たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

[地理総合・探究]2025年/本試験<第3問>解説

たつじんオリジナル解説[地理総合・探究]2025年/本試験

 

<[地理総合・探究]2025年/本試験・第3問問1解説>

 

[ファーストインプレッション]植生の問題と思いきや、気候の、そして地形の問題。マルチジャンルである点が最近の共通テストの傾向。

 

[解法]「植生の分布」を示した問題だが、グラフは「光合成」の活発度を表したもの。成長力が旺盛な地域でこそ光合成の量が大きいんじゃないかと予想。温暖多雨の地域で光合成の値が「高」となり、冷涼少雨の地域で「低」となる。例えば最も極端な動きを示している①に注目してみようか。最初の部分だけが「低」であり、それ以外のほとんどの地域では光合成は極めて活発に行われている。これ、おそらくDなんじゃないかな。南米大陸の西岸をアンデス山脈が沿う。高峻な地形で自然環境は厳しい。植物の生育には適さないので光合成はほとんど行われない。しかし、アンデス山脈は太平洋岸の一部にみられるだけであり、それを超えて仕舞えば内陸から東部地域は広く温暖で降水量の多い地域が広がる。熱帯雨林であったり草原であったり農耕地であったり。スタートの一部のみ「低」、他がほとんど「高」である①こそ南米を横断した際にみられる光合成の様子を示したものだろう。

このような急激な変化がおもしろいと思う。1=Dにおいては山地と低地の部分とで光合成量が圧倒的に異なり、ここに極端な段差が生じている。似たような段差があるものとして②がある。半分ほどは光合成が非常に盛んな地域であるのに対し、残る半分はほとんど光合成が行われない。極端な違いがあり、明確な段差が生じている。これもDと同様に地形による気候環境への影響と考えていいのではないか。これ、Bだと思うんですよね。南アジアの地形を考える。とくにBの南部はインド東部からバングラデシュにかけての地域。巨大な河川が流れ、それに沿う低地や三角州(バングラデシュが大河川三角州の国であることは他の問題でも話題にされていたね。被災者数が多いのだ)。モンスーンアジアで降水が多く、さらに気温も高い。植物は成長力が旺盛であり、光合成量も多いだろう。Bの南側は「高」である。

しかし、南アジアは北部が高峻な山岳地域である。ネパールや中国との国境にヒマラヤ山脈が聳え、それを超えると広大なチベット高原が展開している。同じく高峻な地形であり、険しい地形であることに加え、標高が高いことにより気温も低い。さらにインド洋からの湿った風が高い山脈に遮られ、この高原までは届かない。冷涼少雨の気候となり、植物の成長力は低い。森林はみられず主に草原となっている(チベット高原はホイットルセー農牧業区分の遊牧地域である。ヤクが放牧される一方で、穀物などの栽培は行われない)。北半分の地域の光合成の値は「低」と思われ、②がBとなる。

 

ではさらにAとCについて判定してみよう。ここはアンデス山脈やヒマラヤ山脈、チベット高原などの「段差」をもたらすような険しい山地地形はみられない。グラデーションを描きながら光合成の値は変化しているはずだ。グラフは③と④。これはわかりやすいんじゃないかな。③は黒丸側の「高」となり、④はその反対。白丸側で「高」となっている。AもCも低緯度であり気温は高いだろう。さらに高峻な山岳もみられない。ここは「降水量」で考えてしまっていいよね。多雨で植物の成長力が旺盛なところ、少雨で植物の成長力が弱いところ、これらを想像すればいい。

 

Aではスタート側(黒丸側)が熱帯の湿潤地域。ゴール側が内陸部でこちらは少雨地域。サハラ砂漠が広がっているね。③が該当するとみていいんじゃないか。一方のCはスタート側が内陸部でこちらは少雨の乾燥地域とみていいんじゃないかな。東部は湿潤地域であり光合成の量は大きくなるはず。④が該当するでしょう。

 

[アフターアクション]植生の問題と思いきや実は気候の問題であり、さらにいえば地形の問題でもある。地形によって気候環境がガラッと変わり、植物の成長の度合いにも大きな影響が与えられる。問題そのものはAを問う問題だったけれど、ヒマラヤ山脈・チベット高原、アンデス山脈の存在が非常に重要だったね。こうした複数ジャンル(マルチジャンル)、ジャンルなし(ジャンルレス)が近年の共通テストの傾向なのだ。

 

 

<[地理総合・探究]2025年/本試験・第3問問2解説>

 

[ファーストインプレッション]これは変な問題だ。偏見や先入観を捨て、冷静に図を読み取る。もちろん国名は関係なく、文章と図を対応させればいい。

 

[解法]図と文章を対応させる問題。図から考えると曖昧になってしまうので、文章から考えていこう。

F「固い岩盤が長い時間をかけて風化している」とある。これ、ちょっとピンと来ない?周囲が風化される中で固い岩盤だけが取り残されて特殊な景観となっている。そう、ウルルだよね。オーストラリア中央部にみられるエアーズロックという名称でも知られる巨大な一枚岩。周囲は侵食された平坦な地形が広がるが、侵食を免れた巨大な岩塊がそびえ立っている。図で判断すると、これアに該当しそうな感じがしない?周囲が平坦なのだが、中央部分だけが尖っている。この部分がオーストラリアでいうところのウルルであり、侵食から取り残された巨大な一枚岩。おそらく他の地域にも似たような地形はあるんだろうね。

H「プレート境界に近く、火山が多く存在する」とある。プレート境界ならばアフリカ大地溝帯のような巨大な断層がみられるはずだがどうだろう?それより「火山」が分かりやすいんじゃないかな。火山ならば山頂には火口があるはず。あるいは火口付近が大きく陥没(あるいは爆裂)したカルデラが確認できるだろう。イがちょっと怪しくないかな。右上に溝状の地形で大きな凹地がある。断層かどうかはわからないが、これを火口とみることは可能だろう。火口の周囲が大きく陥没(あるいは爆裂)し巨大な凹地が作られている。カルデラである。Hをイとしよう。残ったGがウとなる。これはよくわからない。

 

[アフターアクション]ウルルについての知識は必要なんだが、これは中学レベルの知識だよね。特別なものではないし、地図帳で位置を確認する必要もない。単に写真でウルルを見たことさえあれば(有名な地形だからそれは問題ないよね)、周囲の平坦な地形と合わせ上方から見た眺めを想像することは十分に可能。

あとは火山だけど、それはイとウの図を比較すれば自ずと見えてくるんじゃないかな。イの右上の凹地吐極めて特徴的な地形だと思う。

<[地理総合・探究]2025年/本試験・第3問問3解説>

[ファーストインプレッション]エルニーニョ現象が取り上げられているが、原則として共通テストではエルニーニョ現象に関する事項は問われない。本問にしても直接エルニーニョ現象に関する知識や理論が問われているわけではないと思う。エルニーニョ現象は低緯度の太平洋東部海域(南米沿岸)の水温が上がる現象のことだが、原因はよくわかっていない。一般には「貿易風が弱まるため」ともその理由が定義されている。貿易風が弱まることによって低緯度太平洋東部の海表面付近の冷たい海水が西方に吹き流されず滞留するため、水温が下がらないのだという説である。実際に風が弱まることは事実のようだが、それならそれで「なぜ貿易風が弱まる」のだろうか。鶏が先か卵が先かの論争ではないが、「貿易風が弱まるからエルニーニョ現象が生じる」のか、「エルニーニョ現象が生じるから貿易風が弱まる」のかすらはっきりしない。そもそもなぜ貿易風が弱まるのか。貿易風は惑星風であり、地球と太陽の関係によって生じる風。貿易風が変化するならば、地球と太陽の関係も変化していることになるのだが。原因は全くわかっていない。

さらに言えば、エルニーニョ現象が生じたからどういったことが起こるのかもよくわからない。もちろん水温が上がるので沿岸の降水量は増えるし(大気が不安定になるのだ)、近海の漁獲量も落ちる(湧昇流が弱まるため海底からの有機養分の供給が減る)。しかしそれは海水温が上がれば必然的に生じるメカニズムであるし、南米の太平洋沿岸、エルニーニョ現象特有のものでもない。それよりよく言われることとしてエルニーニョ現象が地球上の異常気象の原因になるという説がある。これも全くわからない。たしかにエルニーニョ現象が生じた年には多雨や干ばつ、冷夏や猛暑などの「異常気象」が世界各地でみられるようだが、それは果たしてエルニーニョ現象と関係あるのか。よしんば関係あるとしてもむしろエルニーニョ現象が発祥ではなく、他の地域の気象変異が南米太平洋沿岸の水温上昇の原因になっているのではないか。全くわからない。因果関係などほぼ見えないし、そもそも無関係なんじゃないか。

地理は科学的な科目であり、科学的に正しいことしか出題されない。エルニーニョ現象のようなともすれば「オカルト」にも分類されるものが正面切って問われるわけはないだろう。だから本問にしてもエルニーニョ現象に関する知識が求められているわけはない。図と文章を丁寧に読み取り、考察問題として解答を導いてみよう。

[解法]エルニーニョ現象は正直なところ全くわかりません(笑)。図から得られる情報を整理し、文章を丁寧に読解することで正解に辿り着こう。

図は後回し。文章から読み解く。エルニーニョ現象発生時の海面水温分布はどちらだろう。エルニーニョ現象は「異常」な状態である。南米大陸太平洋岸に沿って寒流であるペルー海流が北上する。ベルー海竜は南極方面からの冷たい水を赤道方面へと運ぶ強力な寒流である。これによって沿岸は少雨となり(大気が安定し雲が生まれない)、水産資源が豊富な海域が形成される(湧昇流が生じる)。この状態を乱すものがエルニーニョ現象。沿岸が降水に見舞われ、水域の栄養分は減少する。寒流によって冷やされていた海域だったが、その海水温が上がってしまう。図4を参照。低緯度の太平洋東部海域、南米太平洋沿岸の水温が上がっているものがエルニーニョ現象だろう。「0~2℃」の範囲が広がり、一部に「2℃以上」の海域もみられるKがエルニーニョ現象。

さらに文章を読んでいく。「南アメリカ大陸西岸を(キ)に向かって」とある。南半球の海流は大洋を大きく反時計回りの方向に流れる。大陸の西岸(大洋の東部)では南から北。先ほども挙げた南極海の冷たい水を赤道方面に運ぶペルー海流である。「北」の方向に流れているね。

[アフターアクション]エルニーニョ現象はわかりません。とにかく、南米大陸太平洋岸では寒流の影響が強いことだけ確認しておいてください。これについても「南半球の大洋では海流は反時計回りに流れる」という法則と合わせてチェックしておこう。地球の風系によって、低緯度方面では貿易風の作用で海水は東から西へと流れ、中緯度方面では偏西風の作用で海水は西から東に流れ、結果として南半球では「反時計回り」になるね。

ラニーニャ現象こそよくわかりません(苦笑)。これ、一体何なの?全く知りませんけど。テストでも無視したらいいでしょう。本問はエルニーニョ現象だけを話題にすればいいし、そのエルニーニョ現象についても全く知識はいらない。海流の流れ方、寒流の働きの2点を理論づけて理解すれば十分に解ける。

<[地理総合・探究]2025年/本試験・第3問問4解説>


[ファーストインプレッション]人口とGNIの問題ですよね。人口が多ければ人数は多くなる余地が増え得るし、GNIが大きければ金額も大きくなるだろう。


[解法]延べ被災者数と総被害額が問われている。人数と金額だね。人口が多い国でこそ人数は大きくなる傾向があるだろうし、経済規模(GNI)が大きい国でこそ金額が大きくなりやすい。

サとシ、二つのグラフを参照し、最初に注目するべきは数字と単位。サでは横軸の目盛りは最大で300。首位Rの値は270にも達する。シでは100であり、首位Pの値も90ほど。これ、大きな違いがあるよね。

単位は被災者数については「100万人」、金額は「10億ドル」。例えばサを被災者数とするとPの値は270×100万人で2億7千万人。これ、極端に大きな値になるよね。述べ被災者数なので人口とダイレクトに関係させるわけにもいかないけれど、それでも人口が多い国だからこそ被災者も多いと考えていいと思う。人口は「アメリカ合衆国>バングラデシュ>日本>タイ」の順。これ、どうやって考えればいいんだろうね。普通に人数が多い方から、Rがアメリカ合衆国、Qがバングラ、Pがタイと考えていいのだろうか。しかしそれならそれで日本の値が極端に小さいこともちょっと気になる。日本こそ災害が多い国だと思うのだが。。。

ただ、ここでヒントになる文があるね。注釈に「高潮、津波は除く」という文言があるじゃないか。年代は1980~2020年であり、この間に日本は東日本大震災を始め多くの地震(海底地震)による震災に見舞われ、津波の被害も大きかった。津波によって失われた命はおそらく地球最大だろう。さらに日本は台風(熱帯低気圧)の襲来も極めて大きい国。熱帯低気圧による海面上昇が高潮であり、それによって沿岸部では浸水被害が生じ、我が国でも熱帯低気圧による高潮被害は大きい。でもこれは今回は含まれないということ。

さらに東日本大震災の経験を振り返るまでもなく、我が国において津波による被害は甚大である。東日本大震災の際には三陸海岸を中心に多くの命が失われ、さらに都市施設も壊滅的な被害を受けた。1990年代には北海道奥尻島の津波でも死亡者・行方不明者が多数を数え、多くの家屋も失われた。しかし、津波被害についても今回は「浸水」被害には含まれないとのこと。これら以外のケースを考えないといけない。


そうなると思い浮かぶのは「河川」流域での浸水である。豪雨によって河川が氾濫し、周囲の沖積平野(氾濫原や三角州)が広く浸水する。このことによる被災や被害を考えるべきなのだ。なるほど、サやシでに日本の値がさほど大きくない(とくにサはほとんどゼロである)点にも納得。気圧低下による高潮や海底地震による津波被害を考えればこんな数字にとどまるわけはない。


というわけで今回の「浸水」については河川を考え、とくに河川下流域の低地(三角州など)での被災者や施設の被災を受けやすい国はどこか、という観点がカギとなってくる。そう、これについて真っ先に思い当たる国、それはバングラデシュなんじゃないかな。巨大なガンジス川の下流域に国土が広がり、その大部分は大河が形成される三角州から成っている。河川の氾濫により国土の広い範囲が水没し、水害の被害がとくに大きいのではないか。夏の季節風や熱帯低気圧によって大量の降水がもたらされることもあり、その被害は甚大なものになる。


ただ、ここでちょっと考えて欲しいのだが、サとシ、果たしてどちらが被災者でどちらが被害額だろうか。つまり「人=人口」か、「金=経済」か。それを先に仮定してしまった方が分かりやすいと思う。日本に注目してみよう。日本は先にも述べたように高潮(台風)や津波による死者は少なくないと思う。とくに時期が1980年から2020年までなので奥尻や三陸海岸の津波被害者は相当数に上る。しかし、それは今回はカウントされない。河川氾濫だけの数字ならばどうだろう?「緊急事態において迅速な救助を必要とする」ほどの被災者はいないんじゃないか。


その一方で被害額はどうだろう?日本は1人当たりGNIが高く、さらにGNIも大きな国である。例えば家が一軒破壊されたとしてその復旧には物価が高い国であるのでそれなりの金額はかかると思う。また経済規模が大きいので例えば都市において建築コストが高い建物が密集している可能性がある。その一角が水没したらやはり復旧には多額の金額がかかってしまうはず。日本において被害額はそれなりに大きな値となるはず。どうだろう?このことからサを「延べ被災者数」、シを「総被害額」と考えてみていいんじゃないか。もちろん決めつけるには早いので、とりあえず「仮定」として話を進めてみる。


そうなるとバングラデシュはどうだろう?ガンジス川の三角州に国土が広がる低地国。背後のヒマラヤ山脈との対比がはっきりしているね(南アジアの地形は第6問問1でも問われている)。バングラデシュは人口が多い国(世界第9位)でもあり、被災者が多く数えられることも納得。その一方でバングラデシュは世界最貧国の一つで1人当たりGNIは極めて低い。洪水によって家財道具一式が流されたとしても、その金額は(先進国に比べれば)安いものである。GNIも小さく都市施設もさほど整備されていない。ダメージを受けるはずの送電施設や上下水道設備がそもそも少ないのだ。被災者は極めて大きいが、そのわりに被害額が少ないRをバングラデシュとみていいだろう。1人当たりの被害額が小さいということ。経済レベルの低い国だからである。


逆の考えかたをするならばPがアメリカ合衆国になるのではないか。被害者数に比して被害額が大きい(1人当たりの被害額が高い)という傾向がはっきりしている。これは先進国であり、さらに経済規模が大きい国の特徴なのではないか。1人当たりGNIが高く物価が高いので、建物が一つ流された時の損害額が大きい。GNIが大きく大都市が多い。洪水によって被害を受ける可能性がある都市施設もその分だけ多いと考えられる。被災者数に比べ被害額が大きいPがアメリカ合衆国。


残ったQがタイだろう。タイの国土の中央を大河(チャオプラヤ川)が流れ、洪水は少なくないだろうし、それによる被災者や都市施設の被害も大きいとは思われる。しかし「低地国」バングラデシュほどにはそれは深刻ではないんじゃないかな。経済レベル(1人当たりGNI)は7000ドル/人であり、発展途上国としてはやや高い。1人当たり被害額を考えてみた場合、アメリカ合衆国よりは低いがバングラデシュよりは高い値となっている。


以上より「仮定」として話を進めてきたが、こちらの形で全く問題はなく適切だったと思われる。仮定通りサが「延べ被災者」、シが「総被害額」、そしてそれによって国も特定されPがアメリカ合衆国、Qがタイ、Rがバングラデシュである。


[アフターアクション]とにかく真っ先に考えたのが「1人当たりGNI」。1人当たりGNIの低い国では物価が安いので、家の一軒当たりの値段も安いはず。1人当たりGNIが低い国では、被害の深刻さに対し被害額が小さくなるんじゃないかという予測がなりたつ。つまり「被災者1人当たりの被害額は小さくなる」んじゃないかという理論的思考。これ一発で解けるよね。

もちろんバングラデシュの地形的特徴は知らないといけないが、それは過去問を見れば十分に知識として得られること。第6問問1にも南アジアの地形が登場している。決してハードルが高い知識ではないと思うよ。

<[地理総合・探究]2025年/本試験・第3問問5解説>

[ファーストインプレッション]これ、厄介な問題なんですよね(涙)ただ、こういった意味のわからない問題だからこそ文章の中に必ずヒントがある。がんばって文章を読んで! さらにXとYが何だろう、とかタとチは何だろうとそれぞれを考えるより、最も特徴的なものを一つピックアップし、それをはっきりと指摘しまった方がいい。おそらく一つだけ「特異点」がある。

[解法]問題文が長い問題はその中に確実にヒントが隠されている。意味なく長文が用意されていることはない。まずは丁寧に読み砕いていこう。

「地球温暖化」に関する問題だが、温室効果ガスの増加などそれが生じる理由が問われているわけではない。「緯度ごとに異なる」のだそうだが、その背景として「海陸の割合」がある。これが最大のポイントになりそう。

「海氷に覆われた海は日射を反射する」ため、つまり氷によって太陽光(太陽熱)が跳ね返されるため、「海氷面積の増減は気温上昇に影響を与える」のだそうだ。なるほど、そういうこともあるんだろうね。つまり現状で海氷面の割合の高い緯度帯では気温はあまり上がっていないのだろう。しかしもしも海氷が溶けてしまって、海が直接太陽光を受け取るような状況になると海水が熱せられ、さらに気温もより上がりやすくなるんじゃないか。そういった想像ができるよね。

ちょっとおもしろいのがここであえて「海氷」と言っている点。陸上の氷でも同じような効果があるとは思うのだが(大陸氷河は太陽光を跳ね返すが、露出した地面は太陽熱を吸収してしまう)、「海」に限定されている点が非常に興味深い。海と陸とでどういったメカニズムの違いがあるかはわからないが、問題の意図として「海」であることは重要なのだろう。

さらにここからは図の説明。XとYが「緯度30~40度帯または80~90度帯」。中緯度と極周辺。タとチが「北半球または南半球」。おおまかに「北極海」、「日本」、「オーストラリア」、「南極大陸」といったところだろうか。縦軸は面積割合、横軸は上昇気温。上昇気温は現在と比べどれぐらい気温が上昇するかという数値。面積割合はおそらくこれは合計で100%になっているのかな。例えばXタならば、気温が1.2℃上昇するのがこのエリアの40%の地域(この棒グラフは0.2℃ごとに刻まれているようだね)。

文章に戻ろう。「地球全体の平均気温が2℃上昇する」という予測があるそうだ。では各グラフにおいて「2℃」のところに線を引いてみよう。縦にまっすぐな線になるね。Xタでは棒グラフのほとんどはこの線よりも左側(値が小さい)、Yタは2よりも大きい。Xチはほぼ平均。半分が2未満、半分が2以上。Yチには驚かされる。値がほぼ6以上。地球平均が2℃の上昇であるのに、この緯度帯においてはほぼ全域において6℃以上の気温上昇が予想されている! 2℃でもとんでもない数字だと思うけれど(例えば現在は最高気温が35℃を超えると猛暑日とされているけれど、それが37℃になったら体温以上。猛暑を超えた猛暑。でもこの緯度帯においてはそれが6℃以上と予想されているのだ。35℃から6℃プラスで41℃! これはもはや殺人的な暑さ(熱さ)ではないか!そんな状況、考えられるかい???

このグラフにおける特異点は間違いなく「Yチ」なのだ。なぜこういった状況が生じるのだろう?そのヒントはここまでに読んだ文章の中にある。「海氷に覆われた海は日射を反射する」ことにより気温が上がりにくい。しかし海氷が溶けてしまい海水面が露出した場合は海が太陽光を直接受けることで(つまり海水が太陽光・太陽熱によって暖められることで)気温が上がりやすい状況となる。今まで海氷に覆われていたのに、海氷が溶けてしまうところこそ急激な気温上昇が考えられるのではないか。

氷が存在するのは日本やオーストラリアではない。両極地方である。さらに「海氷」に限定するのならば北半球である。北極点は大陸には位置せず、北極海が広がる。海氷に覆われた海域である。南極点は大陸中央部であり、海は存在しない。南緯80~90度は全域が南極大陸である。

さぁ、これを文章内の「海氷」の説明と結びつけよう。現状で海氷に覆われた北極海は氷が太陽光を跳ね返すため、受熱量は小さい。しかし氷が溶け、海面が剥き出しになると太陽光によって海水が直接暖められ、急激な気温変化が予想される。その温度上昇の幅は将来的な地球温暖化の平均上昇(2℃)を大きく上回るのではないか。Yチを北緯80~90度とし、このことより緯度30~40度帯はタ、北半球はYとなる。

[アフターアクション]難しい。そもそも意味がわからない。でもそういった問題だからこそチャンスがある。わかるわけのない問題だからこそヒントは全て文章内にあるし、余計なことを考えず素直にそれに従って思考を展開すればいい。今回ならば「海氷」である。なるほどそれまで太陽光(太陽熱)を跳ね返していた氷がなくなれば、熱が直接海水を温めることになる。急激な環境変化は急激な気温上昇に結びつくのはないかという推測が成り立つ。

その一方で、これって陸上ってどうなの?っていう疑問もあるんですよね。地表面の氷が溶けて地面が露出すれば海水面以上に太陽熱を受け取るんじゃないか?でもこれについては「ノーコメント」になっていますよね。全く言及されていない。

南緯80~90度はYタのはずなのだが、Yチほどの気温上昇はみられないね。これはどうしたことだろう?これ、僕は思うのですが、南極大陸は極めて分厚い氷に覆われており、将来的な地球温暖化があったとしても北極海の海氷とは異なり、下の地形(北極海ならば海、南極大陸ならば陸地)が露出しないってことなのでは?現状はもちろん氷に覆われている。将来的に気温が数℃上昇したとしても氷の全体が溶けるわけではないので依然として南極周辺の土地は氷に覆われたままであり、やはり太陽光を跳ね返す。さほど気温が上昇しないのは(それでもグラフを見る限り、2℃以上上がっているのだが)それが理由なのではないか。

以上全て推測の域を出ないのだが、特別な知識がなくても文章に沿って丁寧に考えれば正解に至るという典型的な「思考問題」でしたね。

<[地理総合・探究]2025年/本試験・第3問問6解説>

[ファーストインプレッション]これ、いい問題ですね。地理の学習者としてこういった問題を楽しむことができれば相当レベルが高いと思うよ。

[解法]災害がテーマの問題だが特別な知識が問われているわけではなく、ジャンルとしては「考察問題」に区分される。しっかり文章を読んでいこう。ただし文章を読むとは言っても現代文(国語)のような高度な文章読解力が求められるわけではない。現代文ならば情緒的というか、著者や登場人物がどのように考えているかといったような感情を想像することも必要となる。でも地理はもっとメカニカルな科目。人の気持ちなんか関係ない。機械的にワードを拾っていって、それを無機質に組み合わせて解答を得ればいい。パズル的でもあるかな。

こういった問題について図から見てしまえ」ばいたずらに時間を使ってしまう。文章から直接見ていこう。aが「退避が必要な人数」、bが「避難が間に合わない可能性がある人数」、cが「避難場所別の避難者数」である。

まずマから。「津波浸水想定区域」と「人口分布」をレイア(重ね合わせ)させる。津波浸水が強く想定される地域に多くの人が住んでいれば、それだけたくさんの人が避難しないといけない。これによって非難が必要な人数が想像できるんじゃないかな。aとしてみよう。

ミとムはちょっと複雑かな。「津波避難場所」が示され、それぞれの避難場所について「避難場所からの特定の距離圏」も表されている。人々はいざとなったら最寄りの避難場所に逃げたらいいわけだ。いろいろな情報を一気に処理するのは大変なので部分的に解析しよう。「人口分布」と「避難場所からの特定の距離圏」を重ね合わせると何がわかるか。例えば避難場所については地域全体にほぼ均等に設けられているようだが、人口分布については多いところと少ないところで粗密がある。人口が多いところの避難場所には多数の避難者が殺到するだろうし、人口が少ないところならば受け入れ人数にかなり余裕が生じるかもしれない。人口分布の情報と避難場所の位置を重ね合わせることで(つまりミ)でcの「避難場所別の避難者数」が推計できるはず。

一方の「重ならない領域」ならば、「避難場所からの特定の距離圏」から外れた範囲のおおよその居住者が算定できる。そこが「津波浸水想定区域」から外れていればいいけれど、たとえば沿岸部で高い津波に襲われると見込まれている地域で、人口も多いところがある。しかし、そこが「避難場所からの特定の距離圏」から外れており、つまり近隣に避難所がない場合がある。「避難が間に合わない可能性」がそういった人々には生じるのではないか。cがムになる。

[アフターアクション]もちろん何の対策も要らない問題。特定の知識は求められず。文章を読解するだけで解答が得られる。とくに現代文(国語)のような感情に基づく文章解釈は全く不要であり、メカニカルに機械的な文章の読み取りに徹すればいい。だから別に高度な国語力(文章読解力)が必要というわけではないんだよね。冷静に文字を追っていく。

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