たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう
第5問 いつものように現代世界の諸課題という、ゆる〜い括りの大問。人口や環境問題に関する話題が多いかな。ただ、この大問、問題が史上最悪なぐらい難しい!問1と問2はかなり迷う。っていうか決め手がない。問3って一応答えは出るんだが、他の文も正解(誤文)っぽく見えるんだよなぁ。迷う。比較的簡単な問4や問5でしっかり得点することが大事なんやろうね。
問1 [インプレッション] これ、ちょっと難しい。いちおう過去に似たような内容に出題例はあるが、そこではアメリカ合衆国がポイントになっていた。それに対し、本問はアラブ首長国連邦。1人当たりGNIはマックスに高いが、先進工業国とは決していいにくい国ではある。果たしてどう解いたらいいんだろうか?
[解法] ん?わからん。。。もしかしたら違っているかもしれないので、その場合は後日解説を書き直します。
まず、アメリカ合衆国から特定してしまおう。この国のポイントは、国民皆保険制度がなく、原則として医療費な自己負担。富裕層は保険会社と契約して、それなりの医療サービスを得ているが、貧困層はそうした保険に加入できず、病気や怪我が深刻でも病院で治療ができない場合が多い。家計支出における医療費の割合が高い国としてぜひ知っておこう。
その一方で、世界最大の肥満国の一つ。高カロリーの食事が一般的であり、人口に占める肥満している人の割合は際立って高い。
この2点をかんがみるに、2をアメリカ合衆国と考えるのは自然だろう。肥満の割合は30%を超え、医療費は原則として自己負担。アメリカ合衆国の「病巣」である。
逆に④がフィリピン。例えば、経済レベル(1人当たりGNI)と1人1日当たり供給栄養量(カロリー)はおおまかに比例する。とくに湿潤アジアでは、家畜の肉を食する文化がなく、主な動物性タンパク源が日本や東南アジアのように魚介類であるケースも多いため、カロリーは抑え目になる(1人当たりGNIが極めて高いのに、日本の1人1日当たり供給栄養量は、アフリカ諸王とあまり変わらない低さである)。このことから、フィリピンでは肥満人口は相対的に少ないと考え、④がフィリピンとなる。医療費における公的支出の割合が低いのは、社会福祉が整備されていない発展途上高だけに致し方ないと思われるし、人口当たりの病床数が少ないのもやはり病院を建てて医療体積をしっかりさせるほどの経済力が備わっていないのだな、と考えられる。
で、ここまではとくに問題ないんだよなぁ。ややこしいのはここから。①と③が残っている。①と③を比べると、「肥満」は①の方が圧倒的に高くアメリカ合衆国並み、「医療費の公的支出」はどちらも高いがあえていえば③は異常な高さ(85%だなんて、ほとんど100%みたいなもんだ)、「病床数」は③はアメリカ合衆国より整備されているが、①はそうでもない。さて、ここからは何となく解くしかないんだわ。感覚で解く。
僕は①をアラブ首長国連邦、③をデンマークとしてみたけれど、どうだろう?肥満については全然わからない。ゲルマン民族(アメリカ合衆国とデンマークの主要民族)はもしかしたらそもそも太りやすい体質なのかもしれない。アラブ民族はセム系なので系統が異なるから、体質も違うのかも。これは全くわからない。
医療費についても極端な違いがあるわけではないので判定ができない。上述したように、③の異常な高さは気になるものの、これがアラブ首長国なのかデンマークなのか判断できない。豊富なオイルマネーがあるから、国家が国民の健康を保証してくれているのか、あるいは北ヨーロッパ特有の手厚い福祉政策があるから、デンマーク人は自己負担なしで病院にかかれるのか。これもはっきりとは断言できない。
そうなると結局ポイントは最後の「病床」になるんだわ。デンマークについては北ヨーロッパキャラクターでいいと思う。つまり福祉国家。そうした老人にも優しい国において、病床数が少ないなんて有り得るかね?とくに北欧は高齢化が進んでいる国も多く、デンマークもその例にもれないはず。病床は必要でしょ〜。アメリカ合衆国の値(3.0)より低い(1.9)とは思えず、高い値(3.5)の③がデンマークになるのです。
消去法で①がアラブ首長国。こんなに肥満が多いものなのかな?それが疑問なんだが、アラブって肉とかたくさん食べるしね(イスラムが肉を食べないとは思わないでね。イスラムは豚を食べないだけで、羊など他の肉についてはむしろ消費は多いよ)。病床が少ないことについては、デンマークのところでも述べたけれど高齢者の割合と関係するような気がするんだよなぁ。アラブ首長国連邦は若い国でもあり、老年人口割合も低い。まだ病床はそんなに多く必要とされていないという解釈でいいんじゃないかな。
[アフターアクション] いや〜難しい。感覚的に解かないといけない部分がたくさん残されている。この感覚というものはどうやったら鍛えらえるのかな。やはりたくさん過去問を解いて、慣れていくしかないのか。
ところで、アラブ首長国連邦は2014年の本試験でも登場している(1人当たりGNIが極めて高いってことね)。センターってこのようにマイナーな国であっても、何年か連続して登場させるっていうパターンが結構ある。センター問題を研究する時にこういったことにも留意してみてもいいと思うよ。
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