2013年度地理B本試験[第6問]解説
<2013年度地理B本試験第6問問1>
[インプレッション] おっ、徳島県じゃありませんかっ!?2012年度の模試で徳島県をテーマに地域調査の問題を作ったんですよね。ちょっと的中(笑)。でも内容は全然違うし、どうでもいいかー。
[解法] 図1に対し、南西方向から実際に眺めてみよう。テストの用紙を持ち上げて覗き込む感じで(笑)。右手側に平地が広がり、左手側に山地が伸びる。海岸線の形状もヒントに鳴っていると思う。3が正解でしょ。
[ひとこと] 実際に覗いてみよう。
<2013年度地理B本試験第6問問2>
[インプレッション] 日照時間に関する問題。それにしても今年度の試験は気候に関する問題は形式的に目新しいものが多い。かなり頭を使わないといけないな。
[解法] 今まで日照時間に関する問題といえば、日本海側の豪雪地帯の都市が取り上げられ、冬季の日照時間の少なさからそれを判定する問題が一般的だったのだが、本問はそうなっていない。東北地方の都市(会津若松市)は取り上げられてはいるものの、日本海側というわけではなく、雪についてはよくわからない。
だから今回は逆のアプローチを取ろう。日照時間が年間を通じて多いところとして、瀬戸内海地方を考える。夏季は四国山地によって太平洋からの湿った風が遮られ、冬季は中国山地によってやはり日本海からの湿った風が遮られる。例えば「晴れの国」で知られる岡山県などは年間の日照時間が日本で最も長い地域である。これに照らし合わせて、全体の日照時間が多いアを徳島市(一応瀬戸内地方と考えてもいいよね)と判定する。
で、ここからが難しいのだ。イとウのグラフは例えば冬季の日照時間がほとんど同じであるなど、非常に判定が難しい。ここは明確な差があるところとして夏季の日照時間に注目するしかない。沖縄の宮古島ならば夏は台風の襲来などによって降水量はかなり多いはず。それならばある程度は雲に覆われる日も多いだろうから、夏季の日照時間はさほど長いものにはならないだろう。逆に福島県の会津若松市は内陸部であり、カラッとした天気の日も多いのでは?う〜ん、はっきりとは断言しづらいな。とりあえずボクなら3を正解にします。どうなんかな。
と思ったら正解は5!でした。すいません、間違えました。。。
なるほど、考慮すべきは「梅雨」だったのか!沖縄は梅雨の時期が早いから7月にはすでに梅雨明けしており、この月の日照時間は長い。逆に福島は7月まで梅雨があるので、日照時間が短い。そういうことなんだろうなぁ、そうとしか考えられない。難しいわ。
[ひとこと] たつじんも間違えます(涙)。
[間違えたので再解説]
こういう問題って「日本海側地域の雪」が重要なポイントになるのだけれど(つまりそういった地域は冬季の日照時間が極端に短いっていうパターンね)、福島県会津若松市は東北地方の寒冷な気候はみられるものの、日本海に面する都市ではなく、雪の量は少ないはず。つまり、冬の日照時間については実は結構長いんじゃないか?っていう懸念も生じる。他の都市とどう違うんだ???全然わからないぞ!
こうした「難問」については、問題文の内容に素直に反応してしまうのが得策。とくに本問のように問題文が4行以上あれば、必ずそこに答えを解くカギが隠されていると考えていい。気になるには「天日乾燥」が盛んだったという事実。なるほど、徳島市は好天に恵まれた地域に位置する都市なのだろう。他の2つに比べ、明らかに日照時間が長いとみていい。ここでグラフを参照。夏の間の日照時間については、細い月ごとの差異はあるけれど、数ヶ月単位でみるならば、ア~ウに大きな違いはない。結局ポイントは冬の日照時間なのだ。イとウは短く、アだけ長い。先にも言ったように雪国においては冬の日照時間は極端に短くなるのだが、本問の場合は、徳島市と宮古島市はいずれも温暖な地域に位置し、雪は降らないだろう。降雪量の多い可能性があるのは会津若松市だけなのだが、ここにしても日本海側の地域ではない(福島県は太平洋に面した県だね)、決して雪国というわけではないようにも思えるのだが。
いずれにせよ、とくに冬の日照時間が多いのはアの一つだけなのだ。ここは素直に考えましょう。「徳島=日照時間が長い」と考えてしまっていい。アを徳島市と断定する。なるほど、確かに徳島市の位置する瀬戸内地方は、夏季の南東季節風のもたらす水分が四国山脈によって、冬季の北西季節風がもたらす水分が中国山脈によって、それぞれ遮られるため年間の降水量が少ない地域となっているだ(これは中学地理の知識だね。中学校の勉強は必須だよ!)。
さらにイとウの判定なんだが、この2つのグラフの形がそっくりなのが辛い。とはいえ、明確に異なっている部分もあり、それが5月から7月。5月が最低値であり、そこから7月にかけて値が上昇していくイに対し、5月から7月にかけて下がっていくウ。本来なら、夏至に近い7月の日照時間は北半球ならば長くなって当たり前であるのに、こういった動きがみられるのはなぜだろうか。
そう、これって「梅雨」だよね。6月後半から7月前半にかけて日本は梅雨のシーズンとなり、前線に覆われる。曇りの日が多くなり、日照時間は短くなるのだ。ただ、イについては、上述のように5月が低く、7月が高くなっている。つまり5月の方が雨や曇りが多く、7月は快晴になるっていうこと。そうか、なるほど、これは「梅雨の時期」の違いなのだ!と思い当たった君は大正解。沖縄の梅雨の時期は早く、5月には入梅する。梅雨前線はしだいに北上し、西日本は6月が梅雨の中心となり(なるほど、たしかに徳島市では6月に日照時間が大きく低下している)、東日本では7月の半ばほどまで梅雨が続くことが普通である(ちなみに北海道は梅雨がありません)。イで5月、アで6月、ウで7月と日照時間の短くなる時期がずれているのは、まさに梅雨前線の移動を考えたらいいんじゃないか。イが宮古島市、ウが会津若松市、正解は⑤となります。
こんな感じで、たしかに難問ではあるんだけど、考えるポイントの多い良問でもあるのだ。日照時間については「冬の日本海側でとくに短くなる」ことこそ特徴的と思っていたのだが、こうした問題を目の当たりにすると「梅雨となる時期」も非常に重要なのだなということがわかる。日本にしかみられない特殊な気象パターンである梅雨について、深く印象付けることが大切なのだ。
ちなみに、宮古島は6月から9月ぐらいまで台風に多く襲われると思うのだが、台風は日照時間に与える影響は小さいみたいだね。
<2013年度地理B本試験第6問問3>
[インプレッション] どうもはっきりしない地形図問題であるな。簡単といえば簡単なんだが。妙に腑に落ちないところもある。
[解法] 1が間違っているよね?簡単すぎてかえって迷うんだが。『黒崎』っていうところが塩田。現在は住宅地になっている。つまり「市街地化」。
黒崎の西方に水田がみられた。これも現在住宅地になっており、やはり市街地化は進んでいる。これだけの問題だよね。でもちょっと怪しいので他の選択肢も確認。
2;鍋島っていうのかな。この上を現在は小鳴門橋が通っている。
3;上の図と下の図を重ね合わせてみよう。現在「競艇場」の建物部分は、かつての干潟の上にある。干潟が埋め立てられてこれらの施設が建設されたのだろう。なお、干潟っていうのは海の浅い部分のことで、干潮時には海面上の泥地となる。潮干狩りなんかをイメージしたらいいんじゃないかな。
4;現在の航路は2つ。図の西側の「弐軒家」付近と、南東の「岡崎」付近。昔はこれらに加え、「土佐泊」のもう一つの航路もあった。
本問についてちょっと混乱するとすれば「市街地」っていう言葉だよね。一般に、住宅地であっても市街地というと考えておいてください。
[ひとこと] 地形図問題はじっくり取り組めば絶対にできます!
<2013年度地理B本試験第6問問4>
[インプレッション] 写真がわかりにくいなぁ。これ。どこで見たらいいんだろ?って、もしかしたら背後の鉄塔なのか!?だとしたらすごく高度な問題じゃないか!!!
[解法] 「氾濫原」というワードに注目。河川沿いの低地を氾濫原といい、自然堤防や後背湿地などがみられる場合も。低湿な地形であるので、主に水田として利用されている。土地利用記号から判定し、Aがカとなる。
一方、Bにみられる土地利用記号は畑。おそらくここは砂丘(*)と思われる。水はけがよく、サツマイモなどが栽培されているのだろう。
(*)文字通り「砂の丘」。海岸沿いにしばしばみられる。海の方向から吹く強い風によって沿岸部の砂が持ち上げられ、海岸に並行する大きな砂の丘となる。鳥取砂丘など。砂漠ではないので注意(砂漠は植生無しの状態で乾燥地域)。
で、ここからが問題なのだ。ともに平坦な地形に思われ、取り付く島がない。ではどうする?下を見てわからないなら、上をみろ。そう、この2つの写真の違いってどこにあるかといえば、上半分の風景なのだ。サの方は背後に鉄塔が見える。だからここに送電線が走っているってことだよね。送電線自体は見えないけれど、それぐらいは想像できるはず。
それに対しシの方は、左右に樹木が並んでいる。こんな風に行儀良く(?)木々が並んでいる場合、人為的に植えられた防風林(防砂林、防雪林)である可能性が非常に高い。残念ながらこの写真からでは針葉樹か広葉樹かまでの判定はできないが、それなりの樹林の土地利用記号が周囲にみられるはず。
そして図5を観察する。なるほど、Aの近くにははっきりと送電線がある。Aの南側を東西に走る直線状の記号が送電線を表しているのだ。一方、Bの方は東側にいくつか針葉樹林の土地利用記号がみられる。これ、防風林と考えていいんじゃないかな。Aがサ、Bがシとなるのです。
[ひとこと] 送電線ってナメちゃいけない、結構出題されるよ。
<2012年度地理B本試験第6問問5>
[インプレッション] 「橋」の開通がもたらす影響。完全な思考問題となっている。とはいえ決して難しくないからがんばって解いてみよう。この程度の思考力が無いようでは、大学生になる資格はないように、ボクは思います。
[解法] とにかくキーワードは「明石海峡大橋」。これ、自動車が通行する橋だよね(今回の問題に鉄道は含まれていないので、鉄道が敷設されているかどうかはどうでもいい)。橋が通じたことによって最も恩恵を受けるのは高速バスだと思う。増加しているタが「高速バス」。
一方、橋が通ったことによって最もダメージを受けたものは何か?先の地形図問題でもあったよね。橋が建設されて、船舶の航路が減少した。わざわざ船に乗る必要がなくなったのだから、大きく減少しているツを船舶と考えるのは妥当に思う。
航空機はこんなもんかな。徳島県の空港は小規模なものであろうし、人員も限られたものになっていると思う。
[ひとこと] 思考問題を解く!君たちには「考える」人になってほしいのです。
<2013年度地理B本試験第6問問6>
[インプレッション] 言われてみれば当たり前の問題なんだけどね。こうした問題が解けるかどうかってすごく重要。地理は難しい問題を解くことより、簡単な問題を確実に解く方が大切なのです。簡単な問題も難しい問題も、一問3点なのだよ。
[解法] そりゃそうだわな。空中写真で、その企業がどこから進出しているかなんてわかるはずがない。工場施設が建設されている様子はわかるかもしれないが、その工場の本社についてはしっかりとした聞き込み調査が必要になるだろう。
1;住民一人一人にアンケートを取れば、個人の生活行動はわかる。
3;農産物の出荷や販売を扱っているのは農協。そこに直接聞き取り調査に行くのはたいへん有効。
4;職業別電話帳をみれば、全ての職種について会社の名称や数がわかる。
[ひとこと] コストパフォーマンスを考えれば、簡単な問題で得点するのが最もおいしい。難しい問題を苦労して解くことはないぞ。