たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう
[2]次の表1は、アメリカ合衆国のいくつかの人種・民族について、その社会経済的地位に関する現状を示したものであり、①〜④は、アジア系、アフリカ系、ヨーロッパ系、ヒスパニックのいずれかである。ヨーロッパ系に該当するものを、表1中の①〜④のうちから一つ選べ。(2012年度地理B本試験)
表1(単位:%)
| ① | ② | ③ | ④ |
大学院修士号以上の取得者(*) | 19.9 | 11.0 | 5.9 | 3.9 |
製造業の従事者(**) | 7.5 | 6.1 | 7.5 | 10.4 |
農林水産業の従事者(**) | 0.2 | 0.5 | 0.3 | 2.3 |
(*)各人種・、民族における25歳以上人口に占める割合。
(**)各人種・民族における16歳以上民間被雇用者に占める割合。
統計年次は2005年。『現代アメリカデータ総覧2008』により作成。
これは完全に間違えた問題です(涙)。正直、今だにピンと来ない。この問題のポイントっておそらく「農林水産業の従事者」だよね。移民は原則として、雇用と高賃金を求め都市に流入よね。第2次産業や第3次産業に就業することが主であり、相対的に第1次産業の従事者は少なくなる。なるほど、「0.2」と「0.3」の①と③が移民となり、残った②と④が旧来の「アメリカ人」である。旧来のアメリカ人とは、独立当初からこの国を形作ってきた、ヨーリッパからの移民や黒人奴隷の子孫たちである。ヨーロッパ系とアフリカ系が②と④に該当するのです。 ①と③が移民すなわち、華僑(中国からの移民)やその子孫を中心とした「アジア系」、あるいはメキシコからの移住者およびその子孫を中 心とした「ヒスパニック」に該当。この2つの判定については、シンプルに「大学院博士号以上の取得者」でいいと思う。華僑(中国からの移民)は移住当時は貧しかったが、商業などで財を成した者も多く、高所得者であるだけ学歴も全体的に高いとみていいだろう。また、近年は富裕層の移住者も増加しているだけでなく、そもそも留学生としてアメリカ合衆国へとやってきて、そのまま永住する人もいるのでは。①を「アジア系」と判定し、残った③が「ヒスパニック」である。 このように後から考えてみれば、確固とした理由をつけることができるのだけれども、実際に試験で出題された場合、ここまで考えを深めて解答できるかっていうこと。難問だわな〜。 (スイマセン。。。さらに間違えていました。③がアフリカ系、④がヒスパニックです) 最初に解いた時に間違えて、再度解き直して解答は当たっていたものの、細かい部分の解釈が及ばなかったということですね。面目ありません。 現代の人口移動は「製造業」が中心であり、例えば日系ブラジル人の日本への流入は自動車工場での労働を目的としたものです。ヨーロッパでも多くの人口が流動していますが、ドイツやフランスへと東欧から多くの人々が製造業や建設業の労働力として入国しています。 ただ、これには一つ例外があるのですね。そう、アメリカ合衆国へのメキシコからの移民なのです。アメリカ合衆国のメキシコ国境沿いの乾燥地域は灌漑農業によって綿花が栽培され、その労働力としてメキシコからの移民すなわちヒスパニックの労働力が重用されています。 また北部の春小麦の収穫時期が秋であり、中部の冬小麦の収穫時期が初夏であるなど、アメリカ合衆国内の多様な農業地域では年間を通じて農業のための労働力が必要となります。それを補うのがヒスパニックなのですね。 メキシコからの移民もアメリカ合衆国で子供を設け、彼らはメキシコ系アメリカ人となります。彼らは親の仕事を継ぎ、農業に従事し、そして高い学歴は期待されないのですね。 農業就業割合が高い4がヒスパニックであり、残った3がアフリカ系となります。 |
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