2014年度地理B本試験[第3問]解説

第3問 都市と生活文化に関する大問で、例年通り。ただ、新課程になって以来ずっとこの大問なわけだけど、そもそも問題の多様性が薄いジャンルに思うんだよね。ネタ切れっていうか、ワンパターン化しとるんちゃうかって考えたりしてるんだけど、今年はどうなんだろう。

 

問1 [インプレッション] 都市人口割合ってセンターではあまり重要視されない話題。本問は例外的にその都市人口割合が取り上げられているのだが、だからといって突っ込んだ問われ方になっているわけではないし、あまり重要視しなくていいかな。大雑把なイメージさえつかめれば十分に解答可能。それより、やっぱ大都市の数の方が重要なんじゃないか、と思う。巨大都市のイメージ、持っておこう。

 

[解法] 都市居住者の多くは第二次産業や第三次産業に就いていて、第一次産業の就業者が多い農村とは異なる。所得の面から考えた場合、第三次産業や第二次産業の方が第一次産業より高いわけで、都市人口割合が高い国はすなわち国民全体の所得水準が高いということになる。1人当たりGNIと都市人口割合が比例する所以。

このことから類推するに、都市人口割合の高い①と②は1人当たりGNIが高い地域ということになり、先進地域のヨーロッパとオセアニアが該当する。一方、都市人口割合が低い(つまり農村人口割合が高い)③と④は、第一次産業就業人口割合が高い低賃金地域で、アジアかアフリカになる。

ここからは大都市の数で考えよう。単純に地域としての人口の多さを考えてもいい。アジアは40億人超。アフリカは10億人程度。あるいは、具体的な大都市を考えるのも一つの案。東京、ソウル、ベキン、シャンハイ・・・。イスタンブール。いくらでも人口500万人を超える大都市が思い浮かぶではないか、アジアに関しては。よって③をアジアとし、大都市が少ない④がアフリカとなる。アフリカの大都市ってよくわからないけれど、ラゴスとカイロぐらいかな〜。

 

[今後の学習] 都市人口割合はあまり出題されるものではないし、問われたとしてもこのレベルなので、特別な対策は不要だろう。おおまかに1人当たりGNIとの関係性を考えておけばいい。

一方、大都市の数に関しては、こちらは必須。よかったら統計で確認しておこう。1000万人規模の都市は具体的な都市名まで登場することも多々ある。

 

 

問2 [インプレッション] うわ〜、やばい!これは難しいぞ。田園都市構造と大ロンドン計画を区別するのは難しい。ここは最悪、カンに頼るしかないんじゃないかな。

 

[解法] ロンドンの「開発」は受験生が混乱するところ。時代別に整理しておこう。

過去の「開発」はニュータウンの建設。ロンドン市内の過密解消のために大ロンドン計画が実施された。これは19世紀後半に提唱されたハワードの田園都市構想に基づくもの。自然と共生する都市が理想とされ、20世紀初頭にはロンドン郊外にレッチワースという計画都市もつくられた。

大ロンドン計画はそれを受け継ぎ、20世紀中頃より実施された。その内容は大きく2つ。一つは、市街地の拡大を防ぐために都市周辺を緑地帯(グリーンベルト)で囲んだ。もう一つは、ロンドンの郊外に数万人規模のニュータウンをいくつか建設した。これらは都市内部にオフィスや工場が立地する職住近接型のもの(日本のニュータウンは、周辺の大都市へと通勤することが前提となる職住分離)。ただし、ニュータウンの規模が小さいため、根本的なロンドンの過密解消にはつながらなかった。

現代の「開発」は、正確には開発ではなく「再開発」。都市施設の荒廃によりスラム化した旧市街地であるドックランズ地区。この地域を再開発によって、新たな街区へと再生した。高層ビルが林立し、オフィスやレジャー施設、マンションなどが新たに建設されている。

以上より、アが最も新しい時代、そしてイとウが古い時代となるのだが、イの田園都市構想を元に、ウの大ロンドン計画がなされたことから、「イ→ウ」の順序が成り立つ。よって正解は「イ→ウ→ア」である。

 

[今後の学習] これ、難しいや。正直、田園都市構想と大ロンドン計画を分けて考える問題っていうのは初めてみた(私大や国公立二次を含めて)。ちょっと歴史に話題が寄り過ぎかなっていう気がする。君たちは、ロンドンについては過去の開発と現在の再開発をキチンと分けて考えておいてくれたら、それで十分なんじゃないかな。

 

問3 [インプレッション] 良い問題ですね。できれば具体的な都市名を挙げて、問題にして欲しかったけれど(2002年の釧路市、宝塚市、大阪市の問題のように)。ありがちな問題ではあるのだけれども、しっかり理解しておかないと解けない。機械的に解くのではなく、一つ一つ理論づけて考えよう。

 

[解法] 昼夜間人口比率の考え方なのだ。これについて、「大都市は昼間人口が多い。小都市は昼間人口が少ない」などと機械的に考えると危険。人口の日常的な流動(つまり通勤や通学のこと)は、あくまで都市圏内で生じていることであり、昼間人口が夜間(常住)人口に比べ大きく減少するのは、巨大な都市圏に位置する郊外の住宅都市だけである。ちょっと考えてみて欲しいのだが、例えば農村地帯に小さな都市があるとするよね。もちろん東京や大阪など巨大都市の都市圏からは離れている。こういった「田舎都市」からは他の都市へと通勤する人はほとんどいないし、むしろ周辺の農村から人が集まってくるかも知れない。昼夜間人口割合が100を超えることはあっても、それを下回ることはちょっと考えにくいんじゃないだろうか。このように具体的な状況を想像し、考えることはとても大切だよ。

この考え方に沿って、表を検討していこう。まずカ。昼夜間人口比率が132.8!と極めて高い。これは大都市圏の都心部に位置する都市に間違いない。鉄道が集まり、CBDが形成され、多くの通勤・通学者が集中する。このことからカをAと考えていいだろう。キーワードはもちろん「中心業務地区」。なお、「周辺には住宅や工場が密集して混在する地区もみられる」についてはあまり気にする必要はない。単に開発の時期が古い、昔からその地域の中心的な都市だったことが伺える。

さらにク。こちらは(極端ではないものの)昼夜間人口比率が100を下回っている。これは郊外の都市の絶対的な特徴なのだ。Bに該当。「ニュータウン」がキーワードであるし、鉄道がこうした住宅都市から都心部へとつながっている様子も考えてみよう。

残ったキがCとなる。前述のように、こうした都市では昼夜間人口比率は、100を少しだけ上回る程度(ただし、絶対に100を下回ることはない)。また老年人口割合もここではポイントとなっている。「田舎都市」であるので、若年層が大都市圏へと流出することで、高齢者の割合が高いものとなっている。郊外の老年人口割合の低さと比べてみよう。

 

[今後の学習] 本当に良問です。論理的な思考を養うには最良の問題。昼間に多くの人が集まってくる都心部、ベッドタウンであり若年層が相対的に多い郊外、通勤や通学の人口流動は少なく高齢化が進んでいる、大都市から離れた場所にある都市。その違いを考えてみよう。

 

ちなみに、本問については一つちょっと不適当だなと思う部分もあり、それがCにある「大都市圏の外縁部」という言い方。これだと都市圏に含まれてしまうような気がするんだが。もちろん文章全体のニュアンスから、大都市への通勤を前提とした都市でないことはわかるのだが、ここはしっかりと「大都市圏外」と記しておいた方がベターなんじゃないかと思う。

 

問4 [インプレッション] やっぱりネタ切れなのかな。どこかで見たことがある問題が多すぎる。このジャンルはどうしても厳しいね。でも、そうはいってもやっぱり良問であることには間違いないのだ。ポイントは「買い回り品」と「最寄り品」。経済に関する問題ですね。

 

[解法] こうした問題においては「買い回り品」と「最寄り品」の概念が必要となってくる。買い回り品は「選んで買う」商品の意味で、高級品や耐久消費財を表す。買い回り品を扱う商店の例はデパート(百貨店)であり、地価は高いが交通の便がよく人が集まりやすい都心部に立地する傾向にある。

それに対し、「最寄り品」は身近なものの意味で、日用品や生鮮食料品など。最寄り品を扱う商店の例にスーパーマーケットやコンビニエンスストアがあり、これは都市圏(都心部や郊外)や都市圏外を問わず、人が住んでいるところならばどこにでも存在する。

この2つの区分を明確にしながら、図を解析しよう。

図では中心市街地が明確に示されており、さらにここは鉄道の駅もあり、市内で最も栄えているところなのだろう。×は4つ程度、○は3つ程度、それに対し、●の集まり方は群を抜いている.●こそ最も「買い回り品を扱う店舗」的な特徴を持ったものなのだろう。

逆に最も「最寄り品を扱う店舗」的な特徴を有するものはどれか。全体に広く分布しているものを探せばいい。まさらにコンビニ的なイメージ。これは○が該当すると思う。北西の縁辺部にも○はみられ、人口密度は低いのだろうけれど、少しでも人が住んでいれば、この施設は絶対に存在しないといけない。

さて、「最寄り品的な商品を扱う店舗」に最も近いのは、大型小売店、銀行、小学校のうちのどれか。地元のスーパーとかコンビニってたいがい徒歩圏にあるよね。せいぜい自転車で行ける範囲。例えば郵便局や公立の小中学校もこれと同じカテゴリーに分類されるわけだ。○は「小学校」と考えていい。

 

一方、×と●はちょっとややこしい。大型小売店といえばデパートも含まれるだろうから、「買い回り品を扱う店舗」的な特徴を持っているようにも思う。ただ、この図でなかなか興味深いところが一つあるんだけれども、それは南西部。道路に沿って多くの×が並んでいる。これ、何なんだろう?銀行ばかりが並んでいる通りがあるのか?

これ、ボクは思うんだが、いわゆるロードサイドショップなんじゃないかな。郊外の幹線道路沿いに大型小売店が連続して並んでいる。最近なら電器屋なんかでこのパターン、多くない?ファストファッション系の衣料品店でもこんな感じはよくみかける。おそらくこの道路は(細く描かれているからわかりにくいけれど)、それなりに大きな国道や産業道路のような通りなのだろう.交通量が多いその通りに沿って、比較的規模の大きな店舗(ロードサイドショップ)が軒を連ねている。こう考えると自然だと思う。×が「大型小売店」に該当し、残った●が「銀行」。なるほど、たしかに都心部のCBDに銀行が集中しているのは納得。

 

[今後の学習] センター地理は経済に関する学問であるので、当然こういった購買活動や店舗展開といった問題が頻繁に出題される。余談だが、先日ある友人から「最近、南スーダンが独立しましたよね。それってセンター地理に出るんですか」って聞かれた。いや、もちろん、出ませんけど。っていうか、スーダンすら出ないし。そもそもセンター地理は「博学」を競う試験ではないのだから、そんなマメ知識を積み上げても得点にはならない。

本問にじっくり取り組んでみれば、センター地理とは何かがわかると思うよ。理論(買い回り品と最寄り品)を土台として、そこに自分の経験則から得られる生活の知(郊外にはロードサイドショップがあるじゃないか)を組合せ、思考の後に解答に至る。ひたすら暗記だけしているようなガリ勉くんには到底解けない問題ばかりなのです。

 

問5 [インプレッション] おもしろい問題。よくこんな問題を思いつくよなぁ(笑)。適度に簡単なのがすばらしい。さらに日本地理に関するベーシックな学力がないとチンプンカンプンであることも、本問の魅力の一つ。中学地理を確実にマスターしておくことが、センター地理の第一歩となるのです。

 

[解法] 極端な数値に目をつけるのは一つのコツ。Qの「住宅1戸当たりの延べ床面積」で最低の値があるじゃない?60っていうやつ。これ、他と比べてめちゃ低いでしょ?地価が高く人口が過度に密集している東京都と考えていいんじゃないかな。Qが「関東」になる。

RとSの判定はちょっと難しいんだが。これは「中部」の範囲がポイントだよね。中部地方っていえば名古屋(愛知県)が中心のイメージだけど、よく考えたら、新潟県か福井県までの北陸地方、さらには長野県なんかもこれに含まれているはずだ。かなり寒冷地域を含んでおり、「1月〜3月の月平均光熱費」は高くなるんじゃないかな。Sが「中部」。

 

[今後の学習] 本問の最大のポイントは、北陸地方や長野県が中部地方に含まれていることを想像できるか否かってとこだと思う。中学地理を制する者がセンター地理を制するのです。南スーダンなんかいらないから、新潟県を知っとけってことですね。

 

問6 [インプレッション] 大問最後の小問は単純な文章正誤問題。ホッとしますね(笑)。しかも誤文判定問題ならば、一つの誤りを指摘すればいいだけなので、正文判定問題よりずいぶん楽。

 

[解法] ③が誤りでしょう。①とか②とかよくわからないもの(笑)。④は、よく聞く話でもあるから知っておいて欲しいとはいえ。

そもそも歴史の浅いアメリカ合衆国の都市に「旧市街地」も何もないでしょう。「城壁に囲まれた旧市街地の歴史的建造物」がキーワードになるのはもちろんヨーロッパ。アメリカ合衆国をヨーロッパに入れ替えましょう。

 

[今後の学習] 誤文判定問題は、絶対的に誤っている一つの選択肢があり、それをはっきりと解答にすること。他の選択肢(正文)は、おそらくあいまいなことしか言っていないよ。どちらともとれるグレーゾーン的な選択肢は保留にしておいて(本問の場合は選択肢①と②)、明らかな誤りを見つけた瞬間、それをヒットせよ。また、選択肢③はヨーロッパの事例を言っているんだが、ここでは「アメリカ合衆国」と「ヨーロッパ」が反対語になっていることも一つのポイント。単に、間違っていることだけ指摘するのではなく、もしこれを正文とするなら、どの部分を改めたらいいのか、そこまで考えながら解いてみよう。問題を作っている人は、そんな意味不明の選択肢をつくってくるはずがない。

 

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