たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

2025年旧地理B[追試験]第4問解説

<2025年旧地理B追試験第4問問1>


正解;⑤


あれ?さっきの問題(第3問問6)でもトルコが登場していたけれど、ここでも再び取り上げられている。やはり重要性の高い国といえるだろうね。

大地形の問題はある程度は暗記(知識)に頼らざるを得ないが、やみくもに何でもかんでも出題されるわけでもない。とくにポイントになりやすいは外来河川。乾燥地域を流域に含む河川のことだが、たとえば四大古代文明の発祥には河川が大きく関わり、このいずれもが外来河川。当時はもしかして湿潤気候だったのかもしれないが、現在は乾燥地域を流れる河川であり、まずはこの4つを外来河川として頭にしっかり入れておこう。世界四大文明は歴史の最初の方で習うことなので、まだこの時点ではみんなも歴史に挫折していないと思うので(笑)もちろん知っているよね。


中国文明・・・中国華北。黄河。

インダス文明・・・パキスタン。インダス川。

メソポタミア文明・・・イラク。チグリス・ユーフラテス川。

エジプト文明・・・エジプト。ナイル川。

図2中ではBのイラクをチグリス・ユーフラテス川が流れる。大河川に沿って沖積平野がつくられ低地が広がる。標高は低く、ウが該当。


4つというか正確には5つだけど問題ないでしょう。もちろん今回取り上げられている西アジアで重要な外来河川はチグリス川・ユーフラテス川であり現在のイラクを流れる。大河川があるということは沖積平野が発達し(河川が運搬する土砂が堆積して形成された平野)、イラクの中央にも豊かな平野がみられる。平野には農地が開かれ、さらに河川からの灌漑によって農業用水がみられ、小麦を中心とした農作物の栽培が行われていた。Bがイラクだね。ここには大河川が流れ、低平な地形となっている。200m未満の範囲が広いウがBとなる。


残る2つについては感覚的に解けるんじゃないかな。注目はCのイラン、イランの国土自体が斜めの方向に傾いており、とくにCの位置についてはペルシャ湾の海岸線に注目。これに沿って山脈が走行していると考えていいだろう。国土や海岸線の向きに沿って、北西から南東に山脈が走っている(標高の高い地域が斜めにみられる)アがCに該当するだろう。正解は⑤。


Aは全体がやや小高い高原となっておりイとなる。本問についてはBの低地のみ重要。とにかく大河川の存在を「世界四大文明=外来河川」としてインプットしておくこと。余裕があればイランの地形についてもチェックしておくといい。全体が高原となっており(イラン高原)、山脈がトルコ方面からパキスタン方面へと斜めに走行している。


イラクとイランは名前は似ているがそれは偶然であり、そもそもイラクはアラビア語、イランはペルシャ語であり言葉そのものが全く違う。イラクは低地国、イランは高原。イランには地下水路のカナートが作られていることを知っている人も多いんじゃないかな。山岳国のため河川から水を得ることは難しい(それに対しイラクは河川からの灌漑によって農業が興り文明が生まれた)。山麓の地下水を遠方の集落や耕地へと導く地下水路(カナート)によって農業が行われている。


なお、イランやイラクを含む地域は小麦の原産地。灌漑によって農業が行われ、小麦栽培が盛ん。



<2025年旧地理B追試験第4問問2>


正解;②

土地被覆(土地利用)の問題は本試験で寒冷地域が問われており(そこでは北欧で森林と湖が多いことがテーマとされていた)追試験でも同様の問題が再登場している。

こちらは乾燥地域であり、裸地(砂漠)や草地(草原)が大事。


図2参照。最もわかりやすい(そして君たちに知っておいてほしい)のはfである。これはカザフスタンという国。中央アジア最大の面積を有する。

中央アジア全域がかつてソ連であり、カザフスタンはソ連を構成する主な国の一つだった。しかし自然環境としては東隣りのモンゴルを想起すればいい。モンゴル同様カザフスタンはユーラシア大陸内陸部に位置し、降水量は少ない。全体としてやや乾燥し(高緯度で冷涼であるため蒸発量は多くない。強く乾燥するわけではない)一年に草原が広がる。そもそも「ステップ」という言葉はカザフスタン語に由来し「草原」を表している。「草地」の割合がとくに高い③がfである。モンゴルと共通するイメージを持っておけばいいね。

なおカザフスタン北部はやや冷涼で蒸発量が少なくさほど乾燥の度合いが高くない。肥沃なチェルノーゼムが広がり穀物栽培も行われる。「その他」が比較的高いが耕地を示しているのだろう。反対に南部は気温が高くこちらは蒸発量が多い。南に接するウズベキスタンに沿う地域は砂漠となっている。オアシス都市が並びシルクロードが東西世界を繋いだ。


さらに①から判定しよう。ほとんどが裸地であり、乾燥の度合いが高いことがわかる。裸地=砂漠と考えて欲しい。亜熱帯高圧帯の影響がとくに強いアラビア半島に位置するhが該当。緯度25度付近であり、亜熱帯高圧帯が形成される緯度帯。下降気流が卓越し少雨となる。また4つの国の中で最も気温が高いことも想像できよう(低緯度である)。高温であり蒸発量が多いことも強い乾燥の一因である。沿岸ではあるが、植生がみられず砂漠が広がる。


以上より「草原=モンゴルに接するカザフスタン」、「裸地(砂漠)=アラビア半島」ははっきりしたので、残る2つを判定する。ここからは難しいのでこの問題ができなかったからといってキミも力不足ということはなかったと思うよ。気楽に残る二つを判定しよう。


表の②と④を比較。さて、どうだろう?いずれも草原の割合は高いが、②はとくに裸地の割合が高くより乾燥した国土であることが想像される。さらにいえばかなり気になるのは④の「その他」。注釈として「農地や市街地」とある。厳密には農地には牧草地と耕地が含まれるのだが、本表にはすでに「草地=牧草地」があるので主に耕地と思っていいんじゃないかな。農業が盛んな国なのだろう。


以上より、②についてはアラビア半島ほどでなないが乾燥の度合いが高く牧業が主に営まれている国であると考えられる。それに対し④については比較的降水量が多く、国土の多くが耕地として利用されている(もちろん「その他」には市街地も含まれるので、これを考えてもいいが)。そうなると比較的イメージは持ちやすいんじゃないかな。


Eの国はトルコ。比較的工業化も進んだ国であり、発展途上国の中では経済レベルも高い(1人当たりGNIは10000ドル/人)。地中海沿岸に位置し地中海性気候の地域もあるだろう。国土全体が乾燥地域ということはないだろうし、とくに砂漠はほとんどないんじゃいか。農業も盛んに行われていることが想像される。これを④と判定しよう。そういえばトルコ料理は世界三大料理の一つだったりするよね。実はトルコはパンの種類が多く、1人当たりのパンの消費量は世界有数なんだそうな。


以上よりgは②となりこれが正解。隣国のイランが山岳国であり、アルプスヒマラヤ造山帯を考えれば、イランから南アジアのヒマラヤ山脈へと至るルートであるこの国も同じく山岳国であることが分かる。高原上に荒地が広がり、乾燥した国土を有する。国土の半分は草原、もう半分は砂漠といった感じなんじゃないか。


ただ、やっぱり本問は難しかったと思う。アラビア半島のhが砂漠の国だったことが判定できないと解けない問題だった。できなくても気にしなくていいので、今回はとにかく「カザフスタン=草原」だけ知っておこう。今後も出題されそうなネタはそこだと思う。



<2025年旧地理B追試験第4問問3>


正解;④


①は正解でしょう。乾燥地域であり、乾燥に強い家畜である羊が飼育される。広く砂漠やステップが広がり遊牧地帯となっている。羊は粗食に耐え、乾燥地域の固い草でも十分に消化する。羊の体毛は皮膚からの水分蒸発を防いでいる。


②も問題ないんじゃないかな。「香辛料」は大切だね。インドネシア東部の島嶼で栽培された。シナモンやカルダモンなどカレーのスパイスを考えればいい。東西世界を結ぶ交易路(シルクロード、海の道など)によって西アジア地域へももたらされた。ちなみに唐辛子は南米原産なので古い時代には唐辛子を使った料理はユーラシア大陸にはなかった。


③はどうだろう?カは地中海沿岸地域でやや降水量が多いんじゃないかな。降水量が多いとは言ってもアジアのような多さではなくあくまで地中海性気候であるので最小限の降水量って感じ。でもレモンやブドウは十分に栽培できるね。これは同じ気候環境の南ヨーロッパや北アフリカと共通しているとみていいんじゃないか。

余談だけど同じ気候環境といえば米国カリフォルニア州があるね。梶井基次郎「檸檬」で主人公が手にとったレモンについてそれがカリフォルニア産だと考えるシーンがある。カリフォルニア州も地中海性気候であり、そして雨が決して十分でないからこそレモンなど耐乾性の果実が栽培されるのだ。

さらにもう一つ余談。僕はちょっと気になったのが「北アフリカのブドウ」。北アフリカはイスラーム地域でありアルコールが禁止されている。ブドウは主にワインの原料となる。だから実は北アフリカではブドウの生産はあまり盛んではない。とはいえ、この話題はあまりにも細かすぎるから無視してもいいよね。個人的にちょっと気になっただけで。なおカの範囲にはイスラエルが含まれ、こちらはユダヤ教を信仰するユダヤ人。ユダヤ教はアルコールを禁じない。


では最後に残った④が答えなのだろうか。なるほどクとキが比べれれ「比較の構造」が含まれている。これってかなり怪しいよね?「馬の乳を発酵させたアルコール飲料」とある。これは二つの点において危うい。

一つはもちろん「アルコール」。イスラームではアルコールは禁じられる。クの中央アジアもイスラーム地域であるのだが、キと比較してどうだろう?キはサウジアラビアだが、極めて厳格なイスラーム国家なのだ。原則としてムスリム以外の入国が禁じられ、我々非ムスリムが観光で足を踏み入れることができない(*)。アルコールについて少なくともサウジアラビアで広く飲まれているとは考えられないのではないか。その点、中央アジアは多様な文化が交錯する地域でもあり、アルコールについては寛容である可能性もある。

そしてもう一つが「馬」。亜熱帯高圧帯の影響が強いアラビア半島は沿岸部も含め全域が強い乾燥気候となり、植生のみられない砂漠である。オアシスを繋いでラクダの遊牧はみられるかも知れないが馬の飼育はどうだろう?

馬といえばやはりモンゴルなんじゃないか。モンゴルの草原を馬が走っていく風景は想像しやすいよね。モンゴルは非農業地域だが、ほぼ全域がステップ(草原)に覆われ遊牧が行われる。主な家畜は乾燥に強い羊のほか、馬が代表的なところ。クの中央アジアはモンゴルに接し、モンゴルと同じ様な気候、植生、農牧業、生活文化が見られるのではないだろうか。馬が飼育されているとすればキではなくクなのだ。この地域で草原(草地)が多いことは問2でも触れられているね。これが誤りで正解。


(*)これは実はかなり胡散臭い話で、そもそもイスラームは商業宗教であり、ムスリムの多くは世界を旅する商人である。そのため人的交流が極めて活発で旅行者はいつでもどこでも歓迎された。ムスリムであるがゆえに世界のいかなる場所へと赴くことができるのだから、イスラーム国家であるサウジアラビアが人口の流動を妨げるような政策を実施するのは本来おかしいことなんですよね。



<2025年旧地理B追試験第4問問4>


正解;③


1人当たりGNIが問われている。まずサウジアラビアであるが、世界最大の産油国であり「極めて富裕」であるイメージがあるかも知れないが、比較的人口が多いことから「1人当たり」の値はみんなが想像するより高くない。日本や欧米のレベルには及ばない20000ドル/人程度である。シがサウジアラビア。

それに対しイスラエルは人口小国であるため「1人当たり」の値が高くなる傾向にある。イスラエルは降参資源を産することもなく、工業生産力も決して大きくないが1人当たりGNIは極めて高い。アメリカ合衆国からの支援があり、精密部品工業なども立地し、さらにダイヤモンド交易も盛んで(ユダヤ人が世界のダイヤモンドの流通を支配しているのだ)そうした背景も経済レベルの高さに結びついている。

残ったスがイラン。イランは人口が1億人に達しようとする人口大国。「1人当たり」の値は低くなる。OPECに加盟する産油国であるが、経済レベルは低い。

以上より、サがイスラエル、シがサウジアラビア、スがイラン。


さらにEは「王宮」からサウジアラビア。サウジアラビアは日本と同様に王侯貴族が元首となる国であるが、日本の場合は皇族は政治的な影響は有さない「立憲君主国」だが(世界の王国のほとんどはこれ)、サウジアラビアは例外的に王族が実験を握る「専制君主國」。

豊富なオイルマネーを活かし(人口が比較的多いので1人当たりGNIは20000ドル/程度だが、逆に人口が多いからこそGNIは大きくなるね。西アジア最大のGNIを誇る)都市開発が進められている。Eの文章もオアシスに関する部分をカットし、「王宮」を「皇居」に変えたら日本の東京の風景だよね。

なおイスラームでは人々は平等であり(商業宗教なので人々が平等に豊かであった方が経済が活性化する)身分差別は認められないのだが、サウジアラビアには「王族」が存在している。この辺りが伝統的なアラブの考え方と新しい宗教であるイスラームとが噛み合わないところなんだろうね。ちなみにイランはイスラームの教えを守って王族を追放しムスリム中心の共和国を作った。イラン革命である。


Fはどうかな。これは「宗教的聖地」がキーワードであり、とくにそれが多く存在していることがヒントになる。

こういった宗教に関する問題は現在の地理総合・探究では避けられているけれど、このエルサレムの事例は最低限知っておいていいんじゃないかな。イスラエルの都市エルサレムは3つの宗教の聖地。紀元前にこの地でユダヤ教が生まれ、やがてそれを発展させたキリスト教が成立。そして6世紀ごろにインド洋交易やユーラシア交易が発展する中で同じくユダヤ教を継承してイスラームが誕生。エルサレムはユダヤ教の聖地であるが、それを基とするキリスト教とイスラームも同都市を聖地としている。Fがサとなるが、いろいろな宗教が混在していることから「ムスリムの割合」が17.0と低い値になっていることも重要なヒントになっているね。


ちなみに、、、現在ガザではイスラエルによる虐殺が生じている(なお「戦争」とはあくまで「外交の延長」であり、外交交渉を有利に進めるための一つの手段。イスラエルのガザ攻撃には外交的な目的はないのでこれは戦争とは言わない。単なる「虐殺」である)。しかしこういった地理のテストにおいては何事もないかのように平然とイスラエルが出題される。共通テスト地理では「時事問題が問われない」ことがわかるだろうか。ロシアやウクライナの出題も普通にみられ、あくまで「践祚が行われなかった世界線」の元で地理という科目が展開されていることがわかる。もちろん時事も大切なのだが、それは大学に入ってから新聞でも読めばいい。少なくとも共通テストのレベルでは時事的な話題を知ることはマイナスにしかならない。1人当たりGNIのような統計数字を冷静に頭に叩き込む。


残ったGがス。これがイランなのだが「山の麓」というのは問1の「イラン=山岳国」というネタと重なっているね。



<2025年地理探究追試験第4問問5>


正解;②


階級区分図の問題。階級区分図は割合(相対的な値)の高低を表す際に用いる統計地図。それぞれのインディケーターの比例、反比例関係を中心に考える。


最も簡単なのは「人口密度」じゃないかな。「人口密度=人口÷面積」であるので「人口に比例」、「面積に反比例」となる。人口はわからないが、面積ならこの図から判定することはできる。広い国で低く、狭い国で高くなっている図はどれだろうか?北部の広大な国で「低」となっているのに対し、狭い国のほとんどは「高」となっている。Lが人口密度だろう。


さらにここからは1人当たりGNIを基準に考える。1人当たりGNIは所得水準を表している。所得が高いのは第3次産業。第3次産業就業者の割合が高い国はそれだけ高収入の仕事に就いている人が多いということになり、全体の平均所得も高くなる。つまり「1人当たりGNIと第三次産業人口割合は比例する。


一方、合計特殊出生率はどうだろう?合計特殊出生率と出生率は似て非なるものだが、世界の国ごとに考えた場合、おおまかに「合計特殊出生率と出生率は比例する」と考えてしまっていい(*)。出生率は人口の自然増加率に比例するのだが、これは原則として1人当たりGNIに反比例する。地域(大陸)別の年間の自然増加率は以下のとおり。


2%;アフリカ

1.5%;南アジア

1%;ラテンアメリカ・東南アジア

0.5%;アングロアメリカ・東アジア

0%;ヨーロッパ・日本


おおまかに自然増加率と1人当たりGNIが相反する関係にあるのがわかるだろうか。発展途上国では人口が増えやすく、先進国では停滞している。もちろん例外(たとえば中国は1人当たりGNIが低い国だが自然増加率は低い。アメリカ合衆国は1人当たりGNIが高い国だが自然増加率も日欧に比べ高い)もあるが、こちらの問題を解く際にはそれらは無視しよう。ここではセオリー(法則性)を優先し、具体的な事例には目を瞑り抽象化された現象にこと注目する。


そしてもちろん出生率と自然増加率は比例するので「出生率と1人当たりGNIは反比例する」のである。サウジアラビアに注目してみようか。先ほどの問題でもサウジアラビアが登場し、その値は20000ドル/人だったが、これはこの地域としては十分に高いものである。なおサウジアラビアを基準にして考える問題は2025年地理総合探究第1問問1でも登場している。この国の「経済レベルんの高さ」を意識することは問題を解く大きな手がかりになる。


さらにいえばこれは問題がうまくできているよね(笑)。J~Lの三つのグラフを見て、Jはサウジが「低」、Kは「中」、Lは「低」であり、違いがはっきりしている。このような国ごとの指標(割合)の高低を色や模様で表した図を階級区分図というのだが、図を作った人の裁量次第というところもある。どこからどこまでを「高」、どこからどこまでを「低」とするかでかなり印象が変わる図となる。例えば30の国があったとして、10個ずつ高中低とするのか、上位5つのみを「高」、下位5つのみを「低」、間の20を「中」とするのでは全然違うグラフなるでしょ?階級を3つに分けるか、あるいは4つや5つにするかなどでも全く異なる。

本問においてサウジアラビアを明確に高中低と分けているのはそういった作問者の意図が表されている。


1人当たりGNIの高いサウジアラビアで高くなっている指標が「第三次産業従業者割合」であろう。それに対し、サウジアラビアが低いLを合計特殊出生率としたいところだが、これはすでに人口密度と決定している(サウジアラビアは面積が広い国であり人口密度が低いことは納得だろう)。よってサウジアラビアが「中」であるJが「合計特殊出生率」である。正解は②。


細かい国までは判定できないが、おおまかにJとKは裏返しの関係になっているように見える。Jで「高」い国の多くはKでは「中」や「低」となっており、両方とも高い国はほとんどない。


ちょっと興味深い国としてはトルコがある。トルコは工業化が進み西アジアとしては経済レベルが高い国(1人当たりGNIは10000ドル/人)。それなのに第三次産業就業人口割合が「中」にすぎない。これはどうしたことだろう?まさにその「工業」にカギがあるのだ。


世界全体の傾向として第二次産業就業人口割合が高い国は、外国からの工場進出が盛んな国が多く、トルコがそれに該当。ヨーロッパから多くの工場(衣類が多いが最近は電気機械や自動車もある)が進出し、国民の中で製造業に従事する人口が急増した。第二次産業就業人口割合が高い国であり、その分だけ第三次産業就業人口割合は低く抑えられる。工業化の影響がはっきりと現れているのだ。


トルコと同じように外国からの工場進出が盛んで第二次産業従業者割合が高い国としてタイやメキシコ、ブラジルがあり、とくに高い地域として東ヨーロッパがある。とくにドイツに隣接するチェコは第二次産業就業人口割合が40%と極端に高い値となっている。旧社会主義国であり経済レベルが低い。国境を超えてドイツから多くの生産拠点が移転している。先進国が脱工業を志向するなかでこれらの発展途上国が新興国として世界の工業生産を支えているのだ。


(*)日本国内に関してはこれと全く異なる。合計特殊出生率と出生率は反比例する。たとえば東京都は合計特殊出生率は低いが出生率は高い。これは東京都が「若い女性」の割合が高い地域だからだ。若い女性が多いので子供も多くなる。しかし合計特殊出生率はその特殊な計算法によって出産年代の若い女性の割合に反比例する傾向がある。世界全体で考えた場合、発展途上国ではこの「不利」さを補ってもあまりあるほど子供の数が多いのだが、都道府県単位で考えた場合、この微妙な差異が数値に大きな影響を及ぼすことになる。合計特殊出生率についての詳しい理解は不要だが、上記の大原則だけはぜひ知っておいてほしい。



<2025年地理探究追試験第4問問6>


正解;①


これ、どうなんだろうね?ちょっと雰囲気の変わった問題。ロシアが登場しているね。現実世界ではロシアとウクライナの間に戦争が生じているけれど、共通テスト地理の世界線ではこの戦争は存在していない。戦争の影響は無視して、通常の状態としてロシアを考える。つまり「ロシア=エネルギー資源産出国」だね。


XとYから判定しよう。日本とロシアだから判定は難しくないんじゃないかな。キャラクターが両極端な国。表中にサウジアラビアがあるので原油を中心としたエネルギー資源の有無で考えれば良さそう。


サウジアラビアを軸に考えよう。サウジアラビアからXへの輸出が極めて多くなっている。どうかな?これが「サウジアラビアから日本への原油の輸出」と考えていいんじゃないか。日本は資源の乏しい国であり、ほとんどを輸入に依存している。そしてその主な輸入先がサウジアラビアなどペルシャ湾岸諸国である。一方のロシアはむしろ原油の輸出国である。世界的なエネルギー資源の産出国であり、原油や天然ガスの輸出が多い。サウジアラビアから原油を輸入する理由がないだろう。Xを日本と判定し、片方のYがロシアとなる。


そしてタとチの判定。ここからが難しいかな。トルコはともかくウズベキスタンについてはほとんど知識がない(とはいえ、センター試験時代に大きくウズベキスタン地誌が取り上げられたことはある。過去問を10年分ほど解いておけば決して「初耳」の国ではなかったはず)。

トルコについては近年工業化が著しい新興国として考えてほしい。1人当たりGNIは約10000ドル/人である。この10000とう数字は非常に重要で、他に1人当たりGNIが10000ドル/人の国としては中国、マレーシア、ロシア、東欧、メキシコ、ブラジルがある。この中でロシアのみキャラクターが違うが(ロシアは資源輸出によって経済成長を果たした国)、他はいずれも外国からの工場進出によって工業化が進み経済発展を果たしている。製造業従事者が多い(第二次産業就業人口割合が高い)という共通項がある。トルコについてもヨーロッパからの生産拠点の移動を受け入れ、次のEU加盟国と噂されている。


このことを踏まえてどうだろうか?ウズベキスタンに比べトルコの方が経済規模は大きいと予想され(発展途上国で1人当たりGNIが10000ドル/人というのはかなり高いほうだよ)、貿易額も大きいんじゃないか。経済規模すなわちGNIと貿易額は原則として比例する。


日本から見て重要性が高い国はもちろんトルコである。一方のウズベスタンは正直なところ、どこにある国なのかも想像がつかない。X=日本からみて貿易額が大きいタをトルコとみていいんじゃないか。まさかトルコよりウズベキスタンとの輸出入額が大きいなんてことはあり得るだろうか?このことからトルコをタと判定し、正解は①。


他は参照しなくていい。そもそもウズベキスタンって国が全くわからない。一応ウズベキスタンは中央アジアの国でありかつてのソ連構成国。ロシアとの関係は深く、日本よりロシアとの貿易が盛んになっている。


ここで唯一気になるのががタ=トルコがY=ロシアから輸入している「21120」という数値。これ、いったいどういうことだろう?圧倒的に大きな値となっている。日本がサウジアラビアから輸入している金額に相当する。


これはよくわからないのだがパイプラインなんじゃないか。ロシアからトルコを経由して地中海やヨーロッパ方面にパイプラインが引かれており、トルコは原油のルートとして重要なんじゃないか。トルコの輸出品目のデータがないので不明なのだが、もしもそこに原油があればこれは確実なものとなる。パイプラインがトルコ国内を貫いているため、ロシアからヨーロッパへと輸出される原油(この量はかなり多い。ドイツにとってロシアは最大の原油輸入先)の中継地となる。


というわけで本問の最大のポイントってどこだったか気づいたかな?それは「知らない」ということなのだ。ウズベスタンという国を知らないことが最大の強みとなった。ウズベキスタンなんていう名前も聞いたことがない国と日本とが盛んに貿易をしているわけがない。ほぼ無関係な国同士なんじゃないかって考える。下手にウズベキスタンについて知識があるとかえって迷ってしまう。「無駄な知識」はつけないこと。もちろんウズベキスタン自体は素晴らしい国であるし、大学に入ってからいろいろ勉強してほしいし実際に旅行にも行ってほしいけれど、大学受験レベルでは「不要」な国なのだ。知識をつけないことが強みとなる科目、それが地理だったりするんだよね(あ、中学レベルの知識は必要ですので念のため。中学社会は丸覚えしてくださいね)。


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