たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう
問3 [インプレッション] おっと、都市名が登場している。とはいえ、定番のものばかりなので、とくに混乱はないでしょう。デリーがちょっと特殊かな〜。デリーはインドの首都なんだけれど、この都市を知らないなら知らないで全然オッケイ。こんなマイナーな都市は「解答」にはならない。本問は誤文選択問題であり、つまり「誤っている文」が解答になる。選択肢③デリーは解答にはならないから、これは誤文じゃないってこと。正文でしょ、どうせ(笑)。シェンチェンもちょっとマイナーだな、これも答えじゃないな。他のメジャーな都市の中に犯人(解答=誤文)は隠れているのだ。
[解法] パリは非常に出題率が高い街。ていうか、第 問問 でも登場していたぞ!?どんだけパリ好きやねん?ってツッコミも入ります(笑)
ただし、ここはパリの特殊性はちょっと置いといて、いわゆる先進国の大都市の一つのモデルケースとして考えてみよう。「移民など低所得者層」とある。これ、スラムの住民だよね。少数民族や移民が都市へと流入する際には、都心近くの旧市街地に彼ら自身の居住区を形成するケースが多い(黒人街とかアラブ人街とかそういう感じ)。「先進国の大都市のスラムは都心部に形成される」というセオリーをぜひ知っておこう。欧米の先進国は開発の歴史が古い。そのため都心付近は施設や建物が老朽化、荒廃する。そのため富裕層は郊外へと転出し、都心部には廃墟が残される。そこに住むところを持たない低所得者層(社会的に困難な立場にある移民や少数民族が多い)が入り込み、スラムを形成する。選択肢⑤では「郊外に集住」とあり、これは間違っている。誤文。
さらに④。この都心のスラム化を「インナーシティ問題」と呼ぶ。広義には日本の都市に顕著なドーナツ化現象もインナーシティ問題の一つとする場合もあるんだけど、センター地理のレベルではそれはいらないと思う。いたずらに複雑化する必要はない。「先進国の都心=インナーシティ→スラム化」と結びつける。
そう考えてみると、④が違うのはわかりやすいでしょ?低所得者層が「都心に流入」することによってインナーシティ問題が発生するのだ。
以上、同じ「スラム」ネタで2つの選択肢が誤りとなるのです。
[アフターアクション] というわけで、④と⑤を正解としてみましたが、どうなんやろ?もしかして違う?選択肢②のシンガポールが怪しいんだわ。隣国ってマレーシアのことだよね。こんなことが起こっているんだろうか。私は全然知りません。②が正解だったらお手上げです。スンマセン。。。
[後日譚。。。]
スイマセン、答え合わせをしてみたら、実は②と④が正解でした(つまり誤文)。⑤は正文だったんですね。こりゃわからんわ(涙)解説不能です。申し訳ありません。
問4 [インプレッション] 土壌劣化という言葉は耳慣れない。センター初出じゃないかな。とはいえ、とくにビビる必要はない。表の方で「過放牧」とか「森林破壊」とかおなじみのワードが登場しているじゃないか。これを頼りに解いていけばいいんじゃない?これ、実は植生の問題だよね。そして植生と結びつく気候の問題。
[解法]表を参照。「過放牧」は砂漠化の原因の一つで、家畜を過剰に飼育することによって、一帯の草地を根こそぎ食べ尽くしてしまう。砂漠化とは「植生喪失」のことで、半乾燥の草原(ステップ)においてみられる環境問題。候補の3つの地域のうち、砂漠化が深刻な問題として取り上げられているもの(そして過放牧が行われているもの)は「アフリカ」である。カが該当。
さらに「森林破壊」。実は冷帯林は増加しているし、アジアでも中国など積極的な植林によって森林面積割合はやや上昇傾向になる。森林は冷帯林、温帯林、熱帯林とあるが、その中で森林減少が深刻になっているのはとくに熱帯林である。伐採や開発などによって熱帯地域では多くの森林が失われている。このことから、熱帯の割合が高い大陸として「南アメリカ」を考え、熱帯林が広がっているが、その分だけ森林破壊も深刻であることを考えよう。キが該当。
残ったクが「北・中央アメリカ」。ここのポイントは農業でしょ。アメリカ合衆国にける土壌劣化として深刻なのは土壌侵食(土壌流出)つまり「表土の流出」。そもそも丘陵地を切り開いて畑地にしているため、雨や風の影響で土壌がこぼれ落ちてしまう。それを防ぐために等高線耕作も行われているのだが(段々畑や棚田と似たような感じ)、それでは大規模機械化がしにくいということで、せっかくの等高線耕作地が破棄され、そのまま斜面上に耕地が設けられる。それじゃあ、土壌は流出するばかりだよね(涙)。あるいはアメリカ合衆国の農業がもたらす環境被害として、大規模灌漑による土壌の塩性化(塩害)がある。西武乾燥地域では地下水をくみ上げ、センターピボット農法が行われているのだが、粗放的な散水であるため、塩害のリスクは高い。
[アフターアクション] アメリカ合衆国の農業における土壌劣化を知っておいて欲しいかな。等高線耕作の放棄によって土壌侵食が深刻化し、センターピボット農法によって塩害(それから地下水を使ってしまうため、地盤沈下も)が生じる。
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