2025年旧地理A[追試験]解説
<2025年旧地理A追試験[第1問]>
問1;⑤
これ、かなりの意地悪問題だよね。直感的に解くと待ちがえてしまう。
本問のポイントは、図2のア~ウの図が実は「等高線」に基づくものなのだと気づくことにある。アは北西から南東に向かって細い線が描かれているが、これはこの方向に向かって等高線が密に描かれていることを意味している。つまり、北東に山頂があってそこから南西に向かって急斜面となっているか、あるいは逆に南西に山頂があって北東に向かって急斜面が降っているか。
さらにイについては、北に山頂があり南に向かって降っているか、あるいは逆に南に山頂があって北に向かって降っているか。ウは東に山頂があり西に向かって下り斜面となっているか、あるいは逆に西に山頂があり東に向かって降っているか。
これを踏まえて考えるに、まずAであるがこれは東に高所があり西側が低くなっている。ウの条件と重ならないだろうか。しかも等高線間隔が疎らな緩斜面である。Aがウとなる。
さらにCだがこれは北に高所があり南が低い。こちらはイの条件と合致する。北が高く南が低い。等高線はイのように東西方向に描かれる。
残ったBがアである。南西が高く北西が低い。等高線はアのように南東から北西に向かって描かれる。さらにBは急斜面であることが図から判定できる。等高線間隔も密である。
問2;①
まず②は外れる。あたかも河川の支流が合流するかのように二つの等高線が交わり一つの線となっている。これは等高線としてはあり得ない形。等高線は交わることはない。
さらに図3を参照すると中央やや左下に「180」があるね。200メートルより低い箇所がある。これが確認できるのは「200-」となっている①だけである。
問3;②
バス停から300mの範囲に住む人を特定できるのは「バス停を中心とした等距離円」である。この内側ならば300m内であり、円の外側ならばその範囲から外れる。
さらに「高い制度」がポイント。Eのように単位となるエリアを広くとってしまえばどうしても統計はアバウトなものになってしまうね。「高い精度」とは言えない。カとFをレイア(重ねる)ことで、バス停から300m以上離れたところに住む人々の人口を予想することができる。
問4;②
単純ながら非常に興味深い問題。豪雨の際の氾濫には二つタイプがあり、一つが外水氾濫、一つが内水氾濫。外水氾濫の方がイメージしやすいかな。河川流量が増え、水が堤防の高さを超え周辺へと流れ出す。「河川堤防決壊による浸水」である。
もう一つの内水氾濫は最近とくに注目されるようになったもの。ゲリラ豪雨を想像してみてほしい。短時間に降水が集中することで地面が大量の水を吸収することができず溢れかえってしまう。都市においては緑地など水を吸収する土の地面が減り、ほとんどがアスファルトやコンクリートに覆われている。「排水設備の能力を上回る強雨による浸水」である。近代の都市は居住環境も整備され排水溝の整備も積極的に行われてはいるが、それでも突発的なゲリラ豪雨には十分に対応できない。
この2つの氾濫(洪水)パターンを意識しよう。河川堤防決壊によるものは河川の周囲(とくに低地となっている水田など)に被害が及ぶ。xはサに該当。広大な面積が浸水する規模の大きいものだ。外水犯連。
それに対し排水設備の能力を上回ることによって生じる浸水はシの方だろう。山間部の斜面でも生じているようだが、やはり市街地でこそこの浸水は顕著なものとなる。内水氾濫である。
Xはサに該当。河川の周囲に被害が及んでいる。河川から堤防を乗り越え増水した水が周囲に流れ出した様子がイメージできる。
さらにYについてはKが該当。これは図をそのまま読み取ったらいいだろう。Jはサの図より外水氾濫の被害が大きい。Lは市街地なのだろうか、シの図より内水氾濫が生じている。Kはいずれの氾濫もみられない。
問5;②
良問。気候に関するセオリーが問われる。
北半球の高気圧における風向を考えてみよう。地球の自転によって生じる見かけ上の力を「転向力」というが、高気圧や低気圧にはとくにこの作用が及ぶ。転向力の向きは「北半球で進行方向に対し右向き、南半球で左向き」となる(赤道直下では生じない。このため赤道直下では熱帯低気圧が発生しない)。
北半球をイメージしてみよう。高気圧から風が周囲に向かって吹き出す。その風が一斉に右へと90°転回する。結果として高気圧の周囲を時計回りに風が巡ることになる。風車や独楽(こま)の回転をイメージしたらいい。
これを踏まえてPとQを判定。Pが分かりやすいかな。日本列島の東側の海上に半円を描く風の流れがある。もちろんこれは半円ではなく完全な円。図で示した範囲が狭いので円の右側半分が切れてしまっているのだ。風向をよく見ると、ここに時計回りの風の周回があることがわかる。この周回の中心こそ高気圧であり、まさに「太平洋高気圧」であろう。この高気圧の影響で日本列島では南からの風が卓越している。低緯度からの風はもちろん高温であり、気温も上がるはず。図7においては各地で「26℃以上」が観測されているチがPと結びつく。
それに対しQはどうだろうか?右下隅に注目してみようか。ここにちょっとだけカーブした風の動きがあり、これは太平洋高気圧の一部なのではないか。Pの高気圧を南東側にちょっと動かしてみる。ちょうどQのような風が吹くことになるんじゃないか。
Qの時、日本列島で観測される風向はPと異なっている。西日本では南西から風が吹き込んでいる。南寄りの風でありこれは十分に気温は高いだろう。しかし問題は東日本であり、とくに東北地方や北海道である。東北地方では東からの風が卓越している。Pのように南から暖かい風が吹き込んでいるわけではない。北海道も同じく東寄りの風であるが、やや北東の方向から吹き込む風もあるようだ。これはかなり冷涼なんじゃないかな。全体の気温が低いタがQに該当。とくにタでは北海道の気温が18℃に達しない。
ここでオホーツク海高気圧と太平洋高気圧の関係を。それぞれオホーツク海の上空、太平洋の上空で発達する高気圧と考える。太平洋の場所はわかるね。オホーツク海は北海道の北の海域で、ユーラシア大陸と北方領土に囲まれている。なるほど、このオホーツク海の位置とオホーツク海高気圧の関係を考えると納得できることがある。それはQの図。北端に注目。東から西に向かって「北東、東、西南西」というように風向が少しずつ変化する空気の流れがある。これ、よく見るとカーブしているというか、湾曲しているよね。つまり円弧を描いているわけだ。この地図の北側に(つまりオホーツク海だね)に高気圧が存在しており、その周囲を時計回りに空気が動いている。この図のちょっと北にはみ出したところに高気圧があり、その周りの「時計回りの風」が少しだけ北海道付近に見えるということなのだ。
一方でこの図においては太平洋高気圧の存在も想像できる。先ほども指摘したように南東端にちょっとだけ空気が湾曲して流れているところがあり、これもよく見たら時計回り。南東の同じくちょっとはみ出したところに高気圧が存在しているはず。Qの図を参考に、日本付近におけるオホーツク海高気圧と太平洋高気圧の位置を明確にしよう。
それに対しPはどうだろう?先ほども指摘したように日本の東方海上に巨大な空気の渦(時計回り)があり、その中心は高気圧となっていると思われる。位置的に考え(つまりここが太平洋であることを考えて、ということ)太平洋高気圧だろう。Qと比較するとPの太平洋高気圧は北上している。日本列島に近づいており、これは「太平洋高気圧が発達」した状態と言えるだろう。
これとは反対に視点をオホーツク海高気圧を中心にして図を捉えてみよう。Qでは明らかに図の北側に高気圧が存在している雰囲気があるよね。それがPでは完全に消えている。太平洋高気圧の動き(QからPにかけて北上している)から考えると、このオホーツク海高気圧はPでははるかに北へと移動し、もはや日本上空の空気には全く影響を及ぼさなくなったとみていいのではないか。オホーツク海高気圧が理由と思われる空気の動き(時計回り)が完全に消えている。
問題では「オホーツク海高気圧が発達した」とある。「発達」がどういった意味なのかは自分で考えないといけないが、おそらく日本列島に大きな影響を与えているという意味なんじゃないか。はるか北方へと消えてしまっているPは該当せず、北海道のちょっと北におそらくその中心が位置していると考えられるQこそ「発達」している時期とみていいんじゃないか。そしてQ=タであり、この時の日本(とくに北海道や東北地方)は気温が低い。これはオホーツク海高気圧の発達がもたらした影響なのだろう。タ、Qの組み合わせが正解。②となる。
逆にチ、Pの時は太平洋高気圧が発達した状態。太平洋高気圧が日本付近へと張り出し、暖かい空気が南あら送られている。
問6;④
これ、ちょっと面白いね(笑)僕は好きです。大雪が降った時の状況を具体的にイメージできるかどうか。雪がほとんど降らない場所が大雪に見舞われた場合、雪が当たり前のようにたくさんみられる地域で大雪が降った場合、これ、どのように違うんだろうね。
「大雪警報発表基準12時間降雪量」とある。これ、どういったことだろう?ちょっと考えてみないといけないが、そのまま言葉を読み取ったらいいだろう。マの都市では12時間に10センチの雪が降ったら大雪警報が発表されるっていうことだろうね。それに対し、ミの都市では12時間に35センチもの雪が降ってはじめて大雪警報が発表される。これ、どういう意味だろう?「雪に強い」都市はどちらだろう?
例えば両方の都市に20センチの雪が降ったとして、マの都市ではそれが重大なこととして警報が発表されるのに対し、ミではまだまだ大丈夫として警報は発表されない。雪がほとんど降らずちょっとした降雪でパニックになるのがマの都市ならば、雪が一般的なものであり多少の雪では誰も気にしないのがミの都市といえるだろう。
マが南国で雪が降るなんて考えられない鹿児島市であり、逆にミは冬はいつでも大雪に覆われる日本海側の秋田市だろう。正解は④。
松本市は長野県の都市。長野県は寒冷ではあるが、周囲を山岳に囲まれて海からの湿った空気が届きにくいため、年降水量は少ない。雪も日本海に面した地域よりは少ない。
<2025年旧地理A追試験[第2問]>
問1;③
アはクリスマスっぽいね。肌の色から判定してもヨーロッパ系のような。Aが該当。文章も「12月」からtとなる。
イは後ろ姿の女性がスカーフを頭に巻いているようだ。これはイスラームでよくみられる服装だね。Bのインドネシアはイスラームの国。イスラームというと乾燥地域のイメージがあるかもしれないが、インドネシアには香料交易のルートがあり、多くのアラブ商人がやってきたことでイスラム化された。イスラームは商業の宗教だね。文はsが該当。断食(ラマダーン)。
問2;⑤
カはYのモンゴル。草原が広がり、馬などが「遊牧」されている。移動式住居が用いられ、乳製品や肉類を中心とした食生活。農業は行われず穀物や野菜が少ない。
クはXの赤道直下。高温多雨で熱帯雨林が広がる。降水によって養分が流出し、また高温であるため有機物の分解が速すぎる。土壌中の有機養分(腐植)は乏しく、地表面は金属で覆われる。「焼畑農業」が行われ、数年ごとに耕地が移動される。キャッサバや雑穀(ソルガム)など栽培される。一部では主食用のバナナも栽培されるのかな?でもバナナって多年生の樹木だから焼畑農業との相性ってどうなんだろう?
以上より正解は⑤。消去法でキはZとなるのだが、これは分かるかな?僕はこの文章を最初に読んだ時、ニュージーランドの話なのかなって思ってしまった。ニュージーランドは緯度が高いため夏は冷涼。しかし偏西風や暖流の影響によって冬の気温は高く、つまり気温年較差が小さい。イメージは「雪の降らない北海道」(*)」。降水量についてもやはり年間を通じて一定の風や海流の影響を受けるため変化は少ない(**)。この「穏やかな気候」がこの国(およびその周辺地域。つまりzも含まれるのだ)の最大の特徴。もともとは日本と同様に森林国だったのだが、入植したイギリス人がこの島の特性に目をつけ森林を伐採し、広大な牧草地としてしまった。年間を通じて牧草が青々と茂るからだ(例えば日本では冬に芝が枯れる。逆にヨーロッパの地中海沿岸は夏に少雨で芝が枯れる)。一年を通じて牛や羊の放牧が行われ、この地で成立した大規模な牧業を「企業的牧畜(企業的放牧)」という。本問では「酪農」とされているが、酪農は生乳の生産が行われ、鮮度が重要であるため大都市の近くでこそ成り立つという原則がある。ニュージーランドは前述のように基本的には企業的牧畜の国であるが、北部の都市周辺では酪農も行われている。
というように長々とニュージーランドについて喋ってしまったが(笑)Zも似た様な自然環境と歴史的経緯(イギリス領だった)があり、この2つの地域は共通した傾向があると思っていいよね。なおZには人口500万人を有する大都市メルボルンがあり、この都市の人口だけでニュージーランドの総人口に匹敵している。
(*)たしかに北海道にはオーストラリアやニュージーランドからのスキー観光客が多いんだそう。自国ではあまり雪が降らないため北海道までやってきてウィンタースポーツを楽しんでいるのだ。それにしても過ごしやすいはずの夏の時期を避けてわざわざ寒いところまで来なくていいんじゃないかって思うんだけどね(苦笑)
(**)ニュージーランドについては東岸と西岸とで降水量が異なるって聞いたことあるんじゃないかな。偏西風が年間を通じて吹き込むため、風上側の西岸で多雨、風下側の東岸で少雨。ただ、これは少雨とはいっても決して乾燥気候となるような少なさではない。年降水量は西岸で1000ミリ以上(かなり多い)、東岸で1000ミリ未満(やや少なめといった程度)。逆にやや雨が少ないことで小麦の栽培には適した気候となり、ニュージーランド東岸のクライストチャーチ周辺は「ニュージーランドの穀倉地帯」となっている。少雨の東岸も含め、ニュージーランド全域が温帯気候である。
問3;②
オリーブが分かりやすい。オリーブの生産は南ヨーロッパや北アフリカの地中海性気候地域に集中している。オリーブは常緑広葉樹の硬葉樹。月桂樹などと同じ。地中海性気候の植生である。
さらにトマトかな?以前にトマトが出題されたことがあり、その際にはイタリア料理によく使われることがカギとなっていた。ちょっと細かいけどイタリアに円が示されているFがトマトとなる。
残ったGが唐辛子。南米原産なんだけど南米でほとんど作られていないね(それを言ったらトマトも南米原産なんだが)。
問4;①
これはちょっとした難問。季節によって訪れる観光客の数に差が生じるという問題。
まずはシンガポールを特定しよう。赤道直下であり気温年較差はない。通年降水が多く乾季があるわけでもない。季節差はなく常に観光客数が一定の③がシンガポールとなる。
さらにブラジル。ブラジルで最も観光客を多く集めるイベントって何だろう?それはリオのカーニバルじゃないか。これは夏に行われるのだが、ブラジルの夏はもちろん12~翌2月。この時期の観光客が他に比べて多い④がブラジル。なお、リオデジャネイロのリオは川の意味だがジャネイロは1月の意味。つまり「夏の川」ってことだね。カーニバルの季節なのだ。
さてここからが難しい。オーストリアはほとんど出題されることのない国だが、本問のような観光ネタでかつて出題されたことがある。オーストリア西部の広い範囲はアルプス山脈の高原地形。これが重要な観光資源になっている。夏は避暑地。標高が高く涼しい気候を求めてヨーロッパ中から多くのバカンス客が集まる。ひと夏をアルプスで過ごすのだ。そして冬は冬でやはり観光客が多いよね。もちろんスキーをはじめとするウインタースポーツ。アルプス全域は雪で覆われ、スキーを楽しむ人たちが集まる。夏と冬にそれぞれピークのある②がオーストリア。
最後に残った①がカナダとなりこれが正解。カナダの観光客は夏に集中。アメリカ合衆国などから涼しい気候を求めてカナダに滞在する人たちが多い。ここでちょっと疑問に思うことは冬の観光客。カナダは寒冷国であるので冬こそスキーリゾートへの観光客が多いんじゃないか?
でもカナダってスキーリゾートに適する山岳地域って国土の西部ですよね。ロッキー山脈とそれに沿う山々。例えばアメリカ合衆国からのインバウンドを考えたとして、彼らがカナディアンロッキーに殺到するだろうか?アメリカ合衆国で人口が多いのはニューヨークをはじめとする東部の沿岸地域。さすがにそこからカナダ西部のロッキー山脈は距離があるよね。さらに言えば、仮に東部の人口稠密地帯からロッキー山脈に観光に訪れるとしてもアメリカ国内のロッキー地域(コロラド州など)に限定され、わざわざカナダには赴くことはないんじゃないかな。ヨーロッパの中心にあり、冬季観光客を集中的に集めるアルプス山脈(そしてオーストリア)とはちょっと違った立ち位置にある。冬の観光客は意外に少ないんですよね。
とはいえ、やっぱりオーストリアとカナダの判定は難しいですよね。本問は難問のたぐいですし、悪問(捨て問)と思って割り切って考えたら良かったんじゃないかなって思います。
問5;①
ベネチアは実は何回も過去に登場している。チェックしておいて然るべきテーマだったとは思います。とはいえ、基本的には地形の特徴を問う問題であり、さほど難しい問題というわけではない。潟湖については近年地理B本試験で出題例があるし、当然知って置いて欲しかったかな。
2021年地理B本試験第5問問3参照。ここで天橋立が問われている。天橋立は砂の堆積地形であり砂州と呼ばれるもの。入江の入り口を塞ぎ、潟湖を形成している。ここでは阿蘇海が潟湖であり、天橋立の存在によって海と切り離されている。潟湖はもともとは浅い入江であり、その入り口を土砂の堆積地形(砂州)によって区切られて湖のような形となったもの。写真もいろいろ用意されているのでそのイメージは捉えやすいよね。
堆積した砂が海面上に顔を出し陸地になるのだから、この一帯の水深は浅いはず。とくに阿蘇海はかなり浅いんじゃないかな。潟湖はこのパターン。よってベネチアを囲む潟湖にも同じことが言え、水深は「浅い」。①が誤りだね。
なお本問は第3問問6にも同様の砂の堆積地形が問われている。河川から流出した目の細かい土砂が河口付近の浅い海底に堆積。三角州が形成される。土砂が堆積しやすい状況を想像しよう。沿岸の水深は浅く、さらに波もおだやか。
問6;⑤
アラビア語はアラブ民族の分布と重なる。西アジアと北アフリカである。北アメリカやヨーロッパにはアラビア語を使用する国はないだろう。Qが「アラビア語」となる。
一方のPが「スペイン語」だが、もちろんヨーロッパで使用される(2カ国)だが、中央アメリカにもスペイン語が多い。中央アメリカと南アメリカは合わせてラテンアメリカだが、全体としてスペイン語が使われることが多い。9カ国が使用するサが「南アメリカ」。
シとスはフランス語に注目。西アフリカを中心にかつてのフランス植民地が多く、そこではフランス語が使われているのでは?フランス語を使用する国が26カ国もある(えっ、こんなにあるの???)シがアフリカ。アジアではフランス語はほぼ使われておらず、スが「アジア」。アジアには南アジアなど旧イギリス領の地域も多く英語使用地域。またフィリピンは旧アメリカ領であり英語が使用される。
<2025年旧地理A追試験[第3問]>
問1;④
ケッペンの「気候区分」とあるがこれは誤り。本問で問われているのは「気候帯」。気候帯については中学でも学ぶので本問は中学地理の考え方を使って十分に解ける。
まず熱帯だが、これは高温となる気候。太陽からの受熱量の大きい低緯度地域で高温となる。熱帯が含まれている③が低緯度のC。
その反対に亜寒帯(冷帯)は気温が低い。こちらは受熱量の小さい高緯度地域。②はAに該当。
BとDはアメリカ合衆国の農業と降水量分布の関係を考える。こちらも中学で学習する内容。アメリカ合衆国の中央部では年降水量500ミリの半乾燥気候がみられる。これより東側(五大湖方面)では多雨となり、湿潤。酪農や混合農業が行われている。逆に西側(ロッキー山脈側)は少雨となり、乾燥の度合いが高い。灌漑農業や大規模な牧畜が行われている。湿潤な温帯が東部、乾燥した砂漠などがみられるのが西部だろう。温帯の①が東部のD、乾燥帯の④が西部のBとなる。
問2;?
図が省略されており解答不能。これ、それぞれ何の作物だったんだろう?まったくわからないや。
問3;④
超良問ですね!今年はメキシコの自動車工業がよく出る。経済レベルの低い新興国の工業化って重要なネタなんですね。
誤り(答え)は④だね。メキシコで自動車生産台数が増加した理由として「高度な技術をもつ」労働力を求めて国外から自動車企業が進出したことが挙げられるとあるが、メキシコに存在するのは「安価で豊富な」労働力であり、彼らが高度な技術を有しているわけではない。こういった高度人材は教育水準の高い先進国に存在するのであり、そうした国は1人当たりGNIが高いことから賃金水準も高い。付加価値の高い先端産業の開発のための技術者として重用されるが、自動車工業はそれに該当しないね。
自動車工業は機械組み立て工業であり、労働集約。とくに単純労働による工業であり、できるだけ安い労働力を使いたい。メキシコは1人当たりGNIが10000ドル/人であり、アメリカ合衆国(60000ドル/人)から見るとかなり安いよね。アメリカ国内で高い労働者を使って自動車を組み立てるより、生産拠点をメキシコに移してしまった方がコスト的に有利ということなのだ。
選択肢①は重要。1970年代にオイルショックが起こっている。この結果として低燃費の日本車人気が高まり、1980年代には日本が世界最大の自動車生産国となった。アメリカ合衆国への輸出も増加し、日米の貿易不均衡すなわち貿易摩擦も問題になった。ジャパン・バッシング(日本叩き)すら生じるまさに日本の栄光の時代だったのです。
選択肢②はよくわかりません。こういった時事的なネタが「答え」になることはないんじゃないかな?本問は誤文が解答(答え)になる問題だったので、このような外れ選択肢は正文だったんでしょう。知らんけど。
選択肢③はよく出るネタですね。2024年地理B本試験第4問問6を見ると同じ話題(こちらの問題では逆に「工場の進出先の国で部品も製造する」というトピックでした。誤りですね)が出ているのでよかったらチェックしておいてね。
問4;⑥
問3とほとんど同じ。メキシコの工業化と経済成長に関する問題。
とはいえ先にアメリカ合衆国を判定しよう。アメリカ合衆国の貿易の特徴は「赤字」であること。問3の説明で1980年代に生じた日本との貿易摩擦についても取り上げたが、このことが象徴するようにアメリカ合衆国の貿易は常に赤字の構造となっているのだ。これはいつの時代、どこの国や地域との貿易についても言えること。なおこれと同じ図が2009年地理B本試験第5問問6で登場している。
図を参照するに他の二つの国について両方の時代において常に貿易赤字となっているのはJ。出ていく矢印(輸出)よりも入ってくる矢印(輸入)の値の方が大きい。こういったグラフも見慣れておかないと読み方を間違えてしまう。矢印の向きが商品の移動を表すことを確実にイメージしよう。Jがアメリカ合衆国である。
さらにカナダとメキシコの判定。KとLだが両国の間にほとんど貿易関係はない(それだけを見てもNAFTAがいかにアメリカ合衆国中心の貿易協定であるかわかるよね。すでにNAFTAは古く現在はUSMCAになっているけれど性格は変わらない)。だからこそKとJ、LとJの関係に注目する。
ポイントは先ほどの問題でも取り上げたメキシコの工業化と経済成長。メキシコは安価な労働力を有する国。アメリカ合衆国から工場がさかんに進出することで機械組立工業が発展しつつある。まさに文字通りの「発展途上」国である。1人当たりGNIは10000ドル/人に達し、発展途上国の中では上位のレベルとも言えるけれど。地理では出てこない言葉だけどよく新聞などに登場する言い方として「新興国」がある。近年成長が著しい国々のことで、ちょっと昔は韓国や台湾がこれに該当し(いわゆるNIEs(新興工業経済地域)だね)、近年では中国が代表例ではあるけれど、これらの国が現在は十分に経済成長していることを考えると(韓国と台湾はもはや先進国と言ってもいいぐらい)新興国の呼び名にふさわしいのはトルコやブラジル、そしてこのメキシコ辺りなんじゃないかな。
2004年と2019年の値を見てみよう。K→Jは269から338へ拡大、J→Kも188から293と増加している。でもどうだろう?Lの伸び方と比べるとちょっと物足りないものではあるよね。L→Jは165から371、J→Lは111から256とそれぞれ2倍以上に急増している。わずか15年間でこの伸びである。まさに新興国メキシコであるからこそ貿易が急激に拡大し、それは国内の自動車工業の隆盛と結びつくはずだ。「メキシコ=自動車生産の急増」でキャラクターづけしておけば、貿易についても大きな伸びを見せている国こそメキシコであることが想像できる。Lがメキシコである。NAFTAは自由貿易協定であり、関税などの貿易制限がなくアメリカ合衆国から自動車部品を輸入し、メキシコの安価な労働力で組み立て、そして完成品を再び無関税でアメリカ合衆国へと輸出している。
さらにカとキであるが、これもシンプルに「中国アゲ」でいいんじゃないかな。数字の増え方が著しいもの。カとキの値は2019年はさほど変わらないが、2004年には大きな差があってキの貿易額は小さかった。増加率を考えればもちろん急増しているのはキの方。これをアゲ要素としてキを中国とする。
似たような中国アゲの問題として2025年地理B追試験第2問問6もチェックしておこう。2010年から2022年までのわずか12年間で為替取引で取引される元(中国の通貨)の割合は0.5%から3.5%まで急上昇している。一方の日本円は9.5%から8.5%へと割合が低下している。現代社会は「日本サゲ」の時代。それにしてもカとキはともに輸出が大幅に輸入より多い(輸出>輸入)。反対方向からみればNAFTA全体で大きく「輸出<輸入」である。NAFTAのほとんどはアメリカ合衆国によって占められている(アメリカ合衆国のGNIはカナダやメキシコの10倍)。アメリカ合衆国の貿易赤字の構造がNAFTA全体の貿易にも現れている。
問5;①
英語とジャマイカの言語は似ているよね。それに対しフランス語とハイチの言語も似ているね。これはかつてそれぞれの国によって植民地支配されていたことが理由なのではないか。ジャマイカはかつてのイギリス領であり英語が広められた(そして英語に影響を受けた言語が用いられる)。ハイチの場合はそれがフランスとなっている。
ジャマイカのみに見られるのはサ。これがイギリスなんじゃないかな。ハイチのみにあるのはス。こちらはフランスでしょう。両方に見られるのはそれ以外の国。
問6;②
三角州が形成されているね。三角州は沖積平野の一種。河川が堆積した土砂が河口付近の浅い海底に堆積しやがてそこが陸化する。低湿な沼地を想像すればよく、日本では水田として利用されることが多いね。土砂が浅い海に堆積するのだから波が荒かったなら土砂が流されてしまって三角州がつくられない。潮の流れはもちろん「遅い」ことが条件となる。
さらに図を参照すると石油流出事故発生地点から時計回りの方向の湾岸に沿って石油が到達している。海流の流れがあるとすれば、Xの方向に向かって海水が動いているんだろうね。YからXが正解。
<2025年旧地理A追試験[第4問]>
問1;①
本来、出生率と合計特殊出生率は全く違うもので、例えば日本の市町村・都道府県単位で考えた場合、両者は反比例するが(*)世界の国を単位で考えた場合は両者は比例すると考えていい。つまり出生率の高い大陸では合計特殊出生率も高い。
出生率は人口増加率に比例する。死亡率はいずれの大陸でもさほど差はないが(そもそも人間は1人につき1回しか死なないのだ)、出生率は大きく異なりこの違いが全体の人口増加率に反映されている。
人口増加率は原則として1人当たりGNIに比例。経済レベルの低い発展途上国は人口が大きく増え、経済レベルの高い先進国では人口の伸びは小さい(減少している国もある)。一部に例外もあるが、以下のような数値で押さえておくといい。
(年人口増加率)
2.0% アフリカ
1.5% 南アジア
1.0% 東南アジア・ラテンアメリカ
0.5% 東アジア・アングロアメリカ・オセアニア
0.0% 日本・ヨーロッパ
中国は1人当たりGNIが低いが人口増加率も世界平均以下。一人っ子政策の影響。アングロアメリカは1人当たりGNIが極めて高いが人口増加率も日本やヨーロッパに比べて高水準。移民の流入による。
選択肢の3つの大陸について、人口増加率は「アフリカ>アジア>ヨーロッパ」であり、合計特殊出生率もこの順となる。全体の値から判断し、アがアフリカ、イがアジア、ウがヨーロッパ。とくに面白いのは「世界全体」のグラフの動きがイ(アジア)とシンクロしていること。世界人口の6割はアジアが占めており、ほぼ「世界の人口=アジアの人口」なのだから、両者の動きが一致するのは当たり前か。
さらにAについて。これはかなり悩まされるので、とくに判定の必要はないと思う。今後の再現性の低い問題だと思う。一応考えてみる。
候補は1960年と1980年。このうち大きな特徴がある年は1980年である。中国の改革開放政策がスタートした年であり、中国の近代化が始まった。中国の人口政策といえばピンとくるよね?そう、一人っ子政策。これもこの時期に始まったと推理できるんじゃないかな。現代中国は1980年に生まれたとも言える。
ではAを1980年とおいてみようか。たしかにこの瞬間に大きく世界全体の合計特殊出生率が低下している。と同時にアジアの値も下がっており、アジアにおける合計特殊出生率の低下が世界全体の値にも作用したことがわかる。前述したように世界人口の6割をアジアが占めているのだ!
なるほど、1980年の一人っ子政策の導入によって瞬時に合計特殊出生率が低下したのだろうか。そう考えると妥当。でもここでちょっとおかしなことがあるのだ。1980年に値が下がったとして、しかしその直後に再び合計特殊出生率は上昇し、かつての値を超えるほどになっている。これ、どうしたことなのだ?一人っ子政策の影響があるならば継続して値は下がり続けるはず。それなのになぜ数値が高まっているのだ?
ここでAが1980年であるという仮定は消える。おそらくこの時期に中国で大きな国内の混乱があったのだろう。それによって一時的に合計特殊出生率が低下。しかしその混乱も収まり数年後には合計特殊出生率が回復した。そこからは高い水準で推移したが、さすがにこのままでは人口が急増は大きな社会問題となる。20年後の1980年に中国の近代化が始まり同時に一人っ子政策も実施された。図中の「ア」などの記号が示されている箇所のちょっと左側が1980年に当たるかな。合計特殊出生率は継続して低下し、一人っ子政策の影響が明確になっている。
どうだろうか?本問についてはアの判定はさすがに不可能。これは世界史の知識がないとできないと思う(おそらく文化大革命という中国の急進的な社会主義運動だったと思う)。こちらの問題については「所詮は地理総合特有の問題なんや」と割り切って、地理探究(科目名としては「地理総合、探究」)の受験者としては無視してしまっていいと思う。ぶっちゃけ、たつじん先生もよく分かってないです(苦笑)
(*)東京は出生率は高いが合計特殊出生率は低い。若い出産世代の女性の数が多いことが特徴の地域であるが、出生率はそういった世代の人口に比例する傾向があるのに対し、合計特殊出生率は反比例する。これはまさに「特殊」な計算方法によるからだ。
問2;②
人口移動の問題。人口移動の大原則はもちろん「1人当たりGNIの低い地域から高い地域への移動」。主に若年層が高賃金の仕事を求めて発展途上国から先進国へと向かう。出稼ぎをイメージしてもいい。
①はちょっと特殊な例。先進国から先進国への移動。これは単純に高賃金を求めてというより、彼ら自信の技能を生かしての移動ということだろう。受け入れ側の先進国にとってもメリットが大きい。
②は非常に重要。本問は他の問題でも「南アジアから西アジアへの移動」が問われていた。西アジアの移民受け入れ国はオイルマネーで潤う産油国。世界最先端都市ドバイをイメージしてみよう。都市建設のための労努力が南アジアから流入している。工業労働力の中でもとくに製造業ではなく建設業である(*)。ドバイの近代的な街並みは南アジアからやってきた低賃金労働者が作り上げたものなのだ。
こちらの選択肢では「家事労働や介護」とあり、これが誤りであることが分かる。②が正解である。
なお「家事労働や介護」についてはフィリピンからの出稼ぎ労働者とくに女性を考える。フィリピン女性はベビーシッターやハウスキーバーとして主に英語圏で重用されてきたが、近年は西アジアでもその数が増えている。英語が使えることが大きい。サービス業に従事しやすい。
②がすでに誤りなので判定の必要はないが、一応③と④も確認しておこう。③は難民の移動。文章に誤ったところはない。④は日本の状況だが、なかなか難しい問題だね。日本は原則として日系人以外の単純労働力としての外国人の就業を禁じている。日系人とは日本にルーツのある外国籍の人という意味で、ブラジルに多い。このため国内にはブラジル人が多く、彼らは自動車工業に従事している。
これ以外にも細かい規定は多く、とくに君たちはそれを覚える必要はない。フィリピンやインドネシアからの介護士・看護士の研修生や農村における中国からの実習生など。
個人的にはこの制約を緩和して、世界全域からより多くの移民を受け入れるべきだと思う。その代わり、オーストラリアのように言語教育や職業斡旋などの社会保障体制を完璧にする。現状であまりに厳しいため、逆に法の目を掻い潜って入国する違法移民が少なくなく、さらに国として法整備が進まないため外国人問題はそれぞれの自治体に「放り投げられている」状態。移民省を作って徹底的に管理することが必要なのだが、どうもそれが進まず、逆に移民排斥の動きになってしまっているのはどうしたことだろう。。。
(*)西アジアでは近年工業化が進んでいるが、それは労働力を用いない石油化学工業(サウジアラビアのプラスチック工業)や金属工業(アラブ首長国連邦のアルミニウム工業)。巨大な工場施設を建設すれば労働力に依存せず生産が可能。資本集約型工業。労働力を必要とする衣服工業や自動車工業の立地はみられず、働き手として移民労働力を必要としない。それでも多くの労働者が移入しているが、彼らは「建設業」に従事する。インフラや都市施設など「街」そのものを作っているのだ。
問3;③
問題自体は簡単。誤りは③だね。「パスポートを提示することなく各国間を自由に移動できるのはEUを中心としたヨーロッパ圏。ASEANは経済協力はしているものの、こういった人的移動については自由ではない。カナダ~アメリカ合衆国~メキシコ間でもこういった移動はできない。
他の選択肢も興味深いので解析していこう。
まず①。発展途上国においては経済力が十分でなく、複数の都市に分散して投資することができない。しかし逆に特定の都市には投資が集中することとなり、あたかも「未来世界」のような近代的な景観がみられることになる。とはいえそういった都市でも重点的に開発されるのは都心部の一部であり、その周辺は十分にインフラが整備されない。
この写真が大いに参考になる。遠方に高層ビルが林立しまさに未来的な景観になっているのがわかるが、手前に広がっているのは何だろう?そう、スラムだね。農村から多くの人々が労働者として流入するが十分な仕事はなく(選択肢④でそのことを述べているね)土地を不法占拠し勝手に家を建て、市街地の周りにスラムを広げているのだ。まさに都市内部において激しい経済格差が生じている光景が写真からでも伝わってくる。
さらに1人当たりGNIと人口移動の話題。表を参照。
タイの1人当たりGNIは7000ドル/人。それに対しこちらの表中の3カ国はいずれも東南アジアでは最も経済レベルが低い国々であり、1人当たりGNIは低い。カンボジアやミャンマー、ラオスかららタイへと人口流動が生じていることは十分に理解できるね。人口移動のセオリーに沿っている。
もちろんタイも決して1人当たりGNIが極めて高い国とは言えないので、さらに1人当たりGNIの高い国(シンガポールやマレーシア、そして日本など)へと移民が生じていることも想像できる。
下線部④からはスラムに住む人々の生活をイメージする。農村から都市(バンコク)へと高賃金の仕事を求めて若年層を中心とする労働者が移動する。一部のものは仕事を得るだろうが(自動車工業など)しかし大多数は十分な仕事が得られず、スラムに住み着くことになる。やることといえば簡易で低賃金の仕事。それらは行政から管理された「正式な仕事」ではない。「非正規部門(インフォーマルセクター)」に区分されるものだ。露天商や日雇い、ゴミ分別など。
問4;③
凄い問題だよね!まさにリベラル科目である地理の本領発揮!昨今の日本では再生可能エルギーに対する批判が多く、むしろ化石燃料による火力発電や原子力発電に回帰する世論がある。でもそれって正しいのか?僕にはよくわからないけれど、グローバルな世界基準で考えた場合、日本の強みってどこにあるのだ?それを考えるべきだと思う。「世界と勝負できる武器って何なんだ?」みんなには日本の将来についてそういった視点を持ってほしいのだ。
かつて1980年代には日本は世界でも有数の「再生可能エネルギー」大国であった。こういうとちょっと意外かもしれないけれど、僕らが子供の頃は多くの家の屋根に「太陽熱温水器」が設置されていた。太陽エネルギーを熱に変える、まさに再生可能エネルギーの模範的な利用である。温水器に水を張って昼の間に太陽熱で温める。お風呂や炊事のお湯としてそれは使われたっていうこと。
ただしこんな便利なものがあったのに、その後この太陽熱温水器は急速に廃れていく。日本の政策として電気とガスの普及が最優先事項とされ、電気やガスの「ライバル」である太陽熱温水器は駆逐されていく。人々は屋根から温水器を外し、そして電気やガスによって水を温めるようになる。当時は太陽光に頼ることこそ遅れたことであり、化石燃料に頼ってエネルギーをつくることが最新とされたのだ。今は全く逆になっているのが実に皮肉。日本が石油や石炭に頼らず、自然エネルギーを使い続けていれば世界の見え方もかなり違っていたはずなんだけどね。
では問題に目を移そう。日本は「太陽」の国なのだ。太陽の利用については世界のトップを走っていたし、太陽熱温水器がほとんど見られなくなった現在でも人々の「太陽」に関する信頼は強い。
東日本大震災の悲劇を乗り越えた後、私たちは自然エネルギーの重要性を再評価し、国内に無数の太陽光発電施設が設けられた。かつての「太陽熱」から現在の「太陽光」へとちょっとだけ変化したけれど、自然への関心の高さは変わらない。太陽光発電施設が急激に増加した(そして世界トップレベルである)キが日本である。
でもここでみんなちょっと疑問に思うよね?日本は相変わらず火力発電がメインの国であり、それに加え水力発電や原子力発電(以前に比べれば減少したが、現在再稼働に向けて努力している途中)もある。総発電量に占める再生可能エネルギーの割合は低い国であり、太陽光発電だってさほど盛んではないんじゃないか。
そう、そうなんですよ、まさにそれ!今回の地理の問題は攻めてるなぁ(笑)。実は日本は十分すぎるほどの太陽光発電施設を有している。一説では、とくに九州ではすでに設置されている太陽光パネルを全て稼働させたら九州全体の電力需要をカバーできるという話もある。もはや火力も原発もいらない。
でも実際にはそうなっていないでしょ?あくまで「もし稼働させたら」という仮定の話なのです。問題文にも「発電設備容量」とあり、これについて「設備の設計上可能な、単位時間当たりの発電量」とある。実は日本は「送電」に多くのお金がかかってしまっているのだ。送電線の使用量であり、これは全国の大手電力会社が設定しているもの。東京電力や九州電力ってことね。もしも九州電力が送電線の使用量を下げれば、それだけで太陽光発電量は上がる。九州電力の気持ち一つで九州域内の火力発電所や原子力発電所を廃止することができる。
ただ、もちろんこれは日本経済全体の話であり、自動車工業と同じだよね。コストを考えれば日本国内の自動車工場を全て潰し、安い海外に生産拠点を移動させればいい。でもこれをやってしまうと大量の失業者が出てしまうし、それまで自動車工業で潤っていた自治体も破産してしまう。非常に難しい問題なのだ。こういったパラダイムシフトは現在社会において必要なものではあるけれど、それを革命的に行うには大きなリスクが伴う。日本社会の改善のために行うべきことが実はその破壊者となってしまう可能性もある。
とはいえ、未来は私たちの目の前にある。例えば太陽光発電についても今後はペロボスカイトの開発でさらに発電施設は増えるだろう。段階的に送電料を下げるなどして少しずつ変化させていくことは必要だと思う。日本という飛行機をいかに軟着陸させるか、それは実は極めて難しいことであり、そして未来を担う者の使命でもあるのだ。
残った2つの判定は難しくないだろう。GNIが大きくそもそもの総発電量も大きいアメリカ合衆国において、それぞれの発電施設も多いと思われカが該当。一方のクがイギリスとなる。実は重要なのはイギリス。イギリスは近年とくに風力発電施設が増えた(そして当然風力発電量が増えている)国。そのカギは「海」にある。イギリス周辺の海域は北海など水深が浅く、例えば漁業においてはトロール漁法(底引網)、資源については海底油田や海底ガス田の開発が行われてきた。北海は浅い海の代表例。近年はこの「浅さ」の利用法として「洋上風力発電施設」の設置が急ピッチで進んでいる。デンマークの発電施設も新規のものは多くが洋上施設である。新しい「海」の利用法に注目しよう。
アメリカ合衆国については中国と並び、世界で最も再生可能エネルギーを用いた発電が盛んな国として知っておけば十分。
問5;③
三大穀物の問題ってやたら今年はたくさん出ているよね。総合探究追試験第1問問1とか。同じネタばっか出していいんだろうか???地理って出題されるネタが限定されている科目なんですよね。
韓国で考えればいいんじゃない?日本と同じパターンだよね。モンスーンアジアで米が主食であり米が生産の中心。自給率も当然高い。韓国で値が高いサが米となる。ブラジルも高温多雨の国で米の栽培に適した気候環境。米が輸出されている。
アメリカ合衆国も同じく米の輸出国だが、そもそも米をあまり食べる国ではないのでその分だけ輸出余力が高くなっているということ。
さらにブラジルを見てみようか。ブラジルは前述のように高温多雨の国。こういった自然環境では小麦の栽培は適さない。雨が多いと土中の養分が流されてしまうので土地が痩せてしまう(米の場合は水田の水を入れ替えれば栄養分が供給されるので多雨であることは不利な条件とはならない)。
穀物の栽培に適した気候環境はこんな感じ。
(冷涼・少雨)大麦←→ライ麦←→小麦←→トウモロコシ←→米(温暖・多雨)
その一方でブラジルの人口の半分はヨーロッパ系の人々。ヨーロッパの食文化があり、人々は小麦を多く属している。国内消費量が多いのに生産量は少ないので自給率は低くなってしまうね。ブラジルの値が低いシが小麦で、残ったスがトウモロコシ。正解は③。
なおブラジルの主な小麦の輸入先はアルゼンチン。アルゼンチンは農産物の輸出が主産業の国。ブラジルより冷涼でやや降水量が少ないので小麦栽培に適しているのだ。
なおブラジルが小麦の輸入国であるという話題はちょっと古いけど2002年に登場している。古い統計でもしっかり意味があることが証明されていますね。
というわけで最後にスに注目しておこう。トウモロコシはアメリカ合衆国で圧倒的な生産があり輸出もされている。しかし自給率が110.4%ということで案外と低いことに驚かされるね。これは近年アメリカ国内でトウモロコシの消費量が拡大しているから。トウモロコシの用途としては飼料が主だけれどもアメリカ合衆国では油脂とくにアルコール燃料(バイオマス)としての用途が拡大している。輸出用のトウモロコシを国内でのバイオマス加工に転用することで国内消費量(国内供給量)が増加している。その分だけ自給率が低下しているのですね。
アメリカ合衆国で燃料用にトウモロコシが利用されているという問題も今年は出ていましたね。同じ問題ばっか!!!
問6①
①が誤りだね。大都市圏外に工業分散をさせればそこに雇用が増え、人口は流入超となる(人口の社会増加率が上がる)。仕事のために移動する人口は若年層が中心である。若年層の割合が上がり高齢化は解消。若い夫婦が増えれば出生率も上がり少子化も解決する。
他の選択肢も重要。選択肢②の状況は先進国、発展途上国問わず生じていること。再開発により家賃が上がり、旧住民は住む場所を失う。
選択肢②で風力発電施設の立地が問われているが、沿岸部の平坦な地形が適する。日本は北海道や青森県の海沿いに風力発電施設が多い(もっとも、ここに風力発電施設が置かれている理由は台風の襲来の危険性が少ないことも理由の一つですが)。山間部や盆地などには適さない。
なお風力発電施設の新しい設置場所として近年注目を集めるのが浅海である。洋上風力発電所。イギリスで風力発電量が増えているが、北海は水深が浅く風力発電施設の設置に適する。
選択肢④の内容も必ず押さえておこう。孔子の言葉で「貧しい者には魚を与えるのではなく、魚釣りの方法を教えるべきだ」というのがあるけど、ホントにそうだよね。一時的にお腹を満たすことは長期的にみれば何の意味もなく、彼らの依存心を増やすだけ。貧しい人々が自立できるように世界中の人々が丁寧に指針を示してあげるべきなんだね。
なお、ここではとくに「企業的」農業とあるのが作問者の意図が見えるようで興味深い。世界各地でその自然環境に適した農耕が行われており、それが地域の生活文化と結びつく。日本のような狭い国土であっても実は十分すぎるほどの食料は生産できる(実際に米の生産量は国内消費量よりはるかに多い)。アメリカ合衆国やオーストラリアが一生懸命環境を破壊しながら企業的農業を営んでおり、その輸出によって利益を得ている。でもこれって必要なことなのだろうか?過剰な農業による環境破壊も深刻になっている。原則として「食べ物は自分の国でつくる」っていう考え方がもっと広まってもいいんじゃないかって思います。
<第5問は旧地理Bとの共通問題>