2013年度地理B本試験[第3問]解説

<2013年度地理B本試験第3問問1>

 

[インプレッション]

コペンハーゲンにはビックリした!他の問題でデンマークも登場しているし、今年はデンマーク推しなのかな。問題自体はシドニーに関するものなのでそんなに厳しくはないんだが。留学生が大きなポイントの一つにはなっている。

 

[解法]

4つの都市のキャラクターを整理する。コペンハーゲンはデンマークの首都。1人当たりGNIが高く、さらにEUの一員であるため、外国との交流もさかん。シドニーはオーストラリアの人口最大都市。やはり1人当たりGNIは高い。ただし海を隔てた孤島であり、外国人の流入には難があるか。ソウルは韓国の首都.韓国の1人当たりGNIは約20000ドルとさほど高いものではない。ホンコンは中国の特別行政区。中国の1人当たりGNIは低いが、ホンコン自体はそれなりに高い値ではないか。

なぜ1人当たりGNIを中心で考えているか。それは「留学」の法則性。留学は1人当たりGNIの高い国に向かって行われるもの。ベクトルの向きがはっきりしている。よって1人当たりGNIの低い国は、外国から多くの留学生を迎え入れてはいない。4都市の中で最も1人当たりGNIの低いのはおそらくソウルだろう。ソウルにおいて「留学生の割合」が低いと考え3をソウルとする。

ただしここからが迷うのだ。他の3都市はいずれもそれなりに1人当たりGNIは高いだろう。それなのに、2だけ「25%」という極端な高率となっている。これってどういうことだ!?

ここで君たちに気づいてほしい。過去のセンター試験でも何度となく登場したあるキーワードがあるのだ。それが「ワーキングホリデー制度」。オーストラリアやカナダで実施されているもので、アルバイトしながら学校に通うことができる制度のこと。このため日本から両国への留学生は近年急増している。よって留学生の割合が飛び抜けて高い2をオーストラリアと考えていいんじゃないか。正解は2となる。

そうなると1はデンマークになる。EU加盟国であり、他の国から(留学という特別な理由がなくとも)人々が移動しやすい状況となっていることが考えられる。「外国人居住者の割合」は高い。

残った4がホンコンか。いや、よくわからないな(笑)。この辺りは不問ということで。もしかしたら3と4が逆かもしれないや。

 

(追記)ワーキングホリデー制度について調べてみたら、デンマークでも実施されてる制度みたい。オーストラリアやカナダ以外でも一般的に広がっているんだそうだ。だからここは、一応ワーキングホリデー制度そのものは知っておくとしても、単にオーストラリアは「留学を目的とした外国人の流入が相対的に多い」国であることをぜひ知っておこう。

 

[ひとこと]

「留学」は重要です。

 

<2013年度地理B本試験第3問問2>

 

[インプレッション]

こりゃ難しいや。考える材料が少なすぎる。イメージで解くしかないか。

 

[解法]

4都市とも人口規模が大きな世界都市。いずれも先進国に位置し、経済力に差はない。だから一つ一つの特殊なキャラクターを考えて解いていかないと。

例えばパリについては、都心部の歴史的な街区は保全され、再開発が制限されているという特徴がある。日本なら京都のような。高層ビルの建設もさほどみられないんじゃないかっていう推測は成り立つ。2がパリとみて、これは間違いないと思う。

さらに気になるのは3の「高層ビルの数」の圧倒的な多さなんだなぁ。この辺りがあいまいで申し訳ないのだが、アメリカ合衆国の都市って何となく多くの高層ビルが林立しているイメージないかな。ヨーロッパのように旧市街があるわけではなく、最初からさかんにビルが建設されていったっていう、そんなイメージ(*)。だから3をニューヨークと仮定する。ただ、そうなるとちょっと気になるのは「大企業の本社数」が少ないことなんだな。でもアメリカ合衆国ってニューヨークだけの都市ではない(そもそも首都でもないし)。人口規模は大きくないけれど、ロサンゼルスやシカゴ、デトロイトのような世界的な都市も多く存在し、そちらに拠点を置く企業も多いのではないだろうか。そう考えれば何とか納得できると思う。国際懐疑も同様で、首都のワシントンなどでもしばしば開催されているのではないか。ニューヨークを3とすることは許容範囲ではある。

そして残った1と4。4については何となく2と雰囲気が似ているのだ。大企業はさほど多くなく、しかし国際会議は多い。高層ビルの数は制限されているとまでは言わないが、それなりに少ないものとなっている。ロンドンはパリとは違って再開発が制限されているわけではないが、それでもやはり伝統的なヨーロッパの都市の一つであり、高層ビルが立ち並ぶイメージは少ないのではないか。EUということで、諸外国が集まる国際会議もさかんに開催されているだろう。

それに比べれば東京は孤立している。国際会議の開催が圧倒的に少ないことはなるほど納得できる。高層ビルはかなり多いよね。ニューヨークには及ばないが、ヨーロッパの諸都市よりは多いはず。東京もパリもロンドンも、その国を代表する巨大都市ではあるが、日本は(人口においても、GNIにおいても)イギリスやフランスを上回る大国であり、大企業の数もそれなりに多いことが想像される。こういった事象を照らし合わせて考えれば、1を東京と考えて妥当だと思う。ずいぶんと歯切れが悪いが、これが正解です。

 

以上、力づくで解いてみました。決してスマートな解き方でもないし、ひらめきが必要な問題でもない。地道に一つ一つのトピックについて検討していって、それぞれに考察し、納得し、もっとも矛盾の少ない選択肢を答えとするしかない。でもやっぱり、こうした問題が解けるか解けないかっていうのは、最終的に大きな得点の差として結果に跳ね返ってくるような。ボクが好きなタイプの問題ではないけれど、みんなには大切にしてもらいたい問題ではあるかな。

 

(*)実際にはアメリカ合衆国の都市も、都心部にはスラムが広がり、その部分に関しては高層ビルが立ち並ぶわけではないけれど。

 

[ひとこと]

センター地理はスマートな問題ばかりじゃない。最終的には「何となく」解答を導き出す問題も存在する。

 

<2013年度地理B本試験第3問問3>

 

[インプレッション]

えっ?林地村が登場しちゃうの?たしかに一回センターに出題されてはいるけれど、それにしてもマイナーなネタじゃない?どうも、この第3問を作った先生って、今ひとつセンスがないような気がするんだよなぁ。模試としてもレベルが低いような気がします。

 

[解法]

1のようにあまり知られていないようなマイナーな地名が登場した場合、それが誤っている可能性はないので、これは正文。

2のタウンシップ制は重要。アメリカ合衆国中西部の開拓方式で、政府が区画された農地を用意し、そこに入植者を募る。かれらには一定面積の土地が与えられるわけだが、原則として広い農地の真ん中に家が一軒。散村形態となる。正文。

3の「丘上集落」なんて初耳でしょ。1でも述べたが、このようなマイナーな話題が「正解」となるわけはない(本問は誤文指摘問題なので、正解というのはつまり誤文ってことです)。よって正文に決まってる。ちなみに丘上集落っていうのは、日本でいえば山の上に城が建設されているような様子を考えればいい。山の上に人々が住んでいるんだから、敵から攻められにくいでしょ。防御に特化した集落のつくり。

以上。実は4が正解(つまり誤文)になるんだが、わかるかなぁ。4の下線部の文章は「円村」について説明したものだが、林地村の形状は円村ではない。これは「路村」となる。林地村とは開拓村の一種で、深い森(つまり林地)の中に一つ道路を通し、それに沿って家屋が並ぶというパターン。つまり「路村」形態となるのだ。2009年度地理B本試験第4問問1Bの図がわかりやすい。この問題の選択肢3の文章について「自然発生的」を「計画的」に修正すれば、林地村の説明となる。

林地村を一回センターに出題されていたわけで、本問も無茶な問題というわけではないんだが、それにしても厳しいかな。

 

[ひとこと]

過去問に登場した話題は問われるが、初出のネタは解答にはならない。

 

<2013年度地理B本試験第4問問4>

 

[インプレッション]

「発展途上国のスラムは都市周辺部に広がる」というセオリー一発で解くしかないんじゃないか!?

 

[解法]

「発展途上国のスラムは都市周辺部に広がる」というセオリーに基づいて考える。最も外側に分布する4が正解。どうかな?文章を読んでも、いかにも劣悪な環境下に住むしかない様子が伝わって来ないかな。

 

[ひとこと]

セオリーがはっきりしている話題ならば、つべこべ言わず、それに従って答えを素直に断定する。

 

<2013年度地理B本試験第3問問5>

 

[インプレッション]

この第3問はどうもこうした感じの問題が多くて今イチだなと思っていたんだが、これは問2とは異なり、実数が中心の表。これなら国の規模と対応させたらいいだけだ。スマートに解けるぞ。

 

[解法]

4か国中、人口、GNIともに大きいのはアメリカ合衆国と日本の2つ。「発行部数」「発行紙数」の2つの実数がいずれも大きい1と2がこの両国となるだろう。

とはいえブラジルも人口規模は日本を上回る大国。面積も大きなことから、多くの国民、多くの地域を対象として発行紙の種類は多いと思っていいだろう。一方マレーシアは人口3000万人程度であまり大きな国ではない。面積も日本と変わらない。3とブラジル、4とマレーシアと考えて妥当。

なお、1と2については発行部数が減少しているが、これはネットの普及によるものではないか。先進国においてはネット環境が整っているため、紙媒体ではなく、ネットによるニュースの配信が一般的になりつつある。

 

[ひとこと]

実数が表されている場合は、国の規模(人口・GNI)と対応させて考える。

 

 

<2013年度地理B本試験第3問問6>

 

[インプレッション]

ボリビアやモンゴルが登場してちょっと驚く。でも実は彼らは、マイナーでありながら意外と登場してくることで有名な2か国だったりするんだよね。ボリビアはインカ帝国が栄えたアンデス高原の国。モンゴルは草原に覆われた遊牧文化の国。

 

[解法]

選択肢2の「宗教的」っていうのが気になるね。これはイスラム教のチャドルやブルカにことでしょう。イスラム教国としてイランがこれに該当。

さらに1と4には「防寒」「防風」などのキーワードが。熱帯国ベトナムでこれらはありえないでしょ。ベトナムは残った3が該当。これはアオザイというベトナムの伝統的衣装かな。

さぁここで1と4が残る。ここからは知識が必要。できるかな。地理Bではこうした衣服の問題って少ないからちょっと厳しいかもしれないが(そういう意味ではやっぱりこの大問の作成者はセンスに欠けると思う)、君たちの知識を総動員して考えてみよう。

ボリビアという国を知っているだろうか。かなりマイナーな国ではあるのだが、実はセンター地理では常連さんなのだ。登場率は高い。かつてインカ帝国が栄えたアンデス高原を国土に含み、現在でもインディオの文化が残っている。首都ラパスは標高4000mに位置する世界最高所の首都としても知られている。つまりボリビアの伝統的な衣装としてはインディオの生活文化を考えたらよく、そうなると「ポンチョ」っていう服装が頭に浮かんでこないかな。アンデス山中のような低緯度の高原っていうのは、気温の年較差はほとんどないんだが、日較差は極端に大きい。昼の間はかなり暑くなるのに対し、夜はかなり冷え込む。ポンチョという上着を日中は肩からかけておく程度なのだが、気温が下がるとそれを毛布のように体に巻き付け暖をとる。一日の間の寒暖差に適応した衣服、それがポンチョであり、インディオというアンデス高原の人々の生活の知恵なのだ。よって1が正解となる。「毛織」にも注目してもいい。アンデス地域で遊牧されているアルパカの毛が利用されている。

4がモンゴル。モンゴルの伝統的なこの衣装のことを何というかよく知らないんだが、中国の北部にもこういった種類の衣服はあると思う。っていうか、そもそもモンゴルの文化が中国に取り入れられた部分もあるんだけどね(例えば中世に中国を支配した元という国はモンゴル系だったよね)。

 

[ひとこと]

「防寒」のような小さなキーワードに注目し、選択肢を絞っていこう。

 

 

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