たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

2006年度地理B本試験[第4問]解説

2006年地理B本試験[第4問]

 

問1

[講評]来たな、アルジェリア!第1問でも登場しているし、最近やたら活躍が目立つ国なんだよな~。サッカー選手のジダンの両親はアルジェリアからの移民だし、彼自身も生まれはフランスだけれども「アルジェリア系2世」なわけだからアルジェリア代表としてプレイするという選択肢もあったんじゃないかなぁ。なんていうサッカーに詳しい人以外は全然わけのわからない話は置いといて(笑)、本題に戻りましょう。とにかく「フランス=アルジェリア」さえわかれば簡単に解ける問題なわけです。

 

[解法]選択肢にアルジェリアがある時点でフランスに注意。イをアルジェリアとする。輸出量自体は米国の方が大きいが(1264t)、しかしそれは米国が世界最大の原油輸入国で輸入量そのものが大きいから当たり前のこと。フランスだけに注目すれば、アからは14t、ウからはほぼゼロなわけで、いかにフランスにとってこのイという国の存在意義が大きいが理解できよう。アルジェリアは旧フランス領であり、現在でもつながりが深いのだ。

アとウについては、主に米国に原油を輸出しているアと、主に日本であるウという区別ができれば十分。できるだけ近くの国から輸入したいと思うのは人情(?)だろう。同じアメリカ地域に含まれるベネズエラの原油は主に米国に輸出され、同じアジアに位置するインドネシアの原油は日本に送られる。アがベネズエラ、ウが日本。

ちなみに日本のODAの多くはインドネシアに供与されている。油田や天然ガス田の開発やパイプラインの敷設、港湾の整備などが進められているんだろうね。

さらに余談ですが、ベネズエラの大統領は米国の「敵」らしい。というのも、あのハリケーンによってニューオーリンズが壊滅した災害に関して、ベネズエラ大統領が米国のブッシュ政権の失政をおおいに批判したんだそうだ。イラクなどの軍事問題ばかりに金を使い、肝心の国民の安全を守るということをおざなりにした!という感じで。こういう強気なことを言えちゃうベネズエラって国はやっぱり米国にたくさん石油を売ってあげているっていう恩義があるからなんだろうか。だって日本の小泉さんがこんなことを言えるかい?無理だよね。さすがベネズエラ、石油を持ってる国は強いなぁって感心したりしたものです。

しかもこの話にはさらに続きがあって、ブッシュを支持する米国内のキリスト教勢力が、なんと「ベネズエラ首相暗殺指令」を出したんだそうです。まったくイスラム教の過激派を攻撃ばかりしている米国ですが、自分の国の中にだってこういう宗教的な過激勢力はあるわけです。ホント、わけわからんよね。

 

[関連問題]実は原油の輸入先っていうネタは今までほとんど出題されてない。

05A追第3問問6選択肢③参照。「ギニア湾岸で産出される原油の主な輸出先は、北アメリカの国々である」とある。ギニア湾岸の国とはナイジェリアを、北アメリカの国とは米国を、それぞれ思い浮かべればいいのだが、それより米国への原油供給が、日本のように決して西アジア地域に片寄っているわけではないことを理解する。

OPEC加盟国に関する問題は非常に出題例が多いので要注意。とくにインドネシアと日本との関係を問うものが多い。

04B追第2問問6参照。インドネシアと日本、オランダとの関係。ナイジェリアとイギリスとの関係。

03A追第3問問3参照。インドネシアの輸出品は原油や天然ガス。

02B追第3問問6参照。ペルシア湾岸に油田が集中。

02B本第1問問7参照。インドネシアの最大輸出品目は原油。

01B本第4問問6参照。日本とインドネシアの経済的な関係。

00B本第2問問7参照。中東産油国への労働者の流入。建設業など。

99B本第4問問5参照。サウジアラビアのオイルマネーの利用。

99B追第4問問5参照。インドネシアの天然ガス。

99B本第2問問5参照。原油産出国。ベトナムを除きOPEC加盟国。

 

[今後の学習]OPECは出る!のです。OPECの国名とその特徴は必ず整理しておかねばいけない。

インドネシア;旧オランダ領。現在は日本とのかかわりが強い。日系企業も多く進出し、原油以外の輸出品目も多い。

イラン;

サウジアラビア;

イラク・クウェート・アラブ首長国連邦・カタール;ペルシア湾に面するアラブ系の国々。

リビア;アラブ系。旧イタリア領。現在でもイタリアとのつながりが深い。

アルジェリア;アラブ系。旧フランス領。現在でもフランスとのつながりが深い。

ナイジェリア;旧イギリス領で公用語も英語。アフリカ最大の産油量を誇るが、人口規模も大きいので1人当たりのGNIは極めて低い数値。

ベネズエラ;ラテンアメリカ唯一の加盟国。米国とのつながりが深い。

 

問2

[講評]難しくはない。しかし変わった問題だと思う。まず「二酸化炭素が最も多く発生するタイプの発電所」とは何かを考えなくてはいけない。そしてさらにこの分布の特徴を考え、図中から選択肢を一つ選ぶことが必要。つまり「二段構え」の問題となっているわけだ。一階から二階まで階段を昇る途中に踊り場があるようなものなのです。このような形式の問題を「踊り場問題」と呼びましょう。で、実はこういった踊り場問題が今年の試験には多いのだよ、実は。新課程の大きな特徴の一つなのかもしれない。

 

[解法]まず一階から踊り場までを考えよう。つまり「二酸化炭素が最も多く発生するタイプの発電所」とは何かっていうこと。二酸化炭素は燃焼によって生じる。燃焼=火力なのだから、これはもちろん火力発電所と考えていいだろう。石油や石炭などの化石燃料を燃焼させて、蒸気の力でタービンを回し電力を得る。まぁ、もちろん原子力発電所の建設や水力発電でダムを造る時にだって燃焼によってエネルギーを得ているのかもしれないけれど、水力発電や原子力発電自体で二酸化炭素は生じないよね。原子力は燃焼ではなく核融合や核分裂によって熱を得て、それでタービンを回しているんだし、水力に至っては熱すら生じない。地熱発電はどうかだって?これもマグマ自体の熱を利用しているんであって、別に燃料を使用するものではないだろう。

では踊り場から二階まで、つまり分布を考えてみよう。これは火力発電が原油や石炭など輸入に依存する燃料を使用している点に注目。これらの輸入に適した臨海部にこそ火力発電所が立地するのではないかと予想する。さぁ、分布が主に臨海部に集中しているものはどれか。②と③にしぼっていいだろう。しかし③は非常に特徴的。ある特定の県に分布が集中しているではないか、それが日本海側の福井県。これだけで判定は容易だよね。福井県に集中するもの、それは原子力発電所だ。ゆえに消去法によって、②が火力発電所となる。東京や名古屋などの大都市圏に集中しているが、これはこれらの地域の莫大な電力需要に対応するものだろう。送電時の電力のロスを最小限とするためにも、火力発電所はこのような場所に設けられることがある。地熱や水力などそれに適した地形を必要とするものや、原子力のように危険性が高いものは、大都市周辺には立地しにくいこととは対照的である。

①は水力発電所。福島県内陸部や富山県などに多くみられる。水量豊富な大河川の上流部に多く建設されているのだ。なお、このような巨大ダムのほとんどは終戦直後の1950年代に建造されている。環境保護の考え方が重要視される現代では、自然環境や生態系に与える影響が大きすぎることもあり巨大ダム(そして水力発電所)の新規建造はほとんどなされていないことも知っておくといい。

④は地熱発電所。岩手県や大分県に多いんだそうだ。基本的に火山分布と対応している。

 

[関連問題]99B本第1問問2選択肢③参照。原子力発電は核融合と核分裂であり、燃焼ではない。ゆえに二酸化炭素は生じず「クリーンエネルギー」なわけである。

00B本第3問問2参照。原子力発電所は決して大都市周辺にはつくられないのだ。

04B追第4問問7選択肢①参照。ヨーロッパでは新規に建設が計画されている原子力発電所はない(日本にはまだまだあるんだけどね)。

05A本第1問問6選択肢④参照。ウクライナのチェルノブイリ原発。

02B追第4問問6参照。こちらもチェルノブイリ。

04B追第1問問7参照。火力発電、水力発電、原子力発電の割合。原子力の割合上昇につれて、水力の低下に注目。水力発電の施設つまりダムは70年以降はほとんど新規に建設されたものはないので、発電総量が増加すれば水力発電の「実数」に変化がないとしても「割合」は大きく減じられる。なお地熱発電は表されていないが、これは発電量そのものがごく微量であるから。火力、水力、原子力の3つを加えたらほぼ100%になる。

ちょっと変わった問題として、00B本第3問問1参照。イ(1997年)の図の方に「奈井江火力発電所」っていうのがあるんだよ!?これって珍しいなぁ、火力発電所が臨海部にないぞ!?

 

[今後の学習]地球温暖化のネタが第6問問1にもあるんだよね~。意図的に重複させているのか、それとも偶然か。いや、綿密なセンター試験のことだからまさかそんなことはないわなぁ、意図的に決まってる。これ以外にも第3問問4(エルニーニョ現象)、第6問問2(ヒートアイランド)、第6問問3(地下水の使用による問題)など、環境問題に関する話題が非常に多く登場しているのだ。この辺りには神経を使っておくべきだろうね。

 

問3

[講評]統計そのまんまの問題。こういった問題を落としてはいけない!

 

[解法]とりあえずこれは大前提として覚えておく。「粗鋼(鉄鋼)生産は、第1位中国、第2位日本、第3位米国」。これに当てはめれば簡単に答えは求められる。つまり③が中国、①が日本、②が米国。統計でも確認しておこう。

でもこれじゃあつまらないね。それぞれの国の特徴についてもう少し細かい説明を。

③の中国。近年工業化著しい中国は粗鋼の生産においても急成長を遂げている。そもそも石炭の産出は世界第1位だし、鉄鉱石の産出も世界最高レベル。世界最大の粗鋼生産を支えるだけの資源はすでに国内に存在しているのだ。かつては鉄鋼3大基地といって内陸部の3都市で鉄鋼業が栄えていたが(アンシャン・パオトウ・ウーハン。覚える必要なし)、現在は臨海部のシャンハイ市内パオシャン地区に巨大な製鉄所が建設され、ここが鉄鋼生産の中心地となっている。なおこのパオシャン製鉄所は日本の技術・資本協力による。

①の日本。まさに「60年代急成長」がキーワードとなっている。高度経済成長を迎えたこの時代、太平洋沿岸部を中心に工業化が促進され、臨海型の製鉄所も多く建設された。それ以降、粗鋼生産自体は若干の浮き沈みはあったが、一定の水準を保ち、現在へと至っている。

②の米国。かつては日本をも上回る鉄鋼大国であったが、80年代に大きな鉄鋼不況に直面し、粗鋼生産が大きくダウンしてしまった。国内のメサビ鉄山が枯渇しつつあり、貧鉱(鉄分の含有量が少なく、不純物の割合が高い鉄鉱石)であるタコナイトしか主に産出されないようになってしまったのだ。これによりこの鉄山に依存していた五大湖周辺の鉄鋼業は大打撃を受け、粗鋼生産は(グラフからもわかるように)落ち込んでしまった。しかしこのままの状態で手をこまねいている米国ではない。鉄鋼業の中心を臨海部のボルチモア市内スパローズポイントの製鉄所に移し、鉄鉱石の国内自給を諦め、これをカナダなどから輸入するようにしたのだ。このことによって近年は粗鋼生産も持ち直し、第2位の日本の生産量に肉薄するまでに回復した。大きくVの字を描く米国の粗鋼生産グラフは特徴的なのでぜひ目に焼き付けておいてほしい。

④は韓国だろうか。国の規模が違うので上位3か国ほどの生産はないが、韓国の高度経済成長期である80年代以降の成長は顕著。もっとも粗鋼生産第4位というわけではなく、このグラフにはないが、ロシアやドイツ、ブラジル、イタリアなども世界的な鉄鋼国である。

 

[関連問題]統計そのまんまの問題があるので確認しておこう。02B本第2問問1参照。Bの表が粗鋼。この時点では中国、米国、日本の順になっているが、現在は第1位中国、第2位日本、第3位米国なので誤解のないように。しかしそれ以上に押さえておいてほしいのが、この上位3か国がそれ以下の国々を大きく引き離している点。ドイツもロシアも日本の半分以下。中国・日本・米国が絶対的な鉄鋼国なのだ。

 

[今後の学習]さんざん「第1位中国、第2位日本、第3位米国」といっているけれど、第2位と第3位はたまに入れ代わったるするのでこのまま覚えるのは危険かも。。。とりあえず中国の第1位は動かないのでこれは絶対的なものとして捕らえ、日本と米国については、「60年代に急成長し、70年以降はほとんど変化のない日本」「80年代に一旦落ち込み、しかし臨海部に拠点を移すことで復活した米国」というように頭に入れておこうか。米国の粗鋼の動きはとにかく特徴的なのでしっかり目に焼き付けておくこと。

 

問4

[講評]簡単だと思うんだけどなぁ~。でも結構引っかかった人がいるみたい。自動車がポイント。とくに「自動車=スペイン」がポイント!スペインで自動車工業がさかんであるシステムを理解している者はこの問題を落としはしないよ。

 

[解法]おもしろいと思うのはキ。「高価格製品」と「低価格製品」があるんだそうだ。そして前者はイタリアなどで生産がさかん。この時点でこれを「衣類」と判断するのは自然なことじゃないか。また後者については「労働力の安価な発展途上国」が明らかなキーワードになっているよね。中国が世界最大の衣類生産国であるわけだし。

さぁ、問題はここからだ。PCと自動車、どうだろうか。例えば両方とも米国で生産が多いんじゃないかな、なんていうイメージはあるかもしれない。でも逆に相違点って思い浮かぶかな。

PCの生産については過去にはほとんど問われたことがないので見当がつかないのも当たり前。むしろここでは、過去に何回も出題され、生産上位国も大まかに想像できる自動車を中心に考えていこう。

自動車の生産は第1位米国、第2位日本。ここまでは大丈夫だと思う。第3位のドイツも知っているかな。ちなみに第4位はフランスで、ここまでは90年代以降安定している。

しかし問題は第5位以降だ。ここからは入れ替わりも激しいが、実に興味深い国々が並んでいる。アジアでは中国や韓国、ヨーロッパではスペイン、新大陸ではカナダやブラジルの生産台数が多い。

とくに君たちに知っておいてほしいのはスペインとカナダなわけだ。前者はEU、後者はNAFTAという自由貿易経済圏に含まれ、比較的賃金水準が低いことから(1人当たりGNIは、スペインが約15000$/人、カナダが約20000$/人)、近隣の高所得国から自動車工場が進出し、この2か国は国の規模が小さいわりには世界的な自動車生産国へと成長を成し遂げたのだ。このことを考えれば、たしかに「先進国」である米国や日本、ドイツが生産上位国であるものの、「多国籍企業」として様々な国へと生産活動の拠点を進出させていることが想像できるだろう。インドや中国、ブラジルなどの具体的な国名にとらわれる必要はないと思う。比較的工業力があるにもかかわらず、経済レベルが低く、先進国から工場を進出させやすい国の代表例として名前が挙げられているだけだ。クは「自動車」である。

もっとも、自動車生産世界第1位が米国であることさえ知っていれば、アを自動車を見誤るわけはない(「生産量の大半をアジアが占めている」わけはないよね)んだが、まぁでもそれだけじゃなく、カナダやスペインなど先進国以外の国々(カナダは1人当たりGNIが約20000$/人で先進国だけどね)にも生産活動は拡大していることを必ず意識しておこう。

 

[関連問題]衣類について。

05B追第3問問5参照。イタリアの工業だが、カの文中に「衣類」とある。先進国(だよね?イタリアは1人当たりGNIが約20000$/人あるし)で衣類工業が思い切って出てくる国は珍しいよ。

自動車について。

99B本第3問問1参照。正確には自動車じゃなくて乗用車だけどね(商用車は含まれていないということ)。

02B本第2問問1参照。自動車生産の統計。上位3か国そしてスペインに注目。

05B追第4問問4選択肢①参照。個人的にはこの問題こそが本問への直接的な伏線になっていると思う。超重要。「世界の自動車業界では、国境を越えた企業の合併が行われた結果、先進諸国への生産活動の集中が進んでいる」という文章が誤りなんだが、実際には先進国だけじゃなくて、その周辺国でも自動車工業はさかんになってきているもんね。本問と全く同じネタである。

03B本第3問問4参照。一応、インドの自動車生産が取り上げられているが。。。しかし問題そのものが悪問であるので無視していいかな。

PCについて。

99B本第3問問2参照。「コンピュータ機器の製造では、台湾やシンガポールなどアジアNIEsでの生産が増えている」という記述がある。

PCハードではないが、ソフトについて。

99B本第3問問2選択肢④参照。「コンピュータのソフトウェア開発は、労働集約的で生産の移送も容易なので、優秀な労働力が得られるインドや中国で生産が増えている」。インドのソフト産業は知っておくべき。しかし数字のゼロを発見したアーリア人から構成されるインドの労働力が「優秀」なのはいいとして、中国って「優秀」なのか。どうもセンター作問者に中国びいきの人がいる(左翼思想?)ような気がして仕方ないんだが(笑)。

 

[今後の学習]やっぱり統計がすごく大事なんだよ。農産物に比べ工業製品の統計は、知っておくべき種類は少ないけれど(自動車とか鉄鋼ぐらいだもんね、よく出るのは)、しかし第1位の国だけではなく第2位第3位、時にはもっと低いランクの国まで知っておかなくてはいけないことがあるので注意。問3の解説でも触れたけれど、鉄鋼(粗鋼)については第1位中国・第2位日本・第3位米国は知らなくてはいけないし、自動車も第1位米国・第2位日本・第3位ドイツはマストとして、さらにその下のグループの生産も少なくないことを知っておいた方がいい。

 

問5

[講評]注目すべき問題だと思う。ポイントは「君たちが知らないことは『解答』にはならない」ということ。

 

[解法]まずは最初にある法則を紹介しておこう。いわゆる「ザコキャラの法則」だよ。マンガでもアニメでもメインキャラじゃないザコキャラっているじゃない?で、そういうのって登場した瞬間からわかるよね、こいつはどうせすぐに秒殺されるんやって(笑)。センター試験もそれと同じ。見た瞬間にわけわからん選択肢っていうのは、絶対に答えになることはない。本問のように誤文指摘問題ならば正文となり、正文指摘問題ならば誤文となる。最初から眼中にないっていうか、仲間外れっていうか、そもそも解答の候補から外してしまえっていうこと。

で、本問なんかはこのセオリーが使える。見た瞬間に判断できるわけわからん選択肢っていうのはずばり④のこと。何だ?サイバージャヤっていうのは?こんなの見たことも聞いたこともない。僕がそうなんだから、君たちだってそうだよね。全然意味不明の言葉だ。でもこういう奴が登場してきても焦ることはない。こいつはどうせザコキャラなんだよ。相手にする必要もない。センター試験のような基礎的な力を測定する試験においてこんな特殊な言葉が問われるわけないよね。さっさと④の選択肢の上に×印でも書いておいて、残りの3つの選択肢の中から答えを探せばいい。インドでコンピュータ産業が発達しているのはたしかにその通り。中国の経済特区もその通りだろう。正直言ってバンガロールなんていう地名も知らないし、シェンチェンが最初の経済特区かどうかだって知らないけれど、センター試験でそこまで詳しいことが聞かれるはずがない。だから消去法で③が答えになるわけだ。フィリピンにマニラっていう都市はたしかにあるけれど(っていうか首都だわな)、そもそもこの国で原油が採れるなんてことはないだろう。

(別解)まぁ、ここまでグダグダ書いておりますが、ぶっちゃけ「フィリピン=原油産出」さえ否定できればいいんだよね(笑)。ちゅうわけで、原油についてはとにかくOPECの国名だけチェックしておきましょう。東南アジアのOPEC国はインドネシアだけであり、例えばインドネシアで「付近で産出される原油を用いて」とあれば、もっともらしいということで疑うべきだが、さすがにフィリピンで原油といわれても、そんなことありえないやろって決め付けて、これを誤文と断じてしまっていい。

 

[関連問題]センター試験では地名は重要視されない。だから本問で登場した地名(バンガロール、シェンチェン、マニラ、クアラルンプール、サイバージャヤ)についても特別に知る必要はないし、そもそも本問においてもこれら自体についての知識が問われているわけでもない。上の別解でも述べたけれど、国単位で原油の採れる国採れない国を判別することがポイントであり、都市についてはどうでもいいと思う。

とはいえ、一応関連問題を紹介しておきます。

①インドのハイテク産業について。99B本第3問問2選択肢④参照。低賃金で優秀(この場合は英語が使用できるという意味だと思うが)な労働力の得られるインドでソフトウェア開発がさかんになっていることが述べられている。03B本第3問問7選択肢③参照。同じくここでもインドの安価な英語使用労働力の存在がソフト産業の発展につながっていることが説明されている。

なおバンガロールという都市名は初出だが、知っておいてもいいと思う。インド南部の高原上に位置する都市。そもそもは避暑地であったが、欧米人に住みやすい環境でもあり、ここを中心にコンピュータ産業が発展した。

②中国の経済特区シェンチェンについて。04B本第4問問2参照。経済特区の代表的な都市名としてシェンチェンだけ知っておこう。

③マニラは98B追第3問問5選択肢③で登場。スラムが形成されていることが取り上げられている。

④クアラルンプールは初出。

 

[今後の学習]選択肢①と②の正文判定については知識に頼る部分も多く(もちろんそれでも過去問で登場済みなので十分に対応可能なわけだが)難しかったかもしれない。だからこちらで間違えても仕方ないし、知らなければ諦めるしかない。ただしポイントは③と④にしぼってから、④を切れるかどうかということ。そもそも都市名など問われることは少ないのだから、とくにこういったマイナーな地名が登場した場合にはこれは絶対に「答え」にはならないのだ、だから切ってしまえという思い切りが必要なんだと思う。「知らないやつは問題外」なんだよ。そんな選択肢を「答え」としてマークしてはいけない。相手するだけ損だよ。マイナーなキャラクターがボスキャラになるわけはないのだ。このことを常に意識しておいてください。本問のように選択肢を2つまでしぼってから迷った場合には、とりあえず知らない言葉が入っている方は無視して、簡単そうな言葉が用いられれている方の選択肢を「解答」とし、その番号を解答用紙にマークすること。センター試験で難しいことは問われない!

 

問6

[講評]すごくおもしろいと思う。まさにこれが「新課程」ってことなのか。いや、新課程とはいっても問われている内容が「新しい」というわけではない。形式が「新しい」のだ。この形式的な新しさの中に新課程特有のクセを感じる。内容?内容は楽だよ。問題形式の目新しさに戸惑わず、的確に解答せよ。

 

[解法]おもしろい問題なんでごちゃごちゃ語りたいのはヤマヤマだが(笑)、まぁでも解法についてはあっさりやってしまいましょう。「高位」の代表的な県は愛知県。やっぱり日本で最も工業がさかんな県だし、注目しないといけないよ。「低位」は沖縄県をポイントにしてみようか。正直言って何も工業なんてない。パイナップルの缶詰ぐらいかな。

これから考えるに、「愛知県=自動車」なので「輸送用機械」が上位にランクインしているスを「高位」とする。

サとシについては、具体的に沖縄県をイメージすればいいよ。やっぱり「食料品」でしょ。上でも述べたけどパイナップルの缶詰とか。だからサが低位となる。北海道や東北地方で考えてみてもいいかもね。酪農製品とかつくってそうでしょ?

あるいは別解もある。こちらは具体的な製品については考えず、工業種と経済力の関係について。最も付加価値が高く「儲かる」工業は機械工業だと思う。とくに「価格の高い」自動車を製造する工業こそ、賃金水準の高い地域でみられやすい業種だと思う。よって「電気機械」「一般機械」そして何より「輸送用機械」が上位を占めるスが「高位」とみていいだろう。逆に経済レベルの低い地域で一般的にみられる工業種は何か。この代表例としては製品の「価格の低い」衣服工業が代表的だと思う。一台が百万を超える自動車と、せいぜい数千円程度の衣服とでは、レベルが違う。このため。衣服が上位にランクインしているサを、給料が安い地域すなわち「低位」と考えて構わないだろう。

 

[関連問題]02本第2問問7参照。とりあえず図の雰囲気が似ている。本問の図3と、ここのX(人口1人当たりの工業出荷額」は、似た感じの階級区分図となっている。

00B追第1問問4参照。日本の工業都市についてダイレクトに問う問題。Xの豊田市は愛知県だが「輸送用機械器具」つまり「輸送用機械」の割合が高く、ここで「愛知=輸送用機械」と印象付けておいた人は本問が素直に解けたと思う。またYの北九州市は福岡県だがこちらは「鉄鋼」が多く、これはつまり「金属製品」のことなので、本問においてはこの割合が高いシを福岡県が属する「中位」と判定することも可能だった。

 

[今後の学習]内容自体はオーソドックスな楽勝問題なので焦らずにやれば絶対大丈夫。それよりも、その「焦り」がヤバくて、図と表を用いた立体的な構成であるために、落ち着いて解かないと問題の意味がわからなくなる。センター試験というのは、問題内容という「中身」より、問題形式という「外観」の方がややこしい場合が多々あり、本問はその典型例なのだ。「外観」なんかに惑わされるなよ。本質である「中身」は呆気ないほどにシンプルなのだ。逆に形式面に複雑な印象を受ける問題ほど、中身は単純であるはずなのだ。自信を持って解きなさい。

 

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