たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう
2014.04.24
第3問 都市に関する大問。これも最近の定番、マストアイテムだね。東京都心における人口増加率の高さが問われた問3が印象的であり、全体的にもバランスがとれた良問が並ぶように思う。問1、問④選択肢①④。問5。問6など、過去問の内容が十分に反映されている。
問1 [インプレッション]定番の問題。過去問で何回も登場したネタが今回も登場。そりゃイスタンブールは重要ですよ!
[解法]人口1000万人に達するような巨大都市は知っておくべきだろう。メキシコシティはメキシコの首都であり、人口規模も大きい。標高の高い高原に位置する。アの右端がメキシコシティに該当し、アがメキシコ。
トルコの人口最大都市(首都ではない)イスタンブールも人口1000万規模.海峡に面する港湾都市であり、標高は低い。ウの右端がイスタンブールと思われ、ウがトルコとなる。
消去法でイがドイツ。首都ベルリンが人口最大都市だが、人口規模はさほどでもない。
[アフターアクション]イスタンブールやメキシコシティは出題率が高い都市であり、いずれも1000万人都市の代表例。それにしても今回はメキシコ絡みの問題がとくに多いような。第1問問1でも、メキシコシティが乾燥地域にあるという話題が登場している。
問2 [インプレッション]アムステルダムって!?近年コペンハーゲンが出たので驚いたことがあったが、今度はオランダの首都が登場。でもネタとしては消去法で解けるから大丈夫かな。
[解法]東京は鉄道が中心。JRや私鉄、地下鉄によって多くの人々が通勤・通学をする。「公共交通」の割合が高いクが東京。
シカゴはアメリカ合衆国の都市であるが、自家用車が中心。カがシカゴ。
残ったアムステルダムがキ。なるほど、環境への意識が高いヨーロッパでは自転車通勤・通学の割合が高いわけか。とくにオランダは起伏の小さい平坦な国土であるので、自転車が快適なのだ。
[アフターアクション]アムステルダムが難しい?たしかに地理Aで一回登場したことがある地名であるのだが。いずれにせよ、今回クローズアップされているのだから、少なくともオランダの首都であることだけは知っておこう。
問3 [インプレッション]よく見る図なんだけれど、このパターンの図が登場した問題って意外な難問が多い。さて、本問はどうかな。
[解法]東京大都市圏における市町村ごとの階級区分図が示されている。とくに年代別に示されるこのパターン、センター試験でよくみかけるものなんだわなぁ。
今回は戦後すぐに生まれた人々の割合に関するもの。具体的な年齢を考えながら解いてみようか。
①;これはその通りだと思う.戦争が終わり、出生率が急上昇した時期である
②;50年生まれなら70年には20歳。就職や進学の年代である。妥当。
③;同じく40歳。一戸建ての住居を構える年代。郊外の住宅地を考える。妥当。
④;同じく60歳。まず引っかかるワードが「東京圏外」。都市圏とはいわゆる通勤圏のことで、東京ならば都心を中心とした半径50km2の円がその目安となる範囲。そもそもが高齢者(60歳なら高齢者でもないが)は転居することが少ないし、いきなり東京圏外というのも考えにくい.生活の基盤が大きく変化することは普通避けるのではないか。さらに「人口減少」が気になる。たしかに都心部の旧市街地においては人口増加率は高くないが、一部では再開発によるマンション建設などによって人口の都心回帰が生じている地域もあり、実際、東京都の人口増加割合は全国1位である。これらを考え合わせ、④が誤りとみていいんじゃないか、
[アフターアクション]
なるほど、やっぱり21世紀の人口移動のポイントとして「都心への人口回帰」は絶対に知っておいて欲しいのだ。そして、日本で最も人口増加割合が高い都道府県として東京都。データに関する情報は確実に知っておく、
問4 [インプレッション]都市に関する問題だが、都市名が問われるケースは稀。とはいえ、こうしたメジャーな都市についてはある程度のことは知っておいてほしいな。もちろん地図帳を使った勉強っていう意味じゃなくて、過去のセンター試験で何がどのように問われたかっていう「経験則」として。
[解法]都市というよりもそれぞれの国や地域における一般的な状況が問われており、①は典型的。アメリカ合衆国社会は「人種のモザイク」と異名を持つ。モザイクのようにそれぞれの人種や民族が別個に存在し、混じり合うことがない。彼らは都市内部にそれぞれの居住区を形成している。「居住地の住み分けは解消」されていない。これは誤り。
さらに④について
発展途上国のスラムの位置。先進国のスラムが都心近くに形成されるのに対し、発展途上国のスラムが都市周辺に広がる。「郊外」のような都市周辺部はむしろスラムが形成されるところであり、低所得者が主に居住する。高級住宅地は都心部に。誤り。
さて、これで残った選択肢は2つ。実はここからが難しい。これ、かなり判定に迷うぞ。
③って別に間違ってないと思うんだわ。このような状況は世界中のいずれの都市でもみられる状況であり、否定しにくい。当たり前なんじゃない?
では②が違うのか?パリでは郊外のラデファンス地区が副都心としての開発をされており、マンション群が建設されるとともに、オフィス街なども設けられ、都市機能の一部が移転している。『大規模な都市開発事業』は問題ないと思う。「中心部の建物の改修は全面的に禁じられている」という部分がどうなるかっていうことなんだよね、結局。たしかにパリには歴史的な観光名所が多く存在し、それらについては観光資源として重要なため、保全がなされている。でもここでちょっと迷うのだ。そういった歴史的価値の高い街区については開発は制限されているんだろうけれど、さすがに「全面的」なのだろうか.パリ中心部に近いエリアでも、CBDのように都市管理機能が集中しているエリアがあるだろうし、そういったところについては「建物の改修」ぐらいはなされているのではないか。「全面的」がやっぱり気になるんだな。っていうか、ここしかポイントがないよ。②を誤文として、③が正解となる。
[アフターアクション]②と③の判定は無理。これは難しい。ここは①と④の選択肢に注目。こちらは非常に重要だと思う。アメリカ合衆国のモザイク社会、発展途上国の大都市におけるスラムの位置、いずれも非常に重要!
問5 [インプレッション]こういう部分に地形図問題が入ってくるのは珍しい。しかしこのパターンって良問が多かったりする。この問題にも期待するのですが。
[解法]八郎潟干拓地。名前だけは知ってるんじゃないかな。戦後間もない時期に、米の生産確保の為の耕地拡大を目指して、国内第2位の湖である八郎潟の干拓が始められた。しかし干拓が終わった1970年代にはすでに米余りの状況となり、思ったように農家の入植が進まず、結果として失敗に終わった。現在なら考えられないほどの、大規模な『自然破壊』でもあるのだ。
①;
②;干拓地であることが絶対的なポイント。浅海(この場合は湖だけど)に堤防を建設し、内側を排水する。よって干拓地そのものの標高は極めて低く、海面下であることが多い。このような干拓地の特徴を考えた場合、「標高が高くなっており」は明らかな誤りだろう。また、田の土地利用記号がみられることから、水田が広がっていることがわかり、このような土地において「水はけの良い」ということは有り得ない。誤文である。
[アフターアクション]干拓地の特徴を捉えた良問に思う。地形図問題であるけれど、干拓についての知識が問われている。過去問が手に入る人は、2004年度地理B追試験第5問問7を参照しておこう。やはり干拓地の標高が問われている。
問6 [インプレッション]このような問題は一般常識的な部分もあれば、特定の言葉の知識が問われる場合もある。何となく解くのではなく、根拠を持って確実に。
[解法]なるほど、センターで比較的よく出題されるワードについての知識が問われているね。最も、「パーク」は駐車だし、「ライド」は乗るっていう意味だし、簡単な英語の組合せと考えれば、特殊な知識っていうわけでもないんだけどね。そう、正解は②。パークアンドライドはヨーロッパのいくつかの都市で行われている交通の工夫で、都市外から自動車で移動してきた人が、都市周辺の駐車場に自家用車を停め、そこからは路面電車などの公共交通機関に乗り換え、市街地へとやってくること。都市内部の渋滞が防がれるなど交通の円滑化になるばかりではなく、都市内部の排気ガスの量も減少し、環境対策となる。
他の①、③、④の選択肢については、まさにその通りでしょ。一般常識として捉えていいんじゃない?
[アフターアクション]「パークアンドライド」、センター試験で何回も登場した言葉。過去問絶対主義で行きましょう!
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