違うものの、同様の写真と視線を判定する問題が出題されていた。こちらの方が難易度的には楽とはいえ、解法パターンを固めておいて、似たようなタイプの問題が出題された時に対応できるようにしておこう。
とにかくポイントは視線をはっきりと定めること。そしてその視線にそって実際に「風景」を眺めている。問題冊子を持ち上げ、ひっくり返し、矢印と自分の視線を合わせてみる。平坦なはずの地形図が、立体的な主張をもって、キミの眼前に迫ってくるはずだ。
[解法] 写真判定問題については、自分の視線が最重要となる。写真(この場合は図3)の中央に縦線を引いてみよう。自分がこの線に沿って風景を見ていることを想像する。「図3」という文字の「図」と「3」の間ぐらいが目安だと思う。ここに縦線を引いてしまおう。そうなるとどうなるかな。この縦線の右に並行するように、低い山稜がやはりこの図を縦に貫いている。やや中央のやや左に小さなふくらみがあるが、全体的な標高が高いのは右手奥である。とくに中央部やや右に標高が高い山があることをしっかりつかむ。
この情報だけ確認して、図2を参照してみよう。1から4までの視線に注目。重ねていうけれど、こうした視線問題は自分の視線をはっきりと確定させることが肝要。この図1についてもやはり視線を描く。1の矢印をそのまま延長して、1から見た視線を作る。2から4の矢印も同様に延長して、やはり視線を作ってみよう。
そして、それら1から4の視線と、自分の実際の視線を合致させよう。問題用紙を持ち上げ、ひっくり返して、1の方向から図を覗き込んでみる。1の視線(矢印の延長)の右に沿って、低い山稜が走っている。やや奥の左手に独立した山がある。全体的に右手奥の標高が高いが、中央部やや右にとくに標高が高い高峰があるようだ。等高線が幾重にも重なっているのでここに高い山があることがわかる。
どうだろうか。写真から得られた情報が、そのまま1からの視線に当てはまる。1を正解にしていいでしょう。
[最重要問題リンク] 写真を使った視線判定問題は、数こそ多くないものの、本試追試問わずいたるところで出題されている。その中で最も本問と類似性があるものが、2003年度地理B追試験第5問問5参照。本問と全く同じ解き方で解ける。
写真の中央に線を引いて、図の矢印に沿って視線を(4本)描く。そして、問題用紙を傾けながら実際にいろんな方向から図を「眺め込み」風景をイメージする。
[今後の学習] 最重要リンクで取り上げた03年の問題以外でも類似する問題は多く、09B本第2問問2などは典型例。「写真の中央に線を引く」「図の矢印に沿って視線を伸ばす」「視線に沿って図を眺める」というような一連の作業を意識しよう。この作業を確実にこなせば、絶対に解ける問題たちである。
<2010年度地理B本試験[第2問]問2>
[講評] なるほどっ!って思った。一見すると写真からさまざまな情報を読み取らないといけない問題って思って、これはしんどいなって感じた。センターの写真てどうしても不鮮明なところがあって、読み取り間違いって結構あるんだよね。さてこの問題はどうしたもんかなとじっくり文章を読んでいったら、いや、ちょっと安心した。写真には別にポイントはないんだよね。キーワードは山形県っていうこと。ある意味、日本の東北地方における定番問題っていうわけなのだ。ガッチリ得点するべき問題だぜ!
[解法] 写真を用いた正誤判定問題ではあるけれど、こうした問題は最初にじっくり文章を読むのがコツだったりする。写真から情報を読み取るのは難しい(はっきり印刷されているわけではないからね)のだから、出題者としても、写真の内容そのものではなく、文章の中にはっきりとした「答え」をしのばせるパターンの方が一般的。
それっぽいキーワードを探す。
選択肢1「雪の滑落を容易にする」。よくわからん。保留。
選択肢2「冬季に家庭への出入りを容易にする」とある。例えば「冬季」には「夏季」といったような反意語がある。後で検討しよう。保留。
選択肢3「夏季にやませの影響を受け」とある。「やませ」は過去問でも登場した重要キーワード。やませと関連する言葉は「冷害」「夏季」「太平洋岸」など。やませは夏に北海道東部や東北地方の太平洋岸に吹き込む風であり、気温が低く抑えられるために冷害(作物不良
を誘因する。どうだろうか。本問で取り上げられている最上地域というのは山形県であり、これは日本海側である。太平洋側には該当しない。これを誤りとする。
選択肢4「冬季に季節風の影響を受ける」とある。日本列島の日本海側は冬季にシベリア高気圧から吹き出す北西季節風の影響が強く、降雪量が大きくなる。これは納得。
以上より、正解は3となる。やませが絶対的なキーワード。日本海側(季節風による降雪)と太平洋側(やませの影響で夏季冷涼)という東北地方の自然環境の違いを意識しよう。
っていうか、よく考えてみると、選択肢1、選択肢2、選択肢4ってぶっちゃけ全部同じようなことを言っているんだよね。雪の話ばかり。日本海側地域っていうのはそれだけ雪の影響力が生活の中の隅々にまで入り込んでいるということ。
[最重要リンク] 「やませ=冷害」の出題パターンは一個しかないので、この問題をガッチリ頭にインプットしておけ。07B本第1問問5参照。選択肢4にこのような文章がある。
「日本の東北地方では、冬に寒冷な風が季節風が吹くと、日本海側では雪害、太平洋側では冷害が生じる。」
どうだろうか、誤り選択肢なので、どこかが間違っているのだが、わかるかな。冷害は夏の「季語」であるのだ。夏の低温による作物不良が冷害であって、「冬の寒冷な風」など全く関係ない。
[今後の学習] センター地理というのは中学レベルの学習をしっかりしておけば、少なくとも知識面だけは十分にカバーできたりする。「やませ」っていうのはその中学レベルの学習の典型例だと思う。中学でしっかり勉強した人が絶対に知っている事項がやませだよね。「千島海流→やませ→気温低下→作物不良」っていう流れを確実に意識しましょう。
<2010年度地理B本試験[第2問]問3>
[講評] すばらしいです。センター地理の本質を突いた問題。こうした問題をみるたびに、やはりボクのセンター地理の捉え方は間違っていなかったのだなと思う(あ、軽いジコマン野郎です・笑)。
地理には統計学の側面があるのだが、そこが強調された問題。絶対的な数と相対的な数の根本的な違いを理解しているか。それが問われている。
[解法] 本来なら問題の文章や表をじっくりとみていくべきなのだが、何と言っても先に目に入るのは図4で示された3枚の統計地図。これがおもしろいんだわ。2種類に分けられる。カとキが階級区分図。地域ごとに色分け(模様分け)がなされ、指標の「高低」が示される。一方、クが図形表現図の一つで円積図とよばれるもの。円の面積の大小で、指標の「多少」が示される。階級区分図が割合(相対的な値)を表現するものであるのに対し、図形表現図が実数(絶対的な値)を表現するものであることを、まず意識しよう。
その上で、選択肢となる指標を確認する。「15歳未満人口割合」と「人口密度」は、それぞれ「15歳未満人口÷総人口」、「人口÷面積」によって算出されるもので、こうした計算(割り算)の過程を必要とする数値を「割合」という。それに対し「野菜の産出額」は、金額をそのまま当てはめるだけであり、こちらは計算の過程が不要。これを「実数」という。
カ~クの中で、実数すなわち絶対的な数を表現している図はクだけである。クが「野菜の産出額」となる。
階級区分図であるカとキは割合を示すものであり、これについてはちゃんと表1を参照しないといけない。パッと見た感じ、舟形町に注目するのがいいような気がする。舟形町は15歳未満人口割合が11.6%と他に』比べて低い値になっているのに対し、人口密度は56.0%と新庄氏に次いで高い値となっている。舟形町の値が「中」レベルであるカが人口密度となり、同じく「低」レベルとなっているキが15歳未満人口割合となる。
なお、人口密度は、人口に比例し、面積に反比例する指標であるが、このことから面積が大きな地域においては人口密度が高くなりにくいという傾向があることも意識しよう。面積の広い真室町、戸次村、最上町などで人口密度が「低」となり、面積の小さな舟形町で「中」となっている点など、たいへん興味深いと思う。重ねてチェックしておこう。
[最重要リンク] あえてこれで行きましょう。2000年度地理B本試験第1問問3参照。情報通信手段の普及度の問題と思わせつつ、実は実数と割合の問題。
「電話回線数(千人当たり)」と「携帯・自動車電話契約数(千人当たり)」は「割合」であり人口規模に反比例する傾向があるが、パソコン保有台数は「実数」であり、人口が大きい国ほど数値も大きくなるはず。
シンガポールを特定する問題だが、この国は人口小国である。割合の数値が大きく、実数の数値が小さい選択肢が正解。どれかわかるかな?
[今後の学習] 地理には統計学の一面もあるため、このように統計指標の区分には神経質にならないといけない。この統計は「実数」なのか「割合」なのか、「割合」だとすれば分子と分母はそれぞれ何なのだろうか。
図4のカ~クを見た瞬間に、カとキが階級区分図であることから割合を表す統計地図であることを読み取り、クが図形表現図であることから実数を表す統計地図であることを考える。
その時点で、3つの指標のうち一つだけ実数である「野菜の産出額」がクであることがわかる。
さらに割合の2つのうち、「人口密度」は「人口÷割合」で人口に比例し、面積に反比例する指標。カとキのうち、広いところで低く、狭いところで高くなっている傾向が強いカを人口密度とする。
実はこんな風に、表1を見なくとも解ける問題だったりするのだ。統計を使いこなせ!
<2010年度地理B本試験[第2問]問4>
[講評] これは手強かった!今回ボクが最も難儀した問題。「氾濫原」や「河岸段丘」といったような小地形の名称が問われていたり、「600m」なんていう長さが問われていたりする。ちょっとセンター地形図問題としては珍しいとは思う。しかも各選択肢がスゴく曖昧。解釈次第でどのようにも文意をとれそうなそんな気がする。よくわからんのだ。。。
[解法] 地形図問題は文章から読んでいけ、の鉄則。
選択肢1「氾濫原」から。氾濫原というのは河川沿いに形成された低地。「河川」を探し、その周辺の「低地」を探す。河川の流れは何とか判定できるだろう。低地についてはわかりにくいのだが、「田」を探すのは一つのテクニック。水田はそもそも水持ちのいい低地(低湿地)に作られるものだ。
選択肢2「河岸段丘」。河岸段丘は、河川沿いにみられる階段状の地形で、等高線から判定する。第1問6図5で海岸段丘が取り上げられているので、これが参考になるだろう。河岸や海岸に並行して等高線がいくつかみられ、その上に平坦な地形がみられ、さらにその上に密な等高線が続く。「段丘崖→段丘面→段丘崖」の組合せを探すこと。
選択肢3「約600m」。近年のセンター試験の地形図問題でこのような実際の長さが問われたケースはない。非常に珍しいと思う。でも、それなりの備えは当然しておかないといけない。問題文より「5万分の1地形図」であることを読み取る。実際の600mは、地形図においてはどれぐらいの長さで表されるだろうか。600mは60000cmで、600000mm。「600000÷50000」で「12」となる。図中で12mm南を探したらいい。
選択肢4「約30m」。この地形図の縮尺は5万分の1。だから等高線の間隔は標高差20mごとに描かれている。30mならば、確実に等高線1本はまたいでいるけれど、2本まではまたぐことはない。ん、ちょっと判定が難しいかも。
以上のことを念頭に入れて、地形図と対照させながら正誤を判定していこう。
まず選択肢1。「新田平岡」の周辺、さらには「金山川」の文字付近にいくつもの「田」の土地利用記号がみられる。河川沿いに水田がみられたら、氾濫原とみていいと思う。等高線や土手(堤防)など河川と水田を妨げるものもないし、河川の周囲の低地に水田が広がっている様子をイメージしよう。
選択肢2。「共栄」集落はたしかにほぼ平坦な土地の上にあり、これだけ見ると河岸段丘の段丘面に位置しているといえる。ポイントは段丘崖の存在なんだよなぁ。共栄と新田平岡の間に等高線が存在し、ここを「段丘面」ととらえることはできなくはない。金山川に並行に等高線が描かれ、川に沿って階段状の地形が形成されている。
選択肢3。ここで決定的に重要になるのは「12mm」という数字。どうなんだろう?共栄の南川の丘陵ってどこなんだ?「K」の辺りはたしかに等高線が幾重にか描かれ、丘陵地とみえなくもない。でもこれだと明らかに12mm以じゃない?600mじゃ済まない。12mmという数字にこだわれば、「164」mの山頂を有する「神ヶ沢山」がみえる。でもこれって南なのか?共栄からみれば明らかに南東に位置する。広い意味で南とは言えるんだが、それならそれで最初から「南東」って問題文に書きそうな気がする。ものすごく悩んだ。ボクは結果的にこの3を誤文にしました。どうなんだ?これって当たってるの?間違ってたらスイマセン。でもそれぐらい判定は微妙なんです。
選択肢4。これもめちゃくちゃ難しい。先にも述べたように、5万分の1地形図では、20mごとに等高線が描かれているので、30mってのは中途半端。これってキツいよね。共栄集落のやや北側に「平岡」「107」など書かれているが、この付近を通っている等高線が100mのものだろう。共栄集落のすぐ右手、「神ヶ沢」付近を通過している等高線が120mのものと思われる。だから共栄集落はどれくらいかなぁ。115mぐらいと思って良さそうな感じだけど。
一方、新田平岡集落。「107」のそばの等高線が100mであるのは前述の通り。で、その下なんだが、「糸出」の「出」の字の下をかすめて右へ進み、一部に「土の崖」の記号がついた線があるよね。やがてカーブし、上へと伸びて、「新田平岡」の「田」の字付近へと消えていく。これっておそらく等高線なんですよ。80mの。「糸出」から鉄道を越えてちょっと北側にある等高線(第1次補助曲線なので破線となっている)がおそらく70mだと思われるので、先の等高線を80mとみて妥当でしょう。
これより「新田平岡」集落の標高は約80mと読む。集落の中を等高線が通っているからね。
「共栄」が115mと判定したので、両集落の高度差は35mと計算できる。「約30m」と言っていい。
以上より、正解(誤文)は3となる。でもどうなんだろ、マジで全然自信がないです。1が答えってことはないと思うけれど、2についてはかなり怪しいんだよなぁ。4についてももしかして!?って感じがするし。いやぁ、本当に「あいまいすぎる」地形図問題なわけです。
[最重要問題リンク] 問題そのものの出来がよくわからんので、とりあえず河岸段丘だけ確認してオッケイということにしておきましょう。2004年度地理B本試験第5問問6参照。等高線や示されている標高から、断面図の形状を想像しよう。段丘崖と段丘面が連続している様子を読み取る。
[今後の学習] う~ん、ボク自身が確信もって答えを出していない時点で、学習対策も何もないんだわな。とりあえず本問から得られる教訓的要素を挙げておきます。
・氾濫原の判定・・・これはよく出てくるネタなので氾濫原の読み取り方をマスターしておこう。河川を探し、その周辺に田の土地利用記号を確認する。
・河岸段丘の判定・・・等高線にこだわろう。川の流れに並行して等高線が走っている様子を読み取ろう。
・距離の判定・・・試験会場にモノサシなどの道具は持っていくことはできないが、何らかの手段で長さを図る手段は確保していこう。体の部分や、鉛筆の幅や長さで対応するべき。今回このような問題が登場してだけに、これからはちょっと怖いぞ。
・等高線の判定・・・これ、本当に難しい。やっぱり普段から問題をたくさん解いておいて、目を鍛えておかないといけない。地形図で細い線によって表されるものは「等高線」「(幅の小さい)道路」「(小さな)河川」の3つ。本来の地形図ならば、等高線は茶色、道路は黒、河川は青で表されるので、判定は難しくないのだが、センター試験の地形図問題は(白黒印刷なので)全部黒になってしまう。これはやっぱり厄介なんだよね。がんばって目を鍛えるしかないっちゅうことです。
<2010年度地理B本試験[第2問]問5>
[講評] さらに地形図問題。こちらは異なる2つの時代の地形図を比べて、その変化を読み取る問題で、センターでは最もオーソドックスなパターン。しかも土地利用が問われており、それもセンターでは最もありがちなもの。初心者が、センターの地形図問題とはどういうものかっていうのを知るのに、最適なテキストだと思う。
その土地利用だけど、「畑・牧草地」「田」「広葉樹林」「竹林」「針葉樹林」などについては鉄板で知っておこう。さらに堤防ってあるんだが、これは「土の崖」の記号に注目するのが大事。土の崖の組合せによって堤防が表されているのだ。これ、絶対的な基本です!
[解法] 地形図問題の鉄則は最初に選択肢の文章を読み、ある程度「見るべきポイント」を見当つけてから、地形図を見ること。最初に地形図を漠然とみてしまうと、かえって解きにくいよ。
というわけで、まず選択肢を読んで行きましょう。
1;「畑」から「水田」に変化。畑については「畑・牧草地」の土地利用記号に注目すればいい。「V」で示される土地利用記号は「畑・牧草地」であるが、わが国ではほとんど牧草地はみられないので、この記号をみたら畑と考えていいと思う。また「・」は厳密には単なる「田」であるが、水田と田は同義であると考えていいので、やはり「・」の記号を探したらいい。
2;「広葉樹林」から「牧草地」。広葉樹林の土地利用記号は知っているね。牧草地とは特殊だが、「畑・牧草地」である。
3;「広葉樹林」「針葉樹林」から「竹林」へ。広葉樹林と針葉樹林はメジャーなのでみんなもよく知っているね。でも竹林っていうのはちょっとマイナー。とはいえ、こうしたマイナーな土地利用記号も普通に問われるのがセンター試験なので、注意しないといけない。
4;「広葉樹林」と「堤防」。堤防については「土の崖」の記号から読み取るのがベター。「土の崖」は崖というほど険しい地形ではなく、単なる斜面程度のものだと思ったらいいよ。
では、それぞれ検討しましょう。
1;正文。たしかに畑地から田へと土地利用記号が変化した。
2;正文。図5ではK付近に広葉樹林の土地利用記号がみられる。図6では「畑・牧草地」がみられるが、それよりも「町営放牧場」という言葉に直接注目してしまったらいいね。
3;図5ではLのやや右手に広葉樹林の、やや下に針葉樹林の、土地利用記号がみられる。図6では同じ位置の周辺には、針葉樹林がみられる他、「荒地」がみられる。しかし他にはとくに土地利用記号はみられないようで、もちろん「竹林」もない。あ、竹林の記号については図の中にないので、各自で調べておいてください。スンマセン。。。
4;図5ではM周辺に田の他、広葉樹林もみられている。図6では広葉樹林はなくなっており、堤防が整備されているようだ。正文。
[最重要問題リンク] 本来なら竹林の土地利用記号が問われた例などを紹介するべきなんだが、ここは堤防をキッチリと理解してほしいので、あえてこの問題で行きましょう。
2000年度地理B本試験第3問問1参照。図1の1997年の地形図が非常に分かりやすい。河川の周囲にさまざまな堤防がつくられている。例えば、道路があってその両側に「土の崖」が描かれているパターン。これは全体的にみられる。
また土の崖の記号のみが組み合わされたパターン。これは北の「草原」付近にいくつもみられる。小規模な堤防と考えるのが妥当だろう。
[今後の学習] センター試験の地形図問題はある程度パターン化されているので、できるだけ多くの問題に当たって、慣れておくことが最重要。とくに本問の場合は、土地利用記号や堤防(土手)の読み取りといった、もっともポピュラーな話題が出題されているので非常に参考になる。
<2010年度地理B本試験[第2問]問6>
[講評] 時間はかかるけど、こうした問題はしっかり取り組んだ方がいいよ。絶対に解けるから。時間がかかることはおそれてはいけない。そもそもセンター地理っていうのは時間がかかる試験なんだから。いや「時間がかかる」ではないな、「時間をかける」試験なのだ。
[解法] 図7参照。目盛りが実数を表していることをまず確認。数字を読み取る意識を強める。さぁ、とにかく一つ一つの文章を検討していくぞ。時間をかけてがんばろう!
1;第2次産業の就業者数が減少し始めた時期を具体的な年号で読み取る。男子は、2000年から2005年にかけて初めて減少に転じた。それに対し、女性は1990年から1995年にかけて減少し、そこからはずって数字を減らしている。女性の方が「早く減少し始めた」のだ。NGです。答えではありません。
2;男性に注目。1960年の第1次産業の就業者数は約2500人。これに対し、1980年は約1500人。どうかな、微妙かな。「半分以下」とはいえないんじゃないかな。除去。
3;選択肢1と似てるな。女性の第2次産業就業者数は、1990年から1995年にかけて明らかに減少している。これもアウト。
4;数字を比べろ。「第2次産業>第1次産業」となったのは、女性は1980年。1975年の段階では、第1次産業が約1200人で、第2次産業が約500人であったのに、1980年には、それぞれ約700人、約900人となっている。それに対し、男性は1980年の段階ではまだ第1次産業就業者数の方が多い。1985年になってようやく同じぐらいだろうか。明らかに「第2次産業>第1次産業」となったのは1990年が初めて。どうだろうか。文章を検討し、これが正文ということがわかる。4を解答とする。
このように丁寧に数字を読み取っていく姿勢を大切にする。問題が「図7から読み取れることがら」だけを問うているので、なぜそのような状況となったのかという「理由」を考える必要はない。っていうかむしろ考えてはいけない。冷静に、何の先入観も抱かず、ひたすらにグラフと文章に注目するべきなのだ。マシーンのようなクールな心を持て。
[最重要リンク] 先入観は何も持たず、クールに分析していく。同じようなマインドを持った問題として思い当たるのが、石垣島の人口ピラミッドの問題。2003年度地理B本試験第5問問6参照。
石垣島という離島の話なので、おそらく人口が減っていく過疎地域の話題なんだろうなって
決めつけると思わぬケガをするっていう問題。「20年間」の変化をしっかりとグラフから読み取ろう。
[今後の学習] 時間がかかるんだ。時間をかけなさい。こうしたパターンの問題はすごく多いんだが、いずれも解くのにそれなりの時間を必要とします。実はそのからくりの一つに、この手の問題の正解として「選択肢4」が圧倒的に多いっていう理由もあるのだ。選択肢1から正直に読んでいった人は、選択肢4にたどり着くまでに多くの時間を消費してしまう。
でも、それは仕方ないと思う。最初から「選択肢4が怪しい」と思い込んで、この選択肢から読み進めてしまうことは逆にミスを誘発する。選択肢1から3の間に正解があった場合にスムーズに対応できない。そういった「思い込み」を捨て、きちんと冷静に解いていくことがやっぱり必要なんじゃないかな。時間をかけましょう。