たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

2020年地理A本試験解説

たつじんオリジナル解説[2020年地理A本試験]

 

[1]③

地球は球体であるので、平面の地図において北半球中緯度の東京の右手の方向は実際の北東に当たる。

また東京とグリニッジ標準時との差は「+9」。Dが「―6」であるので、時差は、東京の方が15時間進んでいることになる。1月1日の午前0時から15時間ほど時計を巻き戻し、Dの時刻は前日の午前9時となる。

 

[2]④

①;冷帯のポドゾル。常に湿り気を帯び、色素が抜けている。Lのカナダに該当。

②;熱帯のラトソル。激しい降雨により栄養分が流出。Mのアマゾン低地に該当。

③;砂漠地域の砂漠土。植生がなく、岩石の風化も進んでいない。Kのアラビア半島に該当。

④;半乾燥(ステップ)地域の黒土。チェルノーゼム。プレーリー土など。Jのウクライナに該当。

 

[3]①

ケは南半球の低緯度地域であり、夏(1月を中心とした時期)に熱帯収束帯の影響で多雨、冬(7月を中心とした時期)には亜熱帯高圧帯の影響でほとんど降水がない。①が該当。

カは西ヨーロッパであり、年間を通じて降水量の差が小さい。③に該当。

キは  中央アジアの乾燥地域(この場所を目で覚えておこう。緯度的には日本と同じ。経度はインド半島と同じ。キの北の横に細長い湖はカザフスタンのもの。キはウズベキスタン付近だろうか。高原になっており、砂漠が広がる。シルクロードが東西世界を結び、イスラームが伝えられた歴史も)。小水量が少ない④。

クは東アジアのモンスーン地域。夏である7月の降水量が多い。冬は大陸の高気圧の支配下に入り降水は少な位。雪が少ないということ。

 

[4]⑥

Pは「海嶺」。プレートの広がる境界であり、海底山脈が連なる。スである。

Qは「海溝」。プレートの狭まる境界。トンガ海溝。ケルマデック海溝を地図帳で確認しよう。シである。

以上より正解は⑥。

なおRには、ずれる境界である「サンアンドレアス断層」が走行。

 

[5]④

タ;アフリカ南西岸には寒流の影響で砂漠がみられる。②が該当。

チ;中国のインドシナ半島と接する地域はカルスト地形。タワーカルスト。④が該当。

ツ;オーストラリア中央部にはウルル。①が該当。

テ;ニュージーランドは新期造山帯の険しい地形。③が該当。中央に凹地がみられるが氷河の侵食によるものだろうか。

 

[6]①

いずれも適切な内容である。マは「自助」、ミは「共助」。これ以外に公的機関による「公助」もある。全て災害の際には必須となる。

 

[7]④

「積雪」は日本海側。リが該当。周辺を海で囲まれた沖縄は実は猛暑日が少ない。その一方で台風などによる降水は多い。沖縄が「低位」のラが「猛暑」、「高位」のルが「多降水」。

 

[8]②

W;山地だが河川に沿う谷に位置している。④に該当。

X;斜面である。①に該当。

Y;河川沿いの低地。②に該当。

Z;埋立地になっている。地盤が水分を含み。地震の際には液状化。③に該当。

 

[9]⑤

生産ではなく供給(消費)だが、大まかに生産と結びつけて考えていいだろう。小麦の生産は1位中国、2位インド。ウが小麦。

大豆についてはアメリカ合衆国が首位だがブラジルでも生産が多い。ブラジルに円が描かれているのはイとウだが、ウはすでに小麦と分かっているので、イが大豆。なお、アメリカ合衆国では飼料や油脂原料として用いられるので「食料」としての供給は少ない。

残ったアがライ麦。ロシアやポーランドなど冷涼な地域。

 

[10]④

1人当たりGNIと1人1日当たり食料供給量は比例するので、②がカナダ。ただし、日本は例外で1人当たりGNIが高くとも1人1日当たり食料供給量は少ない。日本を含めた3カ国はいずれも値が小さい。

よってここからは内訳に注目。イモ類の割合が高い④がタンザニア。キャッサバやヤムイモ、タロイモなど。肉類や牛乳・乳製品が多い③が日本。経済成長によって食の欧米化も進む。残った①がカンボジア。東南アジアの米作国であり、米(穀物)の割合が高い。米は栄養価の高い「万能の穀物」であり、モンスーンアジアでは米に食生活が依存する。

 

[11]③

クルド人は、歴史上、自分の民族による国家を持ったことがない「悲劇の民族」。現在は西アジアの山岳地帯に居住し、イラン、イラク、トルコなどでそれぞれ週数民族となり、迫害や弾圧を受けている。しかし、それは宗教的な違いによるものではなく、クルド人も周辺諸国と同様にイスラームを信仰している。

 

[12]⑤

スイスの公用語はドイツ語(ゲルマン系)、フランス語、イタリア御、レートロマン語(いずれもラテン系)の4つ。ベルギーの公用語は、オランダ語、ドイツ語(ともにゲルマン系)、フランス語(ラテン系)。

スリランカの公用語は多数派のシンハラ語(話者には仏教徒が多い)と少数派のタミル語(話者にはヒンドゥー教徒が多い)だが、旧宗主国イギリスの言語である英語も遣われている。

 

[13]②

南アジアの宗教は、インド(ヒンドゥー教が主)、パキスタン・バングラデシュ(イスラーム)、スリランカ(多数派シンハラ人が仏教徒)。

①;ともにカトリック。スペインの宣教師によって布教された。

②;ともにイスラーム。北アフリカのアラブ国家だが、アラブ人にはイスラームが多い。

③;ともに仏教。農業が盛んな地域で仏教が信仰される。

 

[14]①

シーアンはかつての長安。古都であり、中国の王朝の都だった。なお、京都の平城京は長安の街路区画(碁盤目状)を模してつくられた。

②;いずれも海峡に面する。三角州は河口付近につくられた砂泥の体積による低地。

③;自動車工業。航空機工業が発達する都市として知っておくべきは、トゥールーズ(フランス)、シアトル、ロサンゼルス(ともにアメリカ合衆国)。

④;ネパールは工業の発達した国ではない。なお長野県は半導体ではなく、精密機械の生産が従来より盛んだった。現在は情報通信機器の生産が多い。

 

[15]③

(サ)インドであるので茶。ヒマラヤ山脈南麓のアッサム地方の丘陵は、夏野モンスーンの影響により多雨となり、世界的な茶の産地。

(シ)マカオはキリスト教。ポルトガルの植民地だった。

 

[16]④

ノルウェー側は古期造山帯、スウェーデン側は楯状地(安定陸塊)。プレート境界はアイスランド島。プレートの広がる境界である海嶺。

 

[17]②

高緯度で冷涼なアが③、低緯度で温暖なエが①。イとウはほぼ同緯度であり、年間の平均気温は変わらないと思われるが、どちらかといえば沿岸部に近いイの方が気温年較差は小さいだろう。②がイとなり、ウは④。

 

[18]③

夏は気温が高いので、冷涼な高原で放牧。

 

[19]①

とくに水力発電の依存度が高い国として、ノルウェー、ブラジル、ニュージーランドを知っておこう。「山がちな地形」、「豊富な降水量」、「冬でも凍結しない温暖さ」が特徴であり、さらに「人口密度が低い」ことも豊かな自然環境を利用できる有利な条件となっている。

アイスランドで割合の高い②が地熱。地熱発電が盛んな国は、アイスランドのほか、フィリピン、インドネシア、イタリアなど。

フランスで割合が高い④が原子力。

ポーランドは石炭を産する国で火力への依存度が高い。③が火力。「石炭=火力」の国は

他に中国、オーストラリアなど。「原油=火力」の国はサウジアラビア、イランなど。

 

[20]③

良問。統計問題だが、横軸が「割合」、縦軸が「実数」になっているのがわかるだろうか。割合はいわば国の「性格」が問われるもので、同じく割合である「1人当たりGNI」を基準に考えると良さそうだ。実数は国の「大きさ」。こちらは実数である「人口」や「GNI」との相性が良いのではないか。

 

「最低賃金」については1人当たりGNIが目安となる。2000年、2017年ともに①<②<③=④である。選択肢中の国を1人当たりGNIの順で並べると、チェコ<スペイン<フランス。ベルギーの1人当たりGNIはよくわからないが、経済レベルの高い北西ヨーロッパの国であり、フランスと変わらない値だろう。以上より、①がチェコ、②がスペインと判定され、③と④がフランスとベルギーのいずれかである。

 

ここからは「乗用車生産台数」に注目。③も④も大きく落ち込んでおり、変化の様子は同じ。絶対量である生産台数そのものに注目しよう。③は「300〜200万台」、④は「100〜50万台」。値が大きく異なっている。フランスとベルギーの国の「大きさ」を考えよう。フランスが6000万人を越える大国であるのに対し、ベルギーは1000万人規模の小国。GNIもこれに比例する。「実数」である生産台数を考える場合、「フランス>ベルギー」とみるのは当たり前ではないだろうか。③がフランス、④がベルギー。

 

なお、21世紀の自動車生産については、1人当たりGNIの高い西欧諸国がいずれも減産しているのに対し、1人当たりGNIが低い(20000ドル/人程度)の東欧チェコのみが増産している。安価な労働力を求めて工場が進出しているのだ。

 

[21]②

ヨーロッパにおけるカトリックの信仰地域。

南ヨーロッパ・・・ラテン系言語の国々と重なる。イタリア・スペイン・フランス・ポルトガル・

ドイツ南部・・・ゲルマン系の地域だが、南部のバイエルン州(ミュンヘンなど)はカトリックが多い。

ポーランド・・・東ヨーロッパはスラブ系言語の国が多くポーランドはその例。ただし、ロシアなど他のスラブ系の国では東方正教徒が多いのだが、ポーランドはとくに熱心なトリック国として知られる。先々代のローマ教皇のヨハネ・パウロ2世はポーランド生まれ。

アイルランド・・・ケルト系の国であり、熱心なカトリック国。イギリスに含まれる北アイルランド地方ではカトリック系住民とプロテスタント系住民の対立も。

イギリスとスウェーデンはプロテスタント。ブルガリアは東方正教。

 

[22]①

イギリスのテムズ川に沿う旧港湾地区のドックランズは貧困層の流入によりスラムとなり、インナーシティ問題が生じた。このため再開発がなされ、近代的な街区に再生されている。またロンドンは世界都市の一つであり、金融業も発達している。

②;オランダのキンデルダイク。ポルダーと呼ばれる干拓地がみられ、酪農など行われている。

③;ベネチア。砂の堆積地形の上に市街地が乗る。

④;ニース。フランスの地中海沿岸の海浜リゾート。

 

[23]②

国の面積を考えればいい。フランスの面積(55万平方キロ)は日本(38万平行キロ)の1.5倍、韓国(10万平方キロ)は日本の4分の1。韓国の面積の小ささを考えれば国内の主要都市の間の距離は小さいはずで、空路に頼る必要もない。国内線が少ない②が韓国となる。

他は④が重要。アメリカ合衆国の地方都市は、国内線がメインとなる。①と③は不明。

 

[24]④

人口移動は「1人当たりGNIの低い地域から高い地域へ」。日本からの訪問客数が多いイがアメリカ合衆国であり、逆に日本への訪問客数が多いアが中国。イギリスとは距離的にも経済交流的にも関係性が薄く、訪問者数は少ない。アメリカ合衆国とイギリスは緊密な関係にあり、双方向に訪問者数が多い。

 

[25]①

1人当たりGNIで考えてしまえばいいだろう。バングラデシュは極めて1人当たりGNIが低い国であり①に該当。②がタイ、③が韓国、④がフランス。

 

[26]③

[衛生的なトイレや下水の施設を使用している人口の割合]は1人当たりGNIに比例するだろう。また、「都市人口の増加率」については、発展途上国であるほど元々の都市人口率が低く、しかし現在農村から都市への人口流動が著しいことから、1人当たりGNIに反比例すると思われる。このことから、カが「衛生的なトイレ〜」、クが「都市人口〜」である。

1人当たり二酸化炭素排出量は、石炭の多消費国である中国、そして1次エネルギーの人口当たりの供給(消費)量が多いアメリカ合衆国で高いだろう。キがこれに該当。

 

[27]③

「1人当たり」であることに注意。1人当たりGNIの高い先進国ではそもそものゴミの量が多いはず。

 

1人当たりGNIは、「ドイツ>トルコ>他の2つ」といった感じだろうか。トルコが新興工業国として比較的1人当たりGNIが高い(10000ドル/人ほど)であることは知っておこう。①がドイツ、②がトルコ。

残った2つの判別が難しい。いずれも1人当たりGNIが低い国(ベトナムは社会主義

ケニアは経済発展の遅れた中南アフリカの国)だが、③と④の値には意外なほど大きな差がある。これはどうしたことだろう。

工業の発達の度合いを考えればいいのではないか。同じ経済レベルの国であれば、工業化進む国でこそこういったプラステックごみは増えると考えていいと思う。中南アフリカは未だに一次産品の生産と輸出に依存したモノカルチャー国が多く、ケニアも茶が重要な輸出品となる農業国。それに対し、東南アジアは今や世界の工業拠点の一つであり、いずれの国でも機械類が最大の輸出品目となる。このキャラクターの違いを意識すれば、③がベトナム、④がケニアとみて妥当だろう。

なお、今回はプラスチックごみの総計にのみ注目したが、先進国であればプラスチックごみの処理も進んでいることもチェックしておこう。ドイツではほとんどが処理され、未処理のプラスチックごみの量が極めて少ない。環境への意識が高いのだ。

 

[28]③

「緑の革命」はアジアやメキシコで行われた農業改革。近代的な技術の導入により自給作物(穀物)の増産を行う。化学肥料や農薬の使用、品種改良など。

 

[29]以降は地理Bと共通。

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