たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

2007年度地理B本試験[第3問]解説

2007年度地理B本試験[第3問]

 

2007年度地理B本試験[第3問]問1

 

[講評]第3問全体が難しいんだわ。最初っからややこしい問題だもんなぁ。。。でもじっくり論理的に考えれば解けなくはないのだ。非常に興味深い問題なので研究の価値はある。

 

[解法]じっくり一つ一つ選択肢を消していこう。

①について。これはちょっとした歴史の話なんだけれど、小中学校社会科程度の知識で十分に対応できるはず。例えば、日本の平城京や平安京が中国の都市(長安)をモデルとして街区が定められたという話は聞いたことがあるんじゃないかな。これに照らし合わせていけば、古代中国の都市が「放射・環状」の街路網をもっていたとは考えにくいんじゃないか。平城京や平安京は碁盤目状の街路。これが中国の都市にならったものならば、そちらも道路が直交する碁盤目状の街路だったと考えて妥当だろう。

 

②について。これはある程度一般常識で理解可能なんじゃないかな。全体が「城壁」で囲まれていた都市が日本にあるだろうか。こういった城壁で囲まれた都市を「囲郭都市」というのだが、ヨーロッパや中国にはしばしばみられた。

 

③について。これは否定しようがないんだな。「産業革命」によって工業化が進んだ。それまでには見られなかった工業都市が発生するようになったのもこの時期である。

 

④について。さぁ、これが難しいんだ。パッと読んだだけではこれが正文のように思えてしまうのだ。しかしすでに選択肢③が正文であるように思っているので、これは誤文であるんじゃないかって最初から「決め付けて」読むことができる。そうなると分かるんだ。この文には「ほころび」がある。そのほころびを突いて、ほどいていくとこの文がもっているある矛盾点に気付くのだ。

 

都市構造を考えよう。都市圏の構造は5重丸によって表される。紙に書いて考えると分かりやすいと思うよ。

最も小さな中心の円の内側が「中心市街地」。

その外側で2番目の円との間が「周辺市街地」。

2番目の円と3番目の円の間が「一般住宅地」。

3番目の円と4番目の円の間が「高級住宅地」。

4番目の円と最も外側の円との間が「新興住宅地」。

なお、中心市街地と周辺市街地を合わせて「都心部」といい、企業のオフィスなどが集まるので夜間人口に比べ昼間人口の方が大きくなる。早い段階から都市として開発が進んだエリアなので「既成市街地」とも呼ばれる。

「一般住宅地」「高級住宅地」「新興住宅地」を合わせて「郊外」といい、都心部に通勤する人々が居を構えるため昼間人口より夜間人口の方が大きい。3つの中で最も内側は早い段階から住宅地として開発されたので一般住宅地となっており、その外側は面積的に余裕があるので敷地が広い高級住宅地となっている。そして最も外側は高度経済成長期以降に急激に開発が進み、鉄道や道路の整備とともに新しく住宅地となった新興住宅地のエリアとなった。

 

この都市圏の構造を頭に入れてもう一度選択肢④を読んでみよう。「現代の先進国では、大都市圏が形成され」まではもちろん正しい。日本も東京や大阪を始めとして、大都市圏が形成されている。問題はここからだ。「都心に隣接して衛星都市が建設されている」という部分。「都心」については「都心部」を考える。前記の5重円ならば内側の2つの円の範囲が都心部に該当する。さらに「衛星都市」とは何か。これはいわゆる住宅都市であるニュータウンを考えること。センター地理では「衛星都市=住宅都市=ニュータウン=ベッドタウン」である。イメージをちゃんと持っておこうね。

さぁ、都心に衛星都市は隣接しているだろうか。衛星都市は「新興住宅地」のエリアに建設されるではないか!はたして新興住宅地は都心部に隣接しているかい?そんなことはないよね。都心部に隣接するエリアは「一般住宅地」だ。古い段階から開発された住宅地であり、今さら衛星都市が建設される余地があるのだろうか。「ニュー」タウンは「新興」住宅地のエリアだね。

選択肢④の文は以下のように書き換える。「現代の先進国では、大都市圏が形成され、大都市圏の周辺に近いところに衛星都市が建設されている」。

 

[関連問題]それぞれの選択肢について過去に類題が出題されている。

選択肢①について。

97B追第3問問1参照。「古代日本の平城京・平安京でみられた都市区画は、古代ローマの都市を手本としたものであった」とある。

選択肢②について。

98B追第3問問1選択肢③参照。パリは囲郭都市として成立した都市であり、現在は撤去されている城壁の跡は今もうかがえる。

選択肢③について。

98B追第3問リード文参照。「先進国では、産業革命後に著しく工業化・都市化が進展し、パリやロンドンなどの都市に数多くの労働者が集中した」とある。

 

選択肢④について。

04B本第4問問5参照。関連問題は多いが、最も近似性を感じるのはこの問題である。選択肢①について。解法のところで説明した5重円の都市構造図を考え、最も内側の円の範囲が「CBD」、2つ目の円までが「市街地」である。選択肢②について。都市圏の範囲と、行政区分による「市」の範囲は一致しない、っていうか全く関係ない。選択肢③について。「大都市周辺の計画的に建設されたベッドタウン」とある。ベッドタウンとは本問における「衛星都市」のこと。大都市の「周辺」であり、本問のように「都心部に隣接」ではない。選択肢④について。まさに「都市圏=通勤圏」と考えればいい。

 

[今後の学習]難しい問題なんだよなぁ。だから別にこの問題自体は不正解でも構わないと思う。しかしだからといって、本問から得られる教訓をなおざりにしてはいけないのだ。選択肢④の内容ほど興味深いものはない。都市圏の意味を知り、そして衛星都市(ベッドタウン、ニュータウン、住宅都市)がどこにつくられるのか考えよう。都市圏においては、中心に近づけば近付くほど人口増加率が低く、周辺に近付けば近付くほど人口増加率が高い。

 

2007年度地理B本試験[第3問]問2

 

[講評]セオリーとしては「発展途上国ではたった一つの都市だけが突出して巨大化する」というものがある。また3つの国の人口規模がわかれば、ある程度の推測は可能なのだ。センター初見の問題だったけれど、とくに無理難題というわけでもなかっただろう。落ち着いてグラフを読み取ること。

 

[解法]発展途上国では大都市は一つのみ。国全体が豊かではないので、少ない投資が一部の都市にのみ集中し、それ以外の都市はかえりみられない。候補の3カ国中ではタイのみが発展途上国。一つの都市のみが飛びぬけているイがタイ。

ドイツと米国については国自体の人口から想像すればいい。ドイツは8000万人、米国は3億人。100万を超える都市が数個しかないように読み取れるアがドイツ、同じく100万都市が8つは確実にあるウが米国。

 

[関連問題]都市の数がテーマとなった問題について。

96本第7問問4参照。旧旧課程の問題であるが、大都市の数が問われているので参考にしてほしい。米国・オーストラリア・タイ・チリ・日本の5カ国について、百万都市の数が「1」であるのがタイとチリ。発展途上国であり、たった一つの都市のみが巨大となる。他の3カ国は先進国であり、国内に複数の大都市がある。人口2000万人程度のオーストラリアですら「5」を数える。日本は「11」、そして人口3億人を超える米国では「39」。人口規模に応じて大都市の数も多くなる。

05B本第2問問5選択肢①参照。発展途上国では「中小都市」は成長せず、限られた「大都市」にのみ人口が集中する。

 

都市人口割合について。実はさほどセンターで重視されていないので数は少ない。

99B追第5問問4参照。グラフの縦軸が「都市人口比率」。グラフから分かるように、大まかに1人当たりGNIの高低と比例する傾向がある。つまり先進国では都市人口割合が高く、発展途上国では低い。ただし若干の例外はあり、その内容が問題では問われている。とはいえ特殊な知識が必要なわけではなく、グラフをそのまま読み取れば正解は得られる。

06A本第5問問1参照。地理Aではこうやって大きく取り上げられることもある。都市人口割合については、原則として第1次産業人口割合と反比例すると考えればいい。経済レベルが高い国は第3次産業人口割合が高く第1次産業人口割合が低いため、都市人口割合はとくに高くなる。発展途上国でも、企業的な農業が行われ、農業の省力化が比較的進んでいるラテンアメリカでは、比較的大1次産業人口割合が低く都市人口割合が高い。逆に農作業にとくに多くの労働力を必要とする米作国ではとくに第1次産業人口割合が高いため、都市人口割合もそれだけ低くなる。東南アジアなどがその典型例。温暖で多雨という豊かな気候環境の下、農村で米作に従事する人々が国民の多数を占める。

 

タイの首都バンコクが取り上げられたケース。

05B追第4問問5参照。サがバンコクの説明であるが、「日系企業の進出も多く」「仏教寺院」などタイに関するキーワードが含まれている。

 

発展途上国の大都市が取り上げられた例。固有名詞は覚える必要はないが、だいたい登場してくる都市は限定されている。

98B追第3問問5参照。マニラ(フィリピン)やラゴス(ナイジェリア)への一極集中、リオの貧困、メキシコシティの大気汚染など。いずれも発展途上国が抱える都市問題。

99B追第5問問2選択肢③参照。インドのような莫大な人口を抱える都市の場合には、カルカッタ(コルカタ)やムンバイなど巨大都市が複数存在するのだが、そこで見られる都市問題は他の発展途上国と同様。

04B追第1問問5選択肢3参照。インドのコルカタの説明。「無秩序に拡大した住宅地」はスラムである。「衛生環境が悪く」、道路な下水道など「社会基盤の整備」が必要。

 

[今後の学習]「発展途上国ではたった一つの都市だけが突出して巨大化する」というセオリーはイメージしやすいので問題ないと思う。もちろん中国やインドのようなとくに巨大な人口を有する国では大都市は複数あるけれど、それ以外の一般的な発展途上国では大都市の数は限定されている。フィリピンのマニラ、タイのバンコク、ケニアのナイロビ、ナイジェリアのラゴス、メキシコのメキシコシティなどが過去に登場したことがある。とくにラゴスについては「非首都」でありながら、産業や人口が一極集中する都市であることを知っておくといい。

さらに人口について。人口上位10か国、ヨーロッパ主要国などについては必ず知っておくこと。そしてタイの人口も話題となりやすいので当然こちらも知っておく。

 

2007年度地理B本試験[第3問]問3

 

[講評]これは難しいんだよね。外国の都市がテーマとして出題される場合には、「発展途上国の大都市と先進国の大都市の差」のようなセオリーに基づいた解き方で考えたらいいことが多いんだが、本問は違う。ガチンコで「パリ」という都市の特殊な事情が問われている。これはキツいよなぁ(涙)。まぁたしかにパリに関する話題は比較的出題率が高い(関連問題の項を参照してください。本当に多いんだよ)ネタではあるんだけど、だからといって本問がスムーズに解けるとは思えない。失点しても仕方ないでしょ。とりあえず過去問の研究は大切っていうことだけ意識付けしておいてください。

 

[解法]まず「センターでは高度な知識は話題とされない」というセオリーを考えること。すなわち、初めて見るようなマイナーな地名・都市名を含んだ選択肢があったら、それは速攻で除去してください。本問のような誤文判定問題ならば、正文であるということ。

さて4つの選択肢を検討してみよう。①がアトランタ、②がパリ、③がバンクーバー、④がロンドン。この中で君たちがほとんど聞いたことがないような都市はどれだろう?アトランタとバンクーバーじゃないかな。だからそれらは除去してしまおう。こんなマイナーな連中が「犯人」なわけはないよ。答えの候補は②と④にしぼってしまっていい。

 

さあ、ここからだ。④についての話題は有名なんじゃないかな。ロンドンでは都心の旧港湾地区であるドックランズで建物や施設の荒廃が進み、産業が流出した一方、移民や失業者が流入しスラムが形成された。いわゆる「インナーシティ問題」である。治安や衛生環境も悪く、ロンドンにとって深刻な都市問題となった。このため「大掃除」が行われる。スラムは撤去され、再開発によって近代的な高層ビル街へと生まれ変わった。オフィスや商業施設が集中する最も先進的な地区となったのだ。

選択肢④については否定しようがない。よって②が正解(誤文)となる。

誤っていることを念頭に②の文を読んでみると、たしかにこの文はおかしいとも思える。パリは伝統的な街並みが残る美しい都市であり、文化財や景観保存の意味からも過度は開発を避けるという動きがあって当然である。日本でいえば、京都の都心で建物の高さを制限するなどの条例が施行されていたりする。これと似たような状況を考えれば、②については誤りとみて妥当だろう。

 

[関連問題]パリに関する問題を挙げてみよう。

98B追第3問問4選択肢③参照。「パリでは、都市中心部の景観を保存しつつ、集中する都市機能を分散させるため、市街地の外縁部に新しい副都心を建設した」とある。本問の元ネタである。

00B追第1問問7参照。選択肢②に「ラ・デファンス」とある。これが上の問題で「市街地の外縁部」に建設された「新しい副都心」のある場所である。

98B追第3問問1参照。本問との直接の関連性は薄いが、写真によってパリの市街地が表されているので、見ておくとおもしろい。複雑な街路網を持ち、区画がはっきりと区切られたような近代に成立した都市とは全く違う景観を持つことが想像できよう。

98B追第1問問6参照。パリはフランス北部に位置する都市である。フランスの諸機能が一極集中する大都市であり、最大の工業都市でもある。

04B追第3問問3参照。パリに関する問題。選択肢①の「川中島を中心に古い歴史を誇る市街地が発達しており、多くの観光客が訪れる」に注目。古都ならではの景観保護がなされていると考える。

05B追第2問問6参照。ウがフランスに関する文章。「広い盆地の中央に位置する首都」がパリであり、「一極集中が著しい」。

97B追第5問問1参照。パリ盆地にみられる地形(実はパリだけではなく、ロンドンにもみられるのだが)はケスタ地形。

95追第7問問1参照。X(パリ)にみられるケスタ地形の図示。軟らかい地層が削られ、硬い地層が残り、緩斜面と急崖が連続する地形となっている。

 

ロンドンについて。

98B追第3問問4選択肢④参照。ロンドン都心ドックランズ地区の再開発について説明されている。本問の元ネタ。

05B追第4問問4選択肢③参照。ロンドンは国際的に重要な地位を占める都市であり、世界都市ともよばれている。

05B追第2問問6参照。イがイギリスに関する文章である。「三角江(エスチュアリー)の近くに位置する首都」とはロンドンのこと。「世界の金融の中心地」でもある。

00B本第1問問1参照。世界的な証券取引所のある都市の一つとしてロンドンが取り上げられている。

98B追第1問問6参照。ロンドンはイギリス南部に位置する。多くの人口が集中する大都市であり「都市型の消費財工業」が発達するのも当然。

04B追第1問問5参照。選択肢②がロンドンについての説明。「市街地東部の河岸地区」とはテムズ川に沿うドックランズのこと。

「インナーシティ問題」「再開発」は先進国の大都市一般にみられることだが、ここではとくにロンドンに関するキーワードとなっている。

 

バンクーバーについて。

03B追第3問問7参照。一般的な都市についての設問であり、とくにバンクーバーについて特殊な事柄が問われているわけではないが。

 

アトランタは初出。

 

[今後の学習]パリは個性的な都市であり、知識を確実にしておこう。

フランス北部に位置し、パリ盆地は国内最大の小麦地帯である。

ケスタ地形(緩斜面と崖が連続する段差のある地形)の緩斜面を利用してブドウ栽培がなされている。

国内人口最大都市であり、フランス国内の諸機能が一極集中する。

ローマ帝国の時代に、セーヌ川の川中島(シテ島という)を中心に建設された囲郭都市が起源。囲郭とは都市を囲む城壁のこと。現在は取り壊されているが。

都市内部の構造は複雑。多数の広場があり、それぞれが放射状の街路を持ち、全体としては秩序なく街路が交じり合っている。

パリへの一極集中を緩和するために、郊外のラ・デファンスに新たに副都心が建設され、そちらに首都機能の一部が移転されている。

パリ中心部には伝統的な街並みが多く、それらが文化遺産として保存されている地区もある。

消費財や自動車、電子工業など中心とした工業が発達し、国内で最も工業がさかんな都市となっている。

 

どうかな?パリは非常に興味深い都市だと思うんだよね。「伝統」と「現代」がシンクロした街なのだ。

農業国フランスを象徴するように、小麦やブドウ栽培などの農業がさかんである一方、フランスの全てが集中する都市として人口最大都市であるだけでなく工業も発達している。この辺りが、人口最大都市ではあるものの工業などの発達はみられないドイツのベルリンやイタリアのローマとは異なっているのだ。

パリと同様に首都かつ商工業の中心である都市にロンドンがあるが、こちらはどんどん再開発されていく。旧港湾地区であるドックランドはかつてスラムであったが現在は高層ビルが立ち並ぶ近代的な街並みに変化している。しかしパリの場合は、伝統的な文化遺産が多いためにその保全こそが重要命題であり、思ったように再開発は進まない。郊外に建設された副都心に機能の一部を移転させ、何とかパリへの一極集中を緩和させているのだ。

こんな風にパリについては特殊な事例までが出題対象となっている。本問は難易度が高いので正解する必要はないと思うが、よかったらパリについて整理しておいてください。

 

ロンドンについても深く理解してほしいが、とりあえずここでは、「ドックランズ地区の再開発」だけ頭に入れておくように。

 

アトランタとバンクーバーはどうでもいいでしょう。しかし、実はアトランタは1996年の夏季オリンピック開催地、バンクーバーは2010年の冬季オリンピック開催地。オリンピック開催地って取り上げられやすいのかっていう気がする。

 

2007年度地理B本試験[第3問]問4

 

[講評]問3と似た雰囲気があるかもしれないが、それとは真逆でこちらは非常にオーソドックスな良問。発展途上国と先進国の大都市の違いを意識すればいい。

 

[解法]「先進国の大都市は都心がスラム化し、発展途上国の大都市では周辺部がスラム化する」というセオリーを考えよう。

成立年代の古い先進国の大都市では都心部の都市施設が老朽化し人口と産業が流出する。空白域となった都心部に失業者や移民が入り込み、スラムが形成される。例えば、電気も水道も来なくなってしまった古いマンションにホームレスが住み着くような状況をイメージすればいい。これを「インナーシティ(都心)問題」ともいう。

成立年代が新しい発展途上国では都心近くに上流階級が住む高級住宅街が見られるのに対し、周辺部にこそスラムが拡大する。人口爆発が続く農村から都市へと人口が流入するのだが、彼らに十分は雇用はなく、家賃すら払えない彼らは都市の外縁にふくれ上がる低級住宅地すなわちスラムへと落ち着くしかない。しかしそういったスラムはもちろん衛生環境や治安は悪く、伝染病や犯罪の温床ともなっている。

このセオリーだけ理解していれば解答は簡単だろう。選択肢④に注目。「都心部が空洞化」するのは先進国の大都市。そもそも「生活費や地価の高騰」も日本のような経済レベルの高い国(すなわち先進国)で典型的にみられることであるし、人口と事業所が「地方都市に移動」するのは特定の大都市にのみ一極集中する発展途上国の状況とはそぐわない。

 

他の選択肢についても一応検討してみよう。

選択肢①について。発展途上国の都市は自動車普及率こそ高くないものの、道路や信号機などのインフラが整備されていないため、しばしば激しい交通渋滞がみられる。また排ガス対策が十分になされていない中古車が多いため、大気汚染も激しい。

選択肢②について。まさにこれがスラムである。都市内部には住めないので、都市周辺の空地を勝手に占拠し、掘っ立て小屋のような家を建てて住み着いてしまう。

選択肢③について。これも発展途上国で典型的にみられる光景。学校に行かずに街で小銭を稼ぐストリートチルドレンが多いのも発展途上国ならでは。

 

[関連問題]関連問題は極めて多い。センター頻出ネタの一つである。近年の出題例を挙げてみよう。

05B本第2問問5参照。発展途上国の大都市における状況。選択肢②の判定が難しいが、消去法で解けばいい。

05B追第4問問7参照。この中では、メキシコシティとヨハネスバーグが発展途上国の都市である。それぞれスラムの再開発の話題であるが、選択肢②については「メキシコシティでは都市周辺が先端産業地区に変わった」と読み替え、選択肢④については「ヨハネスバーグでは都市周辺が中心業務地区に変わった」と読み替える。はたしてそれぞれの正誤はどうか?

04B追第4問問1参照。発展途上国における農村から都市への人口移動が述べられている。

04B追第4問問2参照。選択肢①と②が発展途上国の大都市についての説明であるが、本問との類似性を感じる。特定の大都市に産業と人口が集中するが、雇用が十分でないためスラムが都市周辺に形成されることになる。

 

[今後の学習]スラムの形成される位置に関するセオリーを確実に理解しておけば簡単に得点できる。センター地理におけるセオリーの重要性を改めて考えさせられる問題。

選択肢①~③の内容も大切なので、しっかり読んでおくこと。来年以降も同じネタで出題が予想されるぞ!

 

2007年度地理B本試験[第3問]問5

 

[講評]これはキツいなぁ(涙)。日本の都市に関する知識が求められている。

 

[解法]鹿児島、八王子、東大阪、それぞれのキャラクターを明確にしておこう。

鹿児島は鹿児島県の県庁所在都市。鹿児島県の中で行政の中心であるだけでなく、経済的な中心でもある。卸売業などが発達していると考えていいだろう。キが該当。

八王子は東京都の西部に位置する住宅都市。東京都心部から約50kmの位置にあり、人口増加率が極めて高い(都市圏においては、外側に近付けば近付くほど、人口増加率が高いという法則を考えよう)。カが該当。

東大阪は中小工場が日本で一番多い都市である(逆に大工場は少ないので、工業出荷額がとくに大きなわけではないが)。このため製造業従業者数が多いと思われる。クが該当。

 

っていうかさぁ、結局ある程度これらの都市について知識がないと解けないってことだよね。この知識をどこから仕入れてくればいいのか。決して教科書に登場する都市名ではないし、センター過去問での出題もない。難しいんだよ(涙)。

 

[関連問題]日本の都市名がやっかいな問題を挙げてみよう。

00B追第1問問4参照。「北九州市」「倉敷市」「豊田市」といった工業都市が問われている。かつて鉄鋼業が栄えたが現在は衰退している北九州、自動車工業が発達している豊田。これぐらいなら常識だよね!?

01B本第4問問4参照。「豊田市」「千歳市」「奈良市」「松本市」が問われている。自動車工業の豊田市や歴史的遺産の多い奈良市についてはみんなも知っているとは思うんだが、残りの2つが難しいな。とくに千歳市がポイントとなっているんだが、ここに空港があり、北海道の空の玄関口であることを知っている人はどれくらいいるんだろう?

02B本第5問問4参照。「釧路市」「長崎市」「焼津市」。とくに焼津市が難しい。静岡県の都市で、遠洋漁業の根拠地となる大きな漁港があるところなのだが、知っているだろうか。

07B本第6問問5参照。本年の問題だが「釧路市」「銚子市」「八戸市」が問われている。釧路は過去に大きく取り上げられているので当然知っておくべき都市。八戸も図の中に表されているので問題ない。ただし銚子が難しい。ここが千葉県の都市であることを知っている人は少ないと思う。

 

[今後の学習]だからもうこの問題の対策については頭を抱えまくるんだよなぁ(涙)。鹿児島はともかくとして、東大阪と八王子について知らなくてはいけないってのがキツいんだわ。出題者は一体どうした基準でこの都市を取り上げたのだろう?本当に大学受験生に八王子や東大阪に関する知識を求めているのか?

 

で、教科書とか探したんだけれども、とくにこれらの都市についての記述はどれにも書かれていないんだよな。どうしたもんだろう。僕は途方に暮れているわけです。

 

(参考)一応、下におおよそ50万人以上の都市とそのおおまかなキャラクターを記しておきます。東京23区(820万人)は「市」ではないので外してあります。順位だけではなく、人口数も記しておいたので参考にしてください。また最後に付け加えた数値は年人口増加率です。郊外の住宅都市的な性格が強い都市で人口増加率が高く、工業都市で人口が減少する傾向が強いことを確認しておこう。

 

第1位;横浜市(350万) 政令指定都市。東京大都市圏に含まれるベッドタウン。 年人口増加率0.7%

第2位;大阪市(250万) 政令指定都市。西日本および近畿地方の中枢的な都市。 0.1%

第3位;名古屋市(210万) 政令指定都市。中部地方の中枢的な都市。 0.4%

第4位;札幌市(190万) 政令指定都市。北海道地方の中枢的な都市。 0.4%

第5位;神戸市(150万) 政令指定都市。 0.4%

第6位;京都市(140万) 政令指定都市。 -0.1%

第7位;福岡市(130万) 政令指定都市。九州地方の中枢的な都市。 0.7%

第8位;川崎市(130万人)政令指定都市。東京大都市圏に含まれるベッドタウン。 0.8%

第9位;さいたま市(130万人) 政令指定都市。東京大都市圏に含まれるベッドタウン。 0.6%

第10位;広島市(120万人) 政令指定都市。中国地方の中枢的な都市。 0.4%

第11位;仙台市(100万人) 政令指定都市。東北地方の中枢的な都市。 0.3%

第12位;北九州市(100万人) 政令指定都市。工業都市。 -0.3

第13位;千葉市(90万人)政令指定都市。東京大都市圏に含まれるベッドタウン。 0.5%

第13位;堺市(80万人) 政令指定都市。 0.1%

第14位;新潟市(80万人) 政令指定都市。 0.1%

第15位;浜松市(80万人) 政令指定都市。 0.3%

第16位;静岡市(70万人) 政令指定都市。 -0.1%

第17位;熊本市(70万人) 0.1%

第18位;岡山市(70万人) 0.3%

第19位;相模原市(70万人) 東京大都市圏に含まれるベッドタウン。 0.4%

第20位;鹿児島市(60万人) 0.2%

第21位;船橋市(60万人) 東京大都市圏に含まれるベッドタウン。 0.5%

第22位;八王子市(50万人) 東京大都市圏に含まれるベッドタウン。 0.8%

第23位;姫路市(50万人) -0.1%

第24位;松山市(50万人) 0.1%

第25位;東大阪(50万人) 工業都市。-0.1%

第26位;川口市(50万人) 東京大都市圏に含まれるベッドタウン。 0.7%

第27位;松戸市(50万人) 東京大都市圏に含まれるベッドタウン。 0.1%

第28位;倉敷市(50万人) 0.3%

第29位;福山市(50万人) 0.1%

第30位;大分市(50万人) 0.4%

第31位;尼崎市(50万人) 工業都市。-0.4%

第32位;長崎市(50万人) -0.8%

 

上位30の都市プラス次点として尼崎市と長崎市まで一覧にしてみました。尼崎はかつてセンターに登場したこともあり、製造業の衰退とともに人口が減少した都市の代表例。長崎市もやはり造船不況によって人口が大きく減っているね。

 

今回はこの中から鹿児島市と八王子市と東大阪市が出題されたわけだが、どういった傾向があると思う?八王子は「大都市圏の中に含まれ、人口増加率がとくに高い都市」というキャラクター。これに似た都市としては、相模原市や川口市などもあるが、いくらなんでもマイナーだよなぁ。千葉市やさいたま市、堺市の方を知っておいたらいいんじゃないかな。

東大阪は「工業都市だが産業の空洞化によって人口が減少している」というキャラクター。過去に出題例もある北九州や尼崎を類似する都市としてチェックしておこう。

 

2007年度地理B本試験[第3問]問6

 

[講評]これって過去問そのまんまじゃない!?過去問に習熟しておけば、素直に解けた。

そうでなくてもさまざまなセオリーを結び付けて思考問題として解くことができる。とくに重要なのは「人口減少地域では老年人口割合が高い」というもの。

 

[解法]札幌市が取り上げられているが、別に札幌市特有の問題として考える必要はない。日本だろうが世界だろうが、大都市だろうが小都市だろうが、全体的に似たような傾向はあるのだから、都市一般の問題としてとらえるべきである。

 

まず人口密度について。これは「人口密度=人口÷面積」の数式を思い出して、「人口に比例、面積に反比例」と考える。しかし図3を参照すると、地域ごとの人口が分からないばかりか、地域ごとに区切られていないので面積も分からない。この図が階級区分図である以上、絶対に地域ごとにデータを取ったはずなのだが、この図ではその境界線は省略されてしまっているようだ。

ただし人口密度については非常に分かりやすい手がかりがある。図3がヒントとなる。西方の鉄道(JR)が分岐している辺りに「楕円形」の施設がある。これは何だろう?言うまでもないよね。陸上用のトラックだ。ホームレスは住み着いているのかもしれないが(?)、ここに家を建てて住所を定めている人なんているわけないよね。そうなるとこの一帯の人口密度は限りなくゼロに近いと考えていいわけだ。ここが「低」となっているスが人口密度となる。そう考えてみるといろいろつじつまの合う部分が出てくる。地下鉄が集まってくる図の中央部の人口密度がやはり低いが、ここは「中心業務地区」なのだろう。官庁やオフィスの集まる地区となっており、郊外から通勤者が集まる。地価が高いと思われ、住民は外側に流出するドーナツ化現象が生じている。また路面電車の走っている範囲の人口密度が高くなっているが、この辺りは住宅地であり、多くの人々が日常の足としてこの交通手段を利用しているのだ。

 

さらに地価について。人口密度の項目でも述べているが、地下鉄と路面電車が集まり、JRの駅もある図の中央部が「中心業務地区」であると考えられる。高層ビルが並び、さらに多くのデパートなど商業施設も林立しているのだろう。地下街も発達しているはずだ。この地点の地価が高いことは容易に想像がつく。

しかしここからが問題で、それだけでは判定できないのだ。というのも、サもシもその地点の値は「高」となっているのだ。

 

というわけでここから主役(?)の老年人口率が登場なのだ。老年人口率に関するセオリーは「人口増加率と老年人口率は相反する」というもの。人口爆発が続くアフリカでは老年人口率が低く、人口が減少する事態に陥った日本では老年人口率が高い。そんな簡単なイメージは持てるよね。

日本国内においてもこのセオリーは当てはまる。人口増加率が低い(あるいは人口が減少している)地域はどこか。例えばキーワードの1つとして「ドーナツ化現象」を考える。企業や商業施設、官庁が集まる都心部は地価が高く、人口が流出し、人口が減少する。とくに昔から都心部に住んでいた高齢者は土地や家屋をすでに所有しているためそこにとどまる傾向が強いが、若い世代は狭いマンション暮らしに耐えられず、郊外に一戸建てを求めようとする。この若年層の流出によって相対的に老年人口が大きくなる。

さらにもう1つのキーワードとして「過疎化」を考える。仕事に恵まれない農村部では、仕事を求め都市周辺(都市圏)へと人口が流出する。既に職を得ている、あるいは年金暮らしの高齢者はそこにとどまるが、まだ仕事を得ていない若年層が人口移動の主である。やはりここでも相対的に老年人口が大きくなり、やがて子供が減ることで学校が消え、税収が減ることでさまざまな公共サービスが消えていく。

 

要するに「地価の高い都心」と「通勤に不都合な農村」で老年人口割合が高いわけだ。若者が出て行ってしまうからね。このことを考え合わせれば、サが「老年人口率」というのはスゴく納得できないかな。鉄道が集まる都市中心部で老年人口率が高いのは、若者が出ていってしまって、老人だけが残ったから。華やかなメインストリートの脇に、昔ながらの古い町並みが残っているはず。また図の端の方にもいくつか「高」となる場所があるが、ここは札幌都心への通勤に不便な場所で(鉄道も通っていないしね)、仕事を求める若者が出ていってしまった。札幌の地図と見比べると、これらの地区は山地であったり畑地であったり、年金暮らしの老人が細々と農業を営んでいる様子が想像できる。

 

消去法でシが「地価」。地価というものは、本図でわかるように都心部を中心として同心円状に変化していく傾向があるが、まさにそんな感じになっているよね。

 

[関連問題]

まずは形式が似ている問題から紹介しよう。

04B追第3問問6参照。海外の都市(ボストン)を扱った問題であるが、図の雰囲気が似ている。

 

さらにこちらが重要。全く同じ問題と言っていい。

04B本第4問問7参照。老年人口割合が高い地域は2か所。「中心市街地」と「都市圏の外側」である。前者は地価が高いことで、後者は都心への通勤圏ではないことで、いずれも人口増加率が低い(あるいは減少している)。若い世代が流出するため、相対的に老年人口が大きくなる。

 

この問題と考えるポイントは「都市圏」。都市圏の構造は、大きく2重円で表され、内側の円が「都心部」、内側と外側の円の間が「郊外」。オフィスが集中し昼間人口が夜間人口より大きいのが「都心部」で古い時期から市街地であったため、「既成市街地」ともよばれる。都心部への通勤者が住むのが「郊外」でこちらは夜間人口の方が昼間人口より多い。

都市圏を2重円ではなく、5重円で表すモデル図も存在する。都心部はさらに2つの地域に分けられ、最も内側の小さな円で示されるのが「中心市街地」。いわゆるCBD(中心業務地区)が形成され、地価が高いので人口が減少している。その外側が「周辺市街地」。中心市街地ほどには再開発は進んでおらず、昔ながらの商店街なども残されている。

郊外は3つの地域に分けられる。内側が「一般住宅地」。古くから住宅地として開発されたところ。その外側が「高級住宅地」。土地面積に余裕があるため、広大な敷地を持った高級住宅が多くみられる。最も外側の一帯が「新興住宅地」。現在、最も人口増加率の高い地域。道路や鉄道の整備などによって通勤圏が拡大し、今までは農地だったようなところが新たに住宅地として開発されるようになった。

このように都市圏を設定する場合、内側に向かえば向かうほど人口増加率は下がり、外側に向かえば向かうほど人口増加率は高い。なお、地価はこれとは逆に、内側に向かえば向かうほど高くなり、外側に向かえば向かうほど低く(安く)なることは十分に想像できるだろう。

 

この04B本第4問問7図5において、東京を中心とした都市圏を設定してみよう(東京のような巨大な都市はとくに大きな都市圏=通勤圏を形成するので、「東京大都市圏」ともいう)。東京の都市圏はおおまかに半径50kmの円で示される。右下に30kmを表す目盛りがあるので、これを手がかりに、東京都心(斜線で示された東京特別区部の、さらに中心を都心とする)から半径50kmの円を描いてみよう。これが東京の都市圏で、この範囲から東京都心に人々が通勤してくると考える。もちろん鉄道や道路の整備状況や山地、湖沼などの地形的制約によってこんなにきれいな円にはならないが、大まかにはそのような感じと理解していい。

 

サがZに該当することはわかるだろうか。都市圏において中心市街地は人口増加率の低い地域であり、それゆえ老年人口率が高くなる。

シがYに該当する。郊外に当たるエリアであり、人口増加率が高い。とくに高いのは都心から50kmギリギリの部分。「人口増加率が高い=若者が流入する=出生率も高く幼年人口率が上昇する」ことから、老年人口率はこの一帯では全体的に低い。

 

老年人口率の高い地域が多いスがXである。先ほど東京大都市圏を設定したと思う。都心から半径50kmの円だ。Xはこれから離れており、東京都心への通勤圏ではないと考えられる。若い世代は流出し、全体的に老年人口率が高い地域となる。もちろん地価はかなり安いんだけどね、でも通勤できなかったら仕方ないよね。

 

この東京におけるセオリーをそのまま札幌に当てはめれば、本問についてはスムーズに解答できる。

 

老年人口割合に関する問題。

05B追第5問問5参照。農村部では人口増加率が低い(っていうか減少している)のだが、とくに若い世代の減少率が大きいのに対し、老年人口率は逆に大きく上昇する。日本の地方都市で生じている「過疎化」の問題をシリアスなものとしてとらえよう。

01B本第5問問5参照。③が老年人口率なのだが、東京や大阪の周辺(郊外)で低く、それ以外の地方で高いという傾向がはっきりしている。地方でも福岡や宮城(仙台)などの地方中枢的な機能を持つ都市を含む県では老年人口率がさほど高くない(っていうか低い)ことも合わせて確認しておこう。

 

地価に関する問題。

99B本第5問問5選択肢④参照。地価が等値線図によって表されることは理解できるだろうか。都心で最も地価が高く、周辺に向かうに連れて次第に安くなっていく。同心円のようになるはずだ。

03B追第2問問2参照。大阪市の区ごとの地価が示されている。「地価の高いところ=高層ビル」を考え、デパートなどの存在を考えれば地価と商店密度が比例することがわかるはずだ。

 

[今後の学習]最大のポイントは「老年人口率」だと思う。老年人口率の高い地域は、人口増加率の低い地域である「中心市街地」と「都市圏の外側」である。

都市圏の概念については問1で説明しているので、そちらを見てほしい。5重円の内側から「中心市街地」「周辺市街地」「一般住宅地」「高級住宅地」「新興住宅地」となり、内側2つが昼間人口の多い「都心部(既成市街地)」、外側3つが夜間人口の多い「郊外」となる。人口増加割合は、「新興住宅地」で最も高く、「中心市街地」で最も低い。地価が高く若い世代が流出する中心市街地は相対的に老年人口割合が高くなる。

さらにその都市圏の外側に目を向けてみよう。「都市圏=通勤圏」なので、都市圏から外れた地域はつまり都心への通勤圏ではないということ。都市内部に仕事を求める若い世代にとって、都市圏の外側に住む意味はないよね。若年層が都市圏の内側に移動することによって、都市圏の外側には高齢者が取り残されることになる。「老年人口割合」は高い。

 

「人口増加率が低い=若年層の流出=老年人口割合の上昇」というセオリーを考えよう。

 

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