たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう
<2025年旧地理B第3問問1>
正解;③
都市人口割合は原則として1人当たりGNIに比例する。先進国で高く、発展途上国で低い。ただし、例外も多く注意が必要。
(例外1)ラテンアメリカは1人当たりGNIが低いが都市人口割合は先進国並み(あるいはそれ以上に)高い。理由としては2つ挙げられる。一つ目の理由として厳しい自然環境がある。熱帯雨林や乾燥地域、高山など居住に適さない環境が広いため、「豊かな農村」が形成されない。人口は過度に都市に集まる。もう一つの理由は植民地支配の歴史。スペインやポルトガルによって植民地支配されたが、港湾など都市を中心に入植が進んだ。とくにアルゼンチンはその人口のほとんどがヨーロッパ移民にルーツを持つが、彼らの祖先はヨーロッパから移り住んだ時点ですでに都市生活者であった。
(例外2)東南アジアを中心とするモンスーンアジアはとくに都市人口割合が低い。つまり相対的にの農村に多くの人口が分布しているということ。こちらはラテンアメリカとは対照的に「豊かな農村」が形成され、農業を営む人々が多い。モンスーンアジアは第一次産業就業人口割合も高い(それに対しラテンアメリカの第一次産業就業人口割合は低い)。アジアでは農業は集約的に行われている。家族中心の零細経営による労働生産性の低い農業が営まれ、稲作を営む農家が多い。一部を除いて都市は発達しにくい。
このことを考え、①~④の2015年の値に注目しよう。選択肢中の4つの国のうち、都市人口割合が高いのは「先進国のイギリス」と「ラテンアメリカのアルゼンチン」である。一方、都市人口率がとくに低くなるのは「モンスーンアジアのミャンマー」となる。標準的な値(世界的にみれば低い方になるが)の③が南アフリカ共和国に該当。
<2025年旧地理B第3問問2>
正解;②
これは図をみながら判定すればいい。まず「水産業」が特徴的。水域(海だろうか)に接する③がイに該当。さらに農業の値が低いエに注目。都市化が進み商工業が発達した地域とみられる。①と②はほぼ全域が農地と思われる。④も東側半分が農地のようだが、西部は開発が進み建物が立ち並んでいる。①や②に比べれば農業が中心の地域とは思えない。④がエになるだろう。なお、エでは工業の割合が極めて高くなっているが、たしかに北部の鉄道周辺に多くの工場の地図記号がみられる(工場の地図記号は現在は廃止されているが、こちらは古い地形図なのでまだ存在している)。
残ったアとウはどうだろうか。農業の値も全く異なっているが、やはり注目すべきは商業だろうか。ウは商業がとくに盛んな土地であることがわかる。商業が発達するために必要なものって何だろう?それはもちろん「通商路」だよね。商品をやりとりするためのルートが必要。
そのような通商路が明確にみられるのはどちらだろう?これは言うまでも無いんじゃないかな。②の地形図がこれに該当。
ここでは②の中央やや左手の細長く広がる家屋の集まりに注目してほしい。この集落が道路に沿っているのが分かるだろうか?この形は「街村」と呼ばれるもので、集村の一つである列村の、さらにその中の一つの形態である。単に列をなして家屋が集まるものが列村であり、自然堤防や扇状地の扇央など自然条件によって立地が規定されるものもあるが(自然発生)、列村のうち路村は新田集落や屯田兵村など開拓道路に沿って作られ計画的集落の性格を有する。さらに街村はその発展した形で、こちらは江戸時代に成立した街道に沿ったもの。集落が一つの機能を有するもので、とくに宿場町に多くみらける形態である。
②の集落は形態としては「街村」」であり、性格としては「宿場町」である。街道に沿って交通に関連した仕事に就く人が多いのではないか。②をウと判定し、残った①がアとなる。
それにしてもなぜこういった古い地形図が用いられるのだろうか?その背景としては最新の地形図(地図)に関する状況があると思う。現在、一般に我々が日本の地域別の地図を探そうと思えばネットで「地理院地図」を検索し、そこから該当箇所を探す。パソコンやスマホの画面を通して地理院地図は閲覧でき、拡大や縮小も自由に行える。従来の「縮尺」という概念がもはや無い。さらにいえばカラーで示され、感覚的西角情報を得やすい。かつて我々が書店や図書館に出向き、2万5千分の1地形図や5万分の1地形図を用いて、該当する地域を探していた時代とは隔世の感がある(そもそも地形図は実はそれなりに高いのです。今やネットで「無料で」クオリティの高い地図(地形図)が入手できるなんて、なぜ今まで高い金払って紙切れを買っていたのか、絶望するしかないですよ)。ただ、この品質の高さが逆に命取りになっている。カラーで表現されているからこそ、共通テストの白黒印刷では判別しにくい地形が多くなってしまっているのだ。とくに建物はピンクで着色され、現物の視認性は高いのだが、これを白黒印刷にしてしまうともはやわけがわからない。共通テスト以降あまり難解な地形図問題が出題されなくなったのはこういった背景がある。そもそも地形図(地理院地図)の読解が困難なのだから、問題も複雑にできるはずもない。
今後もこういった流れは続くでしょうね。最新の地形図(地理院地図)は使いにくいので。古い時代の地形時を用いて「レトロ」な感じで問題を作らざるを得ない。本試験でも地理Bで集落の問題が出ていたけれど、建物の判別が難しい地理院地図ではなく、従来の地形図が利用されていた。みんなもネットでグーグルアースなど見るのが好きな人がいるだろうけれど、それじゃ点にならないんですよね。過去問をしっかり使って、古い時代まで遡り、古い地形図を用いた問題をたくさん解いて「目を慣らす」ことをしておこうよ。
<2025年旧地理B第3問問3>
正解;①
ちょっと変わった問題ですよね。これ、地理の問題なのかな?
Aは一見すると函館の五稜郭だよね?ちょっと歴史に詳しい人ならば、これが戦争のための要塞であることが分かる。五稜郭の「郭」とは城の施設のこと。「五稜」とはもちろん外に向かって伸びる5つの突出部。ここに兵力を集め反撃を行う。
会話文をみるとこれはヨーロッパのもののようだが、函館の五稜郭はヨーロッパの城や要塞の作り方を真似て建設されたものだろう。近代的な防御施設であったはずだ。戊辰戦争の終焉、榎本武明率いる旧幕府軍は「北海道共和国」の建国を目指したが、長州と薩摩の新政府軍に圧倒され、函館の地で最後の時を迎えた(榎本自身は新政府軍に迎え入れられ要職に就いたが、新撰組副長の土方歳三は敵の銃弾に倒れた)。
このことを考え、この形は五稜郭と同じく城郭・要塞であることが想像され、周囲の濠(ほり)も防御用であろう。船舶が停泊するための交易用のものではない。①が誤りである。
他の選択肢はとくにチェックしなくていいだろう。
Bはペルーの風景だそうだが背後の山地が険しく、なるほどアンデス高原の山々だろうか。ペルーはかつてスペインに植民地支配された歴史があり、その時代につくられたヨーロッパ風の建物も多い。
Cはちょっと特殊だよね。これは過去問でも教科書でも取り上げられたことはないと思う(資料集などでも僕が知る限り見たことないな)。中国の客家円楼(福建円楼)というものなので興味ある人は検索しておこう。
Dは乾燥アフリカでみられる典型的な市街地の光景。マリとあるのでサヘル地域(サハラ砂漠の南園の半 乾燥地域)だろう。アフリカ系の言語が使われる地域だが、岩塩交易でアラブ商人が多く訪れたことでイスラム化されている。樹木に乏しいため、建物は日干しレンガによってつくられている。また街路は複雑で迷路型となっている。なおこの写真からは確認できないが、家屋の窓は小さく作られている。暑い外気を部屋の中に入れない工夫である。
中央の建物はモスクだろうね。ドーム状の屋根はみられないが、周辺に尖塔がいくつかみられる。手前の広場みたいなところに人々が集まって礼拝するのだろうか。
<2025年旧地理B第3問問4>
正解;②
「小売業」は第3次産業であり、「農用地」は第1次産業に関連する。図の中央の市役所が位置する駅はこの地域の中心業務地区を成し、デパートや商店街など商業機能も発達しているはず。一方で地価の高さゆえ農用地としての利用はみられないだろう。この市役所・駅の周囲が「高」となっているのが「小売業」であり、「低」が農用地だろう。gが小売業販売額、hが農用地割合。
さらに過去から現代への流れを考えた場合、都市化が進み農用地は失われていく。農用地の「下位」の範囲が拡大しているのがより新しい時代である。キが昔で1980年、カが現在で2010年。
なるほど、この時代の流れを考えると「小売業」についても納得。市役所・駅を中心として高位の範囲が広がっている。中心都市としての機能が強まっているのだろう。
(ここからはオマケ)
これはメッシュマップというもの。エリアごとに区切られている。絶対量を表すこともできるし、割合を表すこともできるし、柔軟な統計地図である。「小売業販売額」は絶対的な数であり実数。一つ一つのエリアの中の店舗がどれぐらいの売り上げだったかその金額を合計した値だね。「農用地割合」はエリアの面積を分母とした時の農用地の面積。「農用地÷四角形の面積」であり、相対的な値。割合。
ただしこれについてももうちょっと深掘りしてみよう。「農用地÷四角形の面積」の高低を示している点では階級区分図(エリアごとの指標の高低を色や模様で表す。相対的な数(割合)を表現する)と同じ性格を有する。でも「四角形の面積」は全て同じだよね?ということは「農用地÷四角形の面積」という割合を表現していると思いきや、実は「農用地」の面積そのものを表しているということにならないかな?hが表現しているのは「農用地割合の高低」であると同時に「農用地の大小」でもあるのだ。
<2025年旧地理B第3問問2>
正解;⑤
これ、よく出る問題だよね。ヨーロッパ主要5カ国の首都の位置は重要。
イギリス・・・首都ロンドンは国土南部にある。テムズ川江スチュアリーに位置し港湾都市でもある。
フランス・・・首都パリは国土北部にある。小麦の大産地であると同時に、ブドウの栽培北限に位置し高級種が作られている。
スペイン・・・首都マドリードは国土の中央部に位置する。2位のバルセロナは地中海沿岸のフランス国境に近い。
イタリア・・・首都ローマは半島部。丘上都市に期限を有し宗教都市の性格を有する。
ドイツ・・・首都ベルリンは国土東部に位置。旧東ドイツであり、経済発展が遅れた。国内で最も経済レベルの低い地域となっている。
北がフランス、南がイギリス、東がドイツ、スペインが中央っていうようにキャラクターがはっきりしているよね。イタリアもどちらかといえば南部だね。
ヨーロッパではほとんどが「首都=人口最大都市」であるが(例外がスイス)、その人口が重要。なおパリは行政区分としてのパリ市の人口は少ないが、都市圏は極めて巨大で1000万人規模。フランスはパリ中心の中央集権国家。
イギリス(7000万人);ロンドン(1000万人)
フランス(7000万人);パリ大都市圏(1000万人)
スペイン(5000万人);マドリード(300万人)
イタリア(6000万人);ローマ(300万人)
ドイツ(8000万人);ベルリン(300万人)
全て重要なのだが、あえていえばドイツが最大のポイント。人口が8000万人という「大国」であるのに、人口最大都市の人口はわずか300万人。総人口の5%に満たない。これはかなり特殊な例で、普通なら人口最大都市の人口は総人口の10%程度となる(東京特別区部の人口は1000万人で日本の総人口の約1割)。もちろん総人口が多い国の場合、割合は低くなるが(中国14億人・シャンハイ1000万人、インド14億人・ムンバイ1000万人、アメリカ合衆国3.5億人・ニューヨーク1000万人、インドネシア2.5億人・ジャカルタ)それは特殊な例。一般的にはやはり「1割」が目安になる。
それに対しドイツの割合は例外的に低い。しかもベルリンは首都でもあるのだ。首都が人口最大都市であるものの、決してドイツを代表する都市ではない。都市への人口分布に特徴がみられる国、それがドイツ。
では問題を検討してみよう。イタリア、スペイン、ドイツはいずれもヨーロッパの都市であり、人口最大都市はいずれも首都。Pは東部に人口最大都市つまり首都。ドイツである。Rは中央に人口最大都市つまり首都。スペイン。残ったQがイタリア。たしかにどちらかといえば南に首都=人口最大都市。
文章を検討。最も重要なのはス。「第二次世界大戦後の長い間、国土が分割されていた」よりドイツである。ドイツは第二次世界大戦に敗れ、連合国に占領された。国土の北部・西部・南部はイギリス・フランス・アメリカ合衆国に占領され、それら3カ国の統治を経たあとドイツ連邦共和国(西ドイツ)として独立した。資本主義であり自由経済によって工業化および経済成長を果たした。
東部はソ連に占領され、その統治を経てドイツ民主共和国(東ドイツ)として独立した。社会主義であり計画経済による工業化が行われたが、経済は停滞した。このことからスがドイツでありPに該当。
(日本の場合、ほぼ全域がアメリカ合衆国に占領されたため、統一国としての独立を保った。当時日本の植民地だった朝鮮半島は北部がソ連、南部がアメリカ合衆国により占領されたため、分裂国家となった)
さらにドイツについて深掘りしていこう。ドイツは「分権的な性格」を持つ国家であるが、これはかつて東西ドイツに分かれていたことが直接的な影響ではない。歴史を辿れば、中世より多くの小国が林立しそれが近代になって統一ドイツとなったことにその理由がある。プロシア、バイエルン、ハノーバー、サクソン、ザクセンなどの国々やハンブルクやブレーメンなどの自治都市など。
実際、ドイツの主要都市は国土の四方に分散している。首都のベルリンは東部(ただ、繰り返すが経済レベルは低い。とくに産業が発達しているわけではない。東部全体でみれば人口の流出地域である)に位置するが、北部のハンブルクや南部のミュンヘンの方が商工業の中心地としてドイツ社会をリードし、さらに西部にはライン川沿いやルール地方に多くの都市が並び、都市圏の結合がみられる。「政治・経済機能の分布」とあるが、政治は東部ベルリンであるが経済(商工業)はそれ以外の地域に集中しているのだ。
残った2つについては文章と図をそのまま対応させればいいんじゃないかな。サには「大都市は国土の北部」とあるよね。北部に多くの都市が集まっているQに対応。イタリアである。たしかにイタリアは「豊かな北部、貧しい南部」の対立が顕著で(つまりローマも貧しいイタリアなのだ)「国内における経済的な地域格差が大き」い。
消去法でシがRとなる。正解は⑤。スペインの場合、「独自の言語や文化」を持つ地域の例としてバスク地方がある。大西洋に面するフランスとの国境にまたがる地域。他の言語との関係性がみられない独自の言語であるバスク語が使用される地域。人口規模第2位の都市圏とはバルセロナの都市圏。フランスの国境に近く、自動車工場が多く進出している。
<2025年旧地理B第3問問6>
正解;②
昔はよくみられた問題だが、2020年代に入ってからは初出じゃないかな。現在の人口流動はどのようなものになっているのだろうか。
ここではトルコが重要。トルコについてはドイツとの関係性が堅い。全体的な値の少ないYがトルコ。トルコ人が移動するならばドイツが最優先であり、フランスへの流入は少ない。
さらにZ。これのみパターンが異なる。最初は多かったものの現在の値はY(トルコ)と並んで少ないものとなっている。もはや経済成長を果たし、出稼ぎ労働の必要がなくなったと考えればいい。これがイタリア。イタリアの1人当たりGNIは30000ドル/人ほどでフランスの45000ドル/人に迫っている。アルジェリアやトルコはもちろんこれより低い値。
残ったXがアルジェリア。アルジェリアは地中海を挟んでフランスの対岸に位置する国。ノーベル文学賞受賞の文豪カミュはフランシス人だがアルジェリアを主な活動の場とした。「異邦人」では主人公(フランス人)が海岸でアラブ人を殺す。「ペスト」はアルジェリアの都市オランを舞台にしている。
たしかデザイナーのイブ・サンローランもフランス人ながらアルジェリア出身じゃなかったかな(他のデザイナーと勘違いしてたらゴメンなさい。Wikipediaでも見ておいてください)
表より、アルジェリアからの移民は一定して多くなっている。正解は②。
とはいえ、本問は難しかったと思う。知識のウエイトが高く、ちょっとオールドタイプの問題だったんじゃないかな。あえて思考問題として解くならば「ポルトガル・X」、「モロッコ・Y」の組み合わせで解くことはできなくはない。
ポルトガルと同じような動きをするものがX。最初から値が大きく、継続して「高音安定」している。フランスと関係性(とくに位置)が強い国の特徴と考えられ、これがアルジェリアとする。先ほども言ったようにアルジェリアは旧フランス植民地であるだけでなく距離的な近さもある。ポルトガル言うまでもなくEUの一因でフランスへの移動も自由になっている。言語も同じラテン系で共通点がある。
一方のモロッコと同じような動きがY。当初は少ないが近年になって値が大きくなっている。これは先ほどの「ポルトガル・X」に比べれが関係性は薄い。モロッコは歴史的背景こそ旧フランス領であるがアルジェリアよりは遠い。トルコは上述のようにドイツとの関係こそ強い。次第に移民数は増えているものの当初は少なかった。
これとは全く違う動きがイタリア。一つだけ先進国が混ざっているということ。移民・出稼ぎは減少傾向にある。
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