たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

2015年度地理B追試験[第3問]解説

第3問 都市と村落、生活文化に関する大問。この辺はオーソドックスだね。定番問題が並んでいることを期待しております。

問1 おっと、さすがに写真がないと解けないじゃないか。「著作権処理中」とありますが、せめて文章でいいから、どんなんか簡単に説明して欲しかったなぁ。

「アメリカ合衆国の村落および農地」とあるので、おそらくタウンシップ制の散村だと思うわけだ。緯度経度方向に道路が設けられ、四角形の耕地に区切られている。それぞれの区画に対応するように家屋が配置され、全体として散村形態がみられる。

おそらくこんな感じの写真なんじゃないかな、と予想するわけで。②が正解だと思うよ。よくわららんけど(笑)。

問2 街路パターンの問題。時々この形式ってあるよね。教科書でも取り上げられているし。

最重要はペキン。日本の平城京や平安京が中国の古代都市の街路区画を模倣して建設されたことは有名なんじゃないかな(歴史だけど中学で勉強する内容だから大丈夫だよね)。「碁盤目状」であることからイがペキン。最も有名なのは、かつての長安ことシーアンなんだけれど、ペキンでもこうした街路区画がみられるのです。中国とは全然関係ないけど、ニューヨークもこんな感じ。

さらにワシントンについて。これはアが該当。計画的に建設された都市の代表例がアメリカ合衆国の首都ワシントンなのだが、こちらは碁盤目状の直交路に放射状の街路が組み合わされたもの。比較的珍しい形と思うので、知っておいてもいいんじゃないかな。北海道の旭川市が実はこの形。旭川市も開拓団によって建設された都市であるので、比較的新しい時代につくられたという点においてはワシントンと旭川は共通しているね。

残ったウがモスクワ。クレムリン宮殿を中心に据え、それを取り巻く環状道路とそこから発する放射状の街路の組み合わせからなる。パリにも似たような街路がみられるが、パリはこうした中心地が多数あるので、まるで蜘蛛の巣を張り巡らせたような複雑な街路区画になってしまっている(迷うよ)。ちなみにオーストラリアの首都キャンベラも実はこういった放射環状路型の街路パターンをもつ都市。山間部に計画的に建設された政治都市で、狭い土地を有効に使用するためにこうした形状になった。歴史あるヨーロッパの都市と、近代に建設された新大陸の都市の形状が偶然似ているのはたいへんおもしろい。正解は④になります。

問3 ん、これ、ちょっとわからない。おそらく正解は①だと思う。間違っていたらごめんなさい。「路面電車が廃止」っていうのが明らかに現代の流れとは逆行している。かつては道路渋滞の原因として多くの路面電車が廃止となっていたが、現在はそのエコロジー性が評価され、復活もしくは新設される路面電車は多い。郊外から都心部への人の流れが明確な都市ならば(日本の都市の多くはこのパターンだね)、通勤や買い物の足として路面電車は非常に有効である。電気を使用するため排気ガスを生じないというエコの側面だけでなく、一般の鉄道や地下鉄に比べて建設費用が安く抑えられるというメリットがある。このことから①を誤文と判定する。

もちろん「電気自動車」自体はエコなわけだから、これそのものは否定できないのだが、「電気自動車を用いた新しい都市交通システム」っていうのがよくわからない。自動車が通るんやから、単なる道路のことなんちゃうの?ってツッコンでしまうのだが。どんなもんなんだろうね。

他の選択肢は②のみ注目しておいてください。パリは歴史的建造物が多い旧市街地の中心部の再開発は制限されているのです。③のフライブルクはよく登場する街ではあるけれど、とくに出題のポイントがあるようなところでもない。④の「ロードプライシング制度」はよくわかりません(笑)。

いずれにせよ、都市名そのものが問題を解くカギになっているわけでもないので、本問で名前が出たからといって、とくに気にする必要はないよ。それこそ、地図帳で場所を調べるなんていうのはナンセンス。

問4 さっきの問題(問3)はやっかいだったけれど、こちらは簡単なんじゃない?農村で人口が増えるわけないよ。「住宅不足」になることはない。交通機関も発達しているといえるのかな。道路などは整備されるところもあるのかもしれないけれど、過疎化が進む集落においては路線バスなど公共交通機関が廃止されることは多いらしいね。「山間部で雇用機会が増える」こともありえない。

他の選択肢については読んでおいてください。④は無視していいです。意味がわからなくていい。③については重大な問題だよね。過疎化とは、人口が減るだけではない。「老人が取り残される」ことなのだ。過疎地域こそ医療サービスを徹底しなければならないのに、実際はそうならない(できない)。比較的大切なのは②の選択肢。ニュータウンは開発当初に入居した若い夫婦がそのまま年齢を重ね、特定の世代のみに人口分布が偏る傾向がある。新設された小学校が、数十年後には早くも廃校になる事例もあるようだ。

問5 これ、おもしろいっすね。第2問の自動車生産の統計でもドイツが登場しているのだけれども、こちらでもやはりEUを意識しないといけない。EUは物と人の国境を越えた移動が自由に行われている。ドイツ人は頻繁に日常的に国境を越えるのだ。「1人当たりの年間国外旅行回数」が飛び抜けて多いカがドイツでしょう。

さらにキとクの判定。これも類似の問題が第2問にある。第2問問6を参照して欲しいのだが、経済レベルが違う国の「消費金額」が比較されていた場合、1人当たりの値は物価すなわち1人当たりGNIが目安となる。たしかに日本は1人当たりGNIが高い国であるので、一回当たりの旅行に費やす金額はそれなりに大きくなるだろう。日本と同様に国内宿泊旅行1回当たりの消費金額が大きいクは、日本と同じく1人当たりGNIが高い国とみていい。クがアメリカ合衆国。

一方、この値が低い(安い)キは、1人当たりGNIが4カ国中最低の韓国。そもそもの物価が安いのだ。以上より、正解は⑥。

ところで、そういう観点からすると、ドイツは日本やアメリカ合衆国と変わらないほど1人当たりGNIが高いのに、「消費金額」が少ないじゃないかという疑問もある。これは国の面積なんじゃないかな。狭いドイツは、国内旅行の範囲も限られ、その分お金も少なくて済む。日本なら飛行機を使った北海道や沖縄も国内だしね。っていうか、アメリカ合衆国に至っては、アラスカ州やハワイ州も国内なのだ。そりゃお金もかかるわなぁ。

問6 変な問題。でも簡単だから許す(笑)。簡単な問題も難しい問題も1問3点。コスパを考えるならば、こうした簡単な問題で確実に得点をゲット。

最も古い時期はス。商店街があった時代なのだ。

次はシ。自動車化の進展によって郊外のショッピングセンターが栄える。

そして現在はサ。インターネットでクリックすれば商品が届く時代。味気ないともいえるけれど、便利には勝てないよね。僕もなんやかんや服やら雑貨やら書籍はほとんどネットで買っているものね。

以上より正解は⑥。

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