たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう
たつじんオリジナル解説[地理総合・探究]2025年/本試験 |
<[地理総合・探究]2025年/本試験・第2問問1解説>
[ファーストインプレッション]新課程ではこのタイミングで地域調査の大問が入るのかな。総合との共有問題ってことだね。地形図問題だけど、これまでとはちょっと雰囲気が違っていそう。
[解法]地形図問題だが、図を漠然と眺めていても始まらない。文章から検討していこう。怪しい部分をピックアップ。
A「軍用地が公園に変えられる」とある。このような例はたくさんあると思うよ。大学用地になったりすることが多いんじゃないかな。軍用地は地形図から容易に判断できるでしょう。
B「図1中の他の地域よりも宅地開発が進んでおらず」とある。比較の構造が含まれているね。これはちょっと怪しい。重点的にチェックしておく必要がありそうだ。
C「東新町から瓦町に向かって国道1号は下り坂となっており」とある。これも怪しいな。とくに数字(標高)を読み取る選択肢であるため、いかにも地理という科目あ好きそうなネタ。同じくチェック!
最も分かりやすいのはCじゃないかな。数字を読めばいい。図1の「現在の地形図」を判定しよう。東新町と瓦町はすぐに確認できるね。国道1号線もはっきりしている。さて両者の標高だが、これはどうしたもんだろう?「東新町」の文字のやや上方に「8.8」とある。これは標高を示しているとみていいだろう(なお、ここに示されている「正方形+点」の記号は「水準点」。主要道路に沿っておかれ、標高を示す)。それに対し瓦町方面はどうだろう。「瓦町」の文字の上方に「19」とある。これも標高と思っていいんじゃないかな(ここに示されている点は「独立標高点」。やはり標高を示している)。ただ、国道1号線に直接沿うものではないんだな。この地点が19mだからといって、国道1号線の瓦町付近の標高も同じぐらい高いとは必ずしも言い切れない。大雑把に「南東で高く、北西で低い」とは言っていうような感じなのだが、それも確実ではない。
ただ、こういったおおまかな地形は1919年の図が分かりやすい。東新町の辺りって川が流れているよね。現在の図ではちょっとわかりにくいんだけど(っていうか、全く見えない?すでに埋められているのだろうか)1919年の図では容易に確認できる。図の北東端と南西端を結ぶ帯があるけれど、これが「川」だね。いくつもの橋が架けられていることが分かるし、中央の細い線が河川の水の流れでありそれに沿う細い線の連続(ブラシみたい?)が堤防(土手)だろう。
河川が流れている一帯がとくに低い土地になっている。いわば「谷」の部分である(ほぼ平坦な地形なので極端に谷になっているわけではないが)。1919年の図において、南東の瓦町方面から北西に伸びて豊橋市街地へと至る道路があるが、これが現在の国道1号線だろう。この道路に沿った地点においては河川との交点こそ最も標高の低い箇所だと思う。瓦町方面から河川にかけて下り坂になっていることが想像される。Cの選択肢は反対のことを言っているね。誤りである。
さらにBを検討しよう。主題となっているのは「飽海町の北側から豊川の間」。現在の地形図で参照すると主に「田」や「畑」となっているようだ(飽海町側は田となっており、こちらがとくに低湿な地形で水田が広がっている。豊川沿いは畑地となっているが、河川から流出した土砂が堆積しやや小高い土地になっているのだろうか。水捌けがよく野菜栽培あるいは牧草地となっているのであろう。自然堤防だね)。決して宅地開発が進んでいるわけでない。これは正文だね。なお、ここに「遊水池」とあるが、なるほど蛇行する豊川が氾濫した際には堤防を乗り越えた水がこの低地に流れ込み、住宅地への被害を抑えることができる。
最後にAを判定。昔の地形図で「兵」の字がみえるね。「練兵場」や「歩兵(*)」とある(*の字は判別不能)。軍関係の施設であろう。「軍用地」に該当するね。豊川の流れが大きく湾曲したちょっと南東側の土地だね。同じ箇所を現在の図で探してみると全体として開けた土地となっており「豊橋公園」の文字もみられる。形から陸上トラックのようなものも確認できるね。Aは正文とてみていいだろう。
[アフターアクション]新旧地形図比較は従来からのパターンを継続している。傾向の変化は全くない。基本的に二つの図を見比べればいいだけなので、とくに対策も不要。過去問を引っ張り出してできるだけたくさんの地形図問題にアタックしてみればいい。問われている内容についても「地図記号の判定を必要としないもの(Aの軍用地や公園、Bの宅地)」、「数字を探すもの(Cの標高)」が問われており、これも従来と変わりない。
その一方で難易度についても随分下がっていると思うよ。共通一次時代やセンター初期の地形図問題は難しかった!近年の地形図問題について問題を難しくできない理由としては「地理院地図」にある。今回2つ使われている図のうち、昔の図は地形図であり、縮尺も明示されている。2万5千分の1の実測図(実際に測量されてつくられた図)。ぞれに対し現在のものは「地理院地図」だね。これはデジタル処理されたもので航空写真から作られている。ネットで公開されており無料で閲覧できるが、これが旧来の地形図とどのように違っているかわかるかな。そもそもこれって縮尺が示されていないでしょ?PC(あるいはタブレットやスマホ)のモニター上で拡大や縮小を自在にできるから縮尺という考え方がない。さらに多様な色が使われており、例えば建物は薄いピンクで彩られている。これが実はやっかいで、共通テストのようなモノクロ印刷だと判別がめちゃくちゃ難しくなってしまうのだ。本図においても街路が集まり都市化が進んでいるところが多いので何となく建物が密集しているような雰囲気はわかるんだが、それがはっきりと判別できるかどうかといえばちょっと疑問だよね。昔の地形図のほうが(そもそも白黒印刷であったり色味が少なかったりするわけだが)建物は濃い色で示されており判別がしやすい。地理院地図を使わざるを得ないだけに、細かい箇所までん判別は求められない(不可能)というわけなのだ。地形図問題が共通テストや新課程以降「易化」しているのは、そういった地理院地図の普及という事情を鑑みてのことでもあるのだ。
<[地理総合・探究]2025年/本試験・第2問問2解説>
[ファーストインプレッション]多くの図票や資料が与えられ、それを読み解いていく問題。新課程共通テストで広く見られるようになったパターン。
[解法]誤文判定問題。文章を検討していこう。
選択肢1。「従業者が1000人以上のメッシュのみで市内の総数の1割以上を占める」とある。これは数値から算定したらいい。数字に基づく思考は実に地理的である。これ、怪しい選択肢だね。後ほど丁寧に検討してみよう。
選択肢2。「従業者数が500人以上のメッシュが連続して分布している」とある。これは図から直接読み取ることのできるトピックだよね。同じく後ほど確認。
選択肢3。工場が集積する背景には「輸送や取引にかかるコスト軽減のメリットがある」とのこと。なるほど、工場同士が近いほうが部品や製品の輸送には便利。コストは安くつくよね。取引にしても同じ。ちょっと出かければすぐに他の工場があるならば、顔を合わせての取引も簡単に行える。このメリットは大きいよね。これは正文っぽいな。
選択肢4。主要道路に隣接しているので「道路の利便性が最も大きな立地要因である」とのこと。「最も」が怪しいよね。このように最上級を断言してくる選択肢は誤りの可能性が高い。多少はあるとしても最大ではないでしょ?みたいな。選択肢1と選択肢2を先に考え、そちらがいずれも正文とわかったら(この二つの選択肢は数字や図の読解に基づくものなので白黒つけやすい)改めてこの選択肢の正誤を判定してみよう。
では選択肢1。図は「500m四方のメッシュを単位とした分布図」。豊橋市の製造業従事者の総数は3.6万人なんだそうだ。「市内の総数の1割」ならば3600人。1000人以上が集まる地区(500m四方のメッシュ)が4つあれば4000人となり、それだけで3600人を超えてしまうね。
ここで図を参照。1000以上は最も色の濃いメッシュ。4ランクあるうちのトップ。図をみて、ほとんどの部分が空白となっておりここは「100未満」。それに対し、例えば「二川・谷川地区」を観察してみよう。うすくぼんやりとした色がついているメッシュがいくつもみられる。これが「100~500」かな。さらに中央やや左側の主要道路沿いなどにそれより1ランク濃いグレーのメッシュが見えるね。主要道路に沿って二つ並んでいるようだ。印刷の都合でかなり薄くなってしまっているけれど、これを「500~1000」とみていいいんじゃないかな。
そうなると、同じ範囲の最も東側(右側)の市境の線に沿うところにもう1ランク、色の濃いメッシュが二つ確認できる。これこそ「1000以上」なんじゃないかな。図の左上の凡例とはちょっと色味が違うけれど、これは印刷の都合で仕方ない。とりあえず図の範囲においては「最も色が濃い」のはこの2つとなる。
さらに三河湾臨海地区にも一つ色の濃いメッシュがあり、同じく「1000人以上」。さらに図の中央やや北方(上方)にも一つだけ同じメッシュがある。都合4つの「1000人以上」のメッシュが確認でき、これだけでも「1000×4」で40000人となる。3.6万人の1割以上を超え、選択肢1は正文となる。
さらに選択肢2。500人以上のメッシュには「500~1000」と「1000以上」の2タイプのメッシュが該当する。二川・谷川地区ならば先ほど指摘した主要道路沿いの2つのエリアであり、三河湾臨海地区ならば「連続して分布」どころか大きな塊になっているよね。全体として極めて従業者が多いことが分かる。これも正文でしょう。
ということは本命は選択肢4かな。これは両地区の説明文がわかりやすいと思う。二川・谷川地区ならば「国道に隣接し」とあり、道路の重要性が分かる。道路に沿って多くの「工場が集積」している。道路を介した利便性が高い。
それに対し三河臨海地区はどうだろう。図を見る限り、たしかに主要道路の何本かはこの地区に入り込んでいる。しかし文章はどうだろう?「海外自動車メーカーの流通基地も立地」となる。海外との関わりが強いということだが、それは港を介してのものではないか。船舶による輸送によってこそ海外企業と結びつき、コンテナ船などを迎え入れることによって流通の拠点となる。なるほど写真もそれっぽいよね。二川・谷川地区の写真がいかにも道路に沿ったエリアであることがはっきりしているのに対し、こちらは海が見えるね。港の写真。まさしく「臨海」地区なのだ。主要道路より港湾の重要性が高く、臨海であることこそ最も大きな立地要因と考えていい。選択肢4が誤りとなるね。
[アフターアクション]こういった考察問題の誤文判定は選択肢4が答え(つまり誤文)であることが多いのだが、その典型的な問題だったね。ただ、内容的には目新しいと思う。新課程共通テスト特有のマルチジャンル・ジャンルレスの問題といえる。選択肢1から4までそれぞれ全く違ったアプローチによって解答を導く。選択肢1は数字の感覚、選択肢2は図の直接的な読解、選択肢3は理論的な思考、選択肢4は与えられた情報から推理する。さまざまな思考によってそれぞれの正誤を判定する。
<[地理総合・探究]2025年/本試験・第2問問3解説>
[ファーストインプレッション]地域調査と組み合わせた農産物の栽培状況の問題。このネタって意外と頻出。過去に似たような問題を解いた記憶がある人もいるんじゃないかな。今回はとくに新課程共通テストなので、より「知性」が必要になってくる。単なる知識ではなく、知性。それは君たちの日常の生活の中の経験則から得られるものなのだ。
[解法]農業に関する問題だね。登場する農産物はキャベツ、米、サツマイモの三つ。これがア~ウのいうずれかに当たる。数字と単位に最初に注目するのがコツなので、まずはそこから。ア~ウまで単位はいずれも「千トン」であるが、凡例に記された目盛りの最大値はアが「10」、イが「25」、ウが「60」とそれなりの開きがある。それぞれの作物について生産量を想像してみよう。
さらに言えばアのグラフ中では最大の値は豊橋市(図中に言及はないが、その形から豊橋市であることがわかる。豊橋市の形は問2で登場)の1960年で3万トンほどだろうか。2006年にかけて全体的に減少傾向にあるが、さほど極端なものではない。イもやはり1960年の豊橋市の生産量が大きく8万トンぐらいかな。ただしイの作物でおどろくのは2006年にはいずれの地域でもほとんど生産が消えてしまったということ。これ、かなり極端だね。ウはどうだろう?豊橋市でも値が大きいが、西側の自治体(半島に位置しているんだろうか)が最大の生産地。他のエリアではほぼ全く生産されていない点に驚かされる。豊橋市とその西の町にしてもかつての生産はほとんどゼロ。この地域では近年生産が始められた作物。ただし、値は大きい。豊橋で10万トン、その西の町で20万トンぐらいの生産量だろうか。
「聞き取り調査」も参考にしよう。「第消費地へのアクセスが向上した」とある。この影響を受ける作物は鮮度が重要な野菜だろう。いわゆる近郊農業である。高速道路の整備などにより名古屋圏へのアクセスが向上し、鮮度が重要な野菜(とくにキャベツのような葉物野菜は傷みやすいからね)の生産がこの地域でも拡大したとみていいだろう。ア~ウの中で明らかに生産が増加しているのはウ。これをキャベツとみていいのだろうか。
さらに「豊川用水が1968年に開通したことで、栽培する作物が大きく変化した」とある。一般に水が大量に必要な作物は稲(米)である。水田がこの時期に多く開かれたのだろうか。しかし先ほどの推測で生産が拡大しているウについてはキャベツと考えてしまった。残りはアとイなのだが、水が確保しやすくなって逆に水田が無くなったとは考えにくいのでアを米とする。ではウが米である可能性はないのか?これについては例えば図2の1919年の地形図が参考になるんだよね。図の広い範囲が農地として利用されている。北部の河川沿いの地域は桑畑となっている。養蚕がさかんな土地だったのだろう。桑畑の土地利用記号は分かるかな。アルファベットの「Y」に似た形。河川に沿った一帯は河川から流出した土砂が堆積し微高地となっている場合がある(自然堤防だね)。そのため水田には適さず、畑地となったり従園地となったりする。それら河川沿いの地域を除けば広い範囲が水田となっている。古い地図記号だが、北部なら「飽海」付近から東方にかけて。南部でも「瓦町」の西側の平坦な土地は水田として利用されている(*)。全体的に水田が広くみられるのだから、当時で米の生産がほとんどなかったとは思えない。ウは米ではないだろう。アでは1960年から現在にかけて値が減少しているが、これはそもそも日本全体で米の生産が減少(米の供給(消費)量が国民全体dで減っているのだ)していることから考えてみて、とくに不自然なことでもないだろう。豊川用水による水の供給はむしろキャベツ栽培に大きな効果があり、米にはあまり関係なかったのかもしれないね。アが米になる。
そうするとイがサツマイモになるけれど、これはどうだろう?戦時中など食料事情が悪い時期にはサツマイモが日本人の食糧として重用されていた。1960年はすでに安定した平和な時代であるが、まだそれなりにサツマイモの栽培も残っていたのだろう。またサツマイモは水の乏しい地域でも栽培が可能。豊川用水が未完成で十分に水が得られない時期にはこの地域の主要農産物の一つだったのだろう。水が得やすくなり、さらに日本人の食文化も変化した現在は、サツマイモは重要な食糧としての役割を終えたと言えるだろう。
(*)イコールを90度回転させた形の下に土台となる線が加えられた形。これは現在の田と同じ意味だと思ってください(現在の「田」はイコールを90度回転だけだね)。地形図はそもそも軍事的な目的のために作られたもので「戦車が通れるか否か」が大事だったのだ。田は3つのレベルに分けられており、いわゆる乾田と湿田、沼田がある。乾田は地盤がしっかりした田のことでこれは普通に戦車が走行できる。湿田は冬でも土地が軟弱であり、ここは戦車は通行できない。沼田は常に水の中にあり歩兵の通行すら困難。現在我々が目にする水田は、昔の区分でいえば湿田に当たる。昔の湿田の記号(下に線がある)と現在の田の記号は同じと思っていい。
[アフターアクション]普通に考えれば「水が得やすい=水田」のだから、豊川用水の完成によって増えたものは米と考えてしまうのだが、そこは「ちょっと待て!」っていう判断だよね。単純に決めつけてはいけないという共通テスト地理総合探究からのメッセージ。一つの手がかりからシンプルに決めつけることより、複数のデータを付き合わせ「最も矛盾のない」答えを導くことが求められている。なかなか一筋縄ではないかない試験だよね。
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