たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう
<2025年旧地理B追試験第2問問1>
正解;④
ずいぶんベタな問題だね。地理Bでは歴代第2問問1が簡単な問題になっているわけですが、今回もその例外ではなかったね。
西ヨーロッパは偏西風の影響の強い地域。風を遮るもののない大西洋沿岸地域は風力発電が盛んに行われ、デンマークはその代表的な国。とくにデンマークはかつて存在した大陸氷河によって地表面が削られ平坦な土地が広がる。風が吹き抜け、風力発電に適した地域。周辺海域も水深が浅く、洋上風力発電施設も設置も進む。他の問題ではイギリスで洋上風力発電所が増えていることが問われていた。アが風力発電。なお、デンマークでは火力発電も多くなっているが、これは主にブタの排泄物から得られるバイオ燃料(バイオガス)を利用したもの。
同じ偏西風の影響でも山国であるノルウェーに及ぶ影響はちょっと違っていて、地形性降雨となる。変遷風によって湿った空気が持ち込まれ、ノルウェーの山脈にぶつかり雲を生じる。ノルウェーは西ヨーロッパでもっと降水量が多い国。豊かな降水と急峻な地形を利用して水力発電が行われる。イが水力発電。それにしても発電量の桁が違うね!この3つの国は人口はほぼ同じであるし、経済規模もさほど差がない。ノルウェーがいかに発電に恵まれた国であることか。アルミニウム精錬が盛んに行われる国である。電気代が安いことからEVカーの普及率がとくに高いことでも知られる。日本の企業もとっととEVカーに乗り換えればよかったのにね。今さら遅いですけど。。。
ニュージーランドでは地熱発電が行われている。地熱発電は活火山の分布と重なり、地熱発電量の多い国はアメリカ合衆国、メキシコ、フィリピン、インドネシア、ニュージーランドといった太平洋沿岸の国々、さらにヨーロッパではイタリアとアイスランドで盛んに行われ、さらに近年地熱発電量が伸びている国としてトルコとケニアがある。ケニアはアフリカ大地溝帯に沿う変動帯の国であり、やはり火山が多くみられる。日本も火山国であり多少は地熱発電が行われているが、その発電量は人口小国アイスランドや発展途上国のケニアより少ない。これってどういうことなのか???日本の場合、いろいろな利権が絡みついてしまい効率的なエネルギー開発の足枷になってしまっている。本来なら火山国で原子力発電なんてあり得ないのだけれども、日本の産業やそれを取り巻く利権構造が原子力発電を主体としたものになっていて、そこから抜け出せないんですよね。こればっかりは仕方ないのかな。原発マネーで潤っている地方もあるわけだし。。。
<2025年旧地理B追試験第2問問2>
正解;①
ベトナムと韓国が主役。いずれもよく取り上げられる国であり、とくに韓国はこの追試験では多くの問題で登場しているが、ここではまずはベトナムの方に注目してみようか。
ベトナムのキーワードは「成長」である。社会主義国であり長く計画経済体制下で農業や工業など産業振興が行われてきた。しかし社会主義は原則として「競争のない」社会であり、経済は停滞する。ベトナムも極めて1人当たりGNIの低い国であった。
その状況が変わるのが1980年代後半。1980年代前半に改革開放政策をとった中国に続き、ベトナムでも市場開放が行われた。社会主義体制は維持されてはいるが、経済の自由化が進み外資の導入も進んだ。その努力は21世紀になって身を結び、現在世界で最も経済成長率が高い国の一つとなっている。1人当たりGNIもフィリピンやインドネシアなど東南アジアの中堅国と同じレベルにまで上昇している。
その背景には工業化があるが、しかし農業の躍進も見逃せない。米を輸出用作物と位置づけ、灌漑の整備による二期作の普及などもあり生産量が拡大した。今やベトナムは世界有数の米の輸出国である。
このことを考え、カをベトナムと判定しよう。AとBのいずれかが米の生産量かはわからないが、いずれだったとしても米の生産が大きく拡大していることには間違いない。米の増産に成功し、輸出余力が増大した。ベトナムは世界的な米の輸出国である。カがベトナムとなる。
なお、本試験ではベトナムの経済成長が出題されている。経済規模(GNI)が増大し、経済レベル(1人当たりGNI)も上昇。しかしそのためエネルギー需要も急増し、近年では原油の輸入国となっている。
さらにAとBの判定をしよう。これについてはキを参照するのがいいと思う。カ(ベトナム)ではAもBも全体的には増加/上昇傾向にあり動きは共通している。これに対しキではBは横ばいであるものの、Aは値が小さくなっている。これ、最大の注目ポイントだと思わないかな?Aが示すのは「米の生産量の減少」なのか、「土地生産性の低下」なのか。
ここでちょっと考えるのだが、土地生産性ってそもそも下がるものなのだろうか?現代社会においてさまざまな技術革新があり、さらに肥料や農薬の使用、品種改良などの工夫も行われているはずだよね。経済レベルが十分に高く、ほとんど先進国といって構わない韓国において米の収益性が下がるなんてことがあるのだろうか?僕には大きな疑問だったりする。大きく向上することはないだろうが、少なくとも下がるってことはないんじゃない?
それに対し生産量はどうだろう?これは韓国に類する国として日本を考えればいい。食生活の多様化などによって国内の米の供給量(消費量)は減少している。かつては日本人1人当たり年間に120キログラムの米が食べられていたが現在は60キログラム程度。米の生産量も少しずつ減り続けている(しかし心配しないで欲しい。減っているとはいえ日本の米の生産量は1000万トンであり、消費量(供給量)の800万トンを越えている。十分に「米余り」の状況なのだ)。
韓国も同じような状況と考えてみたらどうだろう?近代化によって食生活が変化し、以前より米が食べられなくなった。米の生産量についても、例えば耕地が市街地化するなどして水田面積そのものが減少しているのではないだろうか。値が小さくなっているAを「米の生産量」と考えるのは自然なのではないか。
米の生産量の変化(減少)については2025年地理総合探究本試験の第2問(地域調査)でも出題されている。確認してみよう。同じネタばかり登場するのは地理の傾向の一つだね。
一方で土地生産性は韓国では変化していない。これについてはむしろ1961年の段階ですでに高度な農業が行われていたと考えれば、そこから変化がないことは不思議なことでもないよね。
再度カのグラフで確認。ベトナムでは米の生産量および土地生産性ともに上昇しているが、とくに上がり幅が大きいのが生産量の方。ベトナムでは米が輸出用作物として力が入れられていることから、国内で新たに造成される水田が多いのだろう。近代的な農業によって土地生産性が上がったことに加え、水田面積そのものも増加し、全体として米の生産量が急増している。
<2025年旧地理B追試験第2問問3>
正解;④
交通ネタはちょっと珍しいね。どうやって考えればいいのだろう?
ここで最大のポイントになるのは「道路」である。道路すなわち「自動車」だよね。これも2025年地理総合探究本試験第2問で問われている。問4の西三河地区を中心とした静岡と長野との交通手段の問題。これは絶対的なこととして知っておいて欲しいのだが、旅客にしても貨物にしてもとにかく「輸送の中心は自動車」なのである。自家用車を移動の足とし、さらに宅配便など戸別配送を考えれば、自動車こそ旅客も貨物も輸送の主体となることは想像できるだろう。
よって3つの国のグラフを参照し、全体的に最も高い割合を占めている②が「道路」となる。アメリカ合衆国では①の方が割合がやや高いようだが、オーストラリアやロシアでは明らかに②が最大となっているのだから迷うことはないよね。
さらに「ある」ものより「ない」ものを探してみよう。もちろん注目するべきはオーストラリアの③である。値はほとんどゼロでオーストラリアで利用されていない輸送手段ということになる。オーストラリアは乾燥した国土を持ち、長大な河川は存在しない。よく知られる河川としては南東部のマリー川があるが、これは周辺が農業地域であることに特徴がある河川であり、内陸水運の手段として利用されるものではない。一方でアメリカ合衆国にはミシシッピ川や五大湖といった船舶が航行する大河川や湖沼が存在し、ロシアも西部のヨーロッパロシア(ウラル山脈以西)を中心に運河がみられることは十分に想像できるだろう。オーストラリアでゼロであるのに対し、アメリカ合衆国やロシアである程度の値となっている③が「内陸水運」となる。
残るは①と④であり、候補は海運と鉄道。例えば鉄道については日本の場合大都市圏の通勤電車を考え、旅客輸送がとくに多いと想像できるだろう。しかし「資源国」については状況が異なる。鉄道の弱点の一つは「起点と終点が固定されている」こと。鉄道を敷設し駅を設けるため、人もモノもそのルートから外れることができない。先ほど挙げた自動車による個別配送や自家用車の利用といったメリットは鉄道には存在しない。しかし逆に言えば輸送ルートが固定されていればこれほど便利な輸送手段はない。日本で郊外の住宅地と都心部の業務地を鉄道が結ぶのはこの「ルートの固定化」の優位性を狙ったものと言えるかもしれない。
これを貨物に応用するならば、それは「鉱産資源」に該当するのではないか。とくに石炭のような固形物は鉄道による輸送が有利である。安価で大量に輸送することができる。鉄道によって鉱山(その多くは内陸部にあるだろう)と港湾(沿岸)を結べば、石炭をはじめとする鉱産資源を効率的に船舶に移し替え輸送することが可能である。もちろん港湾ではなく、国内の工業地域まで直接石炭を運ぶ鉄道も考えられるだろう。この3カ国はいずれも石炭産出の多い国である。「鉄道」が貨物の主要輸送手段と考え、①が該当する。
よって残った④が「海運」であり、これが正解。日本のように周囲を海で囲まれ、とくに臨海部に工業地域が分布する国ならば海運が貨物の主要輸送手段ともなり得るのだろうが、これら3つの国にはそれが該当しないのだろう。とくにロシアにおいては面する海のほとんどが北極海であり、海運に利用しやすいものではない。極東の日本海沿岸や北欧のバルト海沿岸などでわずかに海運が行われる程度なのだろう。
なおロシアは「パイプライン」の値が高いことが特徴。もちろんこれは原油や天然ガスを輸送するもの。シベリアで採掘された原油や天然ガスが長大なパイプラインによってヨーロッパロシアに輸送される。これら資源はさらにヨーロッパやトルコ方面に輸出されている。ロシアからトルコへの輸出量の多さ(パイプラインによる原油・天然ガス輸送)も本年の他の問題で出題されている。
<2025年旧地理B追試験第2問問4>
正解;③
木材に関する話題は最近とくに多く取り上げられるようになったね。要チェックの熱いネタだと思う。とはいえ、本問については林業というより工業の問題と言えるかもしれない。工業立地に関する問題。
木材を板に加工する製材業は「原料地指向型」の工業である。原料である木材(原木・丸太)に対し、製品である加工材(合板)は輸送コストが低く(体積が小さい。重量が軽い)、原料が得られる地域に工場が接した方が有利である。木材を伐採し、枝や葉を切り落とし樹皮を削り、板に加工する。このような工程をわざわざ大都市につくることはないだろう。加工してから都市へ運んだらいいのだ。
同じように木材加工としてはパルプ工業があるが、こちらももちろん原料地指向型工業。
<2025年旧地理B追試験第2問問5>
正解;①
ずいぶんオーソドックスな問題のような。一見すると階級区分図にみえるが(実際そうなんだけど)、むしろそれぞれの生産量について上位8位までを単純に示した図として捉えた方が解きやすいね。増減に注目する必要はない。
「船舶」から考えよう。船舶の生産は東アジアに集中。かつては世界の半分の船舶が日本製だった。やがて韓国が台頭し、現在は中国が首位。この3カ国に注目。タでは日本と韓国が上位国から外れているんじゃないかな。船舶はチかツとなる。
さらに「粗鋼」。現在世界全体の半分の鉄鋼は中国で生産されているが、とくに台頭が著しいのがインド。たしか現在は日本を抜き去り、世界2位の鉄鋼生産国じゃなかったかな。インドは自動車工業も世界上位へとランキングを上げ、総合的な工業国になっているね。インドが含まれているツが粗鋼となり、よって船舶はチとなる。
残ったタがパルプ。北欧の2カ国で判定するのがベストなのだが、印刷の都合か色が不鮮明。ここはカナダが分かりやすいかな。人口4000万人の「小国」であり世界的な工業国とは言い難い。しかし森林資源が豊富であり、とくに針葉樹はパルプ原料となりやすい。針葉樹は軟材であり加工に適する。また一つのエリアに同一種の樹林が形成され(この針葉樹の純林をタイガと呼ぶ)、大量伐採と輸送に適する。工業原料として商業的価値が高い。
なおパルプについてはインドネシアもチェックしておこう。本来はパルプ材は上記のように針葉樹が適するのだが、熱帯の沿岸部に分布するマングローブ林は例外。熱帯林としては比較的樹種が揃っており、さらに船舶を利用しての輸送にも適するため商業的価値が高い。インドネシアではマングローブ林が伐採されパルプ原料となっている。
林業ネタが問4と問5と連続して出題されているね。やはりカナダをチェックしておくといい。日本は多くの木材をカナダから輸入している。カナダにとって主要輸出品目は原油と自動車なのだが、日本向けに限定すると小麦などの穀物や木材などの一次産品が主なものとなる。
<2025年旧地理B追試験第2問問6>
正解;③
変わった問題だけどGNIの原則に従って解くことができる。とはいえかなり頭は使ったな(苦笑)。今回印象に残った問題の一つ。
GNIは経済規模だが、そのまま「お金の量」と考えていい。GNIは1位アメリカ合衆国、2位中国、3位日本、4位ドイツ。世界に流通するお金としてはアメリカ合衆国のドルが最も多く、中国の元、日本の円もそれに次いで多い。ドイツの場合はユーロになってしまうが、これはヨーロッパの広い範囲で使われていることを考えてほしい。EU全体のGNIはアメリカ合衆国には及ばないが、中国や日本より大きい。世界全体におけるユーロの総量も元や円より多いんじゃないか。
こういったことを踏まえて表を解析しよう。なるほど、たしかにドルとユーロが上位2位までを締めている。圧倒的な存在である。さらにマだがマ~ム中で最も金額が大きい。中国がGNI世界2位であることからマを元と仮定してみよう。そしてそれに次ぐミが円。韓国は経済規模が小さく(GNIが小さく)その通貨も世界全体で考えればわずかな量に過ぎない。値が最少のムが韓国の通貨(ウォン)。
さらにDとEを考える。中国のキーワードは「経済成長」。元も世界経済の中でその地位を高めているはずだ。元の総量が増加していることを考えると、「8.4→9.5」という値の増え方によりDが古い時代(2010年)、Eが新しい時代(2022年)となる。これが正解。
と言いたいところだが、、、ちょっとおかしいところはないだろうか?僕にはミの動きが不思議で仕方ない。2010年には世界全体の3.5%を占めていた日本の円がわずか12年後には0.5%にまで落ち込むなんて。いくら日本の経済が停滞し「失われた30年」と言われているとは言っても、日本は現在でもGNI世界3位の大国である。さすがに0.5%は酷いんじゃないか。さらに言えば、韓国ウォンの0.8より小さい。現状でGNIは韓国の方が小さいよね。経済大国とは言えない韓国。それなのに世界に流通する通貨量が「日本円<韓国ウォン」なんてことがあり得るだろうか。もしかしてそもそものマ~ムの判定がおかしい???
というわけで最初の仮定が間違っていたということなのだ。むしろ僕はミの「3.5」と「0.5」が気になる。わずか12年間で「7分の1」に減った?いや、そうではないよね。わずか12年間で「7倍」に増えたのだ!
この急激な増加を中国の経済成長に結びつける。21世紀の世界は「中国アゲ」なのだ。Eを2010年、Dを2022年、そしてミを中国元と考えれば辻褄が合うんじゃない?
中国は1980年に生まれた国(改革開放政策がスタートしたのがこの年)。2010年なら30歳。まだまだ若手だ。それが2022年には42歳。仕事をバリバリこなす働き盛りって感じじゃない?社会に中心を担っている。この「30歳代」の10年間にこそ大きく成長したと考え、元の割合も7倍に達した(世界経済が拡大していることを考えれば、実数としては7倍どころか10倍以上だと思う)。圧倒的な「中国アゲ」の時代なのだ。
そう考えるとマが日本円になるよね。Eの時代には世界全体の9.5%を占めていたが、12年後にはややその割合を低下させている。21世紀は「日本サゲ」の時代だが、まだまだGNI世界3位の面目は保っているんじゃないか。
このように最も整合性の高い組み合わせが「D=2022年、E=2010年、マ=日本、ミ=中国、ム=韓国」でありこれが正解。中国はGNIの大きさに比して世界全体に占める元の割合が低いように思うが、これは国際通貨としてドルを主に使っているからじゃないかな。アメリカ合衆国にしても世界最大野経済規模を誇るといはいえ世界全体のGNIに占めるアメリカ合衆国の割合は30%程度。それなのにドルは40%以上もあるということは、アメリカ合衆国以外の国がドルを盛んに使っているということ。中国は貿易黒字国であり、貿易によって大きな利益を得ている。外貨を多く溜め込んでおり、外貨保有額は世界を圧倒している(その点、アメリカ合衆国は貿易赤字国であり、外貨の保有は少ない)。国際取引にはドルが使用され、中国の国内に莫大なドルが保有されているはずなのだ。世界通貨としてのドルの強さを感じるよね。
ちなみにかつてGNI世界2位だった日本が中国に逆転され3位に落ちたのが2010年。それから15年ほどが経過し、今は中国との差はダブルスコアになっている。最新統計ではドイツにも抜かれ世界4位になっているようだが、共通テストでは数年前の統計が出題されるのでその結果はまだ試験問題には反映されていない。とはいえ数年後には「日本のGNIは世界4位です」といったように授業を進めないといけないかと思うと頭が痛いなぁ。。。
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