2012年度地理B本試験[第1問]

<第1問> 

 

問1 [ファーストインプレッション] プレートテクトニクスがテーマとされているようだが、センター地理では本来これは重要視されないもの。たしかに、よく問題をみたら海溝と海嶺の判定だけで解ける問題になっている。プレートテクトニクスについての詳しい知識は不要であるということ。

[解法]海溝と海嶺の判別が重要。日本周辺には海嶺はみられず、海溝しか存在しない。③の「海嶺」が誤り。

[学習の対策]センター地理は原則として地図帳が不要な科目であるが、海底地形だけは例外。海溝と海嶺の位置だけは確認しておこう!

 

問2 [ファーストインプレション] 最近毎回登場のハイサーグラフ。読み方に戸惑ってはいないかな。問題例も多いので、練習しておこう。問われているのがレイキャビクっていうのがちょっと意外だが、過去問で出題例があるところではある。

[解法]手順を追って考えよう。最初に行うのは北半球と南半球の判定。月を表す数字に注目し、1月や2月に高温(つまり夏)となっている④が南半球。これがケープタウンである。次に考えるのは緯度。低緯度なら高温で、高緯度なら低温。①~③のうち、飛び抜けて気温が高いのが①。②と③は、夏は②の方が気温が高いが、冬は③の方が温暖だったりして判定が難しい。それに対して①は明らかに他の2都市より気温が全体として高い。これを低緯度のチュニスとするのは問題ないだろう。残った②と③。おすすめの解き方は「気温を覚えておく」こと。日本においては「東京;最暖月25℃、最寒月5℃」が基本で、さらに「札幌;最暖月25℃、最寒月−5℃」、「那覇;最暖月25℃。最寒月25℃」っていう数字は知っておいた方がいい。気温に数字を当てはめるセンスは磨いておこうよ。④が札幌で、消去法によって②がレイキャビク。

[学習の対策]日本の気温は数字で覚えておく!これは絶対!さらに、ここではレイキャビクについて、大陸西岸で気温年較差が小さいことを知っておこう。大西洋北東部は北大西洋海流という暖流の影響が強く、その沿岸である西ヨーロッパ(アイスランドを含む)では冬季温暖な気候がみられる。気温年較差も極めて小さい。北緯60℃で気温年較差が10℃そこそこって凄いよ!

 

問3 [ファーストインプレッション] 地理Aでほとんど同じ問題があったんだが。たしかに塩ネタは珍しいものではないが、でも地理Bの問題としては戸惑うと思う。

[解法]「乾燥」でわかるのかな。これ、アンデス高原なんですが。でも乾燥だけだとKのアラビア半島とも迷ってしまうんだよなあ。「プレートの動きにともなって土地が隆起」ってヒントになる?

[学習の対策]地理Aで同じような問題が出題されているんだよな。それを知ってれば余裕で解けた問題なんだが。でもそれって禁じ手なんじゃないかと思う。地理Aの問題まで解いておけってちょっと無理じゃない?

 

問4 [ファーストインプレッション] ベタな土壌の問題だが、問われている土壌はベタじゃない。褐色森林土を問うのはちょっとないんじゃない?(涙)

[解法]要するに温帯の土壌。そのまま褐色森林土と覚えておけばいいわけだが、ここではその名称が登場していないからね。かなり難しい。消去法で考えた方がいいかもしれない。

土壌は2種類に分かれる。気候帯に沿って広い範囲に分布するのが成帯土壌。局地的に分布する土壌が間帯土壌。ここでは成帯土壌が問われているので、気候との関係性を考える。

熱帯の土壌がラトソル。高温多雨の自然環境。高温であるため植物の分解のスピードが速く、有機物(腐植)に乏しい。わずかな栄養分も大量の降雨によって流出する。土中の金属が酸化し、赤色を呈している。①がラトソルの説明。

乾燥帯の土壌が砂漠土。過度な蒸発によって地表面に塩類が集積し、塩害の被害も。問3に乾燥地域の様子が写真で表されているね。こちらはアルカリ性の土壌。おおまかに湿潤地域が酸性、乾燥地域がアルカリ性と覚えておく。「砂漠=植生なし」であるので、そもそも腐植が形成されない。③が砂漠土の説明。

冷帯の土壌がポドゾル。気温が低く蒸発量が少ない地域。色素が溶脱され灰白色となる。湿潤土壌なので酸性土壌。④がポドゾルの説明。

消去法で温帯の土壌(褐色森林土)は②となる。やや降水量が多い地域なので、化学的特徴は弱酸性となる。植生は豊かな地域でもあり、腐植層も十分に形成されている。

[今後の学習] さすがに褐色森林土が出題されるのは厳しいなと思う。ただし、他の3つについては、選択肢の文章が実にわかりやすいので、これを元に整理しておくといい。熱帯がラトソルで、キーワードは「金属」、「酸化物」、「赤色」。乾燥帯が砂漠土で「貧弱な植生」、冷帯がポドゾルで「分解が遅く」、「灰白色」。さらに湿潤で酸性、乾燥でアルカリ性となることも重要。熱帯ほどではないが、どちらかといえば湿潤である温帯の土壌は弱酸性となる。テキストとしては非常にいい問題ですね(笑)。

 

問5 [ファーストインプレション]何、この問題!?こんな形式の問題はセンター至上初だぞ!2つの問題を別個に考えないといけないのだから、当然正解率も下がる。2012本試はどうも意図的に平均点を下げようという意図が感じられる。問4でも特殊な土壌が問われていたし、この問5も形式的におかしい。

[解法]aについて。気になる言葉。誤っているとすれば「上昇」だよね。火山灰によって太陽光線が遮られるわけで、気温は上がらないでしょう。誤り。

bについて。これわからんでしょ。エルニーニョ現象はペルー近海など太平洋東部で水温が異常に上昇し、降水量が増えること。とりあえずアメリカ合衆国の西部は意味不明。ここでは東南アジアだけにしぼる。太平洋東部で「高温・多雨」になるのだ。太平洋西部ならその反対じゃないか。っていうかそもそも「高温」で「少雨」となるのか?高温なら蒸発量が増加するはずだし、むしろ雨は降りやすくなるんじゃないか。ここは突っ込んでいいと思う。これも誤り。

以上より正解は④だ。どうかな。(答えを見る)えっ!?答えは③だって!ごめん、お手上げ。

[今後の学習]すんません、間違えました。わかりません。。。

 

問6 [ファーストインプレッション] 日本上空の気象衛星写真。旧課程時代には2回登場しており、最近も地理Aで一回登場。地理Bとしては初出だが、内容的にはおもしろい問題ですね。

[解法]ん、これ間違ってるんじゃない?ぶっちゃけアに当てはまる画像はないよ。冬季の気圧配置のポイントは「西高東低」。大陸上に雲はあってはいけないのだ。おそらくQがイに該当すると思うのだが、これはむしろ冬季の例外的な写真と思う。日本海上空に筋状の雲があるから何とか判定はできなくないが。

[今後の学習]問題が不適切。この問題から得られるものはありません。知識優先の文系人間が、いかにも理科的な問題を作ってみましたって感じじゃない?理論の裏付けがないよ。ひどいな。