たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう
[7]2020年地理B追試験[第2問問1]
バイオ燃料については生産量、原油については多様なデータが、それぞれ示されている。
まず選択肢となる国をチェック。アメリカ合衆国、カナダ、ドイツ、ブラジル。人口は、アメリカ合衆国(3.5億人)>ブラジル(2億人)>ドイツ(8000万人)>カナダ(4000万人)。GNIについては、世界1位がアメリカ合衆国、4位がドイツであり、この2つは巨大な経済規模を有する。アメリカ合衆国>ドイツ>カナダ=ブラジルといったイメージだろうか。
以下にGNIの計算式を示す。1人当たりGNI✕人口である。
アメリカ合衆国;60000ドル/人✕3.5億人
ドイツ;45000ドル/人✕0.8億人
カナダ;50000ドル/人✕0.4億人
ブラジル;10000ドル/人✕2.0億人
国の規模について大まかなイメージをつかんだ上で、表を検討していこう。
まず人口やGNIといった国の大きさと最も関係ある指標として原油の消費量を考えて欲しい。国が大きければそれだけたくさんの原油が使われるのではないか。とくに経済規模(GNI)との相関性が高そうだ。GNIが最大(もちろん人口も最大の)アメリカ合衆国が最大の値となり①に該当。アメリカ合衆国は世界有数の原油産出国であり「生産量」も多い。ただし、国内供給(消費)量も極めて多く、「自給率」は100%を下回っている。つまり一部を輸入している。「バイオ燃料の生産量」も大きくなっているが、これはこの国が大豆やトウモロコシの世界最大の生産国であることと関係するだろう。これら農作物からバイオ燃料が抽出されている。
さらに原油の消費量に注目するが、これは②から④まで大きな違いはない。よってこれだけで判定するのは難しいだろう。
やはりバイオマスで考えてみようか。ブラジルではガソリンの代替品としてサトウキビから抽出したアルコール燃料が使用されているのは知っているね。オイルショックの時代に、当時原油資源の乏しかったブラジルでは自動車の燃料としてアルコール燃料の使用が始まり、現在では国内のほとんどの自動車がサトウキビのアルコール燃料によって走行している。これはもちろん植物性のバイオマスである。アメリカ合衆国と並ぶバイオマス大国としてブラジルをぜひ知っておこう。②がブラジルとなり、これが正解。なお近年は沿岸部似海底油田が開発され、原油の採掘量も急増している(21世紀に入り原油生産が増えている2つの国がブラジルとベトナムなのだ。ともにコーヒーの国という共通点があるので、覚えやすいんじゃないかな。もちろん原油とコーヒーに全く関係はないが)。原油はブラジルの重要な輸出品の一つとなっている。
③がドイツ。石炭の産出量はそれなりに多いが、全体としては決して「資源大国」というわけではない。原油の生産量は極めて少なく、ほとんどを輸入に依存している(自給率が低い)。ただし、この国の興味深いのはGNIの規模が大きい(世界4位であり、表中の4カ国中では2位)のに比して、原油の消費量が少ないということ。日本同様に省エネの意識が強いのだろうし、そして日本以上に再生可能エネルギーの利用が進む。とくに偏西風を利用した風力発電量が近年増えており、ドイツ国内の総発電量の20%を風力が占めるまでになった。
④がカナダ。カナダの最大の貿易品目が「原油」であるように、原油の自給率が高い。200%を超え、産出される原油の半分以上が輸出されている。日本人からするとカナダには「原油」のイメージはないかも知れないが、実は世界的な原油輸出国の一つなのだ。
一方で、ドイツとカナダの両国はバイオ燃料の生産量が少ない。ドイツならば豚の排泄物、カナダならば森林資源(木屑)などいくらでもバイオ燃料に利用できそうなものがあるのに、これはちょっと意外な数値。ただし、今後は増加するのではないか。
[8]2020年地理B追試験[第2問問2]
生産ならば中国のような人口大国が上位にランクインするのだろうが、輸出であるので、むしろ人口が少ない国に特徴がみられる。アでは人口わずか5000万人のニュージーランドの値が特に高いことが興味深い。イはヨーロッパに集中している。スペインははっきりと判別できるが、他の4つの円については重なってしまっているので、よくわからない。ただ、この中に人口が少ない国も含まれていることは間違いないだろう。ウについてはさほど極端な傾向はみられないが、アと同様にオーストラリアやニュージーランドが上位国に含まれている。
統計に基づいて考えてみよう。例えば、それぞれの家畜の飼育頭数。豚は中国が圧倒的であるが、それ以外にはドイツ・ポーランド、アメリカ合衆国といった混合農業の国での飼育が多い。それぞれジャガイモとライ麦の輪作、大豆とトウモロコシの輪作によって飼料が作られ、豚が飼育される。牛についてはブラジルとインド、そしてアメリカ合衆国。ただし、インドは伝統的な食文化(殺生を嫌う)により牛の肉は食されない。牛肉の生産に特化して考えた場合、ブラジルとアメリカ合衆国が特徴的な国だろう。羊についてはやはり中国とインドの飼育頭数が多いのだが、オーストラリアとニュージーランドが特徴的。企業的放牧によって多くの羊が飼育されている。
さらに日本の輸入先について考えよう。豚肉についてはデンマークが重要。デンマークは規模は小さい(人口500万人)ものの、世界的な畜産国であり、とくにハムやソーセージの出荷が多い。わが国にも豚肉やその加工品が多く輸出されている。
牛肉はどうだろうか。一般的に農畜産物の多くはアメリカ合衆国から輸入されているが、牛肉についてはアメリカ合衆国だけではなくオーストラリアからの輸入も多い。以前BSE(いわゆる狂牛病として知られている)が世界的な猛威を奮った際にアメリカ合衆国から牛肉の危険部位(BSEに感染の危険性がある)が誤って輸入されたことを契機に、牛肉の主な輸入先がオーストラリアに変わった。南半球にはBSEの汚染は進んでいなかったのだ。主な輸入先としてオーストラリアが重要。また同じ南半球という優位性を生かしてニュージーランドからの輸入も多い。
さぁ、以上のことを手がかりに推測していこう。
オーストラリアとニュージーランドが上位であるため、アとウは牛肉か羊肉のいずれかと考えらえる。ウについてはブラジルが特徴的。ブラジルが世界最大の牛の飼育頭数を誇る国であることを考えれば、ブラジルが含まれているウの方を「牛肉」と判定して間違いないだろう。一方のアが「羊肉」。オーストラリアとニュージーランドに偏っている。殺生を嫌うはずのインドでも輸出されているようだが、羊肉の生産は多いのだろうか。たしかにインドの西部は乾燥地域が広がっており、そういった地域では農業が振るわないため、羊の肉が主に食べられている。
残ったイが「豚肉」となる。ヨーロッパに注目してみよう。スペインはイベリコ豚で知られる豚の飼育が多い国の一つ。4つの円が重なっているが、これはフランス、ドイツ、オランダ、デンマークだろうか。一番大きい円がおそらくドイツ。二番目に大きい円がデンマークと思われるが、国の規模に比して極めて輸出量が多いことが特徴的。オランダも大きい。一番上に重なる円がフランスと思うが、こちらは国の規模が大きい割にはさほど輸出量が多いわけではないね。
以上より、正解は⑥。
[9]2020年地理B追試験[第2問問3]
①;花についてはまず「鮮度」が重要であり、さらに「高価」もポイントとなっている。オランダなどから日本へ花が輸出されていることは確かなので(この部分には下線がない)、そのような場合、どういった輸送手段を用いるのかがボイントとなっている。できるだけ速く運ばないといけない。高価なのでコストの問題はない。それならば空路が選ばれて当然だろう。陸続きではないので自動車や鉄道は該当せず、もちろんパイプラインでもない。輸送経路は船舶か、航空路かの二択。時間がかかりすぎる船舶であるわけはないね。正文。
②:この下線部については「誤文」と判定するのはそもそも困難ではないか。この部分が誤文だとして、それならばどういった言葉に置き換えたら正文になるのか。タイは日本企業の主な進出先の一つ。日系企業の数は中国、アメリカ合衆国に次ぐ世界3位。東南アジアで最も多い。経済レベルの高い先進国である日本が、タイに対して指導的な立場にあるのはおかしくないだろう。
③;なるほど、これはどうかな。カボチャが夏野菜であることを知らないといけないわけだ。地理は生活に密着した科目であるし、君たちが「正しい生活」をしていれば気付くことがたくさんある。カボチャがその一つ。カボチャは夏野菜であり、7月から8月は北半球での収穫時期。夏に日本国内の市場に出回るカボチャは国内産が主。カボチャのおもしろいのは、その需要が増えるのは冬だという点。みんな的にはハロウィンが頭に思い浮かぶのかな(笑)、あれも10月31日だからどちらかと言えば冬に近いのかな。でも、たしかにジャック・オ・ランタンの頭はくり抜いたカボチャだけれども、別にその日にカボチャを食べるわけでもないよね。カボチャが国内で多く食されるのは冬至の日。一年で最も昼が短くなるこの日にカボチャを食することは厄除けとなり縁起がいいと考えられているそうだ。これにより日本での冬のカボチャ需要は高まるのだが、しかし夏野菜であるカボチャはちょっと入手しにくい。そのために日本の会社が南半球のトンガに目をつけ、カボチャ栽培を始め、そこから輸入されたカボチャを日本市場へと供給したのだ。
なぜトンガだったのかはよくわからない。ただ、他のオセアニアの島国が赤道や低緯度付近に位置するのに対し、トンガはやや緯度が高く(南緯20°ほど)、カボチャ栽培に適した気候だったのではないかと思う。人口も太平洋の島国としては比較的多く(それでも10万人だが)、それも特定の島に人口が集中し、労働力として利用しやすい状態にあった。近隣のフィジーのようにサトウキビ栽培が盛んなわけでもなく、国内にこれといった産業がなかったことも「渡りに船」だったのだろう。トンガでカボチャ栽培は一気に広がり、またたく間に「カボチャモノカルチャー」の国となったのだ。
トンガでカボチャが収穫されるのは南半球の夏である12月から2月にかけて。日本市場にもこの時期にトンガカボチャが主流となる。③は時期が違うね。これが誤り。
本問については「カボチャ=夏野菜」であることを知る必要があり、まさに君たちの「生活」の力が問われている。買い物や料理などの家事を普段からしているかどうかが問われた問題だったんだね。
④についても一応検討。ここ数年ではわからないが、「1990年代」という古い時期の比較であるので、野菜にとどまらず中国からの輸入が増加していることは間違いないだろう。現代中国は1980年代に生まれた国。まだ「子供」だった1990年代の中国に比べれば、すでに「成人」した中国は、世界経済の中で重要な立ち位置にいる。
[10]2020年地理B追試験[第2問問4]
これは経済レベルもさることながら、工業製品や貿易など多様な統計の知識が重要となっているんじゃないかな。
まず「工業付加価値」。これは原則として「1人当たりGNIに比例」と考えればいい。1人当たりGNIが低い国は、衣類のような「安い」工業製品を作るのに対し、1人当たりGNIが高くなると自動車や電気機械など「やや高い」工業製品の生産が中心となり、やがてコンピュータ製品など知識集約型である「高い」製品の生産にシフトしていく。
選択肢の4カ国を並べてみる。なるほど、1人当たりGNIが明らかに低いのはバングラデシュであり、他の3カ国は高い値にある。
安価な労働力を利用した工業としてはもちろん「繊維・衣料」があり、この割当が高い③がバングラデシュになるだろう。安い製品を安い労働力でつくるわけだ。外国から衣服の縫製工場が進出しているイメージを持っておこう。
残る3つは1人当たりGNIで判定できないので、個々の品目について具体的に考えていく。3か国の中で圧倒的に工業力があるのは韓国である。韓国は世界的な工業国であり、鉄鋼(粗鋼)や自動車については世界的な生産国となっている。統計で必ず確認しておこう。鉄鋼(粗鋼)生産上位国には、中国、インド、日本、アメリカ合衆国、ロシア、韓国などがあり、自動車は、中国、アメリカ合衆国、日本、ドイツ、インド、韓国、ブラジルなど。
さらに造船業も発達。船舶竣工量は中国、日本、韓国で多い。船舶は韓国の重要な輸出品目の一つ。こちらも統計で確認しておこう。
こnの点から考えて、韓国では圧倒的に「機械・輸送用機器」の割合が高いのではないかと考える。オランダやニュージーランドは上記の鉄鋼や自動車、船舶のランキングには入ってこない。④が韓国で、これが正解。
①と②もしっかり判定しておこう。
ニュージーランドは極めて重要。通常、ある国の主要品目といえば「工業製品」か「鉱産資源」、あるいは「プランテーション作物」である。例えば韓国は機械類や自動車、船舶の輸出が多く、バングラデシュも輸出品目の首位は衣類である。いすれも工業製品。OPECの産油国やオーストラリアでは原油や鉄鉱石などの鉱産資源が輸出トップ。カカオのコートジボワールや茶のケニアなどプランテーション作物の輸出に依存する国もあるね。
ニュージーランドはその数少ない例外。工業製品や鉱産資源の輸出はほとんどなく、輸出の上位品目は「酪農製品」や「肉類」、「小麦」など。自国民の食を満たし、余った分を輸出しているといった感じであり、プランテーション作物を商業的に生産しているわけではない。プランテーション作物の栽培が中心になると、自給作物の栽培が制限され、主穀については外国からの輸入に依存しないといけない。これがアフリカが貧困である理由の一つ。しかし、もちろんニュージーランドはこれに当てはまらない。
「食品」が上位にある①がニュージーランドである。
残った②がオランダ。オランダは人口も少なく(1500万人)、1人当たりGNIも高いため、国内で労働集約型の製造業が発達しない。高賃金のオランダで電気機械や自動車をつくるのは損ってことがわかるよね。
そのため、この国に立地する可能性がある工業としては、労働力に依存しない「資本集約型」工業である。巨大な製鉄所や石油化学コンビナートを建設し、そこで生産活動を行う。オランダのユーロポート(ロッテルダム)には輸入原油を利用した石油化学コンビナートが立地し、化学工業が発達している。②の「化学」の割合の高さに注目しておこう。
[11]2020年地理B追試験[第2問問5]
こういった問題は難しいね。手がかりが少ない。ある程度は「勘」で解かないといけないだろう。「国際観光支出」>「国際観光収入」のバランスとなっている国を特定する。支出の方が多く、収入が少ない。つまり自国から外国へと出かける観光客の方が多く、外国から自国への観光客の方が少ない国を考える。
間違いなくこれに該当しないのはオーストラリアだろう。国内に多くの観光名所やリゾート地が並び、日本などから観光客を招き入れている。そもそも人口が少ないので、オーストラリアから海外へと旅行する人の絶対数も少ないだろう。その分だけ支出は少ない。まず③が不適当。
さらに②について。イタリアはベネチアやローマなど著名な観光都市を有する国であると同時に、地中海に面し、ヨーロッパ各地からバカンス客を招き入れている。実は世界で最も外国からの観光客数が多い国はフランスなのだが、それもやはり地中海沿岸のリゾート地へとバカンスで滞在する人々が多いから。イタリアもこうしたフランスと似た条件を持ち、やはり国際観光客数の受け入れは多いと思われ、「支出<収入」とみることは可能だと思う。これも該当しない。
さらにアメリカ合衆国。この国の観光における最大の特徴は「国内」が多いということ。アメリカ人の多くはパスポートを所有せず、外国への旅行を好まないそうだ。広い国土を有し、国内旅行のみで観光の目的は達する。例えば、海岸リゾートにしてもフロリダ州で十分に用途は足り、わざわざカリブ海まで足を運ぶ人は少ないだろう。国の規模に比して海外への観光旅行者数は少なく、支出も多くないことが想像される。支出は収入を上回らないだろう。アメリカ合衆国も不適当。
以上より、正解は中国となる。かつての中国は海外旅行に所得制限があり、ある程度の高所得がないと外国への渡航は許されなかった。日本でも一昔前は、中国の資産家が日本にやって来ていろいろなものを買い漁るってイメージだったでしょ?いわゆる「爆買い」。しかし、その状況が近年変化している。海外旅行が低所得層にも開放され、これを機会に一気に国際観光客数が増加した。中間層の人々や学生など、これまで海外旅行に縁がなかった人々がこぞって外国に出かけるようになったのだ。日本でもなるほど、近年は中国人のバックパッカーを見かけることがある。バックパッカーといえば「貧乏旅行」の代名詞。かつては「中国人旅行者=お金持ち」だったのでバックパッカーは存在しなかった。しかし現在は学生などを中心に中国人のバックパッカーが一般的なものになった。もちろんバックパッカーが増えたからといって、彼らはさほどお金を使わないのだからそれだけで「国際観光収入」が増えるわけではないが、しかし中国人全体の国際観光客が増加したことは十分想像できるし、もちろん「支出」も多いはずだ。④が正解。
というようにそれなりに解説はしてみたものの、種明かしをしてしまうと僕自身もこの問題については解答に自信がなく、正解を確認してからこちらの解説を作っている。中国が正解という「答えありき」での解説なので、言われてみればその通りだなといった内容にはなっていると思うが、しかし何のヒントもなく、このような考え方ができたかどうかは自分自身も正直なところ不明。全く自信がない。これは難問だったと思いよ解説中でも「外国からアメリカ合衆国を訪れる観光客数」や「外国から中国を訪れる観光客数」については触れていない。これ、どうなんだろうね。例えば日本人が海外旅行に出かける際、ハワイやグアムも含めればその行き先としてはアメリカ合衆国が最多の人数となる。なるほど、アメリカ合衆国へと向かう国際観光客は多そうだ。その一方で、中国は沿海部はともかく内陸部は交通手段などのインフラが未整備な地域も多く、まだ多くの観光客を受け入れることのできる段階ではない。国の規模や多くの魅力的な観光地を有することに対し受け入れ観光客数は少ない。こういった考えをすれば、「アメリカ合衆国への観光客は多い」、「中国への観光客は少ない」という予想も妥当なものとなるのだが。しかし、やはり決定的なものではない。判別困難な問題というか、捨て問の類だったかも知れない。
[12]2020年地理B追試験[第2問問6]
本問で最もポイントになるのはク。これがほぼ人口に比例することを確認。東京都が首位である点はカと同じだが、東京都の人口が日本全体の①割程度を占めることを考えれば、人口に比例する傾向があるのはクである。人口に比例ということは、より生活に密着した指標となるはず。センター過去問で「冠婚葬祭」の売上額がやはり人口に比例することが問われたことがある。なるほど、人口が多ければ結婚式やお葬式の回数はそれだけ多くなるからね。このように生活に密着した指標、いわゆる「最寄品」的な商品やサービスの売上ならば人口に比例する傾向があるはずだ。
さて、それと似た指標は今回の3つのうちどれだろうか。それは「老人福祉・介護事業」ではないだろうか。もちろん大都市圏とそれ以外の地方とで高齢化の進み具合は違う。しかし、それでも日本全体で老年人口率が上昇している昨今、地域による差異はさほど極端なものではなく、全国で老人福祉事業の必要性は増しているはずで、それは東京都でも例外ではない。全国の人口の1割ほどが集まっている東京都にも、全国の1割に近い高齢者が集まっているはずである。老人福祉の事業所の数も、やはり全国の1割ほどになるだろう。クが「老人福祉・介護事業」である。
では逆に東京都への極端な集中がみられるカは何だろう。キーワードは「頭を使う産業」である。「手を使う工業」は安価な労働力を求め、大都市圏以外の地方や発展途上国へと流出する。これに対し、「頭を使う産業
」は大都市圏や先進国においてこそ発達する。コンピュータソフトの開発、コンテンツ産業などがその例であり、こういった知識集約型産業は技術水準や研究開発のレベルが高く、情報も集まり、熟練した技術者も得やすい大都市圏や先進国型の産業となる。選択肢中、これにあてはまるのは「ゲームソフトウェア制作業」ではないかな。東京都に「頭脳」が集まるのだ。カが「ゲームソフトウェア制作業」であり、正解は①。
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