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2014.06.03

地理は統計学である

地理とは統計学である。それなのに、多くの生徒は数字に対する注意力に欠けている。

地理的思考の第一歩は、実数であるGNIと、割合である1人当たりGNIの違いを明確にさせることである。

とにかく数字。数字を使いこなすことに、地理の真髄がある。

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2014.06.03

福井夏期講習

夏期講習8月11日12日13日と福井に出講することになりました。授業は午前中でちょっとしんどいなと思いつつも(笑)午後が丸ごとフリーになるから、それはそれでいいかな、と。

ただいまテキスト原稿を仕上げていますが、こうした教材作成能力を重要視してくれる予備校はありがたいですね。ちょっとでもいいものを作ろうと、がんばっております。

ではでは関係者のかたがた、よろしくお願いします。

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2014.05.28

さらに今日の授業

授業で最後列の隅っこに座ってる、ちょっと大人しい感じの子がいた。こちらの授業進行がちょっと早いともう付いてこれない。授業にはスピード感も大切だから、ある程度のテンポの早さは仕方ないとは思うんだが、でもその子の理解を超えていたら、全然意味ないよね。少なくとも初めて触れるような部分においては、しっかり足を落ち着けて、テンポを落とした説明をしてみないといけないな。最も不器用な子に合わせるぐらいでちょうどいいんじゃないかな。

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2014.05.28

今日の授業

水曜日の校舎は2年ぶり。でも相変わらずチューターさんの仕事ぶりはいいし、すごく仕事しやすい。生徒の雰囲気もよく、いい感じに笑いが出る。「南米くん」と「アフリカ大陸」は解禁したが、予想通りのウケ方(スベリ方・笑)

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2014.05.02

里山

2014年度地理B追試験で興味深いのがこの問題。以前に紹介した「アメリカ合衆国では新規の原発は建設されていない」というトピックに関連した問題と同じ大問に含まれる。実はセンター地理では新エネルギーとして植物性バイオマスがしばしば取り上げられていて、とくに木屑などの木材資源が注目されている。

実は最近いくつかリンクで紹介したコンパクトシティについての話題はセンター地理では完全に無視されている。都市構造を論じる際には非常に重要な話題であり、私大地理の問題などではしばしば取り上げられているにも関わらず。

それに対して、こうした「里山」の重要性といった話題はセンター地理のトレンドの一つとなっている。人口を集積させ効率の良い国家を形成するべきなのか、それとも過疎地域を見捨てずに林業(バイオマスとしての)復興を図るのか、これも判断しかねるのだが、センター地理の思考においては方向性ははっきりしているように思える。

ちなみに正解は③で、「トウモロコシ」ではなく「サトウキビ」なのです。ブラジルのこの取組み(バイオマスカーとかね)もセンター頻出!

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2014.05.02

センター地理における原発問題

センター地理Bの思考の中に反原発が含まれているのはかつてからのトレンドである。この問題についても正解(誤文)は①であり、つまり将来的にヨーロッパでは原発は縮小の方向にあるというトピックが問われている。

北欧諸国が最も恐れるのは火力発電に起因する酸性雨がもたらす森林消失(林業に経済が依存しているのだ)であり、安定陸塊で地震の発生しないスウェーデン やフィンランドではむしろ原子力の利用は非難されるべきではないとも思う。しかし、フクシマ以前の2004年の段階ですでにこうした問題が問われているこ とは、センター地理の研究を生業としている人間として考慮すべき事例である。

ボクなど最近は感覚がにぶってしまて、原発の是非は全然わからないのだが、現に福島の人々は故郷を追われ、帰ることがない。ぶっちゃけ愛郷心のかけらもな いたつじんですら浜岡が事故を起こして静岡が封鎖されたらどうなるんだっていう恐怖はある。自分を育んだ土地を愛し、そこでの生活や人間関係、家族が全て だった人々にとって「故郷を失う」ということの非情さや絶望がいかほどのものか、正直想像の範疇を超えている。どうしたら福島の人に故郷を返してあげるこ とができるんだ?

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2014.04.25

牛について

地理A追試験で興味深い問題が。問題文は省略しますが、カッコで示した部分の正誤判定をしてください。

 

牛どうしが角を突き合う様子が描かれている。この地域を中心とした一帯では、「牛は聖なる動物とされ、農耕や食用には使われてこなかった」。

 

これ、誤文なんですよ。たしかに牛を神聖視する宗教はあるのですが、それはそもそも古来より培われてきた牛を大切にする文化の上に立脚したもの。なぜ大切かといえば、それは牛ほど使い勝手がいい家畜はいないからですよ。鋤(すき)を体に結わえ付け、田畑を耕すために利用する。乳は貴重な動物性タンパク源となる。排泄物は肥料となるほか、乾燥させて家庭で使用する燃料ともなる。角や革は工芸品の材料ともなりえる。たしかに高温湿潤の気候環境下では(腐敗や寄生虫を恐れ)食用とはなりません。しかし、それ以上に生活を支える「糧」として、いかに牛が重要視されているか、我々は想像しないといけません。上のカッコ内、「農耕」が誤っています。

 

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2014.04.25

2014年度地理A追試験解説

2014年度地理A追試験                                              

 

<第1問 自然環境>

 

問1 スカンジナビア半島の南部を通る緯線は北緯60度.北緯60度一周は20000kmである。A・Bの経度差は90度(マス目一つ分の経度差は30度である。これはロンドンが経度0度、日本が東経135度であることを考えれば、求めることができる)。20000を4で割って、正解は5000km。なお、A・Bは本来曲線である北緯60度の緯線に沿っているので、やはりこれも曲線である。問題が「およその距離」を求めるもので、直線距離を求めるものではないことにも注意してみよう。

 

問2 「現在のプレート境界」とは新期造山帯のこと。ウのヒマラヤ山脈が該当。他は古期造山帯。

 

問3 これ、難しいな、有機物に富む肥沃な土壌って黒土のことで、チェルノーゼムとプレーリー土が一般的で、ややマイナーなものにパンパ土がある。で、今回はそのパンパ土が問われている。アルゼンチンからウルグアイの草原に広がる土壌であり、Lが正解。

 

問4 カは降水量。赤道低圧帯でとくに高く、中緯度高圧帯で低い。キは蒸発量。気温におおよそ比例している。残ったクが気温年較差。こちらは緯度に比例。

 

問5 小麦が正解。ヨーロッパにおける小麦の栽培北限はバルト海の南部。

 

問6 年降水量のような、ある地点で観測できるデータを表すものは等値線図。流線図は貿易(輸出先と輸入先が示される)や人口移動(移動の方向がわかる)など。

 

問7 Pについて。標高550mより高いところを着色してみよう。PからXの方向を眺めると、標高550mを超える高所がそびえ立ち、Pが北西向きの斜面に位置していることがわかる。Pに降った雨水は北西方向へと流れ落ちる。

Rについて。やはり550mより高いところを着色してみよう。RからXを眺めると、550mより高い山稜が切り立ち、Rは北東向きの斜面に位置している。Rに降った雨水は北東側に向かって流れ落ちる。

Sについて。450mより高いところを塗ってみよう。SからXを眺めると、この450mを超える高所が障害となる。Sは南東向きの斜面に位置し、雨水も南東に向かって流下する。

Qが正解。「水垣内山」の山頂を着色し、さらにその周囲の標高650mより高いところも塗ってみよう。Qは水垣内山の南西側の斜面に位置し、個々に降った雨水はそのまま南西方向つまりXへ向かって流れ落ちる。

 

問8 地理A特有の問題であるが。④が誤り。光ケーブルは陸上もしくは海中(太平洋や大西洋を横断する巨大なケーブルもある)に敷設されている。

 

 

<第2問 貿易・人口移動・交通など>

 

問1 オーストラリアは石炭、ドイツは自動車、ブラジルは鉄鉱石、ベトナムは衣類。①がベトナム、②がドイツ、③がブラジル、④がオーストラリア。

 

問2 北東部が誤り。国境を直接越えてくるので、アメリカ合衆国においてメキシコからの移住者が多いのは南西部。

 

問3 かつての宗主国と植民地の関係、言語の共通性などを考える。Aにはイギリスが含まれ、インド。インドは旧イギリス領であり、また英語使用者が多い。Cはフランス。近接する国が多く、とくにベルギーの公用語の一つにフランス語がある。なお、韓国の旧宗主国は日本であり、高齢者には日本語を不自由なく話す人々も多いが、これらは日本への留学生が多いことと派とくに関係ないかも。

 

問4 労働力が必要とされる工業なので、労働集約型工業の自動車工業。ブラジルは旧ポルトガル領であり、公用語もポルトガル語。

 

問5 旅客?ってことは人口には比例しそうだね。さらに単位は「百万人キロ」だから、人数だけでなく距離も重要な要素であり、国の面積にも比例すると思う。面積の小さなルクセンブルクは⑤でいいと思うよ。

ベルギーも比較的小さな国だし、④が該当すると思っていいでしょう。

一方、他の3つの国はいずれも人口が多い国なのだが、ポイントはイギリス。離れ小島であり、(フランスとの間に海底トンネルはあるが)原則として他の国と鉄道は通じていない。国際輸送量が極端に小さな③がイギリスでしょう。

さらに①と②だが、これははっきり言ってわかりにくい。だからもう一度基本に戻って人口と面積で考える。フランスは人口6500万人、面積55万平方キロ。スペインは4500万人、45万平方キロ。ベタに考えてしまっていいと思う。①がフランス、②がスペイン。

 

問6 ③が誤り。モンゴルを含めユーラシア大陸東部は当時、ソ連の存在により航空路として使用しにくかった。ヨーロッパ行きの航空機はアメリカ合衆国アラスカ州のアンカレジを中継地としていた。

 

問7 距離がヒントにはなると思うんだな。最も近い二がマレーシアのクアラルンプールでしょう。次いで近い、さらに便数も多い(日本人が最も多く訪れる外国はアメリカ合衆国である)ナがハワイのホノルル。

さらに遠距離ではあるが、やはり便数の多いネがロサンゼルス。つながりが薄いヨーロッパのフランクフルトがヌ。

 

 

<第3問 東南アジア地誌>

 

問1 シンガポールを当てる問題なので簡単かな.赤道直下なので気温年較差が小さい①が正解。他の3地点は北半球であり、明らかな季節差がある。降水量は考慮しなくていいが、シンガポールは年間を通して一定の降水量がみられる。

 

問2 これ、ちょっと難しいですね。地理A特有の問題。

Mは津波。ジャワ島の南には海溝が走り、海底地震が発生した。アが該当。

Kはサイクロン。三角州の低地であり、サイクロンの被害。イが該当。

残ったLが火山となる。ウが該当。

 

問3 カンボジアな地理Bで問われる国ではないが、地理Aではアンコールワットが登場したことがある。ヒンドゥー・仏教寺院で、世界遺産ではあるが、荒廃が激しく危険リストに掲載されている。③が正解。「国際河川」はメコン川。

①はシンガポール、②はタイ、④はブルネイ。タイの天然ゴムやブルネイの天然ガスに注目。

 

問4 いいですね。やみくもに牛を聖なる動物とみなさないように。あくまで食用にはしないだけで、農耕用(使役用)には重要視されていた。乳は貴重な動物性タンパク源となり、排泄物は燃料となる。「使える」動物なのだ。③が誤り。

 

問5 宗教のベタな問題。フィリピンで割合の高い②がカトリック。ベトナムの①が仏教。マレーシアで過半数を占めるマレー系住民が信仰するのがイスラム教で、④が正解。

 

問6 難しい。おそらく①だと思う。かつてタイの関する問題で「農村の過疎化」というキーワードが登場し、誤りであった。東南アジアはそもそもの農村人口が大きく、第1次産業就業人口割合も高いので、過疎化や廃村といった状況にはまだなってないんじゃないかな。

 

問7 これも普通に難しい。地理Aってこういうパターンがあるから厄介やねんな。とりあえず、②が誤文でしょう。シンガポールはたしか自家用車の交通規制をしていたはず。ナンバープレートが基数、偶数で使用できる曜日が限定される。これにより過剰な自動車交通を緩和する。公共交通機関を使用する人の方が多いと思うよ。

さらに⑥も違うね、東南アジアは高温多雨の自然環境で、米の栽培が中心であり、小麦は栽培されない。

 

 

<第4問 人口・生活環境など>

 

問1 出生から死亡をマイナスすれば人口(自然)増加率が出る。原則として、死亡率の差は出生率ほど大きくないので(グラフの目盛りをみればわかるでしょ?死亡率の方はマックスが20だけど、出生率の方は50になっている)、基本的には出生率だけみたらいい。最も出生率が高いウのグループがアフリカなどの後発発展途上国となる。ウがB。

アとイについてはいずれも出生が低いことがポイント。ただし興味深いのはアで、これは「出生率<死亡率」となっており、つまり人口が自然減少している。このような場所は世界全体を見回しても、社会・経済不安が人口の減少につながった東ヨーロッパ地域のみ(日本にしても、人口が減少しているとはいえ、20万人程度であり、全体の割合からみればわずか。「人口は変化していない」と解釈するのが正しい)。アがCとなる。

 

問2 「世界最大のダム」は長江に建設されたサンシャダム。Rがク。灌漑が原因となる湖面縮小はアラル海。Pがキ。カ・Qは消去法。

 

問3 写真がないけど、強引に当ててやろう。おそらく①でしょう。写真ではっきりとわかるスラムって、先進国じゃなくて発展途上国に違いないよ。おそらく高層ビル群の横にバラックのような掘建て小屋が並んでいるんだろうな。

 

問4 「緑の革命」はアフリカでは行われない。緑の革命はアジアやラテンアメリカで行われた農業の近代化で、自給作物(穀物)の増産が目的。アフリカではそのようなことはない。

 

問5 これ、全然わからない!何なんだろう、一体?とりあえず『非政府組織』なので、①の「警察」は違っていそうだな。また④についても違うんじゃないかな。下線部は引かれていないものの、実は「津波」っていう部分がちょっと気になる。モルディブで本当に問題なっているのは津波より海面上昇であり、それは防波堤によって防げるものなのか。島全体を堤防で囲むようなことをしないといけない。サンゴ礁の島だけに環境破壊も怖いし、そこまで大規模な土木工事は行われていないんじゃないか。④も誤りでしょう。

 

 

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2014.04.24

2014年度地理B追試験解説[第6問]

第6問 地域調査の問題.桜島だけにサクラさん?(笑)地形図や図表を作った問題、さらにラストの調査方法に関する正誤問題等内容はかなりオーソドックス。一部に難問もあるが、全体には難易度は低めで、ここでしっかり得点しよう。

 

問1 [インプレッション]写真判定問題。こうした問題って模試ではなかなか作りにくいので憧れるなぁ(笑)。視線判定なので、矢印を延長して自分の視界を明確にすることが重要。

 

『解法』ア〜ウ、それぞれの矢印を延長してみよう。それが視線となる。またそれぞれの写真について、中心に縦線を引いてみよう。それが先ほど書いた視線と一致している。中央に何がみえるか、左右に何がみえるか。

ポイントになるのは海。視線が海に入り込んでいるものがアとイであるのに対し、ウは視線の先には山がある。A〜Cの写真を判定し、海が見えるものはBとC(なお、海が右側にみえることも確認。アとイの視線はいずれも右側に海が位置している)。正面が山となっているのはAであり、これがウとなる。

さらにアとイ。視線の先に何がみえるだろうか。アの正面には市街地がみえ、イの正面には小高い山がある。このことから、Bがア、イがCとなる。

 

[アフターアクション]写真判定問題は視線を確定させること。矢印を延長して、自分がみている中心線をはっきりさせてから解こう!セオリーに忠実な問題でした。

 

 

問2 [インプレッション]地形図問題.火山噴火を取り上げた問題はかつて1999年度に雲仙普賢岳が出題された例がある。独特の地形図だね。

 

[解法]①;赤生原は海岸線に沿う北部の集落。現在でも家屋はみられ、溶岩によって覆われたわけではなさそうだ。誤文。

②;1902年の地形図を確認。御岳の西側の斜面に果樹園の記号はみられない.針葉樹がみられる程度。誤文。

③;なるほど、たしかに溶岩によって浅海が埋め立てられ、広い範囲が陸化している。正文。

④;三角州は沖積平野の一種で、河川による堆積地形。溶岩によるものではない。誤文。なお、三角州については第1問問5選択肢4でも取り上げられている。確認しておこう。

 

[アフターアクション]それにしても最近、地形図問題の難易度が低下しているような気がする。本問も、ちょっと三角州の定義が難しいぐらい。地形図問題に妙な苦手意識を持たず、確実に得点しよう。

 

 

問3 [インプレッション]何これ?簡単すぎない?

 

[解法]そのまま①が正解なんじゃないの?2月において最も降灰量が小さかったのは、南岳の南西側。

 

[アフターアクション]変な問題(笑)。これだけ立派な図をつくったのだから、もっとそれを活用する問題ができたはずなんじゃ。ボーナス問題ですね。

 

 

問4 [インプレッション]雪国の対策っていうネタが数年前の追試験で出題されたが、それと同じパターン。でもこちらの方が楽。なぜなら、誤り選択肢についても過去に出題例があるから。

 

[解法]2006年度の追試験で茶畑のファンが出題されている(2012年の本試験でも写真にチラッと登場しているのだが、こちらは問題の対象となっていない)。これは霜対策。空気をかき混ぜ、冷気が地表面付近にたまらないようしている。降灰や噴石の対策ではない。

 

[アフターアクション]茶畑のファンって中学の問題で登場するのかな。高校地理ではおそらく取り上げられていないよね。ボクは茶の産地の出身なので、このファンが遅霜を防ぐためのものであることはよく知っているんだけど。いずれにせよ、2006年に問われているネタなので、やっぱり過去問研究は重要ってことだね。

 

 

問5 [インプレッション]一転してこちらは難しいな。以前佐賀県を対象にこうした問題が出題された例があったが、そちらでは地形がヒントとして与えられ、稲(低地に適応するからね)が真っ先にわかった。今回は手強いな。

 

[解法]一番気になるのはJの「75%以上」の地域の広さなんだわ.農地のほとんどが特定の作物のために使われているって言うパターン、めずらしくない?これ、おそらく稲だと思うんだわ。わが国の主穀であり、栽培面積も当然広い。とくに東北地方や日本海側では顕著なのだが、鹿児島でもそういった地域は存在するのでは。Jが稲となる。

さらにL.シラスの分布地域と最も対応しているのはこれでは。火山灰は比喩ではないし、水もちも悪い。大隅半島(桜島の東の方の半島)を中心に栽培されているのは、厳しい自然環境でも生育できるイモ類なのではないだろうか。地面深くに根を張り、厳しい自然環境でも生育できる。根や地下茎に養分を貯えることでイモが育つ。Lをイモ類とみていいだろう。

Kが野菜類。桜島の西側の鹿児島市で比較的値が高いが、近郊農業として野菜が栽培されているのだろう。

 

[アフターアクション]これは難しいと思う。最大のポイントは「75%以上」という数字。これに注目できないと、なかなか解けない。センター地理は数字の学問という鉄則。これ大事!

 

 

問6 [インプレッション]ラストはありがちな問題。調査方法に関する問題だが、たいていインタビューとかアンケートの重要性が問われているんだよね。

 

[解法]①について、インターネットで衛星画像は手に入る。でもそれで観光施設ってわかるもんなのかな。建物の形状などはわかっても、その機能まではなかなかわからないんじゃない?これが誤文でしょう。他はたしかにその通りだもの。

 

[アフターアクション]意外とこういった問題を苦手にしている人、いるんじゃない?幸い、出題例は多いし、慣れることはできる。選択肢②や④のように聞き取り調査やアンケートっていうのは、調査方法としては非常に有効。

 

 

 

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2014.04.24

2014年度地理B追試験解説[第5問]

第5問 問2にはちょっとビックリ。でもGNIまで考える必要がある問4、細かい部分を注視しないと解けない問5など、おもしろい問題が多い。

 

問1 [インプレッション]実は問2でも難民ネタが取り上げられているんだよね。そちらがちょっとヒントになっているんじゃないかなっていう感じもある。

 

[解法]①や②は図から読み取れることであり、これは正文とみていいと思う。もちろんアフガニスタンやイラクの位置がわからなければ判定はできないけれど、この機会に覚えておこう。もっとも、こうしたマイナーな国が重要となることは少ないけれど。

一方、③や④は図からは判定できない、ある程度の知識が必要となってくるもの。ただし、④のNGOについては、そもそもセンター地理で問われるものではない。別に知らなくてもいいと思う。ここでのポイントはもちろん選択肢③。このように「決めつけている」選択肢って要注意でしょ?本当に砂漠化の進行や水、食料の不足が原因なのかって。問2や問3①をみてもわかるように、難民が生じる主要な理由として戦争(内戦や紛争)がある。アフリカは政治的に最も不安定な地域の一つであり、さまざまな民族・部族、宗教が混在することによって内戦の可能性も大きいだろう。もちろん砂漠化のような自然条件が起因して生じた難民も少なくないとは思うのだけれども、やはり戦争によってこそ多くの難民が生じているのではないか。アフリカだけでなく、これは世界全体に言えることだが。以上より、③が正解。

 

[アフターアクション]決して難しい問題ではない。問2や問3が難しいので、ここで点を落とすようでは高得点は狙えない。でもこういった問題が苦手な人っているよね.解法でも述べているけれど、選択肢①②と選択肢③④とで性格が異なる。また文章のニュアンス(決めつけるような文章になっている)ことも大きなヒントの一つになる。センター試験の特徴というかクセのようなものが明確に出た問題であり、慣れていないと解答しにくいと思う。「習うより慣れよ」というわけで、センター地理は過去問をたくさん解くことによって、その雰囲気を掴み、それを解法に結びつけて欲しいとは思っているのだ。

 

 

問2 [インプレッション]セルビアってどこやねん?っていう国名でまず躓(つまず)く。消去法で考えれば何とかなるけど、コロンビアも微妙かな。センターに出た国名ぐらいは知っておこうって感じかな。セルビアが旧ユーゴっていうことがわかれば解答が難しい問題ではない。

 

[解法]セルビアやコロンビアなどちょっとマイナーな国が問われているが、まず最も明確な選択肢としてベトナムを特定しよう。

Bの「東西の冷戦を背景とした戦争」とはベトナム戦争のことか。ソ連の支援を受けた社会主義の北ベトナムが、アメリカ合衆国の支援を受けた資本主義の南ベトナムを駆逐し、社会主義国である統一されたベトナムが誕生した.ベトナムについては「社会主義」もキーワードである。Bがベトナム。

セルビアは旧ユーゴの構成国。旧ユーゴスラビアについては詳しい状況を知る必要はないし、かつての連邦国家が民族や宗教の対立によって多くの国に分裂したことだけ知っておけばいい。このような複雑な状況を述べているAをセルビアとみていいだろう。「民族紛争」に注目すればいい。

なお、さらに将来に説明を加えるならば、これはセルビアのコソボ問題を説明した文章である。セルビア南部のコソボ自治州にはイスラム教徒であるアルバニア系住民が居住し、キリスト東方正教徒であるセルビア人と対立していた。セルビア政府によりコソボ弾圧などもあり、事態は深刻化したが、やがて西ヨーロッパ諸国が主であるNATO軍の介入もあり、ようやく争いは収まった。現在はコソボは独立し、セルビアから分離している。隣国アルバニアに流出した難民の多くも帰還を果たしている。

残ったCがコロンビア。コロンビアは麻薬の生産が噂されている国でもある。

 

[アクターアクション]さすがに「麻薬」にはビックリした。こんな話題、教科書で扱うわけもなく、授業でも取り上げないでしょ。さらにコソボ問題もちょっとマイナーな話題。一般常識というわけでもないし、なかなか勉強が難しい部分ではあるね。こういった問題で失点するのは致し方無し、かな。戦争と社会主義で特徴づけられるベトナムの事例だけ、絶対押さえておこう。

 

 

問3 [インプレッション]複数の解答を求める問題。選択肢が5つしかないのはちょっとうれしいね。ネタとしては民族が入ってくるだけにもしかしたら厄介かもしれない。

 

[解法]人の移動に関する問題だが、理論よりも知識が問われている。厄介な問題だけど、確実にポイントを押さえよう。

①;ユダヤとパレスチナの関係は重要。戦前までパレスチナ地方に住んでいたのはアラブ系パレスチナ人(イスラム教徒)。世界中から移住してきたユダヤ人によって彼らは住む場所を追われ、難民となった。ユダヤ人が建設した国がイスラエル。ユダヤ人やユダヤ教徒でもあり、民族・宗教的な対立も生じている。「ユダヤ」と「パレスチナ」の用法は間違っていないので、これは正文かな。

②;現在のEUについてこんなことがあるだろうか。もちろん域内の労働力の移動は自由なのだが、域外からの流入も(自由度は低いかも知れないが)禁止されているとは思えない。移民を制限していていた白豪政策やアパルトヘイトは国際的な非難によって、すでに撤廃されている。EUでこんな時代錯誤なことは行われていないだろう。誤文。

③;「初期に流入」かどうかはわからない。ここは無視しよう。ポイントは「フランス」と「ケベック」。カナダ東部のケベック州にはフランス系住民が多く、フランス語を使用するなど他の地域とは違った文化を有している。現在は沈静化しているが、かつてはテロなども勃発していたそうだ。正文。

以上より、①と③が正解。ユダヤとパレスチナ、フランスとケペックなど、固有名詞が問われているが、いずれもセンターでは狙われるワードなので、しっかり覚えておこう。

④と⑤は不問となるが、一応確認。

④;シンガポールのみならず、東南アジア一帯で最も経済的な実権を有しているのは中国系住民(華人)。とくにシンガポールは人口の4分の3が中国系住民によって占められており(これはぜひ知っておこう!)、とくに中国系住民の影響力が強い国であるはずだ。インド系はそうでもないと思うよ。誤文。

⑤;これ、難しいよね。追試ならではの特殊なネタと考えていいと思う。知らなくても大丈夫。中国では、主に内陸部の農村から、主に沿海部の都市へと労働力の移動がみられた。しかしあまりに無軌道で過剰な移動であるため、近年はやや制限されることになった。具体的には、農村で生まれた人は農村戸籍、都市で生まれた人は都市戸籍といって、生涯にわたりそれは変更できない。都市である程度働いた人は、いずれ故郷の農村に帰らなくてはいけない。決して「奨励」されているわけではない。

 

[アフターアクション]やっぱり難しい問題だと思う。選択肢5については、受験生のレベルで知っておくべきものとも思えないし、そもそもが最近このような戸籍制度による縛りも緩和されているので、この文章内容自体が過去のものとなっている。とりあえず正文判定問題として、選択肢1と3をしっかり理解できていればいいと思うよ。いずれもセンター頻出のメジャーなネタであるし、絶対に知っておかないといけない。ユダヤとパレスチナ、フランスとケペック、いずれも重要。

 

 

問4 [インプレッション]変わった問題。でもおもしろそうだな。1人当たりGNIは当然だけど、GNIも大切になってくるんじゃない?経済レベルと経済規模の両方を考慮しつつ、問題に取り組みましょう。

 

[解法]出稼ぎは発展途上国から先進国へと向かう。別の言い方をするなら、1人当たりGNIが低い国から高い国へ。発展途上国の人が先進国内でお金を稼ぎ、それを本国へ送金するのだから、「送金受取額>送金支払額」が発展途上国で、「送金受取額<送金支払額」が先進国。①と②が発展途上国でインドとナイジェリアのどちらか、③と④が先進国で日本とスペインのどちらか。

インドとナイジェリアの判定だが、これは国としての大きさで考えたらいいと思うよ。人口が多く、GNIも大きい(GNIは1人当たりGNIと人口の積)インドの方が、そもそもの金額の規模は大きくなると思う。インドもナイジェリアもいずれも低所得国ではあるけれど、インドは14億、ナイジェリアは2億という人口の大きさの違いは①と②の値の違いに明確に反映されている。①がインド、②がナイジェリア。

 

[アフターアクション]非常に頭を使う問題でしたね。まるで推理小説を読むような。とにかく困ったら1人当たりGNIとGNIで考えること。インドの特徴は、1人当たりGNIの低い低賃金国ではあるものの、GNIについては比較的規模の大きな「大国」であるということ。このキャラクター設定を間違えなければ何とかなる問題だと思う。

 

 

問5 [インプレッション]さりげないな〜。思わず見落としちゃうよ。ドサクサに紛れて、気づかない内に誤りワードを通過させようとしているような。言われてみれば決して難しい問題ではないんだが、それに気づくかどうかっていうと別問題だわな.知識の有無より、注意力を試しているような問題。

 

[解法]「西アジア諸国とホンコンでは、夫婦共働きが一般的である」が引っかかりポイント。いや、ホンコンは確かに共働きが多いんだわ。だから一瞬迷ってしまう。当然注目するべきは「西アジア」だよね。西アジアのアラブ圏を中心とした地域では、古い時代より女性の権利が制限され、社会で活躍する女性も少ない。仕事をするのは男であり、女性は家庭から出られない。この表からは職種はわかるものの、その数はわからないよね。おそらく実際に働いている女性の人数ってスゴく少ないんじゃないかな。以上より②がアウトです。

 

[アクターアクション]単に「イスラム地域は女性の権利が制限されている」と覚えておいたらいいよ。でも厳密にはイスラム地域だけでなく、南アジアのヒンドゥー教地域でも同様のことはみられ、むしろこうした女性差別は宗教的なものが原因とは思えないんだよね。そもそもイスラム教なんかせいぜい1500年ほど前にできた新しい宗教であるし、当然イスラム教誕生以前から女性の立場は苦しいものであった。例えば幼児婚なんていって、女性は小さな子どものうちに結婚させられたりする。当然学校にも行けないし、読み書きができないから、まともな仕事もできるわけがない。こうした西アジアや南アジアにおける状況は理解しておこう。

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